2026.04.27 M&A実務

許認可がある場合の M&A — 業種横断ガイド:建設業・宅建業・運送業・医療・介護・薬局・飲食業の承継パターン整理

許認可がある場合の M&A 業種横断ガイド(建設業・宅建業・運送業・医療・介護・薬局・飲食業ほか 20 業種)

本記事は宅地建物取引業(宅建業・不動産会社・不動産業者・賃貸管理業)のM&A・事業譲渡・廃業後継者問題に関する実務情報です。免許承継・専任取引士の確保・敷金処理・賃貸管理契約・株主名簿の整備等、不動産会社特有の論点は、個別事案により判断が異なります。具体的なご相談は、必ず弁護士税理士公認会計士等の専門家へご確認ください。

LAST UPDATED最新の法令・実務に基づいて更新しています

この記事の要点
  • 1.許認可がある業種のM&Aは、株式譲渡(包括承継)と事業譲渡(個別承継)で許認可の引継ぎ可否が大きく異なり、業種ごとに法令・所管が分かれます。
  • 2.建設業は経営事項審査・専任技術者、宅建業(不動産業)は専任宅地建物取引士、薬局は管理薬剤師と店舗ごと許可、医療は保険指定など、業種特有の論点を事前に押さえることが成約速度を決定します。
  • 3.本記事は20業種を所管法令・許認可承継パターンで整理。失敗事例と実行前チェックリストも収録。

監修:株式会社 日本財務戦略センター中小企業M&A支援機関、以下「JFSC」)代表取締役 五十嵐 悠一

中小企業の M&A・事業承継最大の実務的な壁になるのが「許認可」です。「会社を売却すれば事業はそのまま継続できる」と思い込んでいた経営者が、クロージング直前に「買い手側で新規取得が必要」と判明し、計画が大幅に狂うケースが少なくありません。

本記事は、JFSC が実際の支援現場で繰り返し直面してきた業種別の許認可承継論点を、合併会社分割・事業譲渡の3パターンに沿って横断的に整理したガイドです。中小企業庁「中小M&Aガイドライン第3版および各業種の根拠法令・所管省庁の公式情報に基づき、20業種を網羅します。

本記事は概観整理を目的とした参考情報です。個別案件の許認可判断は、所管省庁・専門の行政書士・弁護士へ必ずご相談ください。


📘 宅建業(不動産業) M&A の全体像(中核ピラー)

業者数 13.2 万社・後継者不在率 61.3%・法改正三重苦・2026 年問題で変わる宅建業(不動産業)承継の選択肢——本記事の前提となる業界全体動向は なぜ今、宅建業(不動産業)を M&A すべきか で網羅解説しています。

Table of Contents

1. なぜ「許認可」が M&A・事業承継で最大の壁になるのか

許認可承継の難しさは、以下の3要素から生まれます。

1-1. 法令ごとに承継ルールがバラバラ

建設業法・宅地建物取引業法・貨物自動車運送事業法医療法薬機法食品衛生法旅館業…各業種の根拠法令ごとに「合併で承継できるか / 会社分割で承継できるか / 事業譲渡で承継できるか」のルールが異なります。

1-2. 「人的要件」と「物的要件」の両面確認が必要

許認可の多くは、有資格者の配置(経営業務管理責任者・専任技術者・専任宅建士・管理薬剤師・食品衛生責任者 等)と、設備・施設要件(事務所・店舗・倉庫・車両 等)の両方を満たす必要があります。承継時には人的要件物的要件の両方を再確認しなくてはなりません。

1-3. 認可までの所要期間が事業価値に直結

事業譲渡で買い手が新規許可を取得する場合、業種により1〜6か月の審査期間が必要です。この間、買い手は事業を実施できないため、売上機会損失・顧客離反リスクが発生します。


2. 許認可承継の 3 パターンと業種別の違い

M&A・事業承継において、許認可がどう承継されるかは承継スキームにより異なります。

2-1. 合併(吸収合併・新設合併)

法人格そのものが包括承継されるため、多くの業種で許認可が自動承継されます(一部、所管庁への変更届出が必要)。

該当しやすい業種注意点
製造業卸売業小売業ほぼ自動承継
建設業自動承継だが、合併認可申請が必要なケースあり
運送業譲渡譲受認可が原則だが、合併は別ルート

2-2. 会社分割(吸収分割・新設分割)

事業を切り出して別法人に承継するスキーム。許認可承継の可否は業種により分かれます。

該当しやすい業種注意点
建設業認可申請が必要、要件確認必須
宅建業免許承継は可能だが、変更届と事務所要件の再確認
運送業譲渡譲受認可申請が必要
医療法人制限あり、社員交代等の代替手法が一般的

2-3. 事業譲渡

事業の個別資産・契約を譲渡するスキーム。許認可は原則として承継されず、買い手側で新規取得が必要です。

該当しやすい業種注意点
飲食業(食品衛生法)新規許可必須、保健所での再申請
薬局(薬機法)新規開設許可必須、管理薬剤師の確保
美容業施設ごとに新規届出必須
医療(個人クリニック新規開設届、廃止届とセット

スキーム選択は税務・労務・契約承継とも絡むため、株式譲渡 vs 事業譲渡 — 売り手の意思決定も併せてご参照ください。


3. 業種別の論点(20 業種網羅)

各業種について、根拠法令・所管省庁・承継パターン別の可否と注意点を整理します。

3-1. 建設業(建設業法国土交通省所管)

3-2. 宅建業(宅地建物取引業法・国土交通省所管)

3-3. 運送業(貨物自動車運送事業法・国土交通省所管)

3-4. 医療(医療法・医師法・厚生労働省所管)

3-5. 介護事業(介護保険法・厚生労働省所管)

3-6. 薬局(医薬品医療機器等法(薬機法)厚生労働省所管)

3-7. 飲食業(食品衛生法・厚生労働省・地方保健所所管)

3-8. 旅館・ホテル業(旅館業法・厚生労働省所管)

3-9. 製造業

3-10. 小売業

3-11. 卸売業

3-12. 美容業(美容師法・厚生労働省所管)

3-13. 自動車整備(道路運送車両法・国土交通省所管)

3-14. 教育(私立学校法・学校教育法 / 学習塾は対象外)

3-15. 不動産賃貸(宅建業法 / 賃貸借契約)

3-16. 農業・農林水産(農地法・農業協同組合法 等)

3-17. 産業廃棄物(廃棄物処理法・都道府県所管)

3-18. 葬儀業

3-19. 特定非営利活動法人(NPO) 法人(NPO 法・所轄庁所管)

3-20. 社会福祉法人(社会福祉法・厚生労働省所管)


4. よくある失敗パターン

JFSC の現場で繰り返し見てきた「許認可関連の失敗事例」を整理します。

4-1. クロージング後に「許可承継不可」が判明

事業譲渡型 M&A で買い手側の許可取得時期を確認せず、クロージング後に「買い手で新規許可が下りるまで休業」となり、顧客離反・売上消失。事前に行政書士による許認可 DD が必須です。

4-2. 専任資格者の退職リスク

専任宅建士・経営業務管理責任者・管理薬剤師等の有資格者がクロージング前後で退職し、許可継続要件を満たさなくなるケース。雇用継続の事前合意・代替確保策株式譲渡契約書(SPA) に盛り込む必要があります。

4-3. 事務所・施設要件の更新漏れ

旅館業・美容業・薬局等で、施設の構造設備基準が買い手側の運営計画と整合せず、リフォーム・移転が必要に。事前の施設適合確認を行います。

4-4. 付随契約の承継漏れ

小売業・卸売業でチェンジオブコントロール条項の確認漏れにより、主要仕入先・販売先との取引が打ち切り。主要契約の事前棚卸しが必須です。

許認可以外の失敗事例については、M&A 失敗事例 — 表明保証違反・仲介トラブル・支援機関登録取消、判例で見る売り手の自衛策もご参照ください。


5. M&A 実行前の許認可チェックリスト

売り手・買い手の双方が、M&A 検討初期段階で確認すべき許認可項目を整理します。

#確認項目主担当
1自社の事業に必要な許認可一覧の棚卸し売り手
2各許認可の有効期限・更新時期売り手
3専任資格者の配置状況(有資格者の継続意思含む)売り手
4許認可の承継パターン別可否(合併/会社分割/事業譲渡)行政書士・弁護士
5買い手側で新規取得が必要な場合の所要期間行政書士
6認可期間中の事業継続スキーム(一時委託 等)双方
7施設・設備の基準適合確認買い手
8主要契約のチェンジオブコントロール条項確認弁護士
9クロージング後の変更届・更新届スケジュール行政書士
10所管庁への事前照会実施行政書士

このチェックリストの自動化版として、M&A 売却ロールプレイングシミュレーターでは Phase 8(DD 段階)で許認可確認の意思決定を疑似体験いただけます。


6. 専門家との連携 — M&A は「チーム戦

許認可がある業種の M&A・事業承継は、仲介会社(FA)単独では完結しません。以下の専門家との適切な連携が成否を分けます。

専門家役割関与タイミング
行政書士許認可の承継可否確認、新規取得申請、所管庁との折衝検討初期〜クロージング後
弁護士契約条項(チェンジオブコントロール(CoC)・補償・表明保証)、許認可関連法令解釈基本合意〜SPA
税理士スキーム別の税務影響、譲渡所得税試算スキーム検討段階
公認会計士財務 DD、企業価値評価DD 段階
司法書士登記関連(商号変更・役員変更・本店移転)クロージング前後
仲介会社(FA)全体プロセス管理、買い手探索・条件交渉全期間

JFSC はM&A 支援機関登録事業者として、上記士業との横断ネットワークを持ち、案件特性に応じた専門家紹介を行っています。詳細はM&A の弁護士・公認会計士・税理士 — 顧問先生に M&A 専門性が薄い可能性、二段体制で補完をご参照ください。


7. JFSC のスタンス — 「業種特性を踏まえた個別設計」を旨とする

JFSC は中小企業向け M&A アドバイザリーとして、業種特化型ではなく全業種対応の立場をとっています。これは、許認可承継論点が業種ごとに大きく異なる中、「どの業種でも対応可能な汎用フレーム」と「業種特化の個別深掘り」を両立する設計が、中小企業オーナー様にとって最適と考えるためです。

実務上は:

弊社は完全成功報酬制(最低手数料 700 万円・着手金/中間金なし)で、許認可確認段階の事前相談から承継完了まで、判断材料の提供に徹しています。


8. まとめ — 許認可は「最初に確認」が鉄則

ポイント要旨
1許認可承継ルールは業種・スキームで異なる。一律ではない
2合併>会社分割>事業譲渡 の順に承継しやすい(一般則、業種別例外多数)
3専任資格者・施設要件の同時確認が必須
4新規取得が必要な場合は所要期間の見込みを事前に立てる
5行政書士・弁護士との早期連携で事故を防ぐ
6M&A 検討初期で許認可棚卸しを実施することがクロージングの確度を上げる

事業承継・M&A の第一歩として、まずは以下の弊社ツールをご活用ください。



よくあるご質問(FAQ)

執筆者・監修者

五十嵐 悠一(IGARASHI Yuichi)

株式会社 日本財務戦略センター(JFSC)代表取締役

京都大学経済学部卒業後、大手損害保険会社、上場プライム上場M&A仲介会社を経て、日本財務戦略センターを設立。中小企業庁が定める「M&A支援機関」に登録。年間100件以上の経営相談に応じ、特に困難な状況にある中小企業の事業再生型M&A・事業承継案件に豊富な実績を持つ。中小企業オーナー経営者に寄り添う戦略の立案・実行で信頼を得る。

関連リンク

公式・公的情報

関連法令(e-Gov 法令検索)

関連士業団体

許認可業種のうち医療機関について、当社は口コミの読み方を一次データで検証した独自調査 クリニックのGoogleクチコミ分析(都内サンプル・匿名集計) を公開しています。業種横断の比較は 業種別クチコミ分析レポート一覧 からどうぞ。

あわせて読む:医療のうち歯科については、地方厚生局の指定簿を8局分すべて集計した調査があります。医療法人は27.6%にとどまり、7割は個人開設でした。個人開設の医院は医療法人の1.93倍の速さで廃業しており、一方ですでに9,408院で開設者が入れ替わっています。歯科医院の事業承継を全国65,055院で調査

公開日: 2026年4月27日 / 最終更新日: 2026年8月23日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する5問の計15問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. M&A・事業承継で「許認可」が大きな壁になるのはなぜですか?
A. 三つの理由があります。一つは、建設業法・宅地建物取引業法・貨物自動車運送事業法・医療法・薬機法・食品衛生法・旅館業法など業種ごとに承継ルールが大きく異なること。二つ目は、有資格者の配置(人的要件)と設備・施設要件(物的要件)の両面確認が必要なこと。三つ目は、新規許可取得には1〜6か月の審査期間が必要で、その間の事業停止が売上機会損失や顧客離反のリスクを生むことです。早期から所管省庁・行政書士・弁護士にご相談ください。
本記事Q12. 合併・会社分割・事業譲渡で、許認可承継のしやすさはどう違いますか?
A. 一般則として合併>会社分割>事業譲渡の順に承継しやすい傾向があります。合併では法人格そのものが包括承継されるため多くの業種で許認可が自動承継されます。会社分割は業種により可否が分かれ、認可申請が必要なケースが多くなります。事業譲渡では原則として許認可が承継されず、買い手側で新規取得が必要となります。ただし業種別の例外も多いため、行政書士等の専門家と個別に確認することが必須です。
本記事Q13. 宅建業の免許は事業譲渡で承継できますか?
A. 宅地建物取引業法第7条は合併のみ免許承継を明示的に規定しており、事業譲渡では承継できません。買い手側で新規取得が必要となります。会社分割の取扱いは法令上曖昧なため、所管庁(都道府県・国土交通省地方整備局)への事前照会が必須です。専任の宅地建物取引士の配置(5名に1名以上)と事務所要件の確認も併せて必要となります。
本記事Q14. 旅館業の事業譲渡は、改正でどう変わりましたか?
A. 令和5年12月13日施行の改正旅館業法により、事業譲渡でも都道府県知事等の承認を受ければ地位承継が可能(合併・分割と同等の扱い)となりました。承認なしの譲渡では依然として新規取得が必要ですので注意が必要です。重点要件は構造設備基準・消防法令適合・建築基準法適合で、温泉法・食品衛生法・酒類販売免許など付随許認可の確認も合わせて行う必要があります。
本記事Q15. 許認可関連でよくあるM&A失敗パターンは何ですか?
A. 現場で繰り返し見てきた典型例として、(1) 事業譲渡型M&Aで買い手側の許可取得時期を確認せずクロージング後に休業状態となる、(2) 専任宅建士・経営業務管理責任者・管理薬剤師等の有資格者がクロージング前後で退職し許可継続要件を満たせなくなる、(3) 事務所・施設要件の更新漏れ、(4) チェンジオブコントロール条項の確認漏れによる主要取引先との契約打切り、などがあります。事前の許認可デューデリジェンスは必須ですので、行政書士・弁護士等の専門家と早期に連携してください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2026年4月27日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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