3行まとめ
- 新型コロナウイルス感染症対応の実質無利子・無担保融資(いわゆる「ゼロゼロ融資」)の利用後に倒産した企業は、東京商工リサーチ集計で2020年7月から2025年末までの累計2,225件、帝国データバンク集計では2025年6月末時点で累計2,272件に達しました。2025年は2年連続で減少したものの、月間30件台が持続し、小康状態のなかでも構造的な問題は終息していません。
- 同時に、東京商工リサーチが集計する「コンプライアンス違反倒産」は、2024年(暦年)に320件と前年比66.6%増で過去最多を記録。内訳は税金関連176件、その他詐欺・横領等73件、不正受給39件、粉飾決算20件、雇用関連12件です。2024年度(4月〜3月)でも317件と前年度比35.4%増で過去最多を更新し、コロナ禍の延命策が清算局面に入ったことを示しています。
- 本記事は、これら最新の倒産統計と、2024年に改定された「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」、2024年3月開始の経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度、信用保証協会による代位弁済が10年ぶり高水準に達した事実までを通観したうえで、60代の中小企業オーナー経営者が「今、何をすべきか」を、第二会社方式・事業再生・M&Aの実務観点から整理します。
はじめに——「上半期333件」のスナップショットから、累計2,000件超の構造問題へ
本記事の旧版は、2023年10月時点で公表された「2023年度上半期『ゼロゼロ融資』利用後の倒産333件」というスナップショットを起点に、コンプライアンス違反倒産の論点を扱ったものでした。当時はまだ、ゼロゼロ融資の返済が本格化したばかりで、累計倒産件数は600件台に過ぎず、「これから本格化するか、収束するか」の分岐点にありました。
あれから約2年半が経過した2026年4月現在、状況は大きく変化しています。ゼロゼロ融資後の倒産は累計2,000件を超える構造問題に発展し、コンプライアンス違反倒産は2024年に320件と統計開始以降の過去最多を記録しました。信用保証協会による代位弁済も2014年以来10年ぶりの高水準となり、「コロナ禍で一時的に延命された企業の清算局面」という見方が、より明確に裏付けられる段階に入っています。
本記事では、まず最新の倒産統計を6章構成で整理し、続いて2024年改定の事業再生ガイドラインや経営者保証選択制度といった政府・金融機関側の支援策の現状を通観します。最後に、コンプライアンス違反を抱える中小企業オーナー経営者が現実に取りうる選択肢として、第二会社方式による事業再生を中心とした実務示唆を提示します。
金額・件数等の数値は、すべて東京商工リサーチ・帝国データバンク・中小企業庁・金融庁・全国銀行協会・日本経済新聞報道等の一次ソースに基づきます(記事末尾「主な一次ソース」参照)。
1. ゼロゼロ融資後倒産の現在地——累計2,000件超・小康から再燃の兆候
1-1. 累計2,200件超——「終わった話」ではない
東京商工リサーチの集計によれば、いわゆる「ゼロゼロ融資」(民間金融機関による実質無利子・無担保融資、および日本政策金融公庫等による新型コロナウイルス感染症特別貸付など)を利用した後に倒産した企業は、2020年7月の初確認から2025年12月までの累計で2,225件に達しました。帝国データバンクの集計では、2020年7月から2025年6月末までで2,272件です(集計対象・基準が異なるため数値に差があります)。
「ゼロゼロ融資の返済はおおむね順調」という見方が、政府・金融機関サイドからしばしば示されてきましたが、これはあくまで全体平均の話です。5年半で2,000件超という積み上がりは、平均値に隠れた構造的な脆弱層が、確実に淘汰の段階に入っていることを示しています。
1-2. 2024年上半期がピーク——2025年は減少も月30件台が持続
年次の推移を見ると、ゼロゼロ融資後倒産は2024年上半期に月間50〜60件台のピークを記録しました。東京商工リサーチによれば、2024年4月単月は63件と月間ベースで過去2番目の水準を記録しています。
2024年度(4月〜3月)全体では680件と、集計開始以降で初めて前年度比減を記録。2025年(暦年)は433件、前年比24.3%減と、2年連続で減少に転じました。帝国データバンクの2025年上半期データでも316件(前年同期391件から75件減)と、初めて上半期が前年同期を下回りました。
ただし、月間ベースで見ると2026年2月時点でも28件と、月30件前後で推移しており、「収束した」と判断するには時期尚早です。減少傾向は明確であるものの、3年連続で上半期300件超という水準が続いており、構造的な脆弱層の清算は今後も続くと見るのが現実的でしょう。
1-3. 資本金1,000万円未満が6割超——直撃しているのは小・零細企業
ゼロゼロ融資後倒産で特に注目すべきは、企業規模の偏りです。東京商工リサーチによれば、2025年(暦年)の433件のうち、資本金1,000万円未満の小・零細企業が62.1%(269件)を占めました。負債1億円未満も58.6%(254件)です。
大企業や中堅企業の倒産が目立つわけではなく、コロナ禍の最中に少額のゼロゼロ融資で延命された零細事業者が、物価高・人手不足・金利上昇の三重苦のなかで力尽きていく——これが2025年のゼロゼロ融資後倒産の典型像です。中小企業のオーナー経営者にとって、決して他人事ではない構造であることを示しています。
1-4. 飲食・建設・小売が上位——物価高直撃業種の悲鳴
業種別では、東京商工リサーチの2025年データで飲食店が60件で最多。帝国データバンクの2025年上半期では、小売業66件・建設業62件・製造業60件の順となりました。いずれも、原材料費・エネルギー価格・人件費・設備調達費の上昇を価格転嫁できず、薄利のまま消耗していく業種です。
飲食業については、価格転嫁による客離れリスクが慢性的にあり、原価率の上昇が直接利益を圧迫する構造です。建設業については、資材費高騰に加えて2024年問題(時間外労働の上限規制)による工期長期化・人件費増がのしかかります。製造業も、原材料コスト上昇と価格交渉力の弱さから利益が痩せています。
日本財務戦略センター(JFSC)(株式会社 日本財務戦略センター)でも、これらの業種における事業承継・M&A相談を多数承っています。業種別の最新動向については、当社の飲食店のM&A・事業承継、建設業のM&A・事業承継などのページもご参照ください。
2. 過去最多を更新したコンプライアンス違反倒産——税金・不正受給・粉飾の急増
2-1. 2024年に320件——前年比66.6%増の衝撃
東京商工リサーチが集計する「コンプライアンス違反倒産」は、企業のコンプライアンス(法令遵守)違反が直接または間接の倒産要因となった事例を集計したものです。2024年(暦年)の集計では、320件・前年比66.6%増と、統計開始以降の過去最多を記録しました。
同集計の年度ベース(2024年4月〜2025年3月)でも317件・前年度比35.4%増で、初めて300件を超えて過去最多を更新しています。負債総額は3,790億6,400万円・前年比28.2%増と、件数だけでなく規模面でも拡大しました。
2-2. 内訳——税金関連176件・不正受給39件・粉飾決算20件
2024年(暦年)320件の内訳は以下のとおりです(東京商工リサーチ集計)。
- 税金関連:176件(前年比91.3%増)
- その他(詐欺・横領等):73件(同30.3%増)
- 不正受給:39件(前年比69.5%増)
- 粉飾決算:20件(前年比42.8%増)
- 雇用関連:12件(前年比71.4%増)
2024年度(4月〜3月)でも、税金関連172件(同38.7%増)、不正受給42件(同75.0%増)と、税金関連と不正受給の急増が際立ちます。粉飾決算はコロナ禍の2.3倍に達しており、金融機関を通じた実態の隠蔽が、もはや維持できない段階に入っていることを示しています。
2-3. 税金関連急増の背景——コロナ猶予措置の終了
税金関連の急増(前年比91.3%増)の最大の背景は、コロナ禍に講じられた納税猶予措置の終了です。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、2020年4月から2021年2月まで、無担保・延滞税なしで1年間の納税猶予を認める特例が設けられました。これにより一時的に滞納処分が抑制されていた税金が、その後の徴収再開と分割計画失効により、表面化・累積するケースが顕在化しています。
具体的な税務対応については、必ず顧問税理士または税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。納税猶予の再申請、換価の猶予、分割納付計画の見直しなど、選択肢は経営状況によって異なります。
2-4. 不正受給の追及は現在進行形
不正受給39件(前年比69.5%増)には、雇用調整助成金・持続化給付金・月次支援金・事業復活支援金などの不正受給に係る案件が含まれます。コロナ期に支給された各種給付金・助成金について、政府・自治体・労働局は不正受給者の公表と返還請求を継続しており、企業信用への影響は長期にわたります。
厚生労働省は雇用調整助成金等の不正受給事業所名を都道府県労働局単位で公表しており、検索可能な形で情報が蓄積されています。一度公表されると、新規取引・新規融資・新規採用のすべてに長期間の悪影響を及ぼすため、不正の有無に関する内部点検は喫緊の経営課題です。
2-5. 粉飾決算がコロナ前の2.3倍——「もう隠せない」段階
粉飾決算20件は、コロナ禍前と比べて2.3倍の水準に達しました。粉飾決算の手口は、売上の架空計上、棚卸資産・売掛金・建設仮勘定の水増し、費用の過少計上など多岐にわたります。コロナ期の業績悪化を一時的に隠蔽する手段として用いられたケースも含まれているとみられ、金融機関の融資判断を歪める結果として、債権者・取引先に深刻な被害を与える事案が増加しています。
業種別では、サービス業他104件(前年比57.5%増)、建設業59件(同103.4%増)、製造業39件(同105.2%増)と、建設業と製造業で2倍超の急増が目立ちます。コロナ禍の延命策が、業種別に異なる時期で清算局面を迎えていることがわかります。
3. 信用保証協会の代位弁済——10年ぶり高水準が意味するもの
3-1. 代位弁済10年ぶり高水準——2024年の数字
信用保証協会は、信用保証付き融資について、債務者が返済不能となった場合に金融機関に対して肩代わり弁済(代位弁済)を行います。日本経済新聞の報道(2025年2月)によれば、2024年の信用保証協会による代位弁済は4万8,270件・前年比16%増、代位弁済額5,515億円・同18%増で、2014年以来の10年ぶり高水準となりました。
東京都内の数字を見ても、2024年4〜12月で653億円・前年同期比24%増と、首都圏でも大きく増加しています。代位弁済が増えるということは、ゼロゼロ融資を含む信用保証付き融資の返済が滞り、保証協会が金融機関に肩代わり弁済を行うケースが急増していることを意味します。
3-2. コロナ借換保証は2024年6月末に一般向け終了
2023年1月から始まった「伴走支援型特別保証(コロナ借換保証)」は、ゼロゼロ融資の借換需要を受け止める制度として運用されてきました。保証限度額1億円(民間ゼロゼロ融資の上限6,000万円を上回る水準)で、経営行動計画書の策定と金融機関による継続的な伴走支援を条件としています。
この制度の一般向け申込受付は2024年6月末で終了しました(中小企業庁公表)。借換需要を受け止める制度的な「逃げ道」が一段階狭まったことになり、これも代位弁済の増加要因となっています。現在は、利用可能な信用保証制度を個別に確認したうえで、金融機関と直接相談する形が中心となっています。
3-3. 代位弁済後の「回収請求」——経営者個人への求償リスク
ここで、特に60代の中小企業オーナー経営者に注意していただきたいのが、代位弁済後の「回収請求」です。信用保証協会が金融機関に対して代位弁済を行うと、保証協会は債権者の地位を承継し、債務者(および連帯保証人=経営者個人)に対する回収請求権を取得します。
つまり、代位弁済が行われたからといって借入金が消滅するわけではなく、債権者が「金融機関」から「保証協会」に変わるだけです。経営者保証(連帯保証)が付されている場合、経営者個人への求償が継続します。この求償債務の存在を見落とすと、事業再生・自己破産等のスキーム選択を誤ることになるため、極めて重要なポイントです。
3-4. 経営者保証ガイドラインの活用——早期相談が分かれ道
経営者個人の連帯保証債務については、「経営者保証に関するガイドライン」(日本商工会議所・全国銀行協会、2013年12月公表)に基づく整理を活用できる可能性があります。同ガイドラインは法的拘束力のある法令ではありませんが、金融機関が遵守する自主ルールとして広く運用されており、一定の要件を満たせば、自宅・一定の生活費の確保などの便宜が図られる場合があります。
具体的なガイドライン適用の要否、対象資産・債務の範囲、必要書類、交渉戦術については、必ず弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。詳細は当社の経営者保証ガイドラインの活用解説ページもあわせてご参照ください。
4. 政府・金融機関が用意する再生スキームの現状(2024〜2026年)
4-1. 中小企業の事業再生等に関するガイドラインの2024年改定
2022年4月に施行された「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(事業再生研究会、全国銀行協会・金融庁が事務局支援)は、平時・有事・再生計画成立後の各段階における債務者・債権者・実務専門家の役割を明確化した、中小企業向けの私的整理手続のガイドラインです。
2024年1月に一部改定が行われ、同年4月1日から改定版が適用されています(金融庁・全国銀行協会公表)。改定では、廃業型整理の手続明確化、再生計画における経営者責任の取扱い、対象債権者の範囲、公正な価値の算定等について、実務の積み上げを反映した内容となっています。
4-2. 中小企業版私的整理手続——法的整理より迅速・柔軟
同ガイドラインに基づく「中小企業版私的整理手続」は、民事再生法・会社更生法等の法的整理に比べて迅速・柔軟な再生スキームとして位置付けられています。原則として取引債権者は全額弁済とし、金融債権者のみとの調整で再生を図るため、事業継続への影響を最小限に抑えられる点が特徴です。
ただし、対象債権者全員(または一定多数)の同意が必要であるなど、運用上のハードルもあります。具体的な適用可否については、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家に必ずご相談のうえで判断してください。
4-3. 経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度(2024年3月15日開始)
2024年3月15日から、中小企業庁は経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度をスタートさせました。一定の要件(法人と個人の分離、財務基盤の強化、財務状況の適時適切な開示)を満たす中小企業が、保証料率の上乗せを条件に経営者保証を提供しない選択ができる制度です。
あわせて、創業5年以内のスタートアップ向けに、経営者保証を徴求しない制度(保証割合100%・保証限度額3,500万円・無担保)も実施されています。コロナ禍の延命策とは別軸で、経営者個人のリスクを軽減する政策が本格化していることを示しています。
4-4. 事業再生ADR・中小企業活性化協議会
「事業再生ADR」は、経済産業大臣の認証を受けた事業再生実務家協会(JATP)が運営する準則型私的整理手続で、3カ月程度で完結できる迅速性が特徴です。中堅以上の企業が金融債権者と調整して再生を図る場面で活用されます。
中小企業向けには、各都道府県の「中小企業活性化協議会」(旧:中小企業再生支援協議会)が相談窓口を設けています。商工会議所等が運営主体となっており、財務状況の整理、再生計画策定支援、金融機関との調整支援などを無料または低額で受けられます。
4-5. スキーム選択は「いつ動き出すか」で決まる
これらの再生スキームは、動き出すタイミングが選択肢の幅を大きく左右します。資金繰りが完全に行き詰まってから相談を始めると、選べる手段は法的整理(破産・特別清算等)に限定される傾向があります。逆に、資金繰り余力が3〜6カ月残っているうちに動き出せば、第二会社方式・M&Aによる事業譲渡・私的整理による再生といった、事業継続を前提とした選択肢が現実的になります。
「もう少し様子を見てから」と判断を先送りすることが、結果的に経営者・従業員・取引先・地域社会のすべてに大きな損失をもたらす——これが、コロナ禍以降のM&A・事業再生の現場から見えてきた共通項です。
5. コンプライアンス違反を抱える企業の現実的な選択肢
5-1. 通常M&Aでは買い手が見つかりにくい理由
コンプライアンス違反、特に税金滞納・不正受給・粉飾決算を抱える企業については、通常のM&A(株式譲渡)では買い手が見つかりにくいのが実情です。理由は以下のとおりです。
- 株式譲渡では、会社の負債・偶発債務・コンプライアンスリスクをすべて承継する形となるため、買い手のデューデリジェンスで発見されたリスクは、価格減額または案件中止の理由となる
- 不正受給の公表により信用情報・ブランドが毀損している場合、買収後のレピュテーションリスクが買い手側にも波及する
- 取引先・金融機関との関係が既に悪化している場合、買収後の事業継続に支障が生じる懸念がある
このため、通常のM&Aを前提とした検討では「打つ手がない」という結論になりがちです。
5-2. 第二会社方式——健全な事業を切り出して再生
こうした状況で実務上有力な選択肢となるのが、第二会社方式による事業再生です。第二会社方式は、健全な事業と従業員を新会社(第二会社)に移転し、旧会社の負債・コンプライアンスリスク・偶発債務は弁護士と連携して整理する手法です。
具体的には、会社分割または事業譲渡のスキームを用いて、収益性のある事業部門・主要顧客・主要従業員・必要な資産を新会社に移します。旧会社は債権者との交渉のうえで清算または特別清算等の手続を進めます。新会社は健全な事業のみを承継するため、買い手(スポンサー)が見つかりやすくなる点が大きな利点です。
詳細は当社の第二会社方式による事業再生解説ページもご参照ください。具体的なスキーム設計は、企業ごとの事情・債権者構成・税務影響等によって大きく異なるため、必ず弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談のうえで進めてください。
5-3. 税金は免責対象外——自己破産しても消滅しない
第二会社方式や経営者の自己破産を検討する際、必ず押さえておくべき重要事項が、税金(国税・地方税)は免責対象外であるという点です。自己破産手続が開始され免責が認められても、所得税・法人税・消費税・住民税・固定資産税等の租税債務は消滅しません(破産法253条1項1号)。
このため、税金滞納を抱える経営者については、第二会社方式により新会社の役員・従業員として給与所得を得ながら、分割納付計画を結んで滞納税を返済していく形が現実的な道筋となる場合があります。具体的な納税猶予・分割納付・換価の猶予等の手続については、必ず顧問税理士または税理士法人にご相談ください。
5-4. 早期相談が選択肢の幅を広げる
これら一連の再生スキームに共通する原則は、「早期相談が選択肢の幅を広げる」という一点に尽きます。資金繰りが完全に枯渇してから動き出すと、第二会社方式の準備期間(弁護士による債権者交渉、新会社設立、事業譲渡契約、税務処理等)が確保できず、結果として法的整理(破産)に追い込まれることになります。
「あと3〜6カ月の運転資金がある」というタイミングで動き出せれば、第二会社方式・M&A・私的整理など、事業継続を前提とした複数の選択肢を検討する余裕が生まれます。顧問弁護士・税理士・公認会計士等の専門家と相談しながら、早めに動き出すことをお勧めします。
5-5. 「眠れない夜」を一人で抱えないでほしい
当社のサイト分析では、近年「経営者 死にたくなる」というキーワードで検索してたどり着く方が増えています。コンプライアンス違反、ゼロゼロ融資の返済、代位弁済、税金滞納——こうした問題を一人で抱え込み、出口が見えない夜を過ごしている経営者の方が、確実にいらっしゃるということだと受け止めています。
JFSCは、中小企業庁M&A支援機関登録事業者・一般社団法人 M&A 支援機関協会(M&A支援機関協会、略称MAAA)正会員として、第三者の立場から経営者の方の状況をお聞きし、顧問弁護士・税理士・公認会計士等と連携しながら、現実的な選択肢を一緒に整理していくセカンドオピニオン的な支援を行っています。秘密厳守、初回相談無料、判断の撤回は最後まで自由です。
6. 60代オーナー経営者が「今、何をすべきか」——5つの実務示唆
6-1.(1)資金繰り表の「3〜6カ月先」までの可視化
まず最初にやるべきことは、向こう3〜6カ月の資金繰り表の作成です。月次レベルではなく、できれば週次レベルで売上入金・仕入支払・人件費・税金・社会保険料・借入返済の見込みを書き出し、いつ資金がショートする可能性があるかを正確に把握します。
「なんとかなる」という感覚的な判断は、コンプライアンス違反倒産が320件・過去最多となった現在の局面では極めて危険です。資金繰り表があれば、少なくとも3カ月前には動き出すべきタイミングが明確になります。
6-2.(2)コンプライアンス違反の「自己点検」
次に、自社のコンプライアンス違反リスクの自己点検を行います。具体的には以下の項目です。
- 税金(法人税・消費税・所得税・住民税・固定資産税・社会保険料)の滞納状況
- コロナ期の各種給付金・助成金の受給要件適合性(雇用調整助成金、持続化給付金、月次支援金、事業復活支援金等)
- 金融機関に提出した決算書・試算表との実態整合性(在庫・売掛金・建設仮勘定の水準)
- 労務関連(残業代未払、社会保険未加入、解雇予告手当未払等)
- 許認可・業法関連(建設業許可、宅建業免許、産業廃棄物収集運搬業許可、薬機法、食品衛生法等)
これらの自己点検は、顧問税理士・社会保険労務士・行政書士等と連携して進めることをお勧めします。早期発見・早期対応が、ダメージの最小化につながります。
6-3.(3)金融機関との関係維持——情報共有を継続する
資金繰りが厳しくなったとき、金融機関への報告を遅らせる経営者の方が少なくありません。しかし、これは逆効果であることが多いというのが、再生実務に携わってきた立場からの実感です。
金融機関は、業績が悪化している企業について定期的な情報共有・相談を行っている取引先に対しては、伴走支援型のリスケジュール(返済猶予)等にも応じやすい傾向があります。逆に、報告が途絶えてから倒産直前に相談に来られた場合、信頼関係を再構築する時間がなく、形式的な対応に留まらざるを得ません。
月次試算表・資金繰り表の共有、半期に1回の経営計画報告など、業績悪化時こそ情報共有を厚くする姿勢が、選択肢を残すための基本動作です。
6-4.(4)経営者保証ガイドラインの活用検討
事業再生・廃業を視野に入れる場面では、「経営者保証に関するガイドライン」の活用可能性を早期に検討してください。同ガイドラインは、一定の要件を満たす場合、自宅・一定の生活費の確保などの便宜を図ることを金融機関に要請する自主ルールです。
2024年3月から始まった経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度も含め、経営者個人のリスク軽減に関する政策メニューは大きく拡充されています。具体的な活用可否・必要書類・交渉戦術については、必ず弁護士にご相談ください。
6-5.(5)第三者への早期相談——「黙って抱え込まない」
そして最後に、最も大切なことを申し上げます。一人で抱え込まないでください。顧問弁護士・税理士・公認会計士、商工会議所、中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センター(独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営)、当社のようなM&A支援機関——相談先は複数あります。
「経営者 死にたくなる」と検索する夜を、一人で過ごす必要はありません。第三者に話すだけで整理できることは多く、専門家と一緒に選択肢を並べて検討すれば、思いもよらなかった道筋が見えてくることもあります。判断は最後まで経営者ご自身のものです。相談したからといって、何かを契約したり実行したりしなければならないわけではありません。
結び——「淘汰の局面」を、選択肢の局面に変える
2025年末時点で累計2,225件に達したゼロゼロ融資後倒産、2024年に過去最多320件を記録したコンプライアンス違反倒産、2014年以来10年ぶり高水準となった信用保証協会の代位弁済——これらの数字が示すのは、コロナ禍で一時的に延命された企業群が、確実に淘汰の局面に入っているという冷徹な事実です。
同時に、政府・金融機関側でも、2024年改定の事業再生ガイドライン、2024年3月開始の経営者保証選択制度、中小企業活性化協議会、事業再生ADR、第二会社方式など、再生・承継を支援するメニューは、コロナ禍を経て大きく拡充されています。「打つ手がない」のではなく、「打つ手を選ぶための時間と情報がない」ことが、現実の経営者の困難であることが多いと実感します。
株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁M&A支援機関登録、一般社団法人 M&A 支援機関協会 正会員)では、ゼロゼロ融資後の資金繰り、コンプライアンス違反を抱える企業の事業再生、第二会社方式による事業継続、経営者保証ガイドラインの活用、M&Aによる事業譲渡など、顧問弁護士・税理士・公認会計士等と連携しながら、売り手・経営者の利益最大化とリスク回避を最優先するセカンドオピニオン的な立場でご相談を承っています。
初回相談無料・秘密厳守・判断の撤回は最後まで自由です。「眠れない夜」を一人で抱える前に、いつでもお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
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主な一次ソース・参考資料
- 東京商工リサーチ「2025年ゼロゼロ融資利用後倒産433件」
- 東京商工リサーチ「2024年上半期ゼロゼロ融資利用後倒産327件」
- 帝国データバンク「ゼロゼロ融資後倒産動向調査(2025年上半期)」
- 東京商工リサーチ「2024年コンプライアンス違反倒産320件(過去最多)」
- 東京商工リサーチ「2024年度コンプライアンス違反倒産317件(過去最多)」
- 東京商工リサーチ「2024年全国企業倒産10,006件(13年ぶり高水準)」
- 金融庁「中小企業の事業再生等に関するガイドラインおよびQ&Aの改定について(2024年1月)」
- 全国銀行協会「中小企業の事業再生等に関するガイドライン(令和6年1月一部改定版)」(PDF)
- 中小企業庁「コロナ借換保証(伴走支援型特別保証)」
- 中小企業庁「経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度(2024年3月15日開始)」
- 日本経済新聞「代位弁済、10年ぶり高水準 昨年4.8万件」
- 帝国データバンク「2024年度倒産集計報(4月〜3月)」
守秘義務と免責事項
本記事は、公表されている一次ソース(東京商工リサーチ調査・帝国データバンク調査、金融庁・中小企業庁・全国銀行協会の公表資料、日本経済新聞報道等)に基づき、株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁 M&A 支援機関 登録、一般社団法人 M&A 支援機関協会 正会員)が独自の視点で構成・整理した解説記事です。記載内容は記事公開時点(2026年4月)のものです。
個別の法務・税務・財務的判断、特に税金滞納・不正受給返還・粉飾決算の是正・自己破産・経営者保証ガイドラインの活用・第二会社方式の設計・信用保証協会との求償交渉等に関連する論点については、必ず弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・行政書士等の各専門家にご相談ください。本稿はあくまで、業界構造・統計データ・公開情報に基づく一般的な解説を目的とするものであり、個別案件の判断を代替するものではありません。
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本記事は 2023年10月16日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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