2024.05.31 M&A業界事情

中小M&Aガイドライン第3版・市場改革プラン2025の現在地——売り手経営者が仲介会社を選ぶ前に確認すべき17項目開示・利益相反禁止5類型・個人資格試験創設

中小M&Aガイドライン第3版が仲介会社に求めていること(契約前17項目・利益相反の禁止・経営者保証・買い手の調査・情報共有の仕組み)

3行まとめ


Table of Contents

はじめに——なぜ「仲介会社を選ぶ前に規制を理解する」必要があるのか

この章のポイント
中小M&A市場の急拡大と支援機関登録2,841件という現状の中で、ガイドライン第3版(2024年8月)と市場改革プラン(2025年8月)は売り手保護を主眼に規制構造を大きく書き換えました。売り手経営者は、契約前にこの規制構造を理解しておくことで、複数社比較と質的判断が可能になります。

中小企業庁が公表した最新数値では、M&A支援機関登録制度に登録された機関数は2,841件(2025年2月時点)に達しました。銀行、証券会社、信用金庫、税理士法人、コンサルティング会社、専業仲介会社、地域金融機関のM&A子会社など、極めて多様なプレイヤーが市場に参入しています。

急拡大の裏側では、不透明な手数料体系、両手仲介に伴う利益相反、執拗な営業勧誘、資産目当ての不適切な買収者による被害といった構造的問題が、メディアや国会審議でも繰り返し指摘されてきました。経済産業省・中小企業庁は2024年8月30日、これらの問題に対して制度的回答を示すべく、中小M&Aガイドラインを第3版に改訂し、2025年1月1日から本格適用を開始しています。

さらに2025年4月には「中小M&A市場の改革に向けた検討会」が設置され、同年8月5日に「中小M&A市場改革プラン(中間とりまとめ)」が公表されました。ガイドラインによる行為規制と登録制度による事業者規制に加え、個人レベルの資格試験と登録制度を導入することで、支援者個人の質と倫理を担保しようとする方向性が示されています。

売り手経営者にとって重要なのは、こうした制度変更を「業界の話」として聞き流すのではなく、「自社が仲介会社を選ぶときの判断基準が変わった」と受け止めて、契約前に何を確認すべきかを整理しておくことです。本記事は、その実務解説を目的として構成しています。なお、関連する業界動向については、業界参入リスクの観点から書いた中小M&A仲介業界はやばい!? 新規参入・転職をおすすめしない4つの理由、および特定社の営業戦略変化を扱ったストライク社のDM大幅削減に見るM&A仲介業動向についてもあわせてご参照ください。


1. 中小M&Aガイドライン第3版——契約前17項目の書面説明義務

この章のポイント
第3版は2024年8月30日に公表され、2025年1月1日から適用されました。最大の変更点は契約締結前に書面で説明すべき事項が17項目として明示され、レーマン方式の料率テーブル、最低手数料、買い手側手数料の総額、担当者の保有資格・成約実績まで含む詳細な開示が義務化されたことです。

1-1. ガイドライン第3版の位置付けと適用スケジュール

中小M&Aガイドラインは、中小企業庁が2020年3月に第1版を策定し、2023年9月の第2版改訂を経て、2024年8月30日に第3版が公表されました。法令そのものではないものの、中小企業庁が運営するM&A支援機関登録制度において、登録機関は本ガイドラインの遵守を宣言することが求められており、事実上の業界共通ルールとして機能しています。

第3版の適用スケジュールは以下のとおりです。既存登録機関は2024年12月31日までに第3版遵守宣言の提出が必要とされ、2025年1月1日からは遵守宣言の有無にかかわらず第3版の規律が適用されています。新規登録を希望する事業者にも、申請時点での第3版遵守宣言が条件として課されています。

1-2. 契約締結前17項目の書面説明義務

第3版で売り手経営者にとって最も重要な変更は、契約締結前の書面説明義務として17項目が明示されたことです。これまで「口頭での説明」「契約書の中での記載」「ウェブサイト掲載」など各社まちまちだった開示水準が、書面での事前提示として標準化されました。

主要な開示項目を、売り手の比較検討に役立つ形で再整理した一覧が次のチェックリストです。仲介会社からの提案資料を受領した段階で、各項目が書面に明記されているかを確認してください。

図1:契約前に書面で確認すべき主要開示項目(中小M&Aガイドライン第3版に基づく17項目チェックリスト)
1
仲介者かファイナンシャル・アドバイザー(FA)かの別、および両手取引・片手取引の構造の説明
2
提供業務の具体的な内容(マッチング範囲、書類作成範囲、交渉同席の有無、クロージング後支援の有無)
3
担当者の保有資格・経験年数・成約実績(業種別件数を含む)
4
手数料の算定基準(レーマン方式の場合は料率テーブルと適用対象の定義)
5
最低手数料の有無と金額(適用ケース・例外条項を含む)
6
着手金の有無、金額、発生時点、返金条件
7
月額報酬・リテイナーフィーの有無、金額、発生期間
8
中間報酬の有無、金額、発生時点(基本合意契約締結時等)
9
成功報酬の算定方式と発生時点(最終契約締結時、決済完了時の別)
10
相手方(買い手)から受領する手数料の有無、金額、双方合計の総額
11
デューデリジェンス費用(弁護士・公認会計士・税理士費用)の負担区分
12
専門家紹介に伴う紹介料・キックバックの有無と金額
13
テール条項(契約解除後の成功報酬請求権)の有無と適用期間
14
契約解除時の費用精算の方法(既発生費用の取扱いを含む)
15
専任契約・非専任契約の別、専任の場合は他社相談の制限内容
16
利益相反禁止5項目を仲介者が遵守する旨の契約条項(次章で詳述)
17
苦情・通報窓口の案内(M&A支援機関登録事務局を含む)
出典:経済産業省・中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)。本表は売り手経営者の比較検討用に同ガイドラインの規律を整理したもので、項目数の数え方は事業者により異なる場合があります。最終確認は必ず一次資料・契約書原本に基づいて行ってください。

1-3. レーマン方式の料率テーブルと最低手数料の例示

レーマン方式は、取引金額に応じて料率を逓減させる成功報酬の算定方法であり、中小M&A市場で最も広く採用されています。第3版では、レーマン方式が実務的主流であることが明記されたうえで、料率テーブルの典型的な姿として「5億円以下の部分5%、5億円超10億円以下の部分4%、10億円超50億円以下の部分3%」といった例示が示されています(例示であり、各社で水準は異なります)。

適用対象(譲渡対価のみか、譲渡対価+負債承継額か、移動総資産額か)によって、同じ料率でも実額は大きく異なります。第3版は、適用対象の定義を明確に書面で示すことを求めており、これにより売り手は複数社の手数料を「同じ物差し」で比較できるようになりました。

最低手数料についても、第3版本文には金額分布の例示と適用事例が記載されています。中小規模の譲渡では、レーマン方式で算出される成功報酬よりも最低手数料が上回るケースが多いため、最低手数料の金額と適用条件は、契約前に必ず書面で確認するようご注意ください。具体的な手数料水準のシミュレーションについては、日本財務戦略センターのM&A手数料・手残り比較ツールもご活用いただけます。

1-4. 仲介者とファイナンシャル・アドバイザー(FA)の役割明確化

第3版は、仲介者(売り手・買い手双方と契約し両者を仲介)とファイナンシャル・アドバイザー(FA、一方当事者のみと契約しその利益を最大化)の構造的違いを、これまで以上に明確に区分しました。

仲介者は両当事者から手数料を受領する「両手取引」であり、構造上、利益相反のリスクを内包します。第3版は、仲介者がこの「両手取引」である旨と潜在リスクを双方に説明する義務を明記しました。一方、FAは一方当事者の利益のみを追求するため利益相反の構造的問題は小さい反面、相手方への配慮義務はありません。

売り手経営者は、自社が仲介者と契約するのか、FAと契約するのかを事前に明確に把握したうえで、それぞれの構造に応じた質問・確認を行うことが求められます。両者の選択は、譲渡規模、買い手候補の数、案件の複雑性、自社の交渉能力などを総合考慮して決めるべきものであり、判断に迷う場合は弁護士・公認会計士・税理士等の専門家に複数の視点で意見を求めることをお勧めします。


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2. 利益相反禁止5項目とデューデリジェンス制限——両手取引の構造的問題への回答

この章のポイント
第3版が初めて具体的に列挙した利益相反禁止行為は5類型。買い手追加手数料による優先マッチング、リピーター買い手優遇、差額追加報酬、故意の非伝達・虚偽伝達、一方有利情報の秘匿——いずれも仲介契約書に「行わない旨」を仲介者の義務として明記する必要があります。さらに、仲介者がデューデリジェンスを直接実施することも不適切と明示されました。

2-1. 利益相反禁止5項目の具体的内容

第3版の第2章Ⅱ5は、仲介者における利益相反禁止行為を初めて具体的に列挙しました。仲介契約書には、これら5項目を仲介者が行わない旨を「仲介者の義務」として定めることが求められています。

図2:仲介者の利益相反禁止行為 5類型(中小M&Aガイドライン第3版・2024年8月で初の具体列挙)
① 買い手追加手数料 × 優先マッチング
譲り受け側から追加手数料を取得し、当事者ニーズに反する優先マッチング、または不当に低額な譲渡価額への誘導を行う行為。
② リピーター買い手の優遇
リピーターである譲り受け側を優遇し便宜を図る行為(ニーズに反する優先マッチング、不当低額誘導を含む)。
③ 差額追加報酬の要求
成立価額と依頼者希望価額の差分の一定割合を、正規手数料とは別に要求する行為。
④ 故意の非伝達・虚偽伝達
一方当事者が伝達を求めた事項を他方当事者に故意に伝達しない、または偽って伝える行為。
⑤ 一方有利情報の秘匿
一方当事者にのみ有利または不利な情報を、故意に秘匿する行為。
出典:経済産業省「中小M&Aガイドライン(第3版)」第2章Ⅱ5(2024年8月)。仲介契約書には、これら5項目を仲介者が行わない旨を仲介者の義務として明示することが求められています。

2-2. なぜ「両手取引の構造的リスク」が問題視されたのか

仲介者は売り手・買い手の双方から手数料を受領するため、構造的には「双方の利益最大化」と「自社の手数料最大化」が一致しない場面が必ず発生します。極端な例では、譲渡価額を高くすれば売り手の利益は増えますが、買い手の支払額は増えるため、買い手側からの将来取引機会を失うリスクがあります。一方、譲渡価額を低くすれば、買い手にとっては魅力的な案件として継続的に紹介を受けやすくなる代わりに、売り手は本来得られたはずの対価を失います。

第3版が列挙した5類型は、このような構造的インセンティブのねじれを「禁止行為」として可視化するものであり、契約段階で書面に明記することで、違反時に売り手側が抗議・通報・損害賠償請求の根拠とできるようにする仕組みです。

2-3. 仲介者によるデューデリジェンス直接実施の不適切性

第3版で売り手にとって特に重要なのは、「仲介者(両手取引)はデューデリジェンスを直接実施すべきでない」と初めて明示された点です。これまで一部の仲介会社では、買い手のデューデリジェンスを自社の関連子会社や提携専門家を通じて受託し、案件全体の手数料収入を拡大する運営が見られました。

しかし、仲介者が買い手側のデューデリジェンスを直接実施すると、売り手の事業価値を意図的に減価する判定を出して、譲渡価額を引き下げるインセンティブが働きかねません。第3版は、こうした構造を排除すべく、買い手が専門的支援を必要とする場合は別途ファイナンシャル・アドバイザーや弁護士・公認会計士・税理士等の専門家に依頼する運用を推奨しています。

2-4. 営業・広告に関する規律の新設

第3版はまた、仲介者・ファイナンシャル・アドバイザーが実施する営業・広告に係る規律も新たに明記しました。具体的には、「買い手候補が既にいるかのような虚偽の勧誘」「断ったにもかかわらず執拗に営業を繰り返す行為」「過大な広告・過剰な宣伝活動」が禁止行為として列挙されています。

大手仲介会社の営業手法をめぐっては、特定企業のダイレクトメール削減に関する報道も話題となりました。具体的な業界の営業現場の変化については、別記事ストライク社のDM大幅削減に見るM&A仲介業動向についてで取り上げています。郵便料金値上げ・レピュテーションリスクへの対応と並行して、第3版の規律遵守も営業手法見直しの一因となっていると考えられます。

2-5. 経営者保証について仲介者が説明すべきこと

第3版は、最終契約に向けて仲介者・ファイナンシャル・アドバイザーが対応すべきリスクの一つに、売り手(譲り渡し側)の経営者保証の扱いを挙げています(原文p.96)。仲介者・ファイナンシャル・アドバイザーは、売り手の経営者の意向を丁寧に聞き取るとともに、弁護士などの専門家や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談、保証の提供先である金融機関へのM&A成立前の相談も選択肢である旨を、説明しなければなりません。金融機関に事前に相談する場合は、M&Aが成立しなかったときの情報の扱いなどの留意点も伝えたうえで、売り手の判断を支援することが求められています。

経営者保証は、会社を譲り渡しても自動的には外れません。M&A支援機関協会の特定事業者リストでは、解除を合意していたのに、実行日から60営業日を過ぎても解除されない場合などに、買い手が登録されます。

2-6. 買い手の調査と、不適切な買い手の情報共有

第3版は、仲介者・ファイナンシャル・アドバイザーに、買い手(譲り受け側)の調査も求めています。

この情報共有の仕組みが実際に問われた件として、2026年9月に報じられた日本M&Aセンターの件があります。経緯と論点は、日本M&Aセンターの経営者保証をめぐる件は、どこが問題だったのかで整理しています。

2-7. この記事で扱った定めと、ガイドライン原文の頁

本記事で触れた主な定めと、中小M&Aガイドライン(第3版)の該当頁の対応です。頁は、中小企業庁が公開している PDF の頁番号です。

ガイドラインが仲介者・FAに求めていること原文の頁
広告・営業(断られたら直ちに停止し、記録して共有する/名称や目的を告げない営業・即断を迫る営業・虚偽や誤認を招く営業をしない)pp.84-85
契約を結ぶ前に、重要な事項(17項目)を書面で交付して説明するpp.86-88
手数料と提供する業務の内容を説明するp.88
仲介者の場合、相手方(買い手)の手数料を開示するp.91
経営者保証の扱いについて、売り手の意向を聞き、事前相談の選択肢を説明するp.96
デュー・ディリジェンスの重要性と、表明保証の内容を説明するp.97
一方の当事者の利益のために、利益相反行為をしないp.99
買い手の調査の概要を契約前に説明し、最終契約の前までに調査して結果を報告するpp.101-102
不適切な買い手の情報を、担当者の段階にとどめず組織として共有する体制をつくるp.102
業界内の情報共有の仕組みに参加しているかどうかを、契約前に説明するp.103


3. 上場M&A仲介4社の業績比較——規制強化下の構造変化

この章のポイント
日本M&Aセンターホールディングスは2026年3月期通期予想502億円(前年比+14%)、1件単価+12.6%増で大型案件シフトに成功。ストライクは2025年9月期203億円(+12%増収)ながら営業利益は6.5%減。M&A総研ホールディングスは仲介事業減収で連結+0.3%の踊り場。名南M&Aは2024年9月期過去最高益、東京進出を加速。件数依存から単価向上へ業界全体が構造転換中です。

3-1. 上場4社の直近業績比較表

規制強化の影響は、上場M&A仲介各社の直近業績にも明確な差として表れています。Tier1ソース(各社IR資料)に基づく直近業績の比較を、次の表に整理します。

図3:上場M&A仲介4社 直近業績比較(各社IR公表値ベース)
社名(証券コード)対象期売上高利益・成約件数特記事項
日本M&Aセンターホールディングス(2127)2026年3月期 通期予想
(2026年3月期2Q時点)
502億円(前年比+14%)上半期成約488件(前年同期454件、+7.5%)1件あたり売上高4,460万円(前年同期3,960万円、+12.6%)。大型案件シフトで単価向上が顕著
ストライク(6196)2025年9月期 通期確定203億1,400万円(前年比+12%)営業利益63億3,200万円(前年比−6.5%)
成約275組(計画310組未達)
4期連続増収だが人件費・広告宣伝費増で営業減益。ダイレクトメール大幅削減と電話営業へのシフト
M&A総研ホールディングス(9552)2025年9月期 通期確定166億円(前期比+0.3%の微増)営業利益49億6,000万円仲介事業は前期比減収、コンサルティング事業拡大で連結微増。前年91%増の急成長期から踊り場へ
名南M&A(7076)2024年9月期 通期確定14.8億円(過去最高)過去最高益東海地区地盤の地域密着型。2025年春に東京オフィス開設、関東圏拡大を加速。第3版遵守宣言済み
出典:日本M&AセンターホールディングスIR(2026年3月期2Q決算短信)/ストライク2025年9月期決算資料/M&A総研ホールディングス2025年9月期決算資料/名南M&A IR資料。各社の規制対応コストの内訳開示は限定的であり、本表は売上高・利益水準・件数の比較に焦点を当てて整理しています。各社の業績変動要因はガイドライン第3版の影響だけではなく、人件費上昇、広告宣伝費、案件大型化、競合増加など複合的な要因が含まれます。

3-2. 件数依存から単価向上への構造転換

4社の業績を横断的に見ると、共通する傾向は「件数の伸びが鈍化または減少しつつ、1件あたり単価が上昇している」という構造変化です。日本M&Aセンターホールディングスの2026年3月期2Q時点の数字(1件単価+12.6%増)が最も顕著ですが、業界全体として、案件サイズの大型化と専門サービス化が進行していると見られます。

背景には複数の要因があります。第一に、ガイドライン第3版による開示義務強化と利益相反禁止の徹底で、大量の小型案件を低コストで回す営業モデルが成立しにくくなったこと。第二に、営業・広告の規律新設で、ダイレクトメール大量送付・テレアポ大量実施型の営業手法に制約が生まれたこと。第三に、買い手側の支援機関登録制度活用が進み、買い手も複数の仲介会社を比較検討するようになって、件数競争よりも案件品質・スピード・専門性が重視されるようになったことです。

3-3. 中堅・地域系プレイヤーの位置取り

名南M&Aの2024年9月期過去最高益と2025年春の東京進出は、地域密着型・中堅規模のプレイヤーにとって、規制強化が必ずしも逆風ではないことを示唆しています。むしろ、過剰営業や両手取引の構造的問題で大手の評判が揺れる局面では、地域金融機関・税理士法人・中堅専業との連携で堅実に運営する事業者に追い風が吹く可能性もあります。

売り手経営者にとっては、大手・中堅・地域系・士業系・金融機関系といった多様な選択肢の中から、自社の規模、業種、地域、相手方候補の構造に応じた最適な組み合わせを検討することが、これまで以上に重要になっています。

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4. 中小M&A市場改革プラン2025——個人資格試験と登録制度の創設

この章のポイント
経済産業省・中小企業庁は2025年8月5日に「中小M&A市場改革プラン(中間とりまとめ)」を公表。中小企業庁が運営する個人資格試験を創設し、合格者を対象に氏名公表型・登録取消し型の個人登録制度を運用予定。令和8年度(2026年度)中の初回試験実施が想定されています。事業者単位の登録制度に個人資格軸が追加され、規制構造は二重化されます。

4-1. 検討会設置と中間とりまとめの背景

2025年4月、経済産業省・中小企業庁は「中小M&A市場の改革に向けた検討会」を設置しました。背景にあるのは、ガイドライン第3版と支援機関登録制度を運用してもなお、不適切な買収者による被害事例(資産目当て・経営関与なしのケースが代表的)が継続的に確認されたこと、および支援サービスの質的ばらつきへの社会的批判が継続していたことです。

検討会は2025年6月までに買収者の行動実態と被害事例を整理し、同年8月5日に「中小M&A市場改革プラン(中間とりまとめ)」を公表しました。柱は、①個人資格試験の創設、②個人登録制度の運用、③不適切買収者排除に向けた審査強化の3点です。

4-2. 中小M&A資格試験の創設と試験科目

市場改革プランの中核は、中小企業庁が運営主体となる「中小M&A資格試験」の創設です。2025年4月に同庁が策定した「中小M&A専門人材向けスキルマップ」に基づき試験設計が進められており、出題分野は次の4領域に大別されます。

特に4分野目の「行動規範・倫理」については、検討会資料でも「倫理・行動規範の遵守徹底を最重要視するメッセージを明確に発信する」と明記されています。これは、ガイドライン第3版の利益相反禁止5項目を、試験科目を通じて支援者個人に内在化させる狙いです。

令和7年度補正予算による「中小M&A資格試験実施事業」の企画競争公募は2026年3月27日に開始されており、令和8年度(2026年度)中に初回試験の実施が想定されています。試験運営は中小企業庁が委託先を通じて実施する見込みです。

4-3. 個人登録制度——氏名公表型・登録取消し型

市場改革プランは、資格試験合格者を対象に個人登録制度を運用する方針も示しています。主な特徴は次のとおりです。

事業者単位の登録だけでは、社内の特定担当者の問題行動が表面化しにくい構造でした。個人登録制度は、支援者個人に直接的な責任とレピュテーションリスクを負わせる仕組みであり、業界の質的水準を底上げする効果が期待されています。一方、登録要件と倫理規程の運用次第では、参入障壁の上昇による市場集中も論点となり得ます。

4-4. 不適切な買収者の排除に向けた審査強化

市場改革プランのもう一つの柱は、「不適切な買収者の排除」です。資産目当て・経営関与なしの買収者による被害(譲渡後に従業員大量解雇、不動産売却、ノウハウ流出等のケース)が増加していることを背景に、買収者の適格性審査の強化が方向性として示されています。

具体的には、登録制度の要件強化や、不適切事案の通報・登録取消しの運用厳格化などが検討されています。なお、買い手(譲り受け側)の調査と、不適切な買い手の情報の組織内・業界内での共有は、ガイドライン第3版の時点で既に仲介者・ファイナンシャル・アドバイザーの義務になっています(原文pp.101-103、本記事の2-6参照)。売り手経営者にとっては、仲介会社が買い手の適格性をどの程度精査しているかを確認することが、契約前の重要な判断軸になります。


5. 売り手が取るべき行動——契約前確認・通報窓口・専門家活用

この章のポイント
売り手が今すぐ実行できる対応は3点。①17項目の書面開示と利益相反禁止5項目の契約条項を必ず受領・確認、②不適切事案はM&A支援機関登録事務局(電話03-4570-8692/ma-shienkikan.go.jp/inappropriate-cases)に通報、③契約前に弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にセカンドオピニオンを取得。手数料金額の競争ではなく、規制適合性の観点から仲介会社を見極めます。

5-1. 仲介会社選定のチェックリスト(5つの確認軸)

本記事の前半で整理した内容を踏まえ、売り手経営者が仲介会社と契約する前に確認すべき5つの軸を整理します。

これらは、手数料金額の高低を比較する以前に確認すべき「規制適合性」の判断軸です。手数料金額は、規制適合性をクリアした事業者の中で初めて意味のある比較対象になります。

5-2. 不適切事案の通報窓口

万が一、契約後に仲介会社の対応に問題があると判断した場合、M&A支援機関登録事務局の情報提供受付窓口に通報できます。窓口情報は次のとおりです。

同窓口は、情報提供者が特定されないよう配慮することが明示されています。さらに、登録機関は「相談したことのみを理由とした秘密保持義務違反訴訟等の不利益取扱いを行わない」ことを誓約しており、売り手側のレピュテーションリスクは構造的に抑制されています。ガイドライン違反が認められた場合、当該事業者のM&A支援機関登録の取消しが可能です。

ただし、通報窓口は中小企業庁の登録制度に関する情報受付窓口であり、損害賠償請求や契約解除といった個別の法的対応を直接処理する機関ではありません。実害が発生している場合は、必ず弁護士に相談のうえ、民事手続きを並行して検討してください。

5-3. セカンドオピニオンと専門家連携の重要性

仲介会社からの提案資料を受領した段階で、第三者のセカンドオピニオンを取得することは、売り手にとって極めて有効な自衛策です。複数の仲介会社・ファイナンシャル・アドバイザー、および顧問税理士・弁護士・公認会計士との並行相談を通じて、提案内容の妥当性、手数料水準の適正性、契約条項の不利な部分を客観的に評価できます。

とくに、株式譲渡所得への課税、組織再編税制の適用、退職金・役員報酬の税務処理、相続税・贈与税との関係などについては、顧問税理士または相続・組織再編に詳しい税理士にご相談ください。法的論点(表明保証条項、競業避止義務、秘密保持義務、契約解除条件など)については、M&A実務に詳しい弁護士のレビューが推奨されます。

5-4. 業種別の追加論点

許認可業種では、ガイドライン第3版の規律に加えて、業種固有の規制適合性も重要な判断軸になります。たとえば不動産業(宅地建物取引業)では宅地建物取引業免許の承継、医療法人では都道府県認可、建設業では建設業許可と経営事項審査、薬局では保険薬局指定の承継など、各業種固有の手続きが伴います。

仲介会社が当該業種の許認可承継について十分な経験を持っているかも、契約前の確認事項です。許認可の継続可否は譲渡対価そのものに影響するため、業種特化型の専門知識を持つ支援機関の活用が、結果的に売り手の手取り最大化につながるケースが少なくありません。


6. まとめ——「規制適合性」を契約前判断の中心軸に

この章のポイント
中小M&Aガイドライン第3版(2024年8月)と中小M&A市場改革プラン(2025年8月)は、売り手保護を主眼に規制構造を大きく書き換えました。売り手経営者は、手数料金額の競争ではなく、17項目の書面開示・利益相反禁止5項目・支援機関登録の有無・個人資格の有無といった「規制適合性」を契約前判断の中心軸に据えるべきです。

6-1. 規制構造の三層化

2026年4月時点で、中小M&A市場の規制構造は次の三層に整理できます。

三層構造の整備により、売り手経営者は「事業者の規制適合性」と「担当個人の資格・倫理」の両軸で支援先を評価できるようになります。第三層の運用開始までには時間を要しますが、第一層・第二層の活用は今すぐ可能です。

6-2. 売り手経営者への3つの提言

本記事の内容を踏まえ、売り手経営者に対する実務的な提言を3点に整理します。


結び——制度を味方につけ、納得のいく譲渡を

中小M&Aガイドライン第3版と中小M&A市場改革プランは、売り手経営者にとって、これまでよりもはるかに豊富な情報と判断材料を確保できる制度的基盤を提供しています。重要なのは、こうした制度的基盤の存在を知り、契約前にしっかりと活用することです。

株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁 M&A 支援機関 登録、一般社団法人 M&A 支援機関協会 正会員)は、ガイドライン第3版を遵守し、利益相反禁止5項目を契約条項として明示する運用を徹底しています。譲渡を検討されている経営者の皆様には、セカンドオピニオン的な立場でのご相談も承っており、特定の仲介会社からの提案内容について、第三者として客観的な評価をご提供できます。

個別の法務・税務・財務的判断、特に許認可承継・税務影響・契約条項の解釈については、必ず弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士等の各専門家にご相談ください。日本財務戦略センターからの専門家ご紹介も可能です。

いつでもお気軽にご相談ください(初回相談無料・秘密厳守)。


よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する8問の計18問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン(第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 半年から 1 年程度が目安ですが、案件によって異なります。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは仲介者として、売り手・買い手のどちらかに偏らない立場で臨み、売主オーナー様が判断に必要な情報を得られるよう整えます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. 中小M&Aガイドライン第3版で義務化された「契約締結前の17項目開示」について、特に売り手として注目すべき項目は何でしょうか?
A. 売り手経営者様が仲介会社を比較検討する際には、手数料の算定基準(レーマン方式の料率テーブルや最低手数料、買い手側手数料の総額)、提供される業務の具体的な内容、そして担当者の保有資格・経験年数・成約実績(特に業種別件数)に注目することが推奨されます。これらの項目は、仲介会社のサービス品質と透明性を判断する上で重要な情報となります。
本記事Q12. 記事で触れられている「利益相反禁止行為の5類型」とは具体的にどのような内容で、売り手として仲介会社を選ぶ際にどのように確認すれば良いでしょうか?
A. 「利益相反禁止行為の5類型」は、仲介会社が売り手と買い手の双方から手数料を得る「両手仲介」において、売り手の利益を損なう可能性のある行為を具体的に定めたものです。仲介会社を選ぶ際には、契約締結前の書面説明義務17項目の中に、利益相反の管理方針や、両手取引・片手取引の構造に関する説明が含まれているかを確認し、不明な点があれば直接質問して理解を深めることが推奨されます。
本記事Q13. 「中小M&A資格試験」の創設や個人登録制度は、今後M&A支援を受ける上でどのような影響がありますか?
A. 「中小M&A資格試験」や個人登録制度は、M&A支援者の専門性と倫理性を高めることを目的としており、令和8年度(2026年度)中の初回試験実施が想定されています。これにより、将来的には資格を持つ質の高い支援者を選びやすくなる可能性があります。制度の本格運用には時間を要しますが、支援者選びの新たな判断基準となることが期待されます。
本記事Q14. 記事に「仲介者によるデューデリジェンス直接実施も不適切と明記されました」とありますが、M&A仲介会社はデューデリジェンス(DD)を手伝ってくれないのでしょうか?その場合、売り手として何をすべきですか?
A. 中小M&Aガイドライン第3版では、仲介者が「デューデリジェンス (Due Diligence)」を直接実施することは、中立性維持の観点から不適切とされています。売り手経営者様としては、財務・税務・法務などの専門的な調査については、公認会計士や税理士、弁護士といった独立した専門家にご相談いただくことが一般的です。仲介会社は、これらの専門家との連携をサポートする役割を担うことが多いでしょう。
本記事Q15. もしM&A仲介会社の対応に不適切な点やガイドライン違反の疑いを感じた場合、どこに相談すれば良いですか?
A. M&A仲介会社の対応に不適切な点や、中小M&Aガイドライン第3版への違反の疑いを感じた場合は、「不適切事案の通報窓口」として、記事に記載されている「M&A支援機関登録事務局(電話03-4570-8692)」にご連絡いただくことが可能です。相談の際には、具体的な状況や関連する資料を整理しておくと、よりスムーズな対応が期待できます。
本記事Q16. 中小M&Aガイドライン第3版は、経営者保証について仲介会社に何を求めていますか?
A. 売り手の経営者の意向を丁寧に聞き取り、弁護士などの専門家や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談、保証の提供先である金融機関へのM&A成立前の相談も選択肢であることを説明するよう求めています(原文p.96)。金融機関に事前に相談する場合は、M&Aが成立しなかったときの情報の扱いなどの留意点も伝えたうえで、売り手の判断を支援する必要があります。
本記事Q17. 仲介会社は、買い手についてどのような調査をしなければならないのですか?
A. 仲介契約・FA契約を結ぶ前に、買い手についてどのような調査をするのか、その概要を売り手に説明しなければなりません。そのうえで、遅くとも最終契約の前までに調査を行い、リスクを見つけた場合は開示できる範囲で売り手に報告し、取引を実行するかどうかや最終契約の条項を協議する必要があります(原文pp.101-102)。
本記事Q18. 仲介会社が特定事業者リストに参加しているかどうかは、どうすれば分かりますか?
A. 第3版は、業界内の情報共有の仕組み(M&A支援機関協会の特定事業者リストなど)に参加しているかどうか、参加していない場合はその旨を、仲介契約・FA契約の前に依頼者へ説明するよう仲介者・FAに求めています(原文p.103)。説明がなければ、契約の前に確認してください。

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関連 日本財務戦略センター(JFSC) ツール

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守秘義務と免責事項

本記事は、公表されている一次ソース(経済産業省・中小企業庁公表資料、各社IR資料、M&A支援機関登録事務局公表資料)に基づき、株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁 M&A 支援機関 登録、一般社団法人 M&A 支援機関協会 正会員)が独自の視点で構成・整理した解説記事です。記載内容は記事公開時点(2026年4月)のものです。

個別の法務・税務・財務的判断、特に許認可承継・税務影響・契約条項の解釈・損害賠償請求の可否などについては、必ず弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士等の各専門家にご相談ください。本稿はあくまで、業界規制・公表資料に基づく一般的な解説を目的としており、個別事案への適用可否を保証するものではありません。

上場M&A仲介各社の業績数値は各社IR公表値に基づきますが、規制対応コストの内訳開示は限定的であり、業績変動要因はガイドライン第3版の影響だけではなく、人件費上昇、広告宣伝費、案件大型化、競合増加など複合的な要因を含みます。本記事は特定の事業者の優劣を断定するものではなく、業界全体の構造変化を中立的に解説するものです。

本記事に記載した規制内容・スケジュール・通報窓口情報等は、今後の制度改正・運用変更により内容が変動する可能性があります。最新の情報については、必ず経済産業省・中小企業庁・M&A支援機関登録事務局の公式ウェブサイトをご確認ください。

関連記事 ── 業界横断観察

M&A ガイドラインの背景にある「業界の自浄不足が外部規制を招く」構造を、教育業界の最新事例(2026 年 5 月 22 日文部科学省公表資料)と並べて観察した関連記事もあわせてご参照ください。

→ 無責任な組織はなぜ自浄できないのか ── 同志社国際高 辺野古事故と M&A 仲介業界の同型構造

【引用・転載について】
本記事は、事前のご連絡なしにご自由に引用・転載いただけます(CC BY 4.0)。引用の条件として、出典に「株式会社日本財務戦略センター(JFSC)」の名称と当記事へのリンクを明記してください。
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<a href="https://jfsc.jp/ma-brokerage-guideline-revision-impact/">中小M&Aガイドライン第3版・市場改革プラン2025の現在地——売り手経営者が仲介会社を選ぶ前に確認すべき17項目開示・利益相反禁止5類型・個人資格試験創設|株式会社日本財務戦略センター</a>文章での出典表記:株式会社日本財務戦略センター「中小M&Aガイドライン第3版・市場改革プラン2025の現在地——売り手経営者が仲介会社を選ぶ前に確認すべき17項目開示・利益相反禁止5類型・個人資格試験創設」(2024年5月31日) https://jfsc.jp/ma-brokerage-guideline-revision-impact/

※ JFSCが集計・加工・分析した結果(集計値・図表・分析と見解)は、この条件で引用いただけます。他機関(官公庁・調査会社など)が公表した数値や文章そのものは、元資料の利用条件に従ってください。
公開日: 2024年5月31日 / 最終更新日: 2026年9月30日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いからし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

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本記事は 2024年5月31日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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