2023.07.25 M&A実務 プロセス手順

スタートアップ創出促進保証制度のM&A活用戦略:経営者保証不要で事業承継を加速

スタートアップ創出促進保証制度とは、創業予定者や創業後5年未満の法人を対象に、経営者の個人保証を不要とする新たな信用保証制度です。起業家の心理的・経済的負担を軽減し、日本経済のダイナミズムと成長を促すことを目的として、2023年3月に中小企業が開始しました。

スタートアップ創出促進保証制度とは?その目的と概要

「スタートアップ創出促進保証制度」は、経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度です。2022年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に基づき、2023年3月15日に中小企業庁が開始しました。

なぜこの制度が必要とされたのですか?

日本では、起業に関心を持つ層の約8割が「借金や個人保証を抱えること」を懸念しており、これが起業・創業の大きな阻害要因となっていました。この課題を解決し、日本経済のダイナミズムと成長を促すため、経済産業省が推進する「スタートアップ育成5か年計画」とも連動し、本制度が導入されました。

制度の対象と利用条件を教えてください。

本制度の対象は、創業予定者や創業後5年未満の法人です。保証限度額は3,500万円、保証期間は10年以内と設定されています。担保や保証人は不要ですが、創業計画書や自己資金の有無などの条件を満たす必要があります。金利は金融機関所定、保証料率は各信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せされます。

また、本制度による融資を受けた企業は、原則として会社設立から3年目および5年目に、中小企業活性化協議会によるガバナンス体制の整備に関する確認と助言を受けることが求められます。これは、創業者の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に繋げることを目的としています。

制度のメリットとM&A実務における留意点

本制度の利用を検討する上で、メリットとデメリットを理解しておくことが重要です。

どのようなメリットがありますか?

デメリットや注意点はありますか?

M&Aに活用する独自の戦略:SPCを通じた資金調達

この制度をM&Aに活用するユニークなスキームも考えられます。例えば、起業時にM&Aを目的としたSPC(特別目的会社)を設立し、そのSPCで連帯保証のついていない3,500万円の融資を受け、買収資金に充てるというものです。このスキームは、M&Aを通じた新たな事業創造や事業承継を検討する起業家にとって、非常に魅力的な選択肢となり得ます。

金融機関との交渉で成功するためのポイントは何ですか?

このスキームを実現するためには、金融機関との事前の調整が不可欠です。M&Aアドバイザリーの専門家と連携し、以下の点を明確に伝えることが成功の鍵となります。

M&A活用におけるリスクと対策はありますか?

このスキームにはいくつかのリスクも伴います。これらのリスクを事前に認識し、適切な対策を講じることが重要です。

この制度をM&Aに活用できれば、連帯保証を切り離してスモール企業を取得することで、起業家が早期にまとまった規模の組織にジョインし、事業を加速させることが可能になると考えられます。M&A実務に精通した専門家が、貴社の状況に応じた最適な戦略をご提案いたします。

よくあるご質問

スタートアップ創出促進保証制度の最大のメリットは何ですか?

この制度の最大のメリットは、創業時の資金調達において経営者の個人保証が不要となる点です。これにより、起業家は心理的・経済的負担を軽減し、より積極的に事業に挑戦できるようになります。

この制度はM&Aや事業承継にも活用できますか?

はい、M&Aアドバイザリーの専門家と連携することで、M&Aや事業承継の資金調達に活用できる可能性があります。特に、SPC(特別目的会社)を設立し、買収資金の一部に充てる独自の戦略が考えられます。

M&A目的で制度を利用する際、金融機関との交渉で重要なポイントは何ですか?

M&Aの目的が「広義の創業」に合致すること、買収対象企業の明確な評価、実現可能な返済計画、SPCの適切なガバナンス体制、そしてM&Aアドバイザーや税理士弁護士といった専門家との連携を示すことが重要です。

公開日: 2023年7月25日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する0問の計10問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2023年7月25日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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