2026.01.14 事業承継

【倒産寸前から救出】「社員をバラバラにしたくない」オーナー必読|全員雇用維持M&A実話

暗い場所にいる経営者

LAST UPDATED最新の法令・税制に基づいて更新しています

この記事の要点
  • 1.資金繰りに行き詰まり倒産寸前だった建設会社が、M&Aで社員全員の雇用を守った実話です。
  • 2.M&Aは「身売り」ではなく、社員の生活と会社の未来を守るための積極的な経営戦略なのです。
  • 3.廃業以外の選択肢として、会社と社員を救う「正しい再生」の具体的な進め方がわかります。

「私が辞めたら、あいつらはどうなるのか」。その問いに、私は「今まで以上の幸せがあるのでは」と、答えたい。

日本財務戦略センター代表の五十嵐悠一です。 これまで多くの経営者様の「去り際」に立ち会ってきましたが、どの方も最後に必ず、最も切実な表情で口にされるのは、譲渡代金のことではありません。
それは「残される社員の雇用と生活」についてでした。

「親代わりのつもりで接してきた」。
そんな大切な社員を、見ず知らずの他社に預けて本当に大丈夫なのか。
その不安こそが、M&Aを躊躇させる最大の要因であるのは間違いないでしょう。

しかし経営者の本当の役割は、会社を「存続させる」こと、そして「社員の未来」に責任を持つことです。
例えば資金繰りの悪化を一人で抱え込み、解決を先送りにすることこそが、実は社員を最も危険な崖っぷちへ立たせている可能性につながります。
現実を見つめ直し経営と従業員の将来を考える必要があるでしょう。
今回ご紹介するのは、「もしあの時動かなければ、バラバラになっていたはずの組織」を救った、兵庫県での真実の物語です。


関西の名門が「地獄」の淵から全員残留を果たした再起劇

関西、都市間エリアでもその名を知られたある建設会社の事例です。
長年、高い施工精度で地域インフラを支えてきましたが、近年の状況はあまりに過酷でした。

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大手受注先からの不当な「買い叩き」に加え、コロナ禍による工事中断と資材高騰が追い打ちをかけます。
私たちが相談を受けた当初、60代の社長はまだ多くを語らず余裕すら浮かべる状況でした。しかしそれは最後の虚勢でした。
面談を重ね、再建への道を深く詰めていくにつれ、目を覆いたくなるような壮絶な真実が明らかになっていったのです。

資金繰りに行き詰まっていた社長は、一発逆転を狙い、ある工務店から土地を購入していました。
その工務店にマンション工事を発注し、完成させて転売し、譲渡利益を出す。
実はそれが最後の望みでした。
しかし実はそれは詐欺にあったも同然な状況だったのです。
というのも、工事は途中で放棄され、マンションは未完成のまま放置。引き渡しができなくなったことで、巨額の負債だけが残りました。

この致命的な打撃を隠し、社員に給料を払い続けるためには運転資金が必要です。
社長は不本意ながらも融資を受けるため「粉飾(固定資産の過大評価)」に手を染めていました。
しかしうすうす金融機関も実態を察知したのでしょう。
コロナ融資などを行う代わりに、定期預金を拘束するなどの縛りがかかり、その後、金融機関からは、容赦ない「貸し剥がし」が始まります。

社長は、最後、絞り出すような声で私に言いました。
「五十嵐さん、どうしていいかわからへんねん。でも、何も知らずに働いているあいつら(社員)や取引先に迷惑をかけることが申し訳ないんや」

この時になってようやく、社長は現在の会社の状況を正直に申告してくれたのです。

私は提案しました。「廃業や夜逃げは、社員も社長もご家族を最も不幸にします。今の状況をすべて詳らかにした上で、プロの手を借りた『正しい再生』を選びましょう。貴社の『現場の腕』を必要とするスポンサーを探す。これが、社員と会社を救う唯一の道です」と。

ここから、私と優秀な弁護士チームによる、緻密な救済劇が始まりました。

まず行ったのは、スポンサーとなる受け皿の起業の探索です。
先方には現状の状況を説明し、事業再生を行う前提であれば事業と役職員を引き受ける旨の了解を取り付けました。
その次は「法に則った適切な債務整理」です。金融機関等の債権者に対し、実態を誠実に開示した上で、事業継続を前提とした法的スキームを提示。
差し押さえ等による現場の停止という最悪の事態を回避しました。

同時に、社長が最も心を砕いたのが「長年支えてくれた取引先への信義」でした。
一方的な通知で混乱を招くのではなく、スポンサー企業とともに一社一社に対して最後まで誠実な対話を尽くすことで、サプライチェーンを繋ぎ止め、将来への道筋を整えました。

交渉のテーブルで、社長は魂を削る思いで訴え続けました。
「私はどうなってもいい。しかし、信じてついてきてくれた社員だけは助けてほしい。本人が残留を希望する場合には、役員を含め全員を新会社で受け入れてほしい。これだけは譲れません」

スポンサーも了承し、M&A(事業譲渡)が成約。結果として、残留を希望した役員・従業員は、一人欠けることなく新会社へと引き継がれました。

これは社長が正直に現状を当職に伝えてから3か月程度の出来事です。
成約から1年後。かつての恐怖から解放され、以前と同じ馴染みの仲間たちが誇りを持って腕を振るっています。
驚くべきことに、成約後1年で黒字化したとスポンサー企業からも喜びの連絡が入ってきました。
もともと地力のある会社だったので、一緒に建て直す相手がいたら利益を出すことなど難しいことではなかったのです。

「あの時、一人で悩んでギャンブルに走ったり廃業を選んでいたら、この光景はなかった。あいつらがバラバラにならず、今も同じ現場で笑い合えている。それが私の、最後の仕事だったんだな」

社長が最後に見せた涙は、重責から解放された安堵と、愛する社員を守り抜いた創業者としての誇りに満ちていました。


M&Aは「身売り」ではなく「社員を守るための戦略」

現在、国も「従業員の雇用維持」を最優先事項としています。中小企業が策定した「中小M&Aガイドライン」においても、譲受側(買い手)に対して従業員の処遇や雇用維持への配慮が強く求められています。

参考資料: 中小企業庁:中小M&Aガイドライン(第3版) ※「従業員の雇用維持や処遇への配慮は、円滑な事業承継の鍵である」と明記されています。

また、レコフデータの調査によれば、成約したM&Aの大多数において雇用継続が条件となっており、多くの場合、譲渡後の方が福利厚生や給与体系が改善する傾向にあります。


2026年。M&Aは「会社を救い、人生を守る」ための積極的選択です。

今回ご紹介した兵庫県の事例が教えてくれるのは、「どれほど絶望的な状況であっても、一人で抱え込むのをやめ、正しく専門家を頼れば、必ず道は拓ける」という事実ではないでしょうか。

「『いずれ考えよう』。その先送りが、社員の人生と貴社の価値を、取り返しのつかない形で損なっているかもしれません」

今日知る「現在地」が、明日からの経営の景色を変え、社員を救う唯一の鍵となります。追い込まれた状況でも、相談したことで道が拓けた事例は数多くあります。まずは「社員はどうなるか」を一緒に考える時間だけでも、お気軽にご連絡ください。決算書は必要ありません。

日本財務戦略センターは、そんなオーナー様の「社員への愛」を形にするための、最後にして最強の砦となります。

どんなお悩みの方もぜひ弊社までお気軽にご相談ください!

五十嵐 悠一(日本財務戦略センター 代表取締役)

公開日: 2026年1月14日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する5問の計15問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. 記事にあったように、資金繰りの悪化から粉飾決算に手を染めてしまい、金融機関から貸し剥がしを受けている状況でも、M&Aによる会社再生は可能なのでしょうか?
A. 資金繰りの悪化や過去の不適切な会計処理があった場合でも、M&Aによる再生の可能性はございます。重要なのは、現状を正確に把握し、専門家と共に法に則った適切な債務整理と事業継続のスキームを構築することです。誠実な情報開示と交渉を通じて、金融機関を含む債権者との合意形成を目指します。
本記事Q12. 社員全員の雇用維持を最優先したい場合、どのようなM&Aスキームが適しているのでしょうか。また、記事のように役員も残留できるケースは一般的ですか?
A. 社員全員の雇用維持を最優先する場合、事業譲渡(Business Transfer)などのスキームが有効な選択肢となり得ます。買収側企業が事業と従業員を包括的に引き継ぐことで、雇用の継続性を高めることが可能です。役員の残留については、買収側企業の経営方針や事業計画、個々の役員のスキルや経験によって判断が異なりますが、ケースによっては残留が実現することもあります。
本記事Q13. 記事の事例では、社長が現状を正直に伝えてからM&A成約まで約3ヶ月とありましたが、一般的にこれほど短期間での再生は可能なのでしょうか?
A. 記事の事例のように、経営者様が早期に現状を正確に開示し、専門家チームが迅速かつ緻密に動くことで、比較的短期間でのM&A成約に至るケースもございます。しかし、M&Aのプロセスは会社の状況、交渉相手、法的・財務的デューデリジェンス(Due Diligence)の進捗などによって期間が変動するため、一概にこの期間が適用されるわけではありません。
本記事Q14. 記事で「優秀な弁護士チームによる緻密な救済劇」とありましたが、M&Aによる事業再生において、弁護士の役割は具体的にどのようなものですか?
A. M&Aによる事業再生において、弁護士は法的な観点から債務整理のスキーム構築、契約交渉、法的デューデリジェンス(Legal Due Diligence)の実施、そして関係者との調整など多岐にわたる重要な役割を担います。特に、金融機関等の債権者との交渉や、事業譲渡契約書(SPA: Share Purchase Agreement もしくは Business Transfer Agreement)の作成・レビューにおいては、専門的な知見が不可欠です。具体的な状況に応じた法的アドバイスについては、必ず弁護士にご確認ください。
本記事Q15. 資金繰りが厳しく、取引先への迷惑を最小限に抑えたいと考えていますが、記事のようにサプライチェーンを維持しながらM&Aを進めることは可能でしょうか?
A. 資金繰りが厳しい状況下でも、M&Aを通じてサプライチェーンを維持し、取引先への影響を最小限に抑えることは可能です。記事の事例のように、スポンサー企業と共に取引先一社一社に対し誠実な対話を尽くし、事業継続の意思と具体的な計画を伝えることで、信頼関係を再構築し、将来への道筋を整えることができます。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2026年1月14日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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