事業譲渡のトラブル・判例62件を分析――裁判で争われた7つの論点と注意点
事業譲渡のトラブルは、裁判でどのように争われ、いくら認められたのか。裁判所が公開している判決のうち、事業譲渡(営業譲渡)が争いの前提になっている62件を全文で読み、同じ基準で分類しました。論点ごとに有名企業の事例を、何が起きたか・裁判所の判断・契約前の対策の順で並べ、事例の名前から判決を読み込んだ深掘り記事へ進めるようにしています。巻末には62件すべての資料カード(判決日・裁判所・事件番号・判決の原文引用・判決PDF)を付けました。株式譲渡・合併など事業譲渡以外の会社売買の判決74件は、姉妹編の株式譲渡のトラブル・判例74件を分析にまとめています。
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<a href="https://jfsc.jp/research/ma-hanrei/">事業譲渡のトラブル・判例62件を分析――裁判で争われた7つの論点と注意点|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「事業譲渡のトラブル・判例62件を分析――裁判で争われた7つの論点と注意点」(2026年10月11日) https://jfsc.jp/research/ma-hanrei/※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。
あなたの立場から読む
- 事業を買う側(買い手):多いのは「屋号・商標が手に入らない」(類型1)と「売り手が同じ商売を始める」(類型5)。債務については類型4の商号の扱いを必ず確認してください。
- 事業を売る側(売り手):売り手が訴えた判決では、認められた額は請求の中央値で0%でした。「代金で債務を片付ける約束」(類型4)と、競業の範囲(類型5)、契約書の作り方(類型3)が要点です。
- 従業員・取引先との関係:従業員の転籍と顧客情報は類型2、取引先との契約・ライセンス・許認可の引き継ぎは類型6です。
先に結論
- 裁判になった論点は7つの類型に分かれます。 屋号・商標・ブランド16件/人と顧客10件/契約の成否9件/債務9件/競業6件/取引先・権利・許認可の引き継ぎ6件/倒産・民事再生の中の譲渡と刑事3件で、どれにも当たらないもの(その他)が3件。合計62件です。
- 原告になったのは買い手25件・売り手18件で、買い手は17件、売り手は5件で勝訴しました(全部または一部の勝訴。民事60件の内訳は下の表)。
- 類型ごとの偏りが大きい。 「債務がついてくる」は原告が9件中8件で勝訴、「競業」は6件すべてで原告(買い手など)が勝訴、「取引先・権利の引き継ぎ」は6件すべてで原告が敗訴しました。
- お金の請求は、認められても一部です。 金銭を請求した36件のうち13件は0円で、認容額÷請求額の中央値は約10%でした。
- トラブルが判決になるまで、譲渡から中央値で5年(譲渡の年が分かる49件・四分位は3年〜8.5年)。10年以上かかったものが8件ありました。
図1 事業譲渡のトラブル・判例62件を分析(インフォグラフィック)(クリックで拡大)本記事の内容は、出典リンクつきでご自由に引用いただけます(CC BY 4.0・出典に「株式会社日本財務戦略センター(JFSC)」の名称を明記)。コピー用の引用タグは ページ冒頭の枠 にあります。
この調査の範囲と数え方
- 対象:裁判所の裁判例検索で、事業譲渡・営業譲渡・株式譲渡・M&A・事業承継などの語で探した判決(約380件)の全文を読み、会社・事業の売買が争いの前提になっている110件を選びました。そのうち、事業譲渡(旧商法の営業譲渡を含む)が争いの前提になっている62件が、この記事の対象です。株式譲渡などの残り48件は、追加調査の33件と合わせて株式譲渡のトラブル・判例74件の分析で扱っています(うち上場会社の経営権争い7件は参考として集計外)。
- 分類:1件の判決に論点が複数あっても、その判決で最も中心になった論点1つに分類しました(重複はありません)。7類型とその他を足すと62件になります。
- 勝ち負け:「原告が勝った」は、原告の請求の全部または一部が認められた判決です。差止めだけが認められ賠償は認められなかったものも「一部」に入れています。刑事事件2件は勝ち負けの集計から外しています。
- 金額:請求額・認容額は遅延損害金を除いた額で、金銭を請求した36件だけで集計しています(差止めや登録手続だけの判決は入れていません)。認容額÷請求額は、裁判で請求した額と認められた額の比で、事業譲渡で実際に失った額や回収率を表すものではありません。 請求額の大きい3件(いずれも10億円超で認容0円)を除くと、合計の比は約12%から約35%に上がります。
- 時代:62件のうち11件は、会社法の施行(2006年5月)より前の営業譲渡です。商号の続用(旧商法26条→会社法22条)や競業避止(旧商法25条→会社法21条)は中身がほぼ同じなので、同じ基準で数えています。
- 限界:裁判所はすべての判決を公開しているわけではなく、和解で終わった争いや裁判にならなかったトラブルは入りません。件数は「起きたトラブルの数」ではなく「公開された判決の数」です。判決から読めない項目は空欄にしています。資料カードの「判決の言葉」は判決文から一字一句そのまま引用し、原文と機械で照合しています。
事業譲渡のトラブル62件の全体像
| 類型 | 判決 | 主に訴えた側 | 原告が勝った(全部または一部) |
|---|
| 1 屋号・商標・ブランドが移らない、取り合いになる | 16件 | 買い手10件・売り手5件 | 9件/16件 |
| 2 人と顧客が抜ける(従業員・顧客情報) | 10件 | 売り手5件・従業員3件 | 5件/10件 |
| 3 そもそも事業譲渡は成立していたのか(契約書・書面) | 9件 | 買い手5件・売り手3件 | 2件/9件 |
| 4 債務がついてくる(商号の続用・責任逃れ) | 9件 | 第三者(権利者等)4件・買い手4件 | 8件/9件 |
| 5 売り手が同じ商売を始める(競業) | 6件 | 買い手5件・対象会社1件 | 6件/6件 |
| 6 取引先・ライセンス・権利・許認可の引き継ぎ | 6件 | 売り手5件・その他1件 | 0件/6件 |
| 7 倒産・民事再生の中の譲渡と、刑事事件 | 3件 | 売り手の債権者1件 | 0件/1件 |
| その他 | 3件 | その他1件・売り手の債権者1件 | 1件/3件 |
| 合計 | 62件 | | |
原告の立場ごとの結果(民事60件)
| 訴えた側(原告) | 判決 | 原告が勝った(全部または一部) |
|---|
| 買い手 | 25件 | 17件 |
| 売り手 | 18件 | 5件 |
| 第三者(権利者等) | 5件 | 5件 |
| 売り手の債権者 | 4件 | 3件 |
| 従業員 | 3件 | 0件 |
| その他 | 3件 | 0件 |
| 株主 | 1件 | 0件 |
| 対象会社 | 1件 | 1件 |
| 合計(民事) | 60件 | 31件 |
原告の立場ごとに認容額÷請求額の中央値を見ると、売り手が原告の11件は0%、買い手の14件は約17%、債権者の3件は100%でした。経営難や倒産手続の中の譲渡(31件)と、そうでない譲渡(29件)では、原告の勝訴の割合にほとんど差はありませんでした(16件と15件)。
なぜ事業譲渡はトラブルになりやすいのか
| 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|
| 移るもの | 会社ごと(株式) | 選んだ財産・契約・従業員 |
| 債務 | 会社に残ったまま株主が替わる | 原則として移らない(商号の続用などで責任が生じる) |
| 取引先との契約 | 会社が当事者のまま(ただし株主の変更で解除できる条項に注意) | 相手方の承諾を得て一つずつ移す |
| 従業員 | そのまま | 本人の同意を得て転籍 |
| 商標・特許 | 会社名義のものはそのまま(個人名義のものは別) | 移転の登録が要る |
| 許認可 | 原則そのまま(業法により届出・承認) | 業法により、承継できるもの・取り直しになるものがある |
| 債権者を守る手続 | ― | 合併・会社分割と同様の法定の債権者異議手続はない(合併・分割には官報公告・個別の催告・異議期間がある) |
最後の行が要点の一つです。事業譲渡でも商号の続用の責任などはありますが、合併や会社分割では、債権者に異議を述べる機会を与えるため、官報での公告・知れている債権者への個別の催告・1か月以上の異議期間が義務づけられています(会社法789条・799条・810条)。事業譲渡にはその手続がありません。日本財務戦略センターが官報の会社公告を数えたところでも、合併公告が2,229件・会社分割の公告が47件あったのに対し、事業譲渡の公告は0件でした。債権者が知らないうちに事業だけが移り得るので、商号の続用の責任(会社法22条)や、債権者を害する事業譲渡の規定(会社法23条の2)が置かれています。
事業譲渡は珍しい手法ではありません。中小企業白書2018年版のアンケート(M&Aを実施した企業・n=480)では事業譲渡が41.0%・株式譲渡が40.8%、M&A支援機関登録制度の2021年度の実績報告(譲渡側3,403件)では事業譲渡が21.5%・株式譲渡が73.3%でした(白書 第2-6-14図・中小企業庁 資料1)。白書のアンケートで事業譲渡を選んだ理由は、取引先との契約・取得したい資産・従業員を選別できたが65.6%で最多です。選べることが事業譲渡の利点で、その選ぶ作業の漏れが、下の類型の多くにつながっています。
なお、この62件は事業譲渡の判決だけを集めたもので、株式譲渡と比べた調査ではありません。この62件から、どちらの手法でトラブルが少ないかまでは判断できません。株式譲渡には、簿外債務や表明保証の違反、株主の変更で取引先が契約を解除できる条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)など、別の争いがあります。
類型1 屋号・商標・ブランドが移らない、取り合いになる(16件)
16件のうち原告が勝ったのは9件。原告は主に買い手(10件)です。 事業と一緒に商標・著作権・特許が本当に移ったのか、のれん分けの屋号は誰のものか、という争いです。62件の中で最も多い類型です。
- 何が起きたか:民事再生に入った東京の千鳥屋総本家の事業を、スポンサーが設立した会社(現在の千鳥屋総本家株式会社)が6億7000万円で譲り受けました。主な商標は創業家の一人に1円で譲り、代わりに専用使用権を受ける契約にしましたが、登録されないまま、商標の持分が福岡の株式会社千鳥饅頭総本舗などに移りました。会社は約2年半後、事業を1億8000万円で大阪の株式会社千鳥屋宗家に譲り、7000万円を請求しました。
- 裁判所の判断:大阪地裁(令和5年)は請求を棄却。大阪高裁(令和6年)は契約違反と損害の発生を認めましたが、創業家の兄弟の会社が昭和25年頃から同じ商標を共有して使っており、もともと独占はできなかったこと、商標の分だけの値段を取り出すのが極めて難しいことから、損害を100万円と認定しました。
- 契約前の対策:商標の登録名義と共有者、親族の会社などの使用の実態を最初に確かめる。専用使用権は登録まで済ませる。
- 詳しく読む:千鳥屋の商標裁判
- 何が起きたか:女性向けパーソナルトレーニングジムの創業会社(株式会社Shapes)が、商標とノウハウを含む事業一切をライセンス先の会社(エクササイズコーチジャパン株式会社)に譲り、創業者が売上の一定割合を顧問料として受け取る契約を結びました。顧問料が払われず事業譲渡契約を解除しましたが、相手はその後もブランド名で店舗を運営しました。
- 裁判所の判断:東京地裁(令和2年)は、解除により商標権は売り手に戻るべきもので、解除後の使用は使用料相当の不当利得になるとして、店舗の売上合計約37億2000万円の2%にあたる7442万6732円の返還と、商標の移転登録の抹消を命じました(請求は1億3086万円)。同じ日の別の判決で、商標を消すための不使用取消審判をめぐり、弁護士費用など429万6000円の賠償も命じています。
- 契約前の対策:対価を売上連動・後払いにするなら、解除したときの商標の戻し方と、その間の使用料を契約に書く。
- 詳しく読む:女性向けジム「Shapes」の裁判
のれん分けと言えば、ラーメン二郎や大勝軒が思い浮かびますが、大勝軒では商標をめぐる裁判が続いています。これは事業譲渡の事件ではないので62件には数えていませんが、屋号の論点として載せます。
- 何が起きたか:「大勝軒」には、大正2年創業の人形町大勝軒からのれん分けした「人形町系」と、昭和36年創業の東池袋大勝軒の系列など、別々の系統があります。人形町系の会社が平成7年に登録した「大勝軒」(中華料理の提供)の商標について、東池袋大勝軒を運営する株式会社大勝軒が、使われていないとして取消しを求めました。
- 裁判所の判断:知財高裁(令和7年)は、のれん分け先に電話で使って差し支えないと伝えただけでは使用権の設定にはならないとして、取消しを認めなかった特許庁の判断を取り消しました。別の事件で、「山岸一雄大勝軒」の商標は、同姓同名の人の承諾がないとして登録できませんでした(知財高裁 平成28年。氏名を含む商標のルールは2024年4月以後の出願から緩和)。
- 契約前の対策:のれん分けの屋号は、登録の名義だけでなく、系列の店や会社との取り決め(使用の許諾の有無)まで書面で確かめる。
- 詳しく読む:大勝軒の商標裁判
そのほかの事例
- 葬儀社の屋号:経営不振の葬儀会社の会館の運営を引き継いだ会社が、約20年使われてきた屋号を使い続けたところ、近隣の同業者がその屋号を商標登録し、差止めが認められました(大阪地裁 令和5年)。旧会社の代表者は、近隣の同業者から商標登録の可否を聞かれて了解していました。
- ソフトウェアの著作権(11億5000万円の事業譲渡):売り手側が「著作権は移っていない」と争いましたが、契約どおり移転済みとされました(知財高裁 平成29年・令和元年)。
- 遮熱塗料の特許・商標(日本中央研究所株式会社):M&Aの一環で特許・商標を含む営業資産一切を譲る契約をした後の権利の扱いが争われ、移転登録と2173万3929円の賠償が認められました(東京地裁 令和6年)。
- ブランド事業の商標:売掛金の整理の中でブランド事業と代表者・従業員を引き継いだのに、退職した元代表者が商標は譲っていないと主張しましたが、事業に欠かせない商標だけを残すのは極めて不自然だとして、譲渡が認められました(東京地裁 令和3年)。
- 海外ブランド:創業デザイナーが生前に事業を譲ったという契約書・遺言書・領収書が写ししかなく、譲渡は認められませんでした(知財高裁 平成22年・3件)。
対策と制度
- 商標の名義・共有者は、特許庁の登録で最初に確かめる。屋号が売り物の会社なら、親族の会社やのれん分け先の使用の実態まで。
- 商標権の移転は登録しなければ効力が生じません(商標法35条で特許法98条1項1号を準用)。専用使用権の設定も登録が効力発生の要件です(商標法30条4項)。共有の商標は、ほかの共有者の同意がなければ専用使用権を設定できません(商標法35条・特許法73条3項)。決済の条件に「移転登録・設定登録の完了」を入れておきます。
- 株式譲渡なら、会社名義の商標は原則として会社に残ります。ただし代表者個人の名義になっていないか、使用許諾に株主の変更で解除できる条項がないかは別に確かめます。
類型2 人と顧客が抜ける(従業員・顧客情報)(10件)
10件のうち原告が勝ったのは5件。原告は売り手5件・従業員3件など。従業員が原告の3件はすべて敗訴でした。 事業譲渡では従業員は本人の同意を得て転籍します。移らなかった人や移った人が顧客を連れて行く、交渉中に顧客情報が渡る、という争いです。
- 何が起きたか:千葉市の事務機器販売会社が、仕入先メーカーの子会社(株式会社TOWA)への事業譲渡を交渉しましたが、対価で折り合わず不成立に終わりました。その間に顧客対応の業務だけを子会社に移したところ、顧客情報約2万6千件が入ったパソコンが子会社側に渡り、子会社はそれを使ったうえで交渉に応じなくなりました。
- 裁判所の判断:顧客情報は営業秘密と認められ、子会社と役員2人に賠償が命じられました。一審(東京地裁 平成25年)は5296万6100円、控訴審(知財高裁 平成27年)は、売り手はすでに販売をやめていたとして使用料相当額で計算し直し、1110万4450円に減らしました。親会社(株式会社TBグループ)への請求は認められませんでした。
- 契約前の対策:交渉中に業務だけを先に移すときは、顧客情報の範囲・管理・返還と競業の禁止を、先に書面で決める。
- 詳しく読む:TOWA事件
そのほかの事例
- LPガスの顧客2,000軒(レモンガス株式会社などが当事者):LPガス小売業者が顧客2,000軒の販売権を4億円で別の業者に譲った後、配送を委託していた旧仕入先が乗り換えの営業で約670軒を獲得しました。顧客名簿が秘密として管理されておらず、競業しない約束もなかったとして、1億3440万円の請求は棄却されました(知財高裁 平成23年)。
- 日本IBMのハードディスク事業:日本IBMがハードディスク事業を新設分割で子会社にし、6日後にその株式を日立製作所との合弁の会社に譲った事件で、従業員が、実質は事業譲渡だから承継を拒めると争いましたが、認められませんでした(横浜地裁 平成19年)。
- 配置薬の販売:事業譲渡で引き継いだのに元従業員が移らず、競合会社で旧顧客に営業した事件で、退職時の誓約書による競業避止の義務は買い手に承継されたとされました(大阪地裁 平成30年)。
対策と制度
- 従業員の転籍には一人ずつの同意が要ります(民法625条1項)。厚生労働省の指針(2016年9月適用)は、承継する労働者と事前に協議し、労働組合などとの協議は遅くとも本人との協議を始めるまでに始めるのが適当としています。会社分割には労働契約承継法があり、扱いが違います。
- 顧客名簿は、秘密として管理していないと営業秘密として守られません。
類型3 そもそも事業譲渡は成立していたのか(契約書・書面)(9件)
9件のうち原告が勝ったのは2件だけ。 事業譲渡や個別の約束があったと主張しても、書面が弱いと、裁判所にその主張を認めてもらえません。
- 何が起きたか:匿名掲示板「2ちゃんねる」(現在の5ちゃんねる)の運営会社(レースクイーン・インク)が、掲示板の事業は創設者からシンガポールの会社を経て自社に移ったとして、創設者が登録した商標「2ch」「2ちゃんねる」の無効を求めました。
- 裁判所の判断:争われたのは商標登録の無効(商標法4条1項10号)で、運営会社の主張は、事業譲渡を受けた自社などの業務を示す商標として出願時に広く知られていた、というものでした。知財高裁(平成30年・2件)は、この事件で主張された事業譲渡について、契約書などの処分証書が出されず、ドメインの登録者の変更やブログの「譲渡完了」の記載などからも譲渡の具体的な内容を確認できないこと、譲渡後も創設者が関わっていたことがうかがわれることなどから運営会社の主張を認めず、請求を退けました。契約書のない事業譲渡が一般に成立しない、と判断したものではありません。
- 契約前の対策(この判決から導ける実務上の示唆):事業を譲った・譲り受けたことを後で証明できるよう、移す財産・対価・移転の方法を書いた契約書(原本)を残す。ネット事業でも、ドメインの移転だけでは足りない。
- 詳しく読む:2ちゃんねるの商標裁判
- 何が起きたか:那覇空港の旧ターミナルを運営していた会社が、営業を引き継ぐ第三セクターの新会社に対し、営業譲渡の一環として旧ターミナルビルを帳簿価額で買い取る約束があったとして、約13億9680万円を請求しました。根拠は、新会社の役員3人が連名で個人の印を押した回答書だけでした。
- 裁判所の判断:那覇地裁(平成16年)は、回答書は3人が「私的な意見を表明した程度の文書と評価せざるを得ず」とし、判決は「売買予約契約書その他旧第1ビルの売買予約に関する正式な合意文書が一切作成されていないことも看過することはできない。」として、請求を全部棄却しました。
- 契約前の対策:役員の個人名の回答書や契約書の案は、会社どうしの合意にはならない。代表者印のある正式な契約書で。
- 詳しく読む:那覇空港の旧ターミナルビル
そのほかの事例
- 有料老人ホーム:株式譲渡で1施設だけを外し、後で事業譲渡にした件で、基本合意書と株式譲渡契約に書いていない清算の合意は認められず、約1億3873万円の請求は棄却されました(東京地裁 平成29年)。
- 貸画廊:個人の貸画廊の営業と商号を800万円で譲り受けたという手書きの書面が認められず、逆に顧客へ「営業譲渡を受けた」と知らせたことが虚偽の告知とされました(東京地裁 令和3年・知財高裁 令和4年)。
- メールの「ご破算」:事業譲渡の直後に売り手の代表者がメールで「ご破算」と書いても、感情の表れにすぎず、解消の申込みではないとされました(東京地裁 平成25年)。
対策
- 事業譲渡契約書(原本)に、移す財産・移さない財産・従業員・契約・知的財産・対価・支払方法を列挙する。代金の精算(在庫・売掛金・買掛金)もここで決めておく。
類型4 債務がついてくる(商号の続用・責任逃れ)(9件)
9件のうち原告が勝ったのは8件。 債務をめぐる争いは、請求する側がほぼ勝っています。
- 何が起きたか:コーヒー関連商品の販売会社(判決では社名を伏せています)が、事業の全部を無償で、譲渡の10日前に設立された会社に譲りました。契約では商号も譲渡前の債務も引き継がないと決めていましたが、譲受会社は元の商号の頭に地域名を付けた商号を使い、商標とロゴも引き継ぎました。銀行が譲受会社に貸金の返済を求めました。
- 裁判所の判断:福岡地裁(平成24年)は、地域名を付けても新しい意味はなく商標とロゴも使っているとして商号の続用(会社法22条1項)を認め、6634万7000円の支払いを命じました。「本件事業譲渡契約において商号を承継しない旨が合意されている事実は,当裁判所の判断を左右しない。」と述べています。
- 免責の登記があれば結論が変わる(アップリカ):子ども用いす「トリップ・トラップ」のメーカー(ストッケ社など)が、形の似たいすを売っていたとしてアップリカ・チルドレンズプロダクツ株式会社を訴えた事件で、同社は旧会社の債務について免責の登記(会社法22条2項)をしていたため、譲り受ける前に旧会社が売った分の責任は否定されました。約2億5780万円の請求に対し、認められたのは譲受後の販売分の244万5333円です(東京地裁 平成22年)。
- 契約前の対策:商号を続けて使うなら、譲り受けた後すぐに債務を引き継がない旨の登記をするか、債権者に通知する。決済の手順書に入れておく。
- 詳しく読む:商号続用と免責登記の3判決
- 何が起きたか:任天堂などが、ゲーム機でコピーソフトを動かす装置の販売業者らを訴えた事件です。一方の業者は、休眠会社の商号・本店・役員を元の会社と同じにして事業を移し、元の会社を清算していました。
- 裁判所の判断:東京地裁(平成25年)は、両社は実質が前後同一で、別の会社だと主張することは信義則上許されないとして、両社と代表者に連帯して3825万円の支払いを命じました。もう一方の業者には、同じサイト名を続けて使った譲受会社に譲渡前の分の責任も負わせ(商法17条の類推適用)、5737万5000円の支払いを命じています。
- 契約前の対策:債務から逃げるための事業の付け替えは通らない。買い手の側も、売り手が抱える争いや請求を確かめずに事業を引き受けると巻き込まれる。
- 詳しく読む:任天堂のコピー装置事件
そのほかの事例
- JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会):歌謡情報誌の出版社が、著作権の使用料をめぐる債務を外して、雑誌の事業を新会社に1億1000万円で譲りました。協会は新会社にも支払いを求め(新会社とは和解)、出版社には全額の支払いが命じられました(東京地裁 令和2年)。
- 健康飲料メーカー:唯一の事業を3億円で譲り、代金で自社の債務を片付けると約束しましたが、会員への預託金の返還などをせず、買い手が肩代わりしました。求償と、売り手の代表者個人の責任(会社法429条)が認められています(東京地裁 平成22年・知財高裁 平成23年)。
- ダイオキシン対策費:1945年の営業譲渡で工場を引き継いだ化学メーカーだけに対策費を負担させた区の決定は違法とされました。公害防止事業費の負担は区の決定で初めて生じる公法上の負担で、譲受人には移らないという判断です(東京高裁 平成24年)。
対策と制度
- 商号を続けて使う譲受会社は、譲渡会社の事業で生じた債務を弁済する責任を負います(会社法22条1項)。譲り受けた後すぐに債務を引き継がない旨を登記するか、債権者に通知すれば免れます(同2項)。この場合の譲渡会社の責任は、譲渡の日から2年以内に請求などをしない債権者に対しては消えます(同3項)。
- 商号を続けなくても、債務を引き受けると広告すれば責任を負います(同23条)。
- 残される債権者を害すると知りながら事業を譲ったときは、債権者は譲受会社に、承継した財産の価額を限度として直接請求できます(同23条の2・2015年5月施行)。知った時から2年、効力発生日から10年で請求できなくなります。
- 売り手が代金で債務を片付ける約束なら、代金の一部を債権者へ直接払うなど、約束が守られたことを確かめられる形にしておきます。
類型5 売り手が同じ商売を始める(競業)(6件)
6件すべてで原告が勝訴しました(買い手5件・対象会社1件)。 ただし、賠償まで認められたのは一部で、差止めだけのものもあります。
- 何が起きたか:洗剤メーカー(株式会社サンワード)が、看板商品のシリーズを含む営業全部を別の会社に譲った後、6年ほどたって、同じ商品名を含む表示で洗剤の販売を再開しました。
- 裁判所の判断:東京地裁(平成28年)は、不正の競争の目的による販売だとして会社法21条3項で差し止め、不正競争防止法に基づき803万4148円の賠償を命じました(請求は3300万円)。
- 契約前の対策:競業しない範囲は、地域・期間だけでなく、商品名・ブランド・ドメインまで契約に書く。
- 詳しく読む:洗剤のサンワード事件
そのほかの事例
- 精肉店の20年差止め:親族経営の精肉・焼肉の会社が二つに分かれる際に精肉店部門を事業譲渡した事件で、譲渡した側の精肉・惣菜の販売が、令和18年10月31日まで2市で差し止められました(東京地裁 令和5年)。
- 食品機械の10年の競業禁止:契約書に10年間の競業禁止を書いたのに、売り手が休眠部門は対象外だとして事業を再開しました。契約書の草案を作った売り手が残す資産を区別していない以上、事業全体が対象とされました(東京地裁 令和3年)。
- 売買仲介サイトで売った通販サイト:ネットの売買仲介サイトを通じて中古衣類の通販サイトを723万6000円で売った会社が、引継ぎ期間中に旧顧客へ新サイト開設のメールを送り、差し止められました。控訴審で196万7400円の賠償も加わりました(東京地裁 平成28年・知財高裁 平成29年)。
対策と制度
- 会社法21条の法定の競業避止:別の取り決めがなければ、事業を譲った会社は、同じ市町村(政令指定都市では区)と隣の市町村で、譲渡の日から20年間、同じ事業ができません(1項)。
- 契約で定める競業避止:競業しない特約は、譲渡の日から30年まで効力があります(2項)。地域・期間・対象の事業を契約に明記します。
- 不正な競争の目的があれば、地域や期間に関係なく禁じられます(3項)。
類型6 取引先・ライセンス・権利・許認可の引き継ぎ(6件)
6件すべてで原告(主に売り手)が敗訴しました。 契約や権利の移し方を自分で決めておきながら、その後始末をしなかった側が負けています。
- 何が起きたか:パイオニアの商標の使用許諾を受けてホームAV製品を扱っていたオンキヨーホームエンターテイメント株式会社は、2021年6月、パイオニアとの使用許諾契約を合意で解約し、在庫を売るために商標を使えるのは解約日から6か月と決めました。その後に破産し、破産管財人が、残った在庫を売っても商標権の侵害にならないことの確認を求めました。
- 裁判所の判断:東京地裁(令和5年)と知財高裁(令和5年)は、売り切りの期間を自ら合意しながら過ぎた以上、商標を付けたまま売れば侵害になるとして、管財人の請求を認めませんでした。
- 契約前の対策:借りている商標で事業をしている場合、事業を手放すときは、在庫の売り切り期限と、間に合わなかった在庫の扱いを決めておく。
- 詳しく読む:オンキヨーの破産管財人とパイオニアの裁判
そのほかの事例
- 空調機器メーカーの共有特許:民事再生中の空調機器メーカーが営業の全部を4億4900万円で譲った事件で、電力会社と共有していた特許の持分の移転に必要な同意が取れませんでした。同意を取るのは本来売り手の義務で、取れなかったのは売り手が事前承認の手続を踏まなかったためだとして、売り手からの契約の無効・解除の主張は退けられました(大阪地裁 平成20年)。
- スニーカーの商標使用料:事業を譲り、商標権だけ手元に残して使用料を受けていた会社が、譲受会社の破産で契約を解除され、未払いの3300万円を取れませんでした(大阪地裁 令和4年)。
- 信用保証協会:融資の直前に借り手の会社が事業を譲渡して中小企業者の実体を失っていましたが、信用保証協会の錯誤の主張は認められませんでした(最高裁 平成28年12月19日)。
- 厚生年金基金の一括徴収金(2件):事業の一部を譲って加入員が減ったため、元の会社が基金から一括徴収金を求められ、争いましたが認められませんでした(東京地裁 平成27年・東京高裁 平成27年)。
対策と制度:許認可は業法しだい
契約上の地位を移すには、契約の相手方の承諾が要ります(民法539条の2・2020年4月施行)。許認可については、62件に争った判決はありませんでしたが、事業譲渡で地位を引き継げるかどうかが業法ごとに違い、取り直しの間に営業できない空白が生じるのは典型的な失敗です。
| 業法 | 事業譲渡で地位を引き継げるか | 条文 |
|---|
| 建設業法 | 事前の認可で引き継げる(2020年10月から) | 17条の2 |
| 貨物自動車運送事業法 | 認可で引き継げる(認可がないと譲渡の効力が生じない) | 30条 |
| 旅館業法 | 知事の承認で引き継げる(2023年12月13日から) | 3条の2 |
| 食品衛生法 | 引き継げる(承継の後に届出・2023年12月13日から) | 56条 |
| 宅地建物取引業法 | 承継の規定がなく、譲受人が新たに免許を取る | ― |
| 医療法(病院・診療所の開設許可) | 承継の規定がなく、新たに許可を取る(医療法人の合併・分割は別に規定) | ― |
| 介護保険法(事業者の指定) | 承継の規定がなく、新たに指定を受ける | ― |
| 薬機法(薬局の開設許可) | 承継の規定がなく、新たに許可を取る | 4条 |
| 廃棄物処理法(収集運搬・処分業の許可) | 業の許可は承継の規定がない(処理施設は知事の許可で譲受け) | 14条・15条の4 |
条文は e-Gov の現行法で確かめたものです(2026年10月11日)。建設業の承継の認可は2025年度に1,092件あり、うち事業の譲渡・譲受けが954件でした(国土交通省)。業種ごとの扱いは許認可がある場合のM&Aにもまとめています。
類型7 倒産・民事再生の中の譲渡と、刑事事件(3件)
倒産の局面の譲渡は手続を急ぎがちで、後から争われます。62件のうち31件は経営難や倒産手続の中の譲渡でしたが、ここでは、倒産手続そのものや刑事責任が中心になった3件を挙げます。
- 民事再生中のスポーツクラブ:民事再生の中で高級スポーツクラブの営業を2億円で同業大手に譲った件で、会員が譲渡先の選び方と価格は不公正だと訴えましたが、再生計画の認可が確定しており、入札と価格にも合理性があるとして棄却されました(東京地裁 平成15年)。
- 離島のホテル会社:経営難のホテル会社の株式を1円で買い取った会社の代表者が、子会社に破産の申立てがあると、日付を遡らせた事業譲渡契約書で建物を譲渡済みと装い、詐欺破産罪で有罪(執行猶予つき)となりました(静岡地裁沼津支部 令和8年)。
- 燃料部門の営業譲渡と株式の譲渡担保:融資の担保として譲った株式について、元代表者らが無断で役員を入れ替える議事録を作って登記した件で、公正証書原本不実記載罪が認められました(最高裁 平成17年11月15日・上告棄却)。
対策:倒産の局面の譲渡ほど、裁判所・監督委員の手続と、書面を後回しにしない。
実務ではこう見る(日本財務戦略センター)
ここから先は、判決の分析ではなく、仲介・FAとして案件を進める立場からの見方です。
- 商標の名義は、案件の入口で確認すべき事項です。 特許庁の登録で名義と共有者を見て、屋号が売り物の会社なら、親族の会社やのれん分け先が同じ名前を使っていないかまで確かめます。
- 株式譲渡か事業譲渡かは、目的と会社の状態で選びます。 どちらにも利点と弱点があり、片方が常に安全ということはありません。
| 株式譲渡が向く場面 | 事業譲渡が向く場面 |
|---|
| 売る範囲 | 会社を丸ごと引き継ぐ | 一部の事業・店舗・ブランドだけを切り出す |
| 契約・許認可・商標 | 会社名義のまま残るので、移し替えの手間が少ない(株主の変更で解除できる条項・承認が要る許認可は別) | 一つずつ移す手間と承諾が要る。取り直しになる許認可もある |
| 債務・リスク | 簿外債務や過去の問題も会社ごと引き継ぐ。表明保証と調査で備える | 引き継ぐ範囲を選べる。ただし商号の続用(会社法22条)や債権者を害する譲渡(23条の2)があり、契約だけで切り離せるとは限らない |
| 従業員 | 雇用はそのまま続く | 一人ずつ同意を得て転籍 |
| 手続・税 | 株主の間の売買で済む | 資産ごとに移転の手続。消費税は資産ごとに課税・非課税が分かれる |
- 事業譲渡にするなら、商号の扱いと債務の引き継ぎはセットで決めます。 商号を続けて使うなら、譲り受けた後すぐに免責の登記を入れる。これを決済の手順書に書いておきます。
- のれん分けの屋号は、普通の案件ではあまり出てきません。 老舗の案件で出てきたときは、系列の店や会社との取り決め(使用の許諾の有無)まで書面で確かめます。
契約の前に確かめること
| 確かめること | 根拠 | 関係する判決 |
|---|
| 商号を続けて使うか。使うなら免責の登記か債権者への通知を決済と同時に | 会社法22条 | 福岡地裁 H24.9.19/東京地裁 H22.11.18 |
| 売り手が代金で債務を片付ける約束なら、支払いを確かめられる形に | 契約・会社法429条 | 東京地裁 H22.7.2/知財高裁 H23.6.23 |
| 商標・特許・著作権の名義と共有者、移転登録の段取り | 商標法30条・35条、特許法98条 | 大阪高裁 R6.12.20/東京地裁 R3.1.26 |
| 借りている商標・ライセンスの後始末(在庫の売り切り期限) | 契約 | 知財高裁 R5.11.1 |
| 取引先・共有特許・ライセンスの移転に相手方の承諾が取れるか | 民法539条の2 | 大阪地裁 H20.5.20 |
| 売り手の競業の範囲(地域・期間・対象の事業・商品名)を契約に明記 | 会社法21条 | 東京地裁 H28.12.7/東京地裁 R5.10.20 |
| 従業員の転籍の同意と、交渉中も含めた顧客情報の扱い | 民法625条・不正競争防止法 | 知財高裁 H27.2.19/大阪地裁 H30.3.5 |
| 事業譲渡の契約書(原本)に、移す財産・移さない財産・代金の精算を列挙 | ― | 知財高裁 H30.7.19/那覇地裁 H16.6.30 |
| 許認可を取り直す間に、営業の空白が生じないか | 各業法 | ― |
よくある質問
Q. 事業譲渡で「債務は引き継がない」と契約すれば、債務は引き継がずに済みますか?
譲渡した会社との間ではそのとおりですが、商号を続けて使うと、債権者に対して譲渡会社の債務を払う責任を負います(会社法22条1項)。福岡地裁 平成24年9月19日判決は、契約で商号を引き継がないと決めていても判断は変わらないとして、6634万7000円の支払いを命じました。免れるには、譲り受けた後すぐに債務を引き継がない旨の登記をするか、債権者に通知します(同2項)。
Q. 事業譲渡の裁判では、売り手と買い手のどちらが勝っていますか?
公開判決62件のうち民事60件では、買い手が原告の25件のうち17件で買い手が勝訴し(一部を含む)、売り手が原告の18件のうち売り手が勝訴したのは5件でした。
Q. 事業譲渡の後、売り手は同じ商売をしてはいけないのですか?
別の取り決めがなければ、同じ市町村と隣の市町村で20年間、同じ事業ができません(会社法21条1項)。不正な競争の目的なら、地域や期間に関係なく禁じられます(同3項)。62件のうち競業が中心の6件は、いずれも原告が勝訴しています。
Q. 事業譲渡の裁判で、請求した額はどのくらい認められますか?
金銭を請求した36件では、認容額÷請求額の中央値が約10%で、13件は0円でした。これは裁判で請求した額と認められた額の比で、実際の損失の回収率ではありません。権利の値段が事業全体の値段に溶けていると、損害の額を証明するのが極めて難しくなります。
Q. 株式譲渡と事業譲渡、どちらを選べばトラブルを避けられますか?
この62件からどちらが少ないとは言えません。事業譲渡は財産・契約・従業員を一つずつ移すので移し漏れの争いが起きやすく、株式譲渡は会社ごと移る代わりに簿外債務や表明保証の違反、株主の変更で契約を解除できる条項が争いになります。切り離したい債務や売りたい範囲で決めます。
事業譲渡でお悩み・お困りの際は、実績のある日本財務戦略センターまでお気軽にご相談ください。 当社は事業譲渡の仲介・FA(ファイナンシャル・アドバイザー)にも強みがあり、事業譲渡による譲渡・譲受けの支援実績もあります。事業の一部だけを切り出したい、屋号やブランドを確実に引き継ぎたい、株式譲渡と事業譲渡のどちらにすべきか迷っている、といったご相談をお受けしています。ページ右下のチャットボットでも、お問い合わせのメールでも構いません。
APPENDIX 事業譲渡の公開判決62件の資料カード
類型ごとに、新しい判決から並べています。見出しを押すと開きます。
屋号・商標・ブランドが移らない、取り合いになる(16件)
令和6年12月20日 大阪高等裁判所 令和5(ネ)2014 商標移転登録抹消登録等請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡に付随した商標の取扱い(専用使用権設定契約の債務不履行)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(控訴審で変更)
- 請求額/認容額
- 7,000万円/100万円
- 事業譲渡の年
- 2016年(判決まで8年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件商標権の専用使用権が対宗家事業譲渡時の譲渡対象財産には含まれず、将来、取得できるか否かも不確定となったことは、対宗家事業譲渡契約における本件事業の譲渡価額を決定する上で消極的な要素になって、その譲渡価額を減じたものと認めるのが相当である。」
判決文(裁判所)
令和6年1月18日 東京地方裁判所 令和5(ワ)70280 商標権移転登録手続等請求事件
- 争点
- 事業(営業資産)譲渡契約の成否・譲渡後の売り手による権利行使(営業資産全部譲渡(M&Aの一環))
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 認容
- 請求額/認容額
- 2,173万円/2,173万円
- 事業譲渡の年
- 2020年(判決まで4年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件譲渡契約書をもって稟議用資料と理解することはできない。また、先行関連訴訟における被告Aの主張とも矛盾する。」
判決文(裁判所)
令和5年11月30日 大阪地方裁判所 令和4(ワ)4903 商標権侵害差止等請求事件
- 争点
- 事業承継と屋号(商標の先使用権・権利濫用)(会館賃借の切替えによる事実上の業務承継)
- 訴えた側
- 第三者(権利者等)
- 結論
- 認容(差止め・廃棄)
- 事業譲渡の年
- 2020年(判決まで3年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「被告標章は、本件商標の登録出願(令和2年9月17日出願)の際、当該範囲において、現に需要者の間に広く認識されていたとは認められない。」
判決文(裁判所)
令和5年8月28日 大阪地方裁判所 令和2(ワ)9135 商標移転登録抹消登録等請求事件
- 争点
- 事業譲渡に伴う商標の専用使用権(設定登録・履行不能・損害)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 7,000万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2016年(判決まで7年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「そうすると、本件移転登録の前後を通して、原告の本件商標権の使用権に関する具体的な利益状況について変化があったとは認められず、その他、これを認めるに足りる具体的な事情はない。」
判決文(裁判所)
令和5年2月3日 東京地方裁判所 令和2(ワ)13631 損害賠償請求事件
- 争点
- 事業譲渡後の売り手側による競合販売・著作権(複製権)侵害
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 400万円/315万円
- 事業譲渡の年
- 2008年(判決まで15年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「被告会社はe-J 電子カルテの複製を行う権限はなかったところ、被告会社はその複製を行って、B診療所に導入された電子カルテシステムを作成したのであり、その行為は原告に対する複製権侵害の不法行為となる。」
判決文(裁判所)
令和3年1月26日 東京地方裁判所 令和1(ワ)24336 商標権移転登録手続請求事件
- 争点
- 事業譲渡に伴う商標権の移転(移転登録手続)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 認容(商標権の移転登録手続)
- 事業譲渡の年
- 2015年(判決まで6年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「本件商標権のみを原告に移転せず被告に留保するというのは極めて不自然であり,本件商標権もコラゾン事業と共に原告に譲渡されたと考えるのが合理的である。」
判決文(裁判所)
令和2年7月30日 東京地方裁判所 平成30(ワ)19783 損害賠償等請求事件
- 争点
- 事業譲渡契約の解除後の商標使用(不当利得)・移転登録の抹消
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 1.31億円/7,443万円
- 事業譲渡の年
- 2011年(判決まで9年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件商標権は,本件営業譲渡契約に基づいて被告会社に譲渡されたのであるから,本件営業譲渡契約により原告から被告会社に対して譲渡された本件商標権は,上記契約の解除による原状回復の効果により原告に帰属すべきことになる。」
判決文(裁判所)
令和2年7月30日 東京地方裁判所 平成30(ワ)2216 損害賠償請求事件
- 争点
- 解除された事業譲渡の商標の返還を妨害(不使用取消審判の悪用・共同不法行為)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 499万円/430万円
- 事業譲渡の年
- 2011年(判決まで9年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「被告らは,共謀して,原告を害する目的をもって本件不使用取消審判請求を利用し,本件不使用取消審決を確定させ,原告が保有すべき本件商標権を消滅させたものであり,この行為は違法である。」
判決文(裁判所)
令和元年7月10日 知的財産高等裁判所 平成31(ネ)10020 プログラム著作権確認並びに著作権侵害差止請求控訴事件
- 争点
- 譲渡契約の錯誤無効・公序良俗違反(譲渡対象の範囲)(ソフト著作権譲渡+全従業員の移籍)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却(控訴棄却)
- 事業譲渡の年
- 2006年(判決まで13年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「非登録プログラムの著作権も,本件譲渡契約書記載のとおり,平成18年4月末日までに,合意によって控訴人ビーエスエス社からサンライズ社に移転したと認められる。」
判決文(裁判所)
平成29年4月27日 知的財産高等裁判所 平成28(ネ)10107 不正競争行為差止,プログラム著作権確認各請求控訴事件
- 争点
- 譲渡契約の公序良俗違反(暴利行為・欺罔)・譲渡対象の範囲(ソフト著作権譲渡+全従業員の移籍)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却(控訴棄却)
- 事業譲渡の年
- 2006年(判決まで11年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件営業秘密部プログラムについての営業秘密や本件先行ソフトウェア部品プログラムについての本件各著作権を,現時点において控訴人らが有するということはできない。」
判決文(裁判所)
平成24年4月11日 知的財産高等裁判所 平成24(ネ)10009 特許権移転登録手続請求控訴事件
- 争点
- 倒産時の事業譲渡に伴う特許を受ける権利の移転(通謀虚偽表示・錯誤の主張)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 控訴棄却
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで5年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「そうすると,控訴人及び日清は,第1譲渡に当たって,日清による上記事業の継続を主たる目的としていた以上,本件特許を受ける権利の帰属を控訴人から日清に変更するという法律効果を発生させる意思を有していたものと認めることができる」
判決文(裁判所)
平成22年1月26日 知的財産高等裁判所 平成20(行ケ)10409 審決取消請求事件
- 争点
- ブランド事業の事業譲渡の成否(契約書写しの真正)・商標登録無効審判
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 1998年(判決まで12年)
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「原告がインターナショナル社からガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継する旨の契約を締結していたとしても,それは無権利者との契約にすぎず,原告が権利を取得することはできない。」
判決文(裁判所)
平成22年1月26日 知的財産高等裁判所 平成20(行ケ)10303 審決取消請求事件
- 争点
- 事業譲渡の成否(ブランド事業の承継と周知商標の帰属)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 1998年(判決まで12年)
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「原告がインターナショナル社からガボールブランドに係る事業及びそれに伴う諸権利を承継する旨の契約を締結していたとしても,それは無権利者との契約にすぎず,原告が権利を取得することはできない。」
判決文(裁判所)
平成22年1月26日 知的財産高等裁判所 平成20(行ケ)10091 審決取消請求事件
- 争点
- 事業譲渡の成否(ブランド事業と商標の承継・契約書写しの信用性)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却(無効審決維持)
- 事業譲渡の年
- 1998年(判決まで12年)
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「以上によれば,本件商標は,その出願の日前の出願に係る他人の登録商標である引用商標2に類似する商標であって,引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品について使用するものであると認めるのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成21年10月20日 知的財産高等裁判所 平成20(ネ)10024等 特許権移転登録等請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡の履行(知財の移転登録・代金支払の有無・同時履行の抗弁)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 控訴棄却・附帯控訴認容(買い手勝訴)
- 事業譲渡の年
- 2002年(判決まで7年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件修正契約書に押印はないものの,1審原告と1審被告らの代理人D会計士との間で,口頭で本件修正合意が成立し,預貯金や債務が本件営業譲渡の対象から除外されたと解するのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成20年1月23日 東京地方裁判所 平成17(ワ)25884 特許権移転登録等請求事件
- 争点
- 事業譲渡の履行(知財の移転登録・代金支払の有無・同時履行の抗弁)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 認容
- 事業譲渡の年
- 2002年(判決まで6年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「上記各支払は,本件営業譲渡契約に基づく営業権の代金の支払として有効に行われたものと認められる。」
判決文(裁判所)
人と顧客が抜ける(従業員・顧客情報)(10件)
令和7年2月20日 東京地方裁判所 令和5(ワ)13626 診療代等請求事件
- 争点
- 院長死亡後の暫定的な経営移管と承継交渉決裂後の精算(診療代金引渡し・カルテ持出し)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 4,016万円/848万円
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「そうすると、被告は、本件歯科医院の経営主体である原告から、診療業務の委託を受けたにすぎず、患者に対する返金などの金銭の管理に関する独立した権限を付与されていたものとはいえない。」
判決文(裁判所)
平成30年3月5日 大阪地方裁判所 平成28(ワ)648 不正競争行為差止等請求事件
- 争点
- 営業秘密(顧客情報)不正取得・競業避止義務(事業譲渡に伴う承継)(完全子会社の解散に伴う事業譲渡)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 1,025万円/591万円
- 事業譲渡の年
- 2014年(判決まで4年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「本件誓約書は,被告ら3名が明星薬品に対して競業避止義務を負うこととともに,事業譲渡に伴いその義務の相手方を原告に承継させて,その義務の相手方を原告とすることを内容とするものと解するのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成27年9月11日 東京地方裁判所 平成25(ワ)20534 損害賠償請求事件
- 争点
- 経営権争いに伴う事業の切り出し(業務委託スキーム)・従業員の引き抜き・営業秘密(株式譲渡と業務委託で切出し)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 10.29億円/0円
- 事業譲渡の年
- 2012年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「原告のコンサルタントの大量退職は,専ら,被告Aが退職せざるを得なかったことと,エル社が原告の支配権を握ることに対する不安によるものであり,」
判決文(裁判所)
平成27年2月19日 知的財産高等裁判所 平成25(ネ)10095 損害賠償請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡交渉決裂後の業務移管と顧客情報(営業秘密)の無断使用
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 一部認容(原判決変更・減額)
- 請求額/認容額
- 1.10億円/1,110万円
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「Aによる上記一連の行為は,秘密を守る法律上の義務に違反して,被控訴人の営業秘密である本件顧客情報を控訴人TOWAに開示する行為であるというべきであるから,不正競争防止法2条1項8号に規定する不正開示行為に該当するものと認めるのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成26年4月22日 大阪地方裁判所 平成24(ワ)998等 賃金等請求事件
- 争点
- 事業譲渡代金のうち職務発明の対価部分(特許法35条)・賃金
- 訴えた側
- 従業員
- 結論
- 棄却(本訴)/一部認容(反訴)
- 請求額/認容額
- 2,000万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2011年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件譲渡契約において,甲11発明及び甲14発明に係る特許を受ける権利が重要な位置付けにあったことを考慮しても,5000万円の全額をこれらの特許を受ける権利の譲渡への対価と見ることはできない。」
判決文(裁判所)
平成25年10月17日 東京地方裁判所 平成23(ワ)22277 損害賠償請求事件
- 争点
- 事業譲渡交渉中の営業秘密(顧客情報)の不正取得・使用
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 1.20億円/5,297万円
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「原告は,被告TOWAとの間で,顧客対応業務のうち修理や交換等の緊急性の高いものに限って移管する旨を合意したにとどまり,顧客対応業務全般を移管する旨合意して本件顧客情報の開示を認めたとはいい難い。」
判決文(裁判所)
平成23年9月29日 東京地方裁判所 平成20(ワ)35836 業務禁止等請求事件
- 争点
- 詐害的事業譲渡(債権侵害の不法行為)/営業秘密(顧客名簿)(中間会社経由の二段階事業譲渡)
- 訴えた側
- 売り手の債権者
- 結論
- 一部認容(顧客名簿部分は認容、詐害的事業譲渡部分は棄却)
- 請求額/認容額
- 5,000万円/1,301万円
- 事業譲渡の年
- 2008年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「金融機関から融資を受けるとともに,国内総輸入販売権を維持するためであったということができるから,これをもって原告を含むバイオネットの総債権者に対する害意があったものとはいい難く,この点について被告Aが不法行為責任を負うものとはいえない。」
判決文(裁判所)
平成23年6月30日 知的財産高等裁判所 平成23(ネ)10019 損害賠償請求控訴事件
- 争点
- 顧客(事業)譲渡の交渉決裂後の取引先による顧客の奪取(営業秘密・競業避止・不法行為)(LPガス顧客2000軒の営業譲渡)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 控訴棄却
- 請求額/認容額
- 1.34億円/0円
- 事業譲渡の年
- 2009年(判決まで2年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「競業避止義務について何らの合意をしていない以上,被控訴人は,控訴人との間のLPガス配送委託関係が終了後は,本来,LPガスの供給業者として,控訴人の顧客に対して自由に営業活動を行うことができるというべきものである。」
判決文(裁判所)
平成19年5月29日 横浜地方裁判所 平成15(ワ)1833 地位確認請求事件(通称 日本アイ・ビー・エム会社分割)
- 争点
- 従業員の労働契約承継(会社分割・労働契約承継法の5条協議・7条措置)(会社分割の後に子会社株式を譲渡)
- 訴えた側
- 従業員
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 2002年(判決まで5年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「分割会社の労働者は,会社分割の際に設立会社等への労働契約の承継を拒否する自由としては,退社の自由が認められるにとどまり,分割会社への残留が認められる意味での承継拒否権があると解することはできない。」
判決文(裁判所)
平成19年1月18日 最高裁判所 平成16(受)380 賃金債権確認請求事件
- 争点
- 事業譲渡前の選択定年制(割増退職金)の不承認
- 訴えた側
- 従業員
- 結論
- 棄却(原判決破棄・第1審判決取消し)
- 事業譲渡の年
- 2002年(判決まで5年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「従業員がした本件選択定年制による退職の申出に対して上告人が承認をしなければ,割増退職金債権の発生を伴う退職の効果が生ずる余地はない。」
判決文(裁判所)
そもそも事業譲渡は成立していたのか(契約書・書面)(9件)
令和4年6月30日 知的財産高等裁判所 令和3(ネ)10096 競業行為差止等請求本訴・損害賠償請求反訴控訴事件、同附帯控訴事件
- 争点
- 営業譲渡契約の成否・商号続用(商法16条)・虚偽告知(不正競争)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(本訴は営業妨害の損害賠償のみ、反訴は一部認容)
- 請求額/認容額
- 404万円/41万円
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「前記1認定のとおり、1審原告主張の本件営業譲渡契約は成立したものと認められないことに照らすと、1審原告による原告商標に係る商標登録出願は、1審原告が1審被告Yとの別居後の上記交渉を自己に有利に進める手段を得るために行われたものとうかがわれ」
判決文(裁判所)
令和3年10月29日 東京地方裁判所 令和1(ワ)15716等 競業行為差止等請求事件
- 争点
- 営業譲渡契約の成否・競業避止(商法16条)/営業譲受けの虚偽告知(不正競争・営業誹謗)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(本訴・反訴とも一部。営業譲渡契約は不成立)
- 請求額/認容額
- 404万円/41万円
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「そうすると,原告の供述から,原告とBとの間で,平成27年2月20日頃に,本件営業譲渡契約が成立したとは認められず,その他,本件営業譲渡契約の成立を認めるに足りる証拠はない。」
判決文(裁判所)
平成30年7月19日 知的財産高等裁判所 平成30(行ケ)10028 審決取消請求事件
- 争点
- 事業譲渡の成否(電子掲示板事業と周知商標の承継)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却(審判不成立審決維持)
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「以上に照らせば,本件各事業譲渡につき契約書等の書面を作成せずに契約を締結するとはにわかに考え難いというべきところ,本件各事業譲渡に係る契約書等の処分証書の提出はない。」
判決文(裁判所)
平成30年7月19日 知的財産高等裁判所 平成30(行ケ)10029 審決取消請求事件
- 争点
- 電子掲示板事業の事業譲渡の成否・商標登録無効審判(商標法4条1項10号)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「以上に照らせば,本件事業譲渡につき契約書等の書面を作成せずに契約を締結するとはにわかに考え難いというべきところ,本件事業譲渡に係る契約書等の処分証書の提出はない。」
判決文(裁判所)
平成29年3月15日 東京地方裁判所 平成27(ワ)14906 損害賠償等請求事件
- 争点
- 株式譲渡後の事業切り離しの清算(黙示の合意・不当利得)/営業妨害(株式譲渡後に1施設を事業譲渡)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 1.39億円/0円
- 事業譲渡の年
- 2014年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「原告ひまわりと被告長寿介護センターとの間の債権債務の承継その他の清算は,覚書などにより別途の取決めをしない限りは,専ら本件基本合意書及び本件株式譲渡契約書の規定に従って行うというのが,当事者の合理的意思に合致するというべきである。」
判決文(裁判所)
平成25年12月24日 東京地方裁判所 平成24(ワ)9237 商標権移転登録抹消手続等請求事件
- 争点
- 事業譲渡の解消合意の成否(商標権移転登録の抹消・什器の引渡し)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 3,311万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2011年(判決まで2年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件送信メールは,意思表示としての本件事業の譲渡の解消の申入れではなく,原告代表者がその感情を表出させたものであるというにとどまり,」
判決文(裁判所)
平成23年11月8日 大阪地方裁判所 平成22(ワ)5063 特許権移転登録手続請求事件
- 争点
- 倒産時の事業譲渡に伴う特許を受ける権利の移転(通謀虚偽表示の主張)(休眠会社経由で受け皿新会社へ)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで4年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「それは原告の資産を隠匿するために日清名義に移転するという虚偽の外観を作出したのではなく,原告の資産を利用して,第三者において別個の事業を始めるため,日清に移転したものと認めるのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成16年6月30日 那覇地方裁判所 平成14(ワ)111 売買代金請求事件
- 争点
- 契約成立の有無・契約締結上の過失(交渉の打切り)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 13.97億円/0円
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「売買予約契約書その他旧第1ビルの売買予約に関する正式な合意文書が一切作成されていないことも看過することはできない。」
判決文(裁判所)
昭和35年10月28日 最高裁判所 昭和34(オ)1085
- 争点
- 契約の成否(発電事業譲渡の交渉と契約成立)
- 訴えた側
- その他
- 結論
- 上告棄却
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「原判決は発電事業譲渡の提案交渉があつた事実は認められるが,前述のような理由で交渉の結果進んで契約が成立した事実は認められないと判断判示しているのであるから,第二点の論旨が理由のないことも明らかである。」
判決文(裁判所)
債務がついてくる(商号の続用・責任逃れ)(9件)
令和2年12月10日 東京地方裁判所 平成30(ワ)39933等 損害賠償等請求事件
- 争点
- 著作権侵害の損害賠償/債務を除外した事業譲渡と債権者の対応(反訴:不当な利用許諾拒絶・不当訴訟)
- 訴えた側
- 第三者(権利者等)
- 結論
- 認容(本訴)・棄却(反訴)
- 請求額/認容額
- 9,979万円/9,979万円
- 事業譲渡の年
- 2018年(判決まで2年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件事業譲渡の内容に疑問を持ち,当初は同社名義の利用許諾申請を許諾せず,上記のような法律構成によって本件債務に関する責任を追及しようとしたとしても,無理からぬところがあるというべきである」
判決文(裁判所)
平成29年12月25日 知的財産高等裁判所 平成29(ネ)10081 債務不存在確認請求控訴事件
- 争点
- 譲渡会社の侵害責任をめぐる国際裁判管轄(米国特許の債務不存在確認)(商号の譲受けと免責登記)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 控訴棄却(訴え却下維持)
- 事業譲渡の年
- 2015年(判決まで2年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「日本の裁判所において審理判断することには当事者間の衡平を害し,また,適正かつ迅速な審理の実現を妨げる事情が存するものというべきである。」
判決文(裁判所)
平成27年1月29日 東京地方裁判所 平成24(ワ)21067 著作権侵害差止等請求事件
- 争点
- 責任逃れのための事業譲渡(信義則・法人格)と著作権・商標権侵害
- 訴えた側
- 第三者(権利者等)
- 結論
- 一部認容(差止め・24万円)
- 請求額/認容額
- 1,374万円/24万円
- 事業譲渡の年
- 2010年(判決まで5年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「クラシック社が被告サイト事業を実際に行っていることを示す客観的証拠が全くなく,かつ,被告が本件事業譲渡契約後も被告サイト事業に深く関わってきたことに鑑みれば,被告の供述はにわかに採用することができない。」
判決文(裁判所)
平成25年7月9日 東京地方裁判所 平成21(ワ)40515等 各不正競争行為差止等請求,承継参加申立事件
- 争点
- 債務免脱目的の事業譲渡(法人格否認)・不正競争(技術的制限手段回避装置)(休眠会社へ譲渡し旧会社を解散)
- 訴えた側
- 第三者(権利者等)
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 9,562万円/9,562万円
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで6年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「被告Mediaによる通常の株式会社への移行と被告メディアの解散は,両被告の債務の免脱を目的としてされた会社制度の濫用であるから,両被告が,原告らに対し,別異の法人格であると主張することは信義則に反し許されないというべきである」
判決文(裁判所)
平成24年9月27日 東京高等裁判所 平成23(行コ)261 公害防止事業費負担決定取消請求控訴事件
- 争点
- 譲渡後の債務(公害防止事業費の負担・営業譲渡による公法上の責任の承継)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 控訴棄却(負担金決定の取消しを維持)
- 事業譲渡の年
- 1945年(判決まで67年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「施行者によるこのような決定がされることによって初めて費用を負担すべき事業者の債務が発生するものと解されるから,施行者による同決定以前にされた営業譲渡によってこのような債務が譲受人に移転すると解することはできないというべきである。」
判決文(裁判所)
平成24年9月19日 福岡地方裁判所 平成23(ワ)5336 貸金請求事件
- 争点
- 商号続用責任(会社法22条)
- 訴えた側
- 売り手の債権者
- 結論
- 認容
- 請求額/認容額
- 6,635万円/6,635万円
- 事業譲渡の年
- 2011年(判決まで1年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「なお,会社法22条1項における商号の続用性の有無は客観的に判断されるべきものであるから,本件事業譲渡契約において商号を承継しない旨が合意されている事実は,当裁判所の判断を左右しない。」
判決文(裁判所)
平成23年6月23日 知的財産高等裁判所 平成22(ネ)10060等 求償金等請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡後の債務処理不履行(承継外債務の第三者弁済の求償・会社法429条)/競業避止/営業誹謗
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 控訴棄却(附帯控訴により製造販売差止めを追加認容・商標権移転登録、不動産の所有権移転登記も認容)
- 請求額/認容額
- 8,468万円/3,881万円
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで4年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「控訴人らは,控訴人会社の負債は約25億円であると主張しているのであるから,仮に本件事業譲渡契約が株式譲渡契約の趣旨であるならば,このような負債を有する会社の株式を,3億円で購入すること自体,明らかに経済的合理性に反するものというほかない。」
判決文(裁判所)
平成22年11月18日 東京地方裁判所 平成21(ワ)1193 著作権侵害行為差止請求事件
- 争点
- 譲渡会社の不法行為債務の承継(商号続用・免責登記・会社法22条)
- 訴えた側
- 第三者(権利者等)
- 結論
- 一部認容(譲受前の分は棄却)
- 請求額/認容額
- 2.58億円/245万円
- 事業譲渡の年
- 2008年(判決まで2年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「仮に旧アップリカ社と被告との間に商号の続用(会社法22条1項)が認められるとしても,被告は,旧アップリカ社の債務について責任を負わない旨の登記をしているから,被告は,旧アップリカ社の債務について責任を負わない」
判決文(裁判所)
平成22年7月2日 東京地方裁判所 平成21(ワ)5988 求償金等請求事件
- 争点
- 事業譲渡契約の債務不履行(負債処理義務違反)・競業・営業誹謗
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容
- 請求額/認容額
- 8,388万円/4,191万円
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「原告Xは,本件事業譲渡契約において,被告会社の債務を承継しないものとされ,会員らに対し,製品ヤングを無料で贈呈したり,預託金を返還したりする債務は負担していなかったのであるから,原告会社が履行したのは,第三者である被告会社の債務であるということができる。」
判決文(裁判所)
売り手が同じ商売を始める(競業)(6件)
令和5年10月20日 東京地方裁判所 令和3(ワ)11323 競争行為差止請求事件
- 争点
- 競業避止(会社法21条1項・同一事業の範囲)(会社分割の代わりに事業譲渡)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 認容
- 事業譲渡の年
- 2016年(判決まで7年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「しかし、現実の店舗で精肉及び惣菜を販売するとの事業において、上記のような販売方法の違いによって、市場や顧客を異にすることになるとは直ちに考え難く、そのような事実を認めるに足りる証拠もない。」
判決文(裁判所)
令和3年1月8日 東京地方裁判所 平成31(ワ)2034 損害賠償請求事件
- 争点
- 競業避止義務(事業譲渡契約の競業禁止条項・譲渡対象の範囲)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(差止め認容・損害賠償棄却)
- 請求額/認容額
- 300万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2017年(判決まで4年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「被告の再開した上記事業は,原告が譲渡を受けた事業と同種の事業に当たるということができるので,被告は,譲渡日後10年間は,原告の事業と競合する同種の事業を行わないとの本件事業譲渡契約書第10条の定める競業避止義務に違反する。」
判決文(裁判所)
平成29年6月15日 知的財産高等裁判所 平成28(ネ)10114等 競業行為差止等請求控訴事件
- 争点
- 競業避止義務(会社法21条3項・不正の競争の目的)・損害賠償(中古衣類販売サイトの事業譲渡)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(差止め維持+賠償を追加)
- 請求額/認容額
- 380万円/197万円
- 事業譲渡の年
- 2014年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「本件譲渡契約の対象からガーリーファッションを除外するのであれば,その旨を契約書に明記することが自然であると考えられる。」
判決文(裁判所)
平成28年12月7日 東京地方裁判所 平成27(ワ)7051 不正競争行為差止等請求事件
- 争点
- 競業避止義務(会社法21条3項・不正の競争の目的)・不正競争(周知表示の混同)(営業全部の譲渡・譲渡会社が競業再開)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(差止め・損害賠償)
- 請求額/認容額
- 3,300万円/803万円
- 事業譲渡の年
- 2007年(判決まで9年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「以上からすれば,被告による被告商品の販売事業は,本件営業譲渡の目的に反し,譲受会社たる原告による暖簾等の利用を妨害するものというべきであって,会社法21条3項の「不正の競争の目的」によるものと認めるのが相当である。」
判決文(裁判所)
平成28年11月11日 東京地方裁判所 平成27(ワ)2617 競争行為差止等請求事件
- 争点
- 競業避止義務(会社法21条3項・不正の競争の目的)
- 訴えた側
- 買い手
- 結論
- 一部認容(差止めのみ)
- 請求額/認容額
- 801万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2014年(判決まで2年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「被告会社には,原告の事実上の顧客を奪おうとするなど,事業譲渡の趣旨に反する目的で同一の事業をしたものであることが明らかというべきである。」
判決文(裁判所)
平成28年4月18日 東京地方裁判所 平成25(ワ)20031 損害賠償等請求事件
- 争点
- 株主総会決議を欠く事業の重要な一部の譲渡(会社法467条)・利益相反取引・取締役の競業避止(会社法356条)(代表取締役が店舗事業を自分に譲渡)
- 訴えた側
- 対象会社
- 結論
- 一部認容(賠償・商標使用差止め・動産引渡し)
- 請求額/認容額
- 3,500万円/402万円
- 事業譲渡の年
- 2012年(判決まで4年)
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「そうすると,本件譲渡は,会社法467条1項2号の「事業の重要な一部」の譲渡に当たるというべきである。」
判決文(裁判所)
取引先・ライセンス・権利・許認可の引き継ぎ(6件)
令和5年11月1日 知的財産高等裁判所 令和5(ネ)10044 商標権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡に伴う商標使用許諾の合意解約と残存在庫の販売(商標権侵害・信義則)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 控訴棄却(管財人敗訴)
- 事業譲渡の年
- 2021年(判決まで2年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「破産会社は本件在庫商品を販売できる期間を自ら合意していながら、その期間内に本件在庫商品を販売せずに、販売可能な期間を徒過したものであり、控訴人はその地位を承継したものである」
判決文(裁判所)
令和4年3月31日 大阪地方裁判所 令和3(ワ)8236 商標使用料請求事件
- 争点
- 事業譲渡後の商標ライセンス料(破産での双方未履行契約の解除・財団債権該当性)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 3,300万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2014年(判決まで8年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「以上から,原告の被告に対する本件契約に基づく商標使用料請求権は,被告による解除を原因として消滅したといえる。」
判決文(裁判所)
平成28年12月19日 最高裁判所 平成27(受)1394 不当利得返還請求事件
- 争点
- 主債務者の事業譲渡と信用保証契約の錯誤(中小企業者の実体喪失)
- 訴えた側
- その他
- 結論
- 保証協会の請求棄却(原判決破棄・自判)
- 請求額/認容額
- 4,926万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2008年(判決まで8年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「本件会社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は,それが表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,本件保証契約の内容となっていたとは認められず,被上告人の本件保証契約の意思表示に要素の錯誤はないというべきである。」
判決文(裁判所)
平成27年9月17日 東京高等裁判所 平成27(行コ)187 加入員減少に係る一括徴収金納入告知処分取消請求控訴事件
- 争点
- 事業譲渡に伴う従業員の移籍と厚生年金基金の一括徴収金
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 控訴棄却
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「本件条項1号の文理によれば,その適用要件を充足するためには,事業譲渡によって加入員減少という事実が発生すれば足りると解される」
判決文(裁判所)
平成27年4月28日 東京地方裁判所 平成26(行ウ)113 加入員減少に係る一括徴収金納入告知処分取消請求事件
- 争点
- 事業の一部譲渡に伴う厚生年金基金の一括徴収金(加入員減少)(事業の一部譲渡に伴う基金特別掛金)
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 2012年(判決まで3年)
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「したがって,本件加入員減少が本件退職者らの「通常の退職」によって発生したものなので同号の適用要件を充足しないという原告の主張を採用することはできない。」
判決文(裁判所)
平成20年5月20日 大阪地方裁判所 平成19(ワ)16411 無効確認等請求事件
- 争点
- 営業譲渡契約の無効・解除(停止条件不成就・錯誤・債務不履行)と覚書の不履行
- 訴えた側
- 売り手
- 結論
- 棄却
- 請求額/認容額
- 4,800万円/0円
- 事業譲渡の年
- 2005年(判決まで3年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「T電力の同意を取り付けることができないという事態を招いたのは,原告西淀空調機自身であるということができる。」
判決文(裁判所)
倒産・民事再生の中の譲渡と、刑事事件(3件)
令和8年5月7日 静岡地方裁判所 沼津支部 刑事部 令和3(わ)372 破産法違反被告事件
- 争点
- 買収後の詐欺破産(事業譲渡の仮装・資産の不利益処分)(株式譲渡で買収後に仮装譲渡)
- 訴えた側
- 検察(刑事)
- 結論
- 有罪(懲役3年・執行猶予4年)
- 契約書
- 写しのみ・真正が争われた
- 判決の言葉
- 「何より、平成30年5月16日までに本件ホテル建物の譲渡が真実なされたのであれば、契約当事者となる譲受会社は明確なはずであり、事業譲渡契約書案1から3に至るような内容変更がなされるはずがない。」
判決文(裁判所)
平成17年11月15日 最高裁判所 平成14(あ)1396 被告人Aに対する公正証書原本不実記載,同行使,有印私文書偽造,同行使,被告人Bに対する公正証書原本不実記載,同行使各被告事件
- 争点
- 経営権争い(譲渡担保に供した株式の株主共益権・公正証書原本不実記載)(株式の譲渡担保と組み合わせ)
- 訴えた側
- 検察(刑事)
- 結論
- 上告棄却(有罪維持)
- 事業譲渡の年
- 1993年(判決まで12年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「以上によれば,本件譲渡担保の設定に伴い,契約当事者間において,株主共益権をDに帰属させる旨の合意があったものと認められる。」
判決文(裁判所)
平成15年3月28日 東京地方裁判所 民事第34部 平成13(ワ)16314 損害賠償請求事件
- 争点
- 民事再生での事業譲渡(譲渡先選定・譲渡価格の公正、再生債務者側の公平誠実義務)
- 訴えた側
- 売り手の債権者
- 結論
- 棄却
- 事業譲渡の年
- 2001年(判決まで2年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「被告らが行った営業譲渡価格の決定方法は合理的な措置であると認められ,これを違法とする特段の事情があるとは認められない。」
判決文(裁判所)
その他(3件)
令和元年5月23日 神戸地方裁判所 平成26(ワ)2580 株主代表訴訟事件
- 争点
- 取締役の善管注意義務(子会社による事業の譲受け・DDの範囲・子会社への貸付け)・株主代表訴訟(譲受会社への第三者割当増資と一体)
- 訴えた側
- 株主
- 結論
- 棄却(善管注意義務違反なし)
- 請求額/認容額
- 15.20億円/0円
- 事業譲渡の年
- 2010年(判決まで9年)
- 契約書
- 契約書あり
- 判決の言葉
- 「同社の財務状況が良好でないことは前提とされていたこと,同事業については事業開始から間もなかったこと等に照らすと,財務デューディリジェンスを外部の専門家に依頼することが必須であったとまではいえない。」
判決文(裁判所)
平成25年9月12日 大阪地方裁判所 平成24(ワ)12967 商標権移転登録手続等請求事件
- 争点
- 譲渡担保・代物弁済の実行と、債権者による事業譲渡交渉先への通知(交渉妨害の不法行為の成否)(株式譲渡も並行して検討)
- 訴えた側
- 売り手の債権者
- 結論
- 認容(被告の相殺の抗弁は排斥)
- 請求額/認容額
- 1.62億円/1.62億円
- 契約書
- 契約書なし・口頭
- 判決の言葉
- 「被告会社が事業譲渡先として交渉を進めていたプラネックス社に対し,被告会社の株式や知的財産権に係る自社の法的地位などを通知すること自体,被告会社の債権者の行為として社会通念上相当な範囲を逸脱するとはいえない。」
判決文(裁判所)
昭和48年3月1日 最高裁判所 昭和47(ク)5 株式買収価格決定に対する抗告事件の決定に対する特別抗告
- 争点
- 株式買取価格決定(反対株主の買取請求・非訟手続の合憲性)
- 訴えた側
- その他
- 結論
- 抗告棄却
- 契約書
- 判決から不明
- 判決の言葉
- 「裁判所による価格の決定は、客観的に定まつている過去の株価の確認ではなく、新たに「決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」を形成するものであるといわなければならない。」
判決文(裁判所)
M&Aのトラブルは、誰に起きるのか(売り手・買い手・仲介の全体像)
この記事は、裁判所が公開している判決文(2026-10-12時点)をもとに、判決が認定した事実と判断を整理したものです。判決の評価にあたる言葉は、判決の文言をカギカッコで引用したものに限っています。判決に出てくる個人は、判決自身の伏せた表記か続柄だけで書いています。株式会社日本財務戦略センターが当事者の主張の当否や、現在の会社・商品について評価するものではありません。上級審や確定の有無は、記事中に書いたもの以外は確認できていません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。
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<a href="https://jfsc.jp/research/ma-hanrei/">事業譲渡のトラブル・判例62件を分析――裁判で争われた7つの論点と注意点|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「事業譲渡のトラブル・判例62件を分析――裁判で争われた7つの論点と注意点」(2026年10月11日) https://jfsc.jp/research/ma-hanrei/※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・集計表・図表・指標・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、それぞれの元資料の利用条件に従ってください。
監修・執筆責任者
株式会社日本財務戦略センター 代表取締役。京都大学経済学部経営学科(マーケティングゼミ専攻)卒。損害保険ジャパン本店営業部(企業リスク・法務)を経て、東証上場M&A仲介会社にて多数の成約に従事。2020年に株式会社日本財務戦略センターを創業し、M&A・事業承継・財務戦略を専門としています。中小企業庁 M&A支援機関登録事業者/一般社団法人M&A支援機関協会 正会員です。