第二会社方式はどれくらい使われているのですか?
本記事は、株式会社日本財務戦略センター 代表取締役 五十嵐悠一(M&Aアドバイザー)の監修のもと、中小企業庁「中小M&Aガイドライン第3版」に準拠して執筆しています。
中小企業庁「中小企業再生支援協議会の利用実績」によれば、令和3年3月までの債権放棄案件1,409件のうち1,052件(約75%)が、再生支援協議会を通じて第二会社方式を活用しています。中小企業の事業再生において極めて有効な手法であることがデータから読み取れます。
第二会社方式とは具体的にどのようなスキームですか?
過剰債務や不採算事業を抱え債務超過に陥った企業(旧会社)から、収益性のある優良事業(Good事業)のみを事業譲渡または会社分割で別の新会社(第二会社)へ移転し、不採算部門と過剰債務は旧会社に残して最終的に清算します。債権者(金融機関)にとっては債権放棄に伴う損金算入の税務メリットがあり、債務免除の合意形成が比較的得やすい点が特徴です。整理後の健全な新会社にはスポンサー出資や金融支援も入りやすくなります。
手続きはどのような流れで進むのですか?
- 事業の分離とスキーム選択:Good事業/Bad事業を切り分け、事業譲渡型か会社分割型かを選択。許認可の承継可否、従業員の移籍条件、税務影響を総合的に判断します。許認可が承継しやすい会社分割が有利な事例(温泉利用許可が課題となった老舗旅館の再生など)もあります。
- 受け皿会社(第二会社)の設立:新経営陣・資本構成を設計。外部スポンサーを募る場合は事業計画の実現可能性で信頼を獲得します。
- Good事業の移転:資産・負債の範囲を特定し、公正な時価で評価。譲渡対価が不適切だと債権者から会社法上の問題提起や民法上の詐害行為取消権を行使されるリスクがあります。公認会計士・不動産鑑定士の客観的評価が推奨されます。
- 旧会社の法的整理手続き:特別清算や破産でBad事業・過剰債務を処理。経営者保証ガイドラインの活用で、経営者個人の保証債務整理を進められた製造業の事例もあります。
第二会社方式のメリットは何ですか?
- 優良事業の温存と利益体質化:不採算事業・過剰債務から切り離し、Good事業の収益力を最大化。
- 従業員・取引先への影響最小化:事業継続による信用維持。
- 債務免除益課税の回避可能性:事業譲渡損や不良債権・不良在庫の損金計上で課税所得を圧縮可能。
- スポンサーの参画余地:整理後の財務透明性向上で外部投資家・金融機関の信用が得やすい。
逆にデメリットや注意点は何ですか?
- 許認可の再取得コストと時間:事業譲渡型では許認可の再取得が必要となる場合が多く、関係省庁(経産省・国交省・厚労省)への事前確認が必須です。
- 不動産移転コスト:不動産取得税・登録免許税が発生。事業計画に織り込みます。
- 新会社の資金調達難:スポンサー出資、日本政策金融公庫融資、既存取引行との関係再構築を組み合わせて対応します。
- 旧会社の清算費用:弁護士費用・裁判所予納金が必要。
- 債権者からの法的措置リスク:債権者を無視した移転や不適切な譲渡対価は詐害行為取消権の対象。債権者会議の開催・情報開示・公正評価による合意形成が再生計画頓挫を防ぐ最重要論点です。
税制面ではどのような点に注意すべきですか?
第二会社方式の重要メリットは債務免除益課税を回避できる可能性です。旧会社から新会社へ資産・負債を時価移転する際に、含み損資産の譲渡損や不良債権・不良在庫の損金計上で、債務免除益と相殺できる場合があります。多額の繰越欠損金がある場合の活用余地も大きいです。一方、滞納税金がある場合や特殊関係者への譲渡の場合は税金が移転する/優遇措置が適用されないなど例外があります。国税庁の関連通達を確認の上、税務上の具体的判断は税理士法に基づき、必ず顧問税理士・税理士法人にご相談ください。
スポンサー型再建の比率はどう変化していますか?
経産省「中小企業再生支援協議会の利用実績について」(PDF)によれば、再生支援協議会のスポンサー型再建の割合は2013年23%から令和元年には80%近くまで上昇し、再建数自体も52件→131件と2.5倍に増加。M&A市場の成熟と事業承継問題の深刻化を背景に、外部資本・知見を活用した抜本的再生が一般的選択肢となっています。
日本財務戦略センター(JFSC)(株式会社日本財務戦略センター)では、長年のM&A支援知見と事業再生を得意とする提携法律事務所の専門性を組み合わせ、債権者調整・経営者保証解除交渉・スキーム策定までを一貫支援します。事業再生支援サービスの詳細はこちら。M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。JFSCではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております。
よくあるご質問
第二会社方式は事業譲渡型と会社分割型のどちらを選ぶべきですか?
許認可の承継可否、取引先契約の引継ぎ、従業員の移籍条件、税務影響を総合勘案して決めます。特定の許認可が事業継続に不可欠で再取得が困難な場合は会社分割が有利となるケースが多く、温泉利用許可が論点となった老舗旅館の事例でも会社分割が選ばれました。具体的なスキーム選択は弁護士・税理士にご相談ください。
債権者から詐害行為取消権を行使されないためにはどうすべきですか?
公正な時価評価による譲渡対価の設定、債権者会議の開催、情報開示の徹底、債務免除の合理性についての丁寧な説明が不可欠です。公認会計士・不動産鑑定士の客観評価書、事業計画の実現可能性資料、経営者保証ガイドラインに沿った対応を組み合わせ、債権者との合意形成を計画初期から積み上げます。
債務免除益課税は本当に回避できるのですか?
事業譲渡損・不良債権/在庫の損金計上、繰越欠損金との相殺などで圧縮できる可能性はありますが、滞納税金や特殊関係者への譲渡など例外要件があります。最新の国税庁通達も含めた個別具体の判断は、税理士法に基づき必ず税理士にご相談いただく必要があります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2023年8月18日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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