3行まとめ
- 中小企業事業再編投資損失準備金制度は、令和3年度税制改正で創設された後、令和6年度税制改正で抜本的に拡充されました。現在は「通常枠」(積立率70%・据置5年・取得価額10億円以下)と「拡充枠(中堅・中小グループ化税制)」(積立率最大100%・据置10年・取得価額1億〜100億円)の2本立て構造で運用されています。
- 適用期限はいずれも令和9年(2027年)3月31日までですが、令和8年度税制改正に向けて経済産業省が制度の恒久化を要望しており、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案が2026年3月6日に閣議決定・国会提出済みです(2026年4月現在審議中)。
- 本記事は、制度の全体像・通常枠と拡充枠の比較・税効果試算イメージ・取崩しトリガー・申告書添付など実務論点・最新動向まで、60代経営者にも理解しやすい構成で解説します。本制度の活用可否や個別税務判断は、必ず顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。
はじめに——令和6年改正で「2本立て」になった準備金制度の現在地
中小企業事業再編投資損失準備金制度は、中小企業が他の中小企業の株式を取得するM&Aを実行した際、取得価額の一定割合を準備金として損金算入できる、税制優遇措置です。
令和3年度税制改正で創設された当初は、積立率70%・据置5年・取得価額10億円以下という単一制度でした。しかし、中堅企業へと成長する過程で連続M&Aを行う企業が増加していること、そして事業再編を国全体として加速する政策意図から、令和6年度税制改正で「拡充枠(中堅・中小グループ化税制)」が新設され、現在は通常枠と拡充枠の2本立てで運用されています。
さらに、令和8年度税制改正に向けて経済産業省は本制度の恒久化を要望しており、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案が2026年3月6日に閣議決定・国会提出済みです。本記事執筆時点(2026年4月)では国会審議中ですが、成立すれば「適用期限を意識せず中長期のM&A計画を立てられる」環境が整うことになります。
本記事では、まず通常枠の基本要件を整理し、続いて令和6年9月開始の拡充枠の詳細を解説、両枠の比較表と活用シーン別の選び方、実務上の注意点、最新動向までを通観します。本制度の活用可否・最適なプラン選択は、必ず顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。
1. 【通常枠】積立率70%・据置5年の基本要件
1-1. 対象者と適用要件
通常枠の適用を受けられるのは、租税特別措置法上の中小企業者に該当し、青色申告書を提出する法人です。具体的には、資本金1億円以下の法人(資本金1億円超の大法人の子会社等を除く)、または資本金がない法人で従業員1,000人以下の法人が対象となります。
その上で、以下の3要件を満たす必要があります。
- 経営力向上計画の認定:経済産業大臣(業種を所管する主務大臣)に対し、「事業承継等事前調査に関する事項」を記載した経営力向上計画を申請し、認定を受ける必要があります。
- 株式取得型M&Aであること:認定計画に基づき、他の中小企業の株式を「購入により」取得することが要件です。事業譲渡や合併ではなく、株式取得型M&Aが対象となります。
- 取得価額10億円以下:1件あたりの株式取得価額が10億円以下である必要があります。
1-2. 積立率と据置期間
通常枠では、株式取得価額の70%を準備金として損金算入できます。例えば取得価額が5億円であれば、3.5億円を準備金として積み立て、当該事業年度の課税所得から控除する処理になります。
積み立てた準備金は、5年間の据置期間を経過した後、5年間にわたって均等額を益金算入していく取崩し処理を行います。10年スパンで税負担を平準化する設計です。
1-3. 適用期限——令和9年3月31日まで
通常枠の現在の適用期限は、令和9年(2027年)3月31日までに経営力向上計画(事業承継等事前調査事項記載)の認定を受けた場合です。当初は令和6年3月31日が期限でしたが、令和6年度税制改正で3年延長されています。
1-4. 経営力向上計画の申請手続き
経営力向上計画の認定を受けるためには、対象会社のデューデリジェンス(事業承継等事前調査)を実施し、その内容を「事業承継等事前調査チェックシート」にまとめ、計画書本体に添付する必要があります。チェックシートは、財務・税務・法務・労務・環境・知財などの観点から、対象会社の状況とリスクを整理したものです。
このチェックシートの作成と計画策定は、M&Aアドバイザー、税理士、公認会計士、弁護士等の専門家チームと連携して進めることが一般的です。中小M&Aガイドライン(第3版)に沿った適切なデューデリジェンスが、制度適用の前提条件となります。
2. 【拡充枠】令和6年9月開始・最大100%損金算入の「中堅・中小グループ化税制」
2-1. 拡充枠新設の背景
令和6年度税制改正で拡充枠が新設された背景には、中小企業からスタートして中堅企業へと成長する過程で、連続的なM&Aによってグループ化を進める企業が増加してきたことがあります。1回限りのM&Aではなく、年に複数件のM&Aを継続的に行うことで、業界再編・地域内再編を加速させる構想です。
制度の正式名称は「特別事業再編計画に基づく中小企業事業再編投資損失準備金(中堅・中小グループ化税制)」となります。経済産業省・中小企業庁の政策文書では「中堅・中小グループ化税制」と呼ばれることが多くなっています。
2-2. 対象企業の要件
拡充枠の対象企業は、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 特定中堅企業者:産業競争力強化法に定める要件を満たす中堅企業
- 中小企業者:従業員数2,000名以下の中小企業者
さらに、過去5年以内に取得価額1億円以上のM&A(グループ内再編を除く)を少なくとも1回実施していることが前提条件となります。これは「初めてのM&A」では拡充枠を使えず、「2回目以降の連続M&A」が拡充枠の対象になることを意味します。
2-3. 必要な認定——産業競争力強化法の「特別事業再編計画」
拡充枠の活用には、産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」を策定し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。これは通常枠の「経営力向上計画」とは異なる、別途の計画類型です。
特別事業再編計画は、複数回のM&Aを通じてグループ化・事業再編を進める中期的なロードマップを示すものです。一度の認定で複数回のM&Aをカバーできる設計となっています。
2-4. 取得価額・積立率・据置期間
拡充枠の主要パラメータは以下の通りです。
- 取得価額:1件あたり1億円以上100億円以下(通常枠の10倍まで対応)
- 積立率:特別事業再編計画認定後の1回目のM&Aは取得価額の90%、2回目以降は100%
- 据置期間:10年間(通常枠5年の2倍)
- 取崩し:据置期間経過後、5年間で均等額を益金算入
特に注目すべきは、「特別事業再編計画認定後の2回目以降のM&A」では取得価額の100%を損金算入できる点です。たとえば取得価額50億円のM&A(拡充枠の2回目以降)であれば、50億円全額が当該事業年度の損金となります。連続M&A戦略を税制面から強力に後押しする仕組みです。
2-5. 適用期間
拡充枠の適用期間は、令和6年9月2日(産業競争力強化法改正施行日)から令和9年3月31日までに特別事業再編計画の認定を受けた場合です。通常枠と同じく令和9年3月31日が期限となっています。後述する恒久化議論はこの期限の取扱いに関わるものです。
3. 通常枠と拡充枠の比較——ケース別の選び方
3-1. 主要パラメータ比較表
| 項目 | 通常枠 | 拡充枠(中堅・中小グループ化税制) |
|---|---|---|
| 対象企業 | 青色申告を行う中小企業者(租税特別措置法基準) | 特定中堅企業者または従業員2,000名以下の中小企業者 |
| 前提条件 | なし(初回M&Aから利用可) | 過去5年以内に1億円以上のM&A実績(グループ内再編除く)が1回以上 |
| 必要な認定 | 経営力向上計画 | 特別事業再編計画(産業競争力強化法) |
| 取得価額 | 10億円以下 | 1億円以上100億円以下 |
| 積立率 | 取得価額の70% | 認定後1回目90%/2回目以降100% |
| 据置期間 | 5年 | 10年 |
| 取崩し | 据置後5年で均等益金算入 | 据置後5年で均等益金算入 |
| 適用期限 | 令和9年3月31日まで(恒久化議論中) | 令和9年3月31日まで(恒久化議論中) |
3-2. ケース別の選び方
ケースA:初めてのM&Aで小〜中規模案件。取得価額が10億円以下、過去にM&A実績がない場合は、通常枠が選択肢となります。経営力向上計画の認定取得が必要です。
ケースB:連続M&Aで業界再編を狙う中堅企業。過去5年以内に1億円以上のM&A実績があり、今後も複数件のM&Aを継続予定の場合は、拡充枠が選択肢になります。特別事業再編計画の認定で、複数回のM&Aを連続的にカバーできる利点があります。
ケースC:取得価額が10億円超の単発M&A。10億円を超えると通常枠は対象外となります。拡充枠の要件(過去のM&A実績・特別事業再編計画認定)を満たせるか検討する必要があります。
3-3. 税効果試算イメージ(あくまで概算)
通常枠の例として、株式取得価額5億円のケースを試算します。
- 準備金積立額:5億円 × 70% = 3.5億円
- 当該事業年度の損金算入額:3.5億円
- 法人税率(標準税率)23.2%を仮置きした場合の税額軽減効果:3.5億円 × 23.2% ≒ 約8,120万円(あくまで概算、地方税等の効果は別途)
ただし、5年据置後に取崩し(均等益金算入)が始まり、その分の課税所得が増加するため、長期的にはキャッシュフローの平準化措置と理解するのが正確です。試算はあくまで概算であり、所得割・地方税等を含めた実効税率は企業規模・所在地により異なります。個別の税効果試算は必ず顧問税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
具体的な手取り試算や手数料・税金を含めた全体コスト感の整理には、企業価値セルフ試算やM&A手数料・手残り比較もご活用ください。
4. 実務上の注意点——取崩しトリガー・申告書添付・デューデリジェンスとの連動
4-1. 損金経理の必要性
準備金の損金算入には、会計上も準備金として計上する「損金経理」が必須となります。法人税申告書上で別表加減算するだけでは認められません。会計処理としては、貸借対照表の負債の部に「中小企業事業再編投資損失準備金」として計上する取扱いが一般的です。
この会計処理の判断は、企業会計原則・税効果会計との整合性も含めて検討が必要です。必ず顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。
4-2. 申告書への明細書添付
法人税申告書には、「中小企業事業再編投資損失準備金の損金算入に関する明細書」(別表)を添付する必要があります。これに加えて、認定書・確認書の写しも添付要件となります。
明細書では、積立額・取崩額・残高・対象株式の取得価額・対象会社情報などを記載します。複数の指定法人(子会社)がある場合は、各法人別に準備金を個別管理することが必要です。
4-3. 取崩し強制事由——3つのトリガー
据置期間中であっても、以下の事由が生じた場合は、準備金全額(または該当部分)を当該事業年度の益金に算入することが強制されます。
- 取得株式の譲渡:M&Aで取得した株式の全部または一部を売却した場合
- 対象会社の解散:取得した子会社が解散した場合
- 株式の帳簿価額の減額(減資等):減資・評価減などにより取得株式の帳簿価額が減少した場合
これらのトリガーは、「投機的なM&A」ではなく「長期的な事業再編」を促す制度趣旨に基づくものです。M&A後すぐに対象会社を売却・整理する計画がある場合は、本制度の適用がかえって不利になる可能性もあるため、長期保有方針との整合性を事前に検討する必要があります。
4-4. 中小M&Aガイドラインに沿ったデューデリジェンスの実施
本制度の適用は、中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」に沿った適切なデューデリジェンスの実施が前提条件となります。経営力向上計画には「事業承継等事前調査チェックシート」の添付が必要であり、財務・税務・法務・労務・知財・環境などの観点から対象会社を調査した結果を整理する必要があります。
デューデリジェンスは、対象会社の規模・業種・想定リスクに応じて、弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士等の専門家チームで分担して実施するのが一般的です。M&A仲介・FAだけで完結するものではなく、各分野の専門家との連携が不可欠です。
4-5. 関連制度との併用——事業承継・引継ぎ補助金との「ダブル活用」
本制度(税制優遇)と事業承継・引継ぎ補助金(費用補助)は、要件を満たせば併用が可能です。
- 事業承継・引継ぎ補助金:M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用、専門家活用費用などが補助対象となる場合があります。
- 本制度:株式取得価額そのものに対する税負担軽減措置です。
両者は補助対象が異なるため、補助金で初期費用を抑えつつ、本制度で取得価額の税負担を軽減するという「ダブル活用」が有効な戦略になります。具体的な併用の可否・申請順序・補助金返還リスク等は、顧問税理士・行政書士・中小企業診断士等の専門家にご相談ください。
関連する他の支援策として、中小企業経営強化税制(設備投資減税)も同じく経営力向上計画を基盤とする制度ですが、対象は設備投資(機械・器具等)であり、本制度(株式取得)とは別制度です。要件を満たせば両制度の同時申請が可能です。
5. 2026年以降の最新動向——恒久化の方針と産業競争力強化法改正
5-1. 経済産業省による恒久化要望(令和7年12月)
経済産業省は、令和7年(2025年)12月に公表した「令和8年度経済産業関係税制改正について」のなかで、本制度を「期限の定めのない措置(恒久化)」とする方向で要望を行いました。理由として、「事業再編は企業の状況に応じて恒常的に検討されるべきものであり、適用期限の存在が中長期計画立案の阻害要因となっている」との認識が示されています。
恒久化が実現すれば、適用期限(令和9年3月31日)を意識せず、5年〜10年スパンの中長期M&A戦略を立案できる環境が整うことになります。
5-2. 産業競争力強化法等改正法案の閣議決定(2026年3月6日)
2026年3月6日、政府は「産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第221回国会に提出しました。本改正には、特別事業再編計画制度の見直し・拡充に関する規定が含まれており、拡充枠(中堅・中小グループ化税制)の運用にも影響する見込みです。
2026年4月現在、本法案は国会審議中であり、最終的な制度内容は国会成立後の政令等で確定する予定です。本制度の活用を検討中の企業は、施行時期と制度詳細について最新情報を継続的に確認することが必要です。
5-3. M&A実務への影響予測
本制度が恒久化された場合、以下のような実務上の変化が想定されます。
- 中長期M&A戦略の立案が容易に:5〜10年スパンでの連続M&A計画を、適用期限の制約なく策定できるようになります。
- 特別事業再編計画の活用拡大:中堅企業の連続M&A戦略における拡充枠活用が定着していく可能性があります。
- 事業承継ニーズとの接続:後継者不在の中小企業が増加するなか、本制度を活用した第三者承継型M&Aの増加が期待されます。
令和5年度(2023年度)の中小M&A支援機関を通じた成約件数は4,681件(中小企業庁公表)、また経営力向上計画の累計認定件数は令和8年2月28日時点で196,591件(全業種合計)に達しており、本制度の活用基盤は着実に拡大しています。
5-4. 中堅企業政策との連動
本制度の拡充枠(中堅・中小グループ化税制)は、政府の「中堅企業政策」の一環として位置づけられています。中小企業から中堅企業へと成長する過程で、連続M&Aによってグループ化を進める企業を、税制面から支援する構想です。
地方経済の活性化、後継者不在企業の受け皿確保、業界再編の加速など、複数の政策目標を同時に追求する制度として、今後の運用拡大が見込まれます。業種別の活用事例については、業種別M&A支援ページもご参照ください。
6. 制度活用に向けた実務ステップと専門家活用のポイント
6-1. ステップ1:M&A相手方の選定とデューデリジェンス
本制度の活用は、M&A相手方の選定段階から始まります。中小M&Aガイドライン(第3版)に沿った適切なデューデリジェンスを実施し、その内容を「事業承継等事前調査チェックシート」に整理する必要があります。
デューデリジェンスは、対象会社の財務・税務・法務・労務・知財・環境・事業などの観点から実施します。中小M&Aの場合は、規模に応じて重点項目を絞ったうえで、コストと深度のバランスを取ることが現実的です。具体的な進め方やチェック項目については、M&Aプロセス全体の流れもご参考ください。
6-2. ステップ2:経営力向上計画/特別事業再編計画の申請
通常枠を活用する場合は経営力向上計画、拡充枠を活用する場合は特別事業再編計画を策定し、経済産業大臣(業種を所管する主務大臣)に申請します。計画書には、M&Aの目的・期待されるシナジー・デューデリジェンスの内容・統合プロセス(PMI)(統合後経営)の方針などを記載します。
計画策定は、M&Aアドバイザー、税理士、公認会計士、行政書士等の専門家チームと連携して進めることが一般的です。計画の実現可能性が認定審査の重要ポイントとなるため、書類作成の段階から専門家の支援を受けることが望まれます。
6-3. ステップ3:認定後のM&A実施と確認書交付
計画認定を受けた後、計画に基づいてM&Aを実施します。株式譲渡契約締結、決済、株主名簿書換、登記手続きなど、会社法・商業登記法に則った手続きが必要です。
M&A実施後、主務大臣に対してM&Aの実施報告と確認書の交付を受けます。これにより、計画通りのM&Aが実行されたことが公的に確認され、税務申告時の添付書類が揃うことになります。
6-4. ステップ4:税務申告と準備金の積立
M&Aを実行した事業年度の法人税申告において、以下の処理を行います。
- 会計上、準備金の損金経理(貸借対照表負債の部に計上)
- 法人税申告書に「中小企業事業再編投資損失準備金の損金算入に関する明細書」を添付
- 認定書・確認書の写しを申告書に添付
- 別表加減算で損金算入額を反映
申告手続きの詳細・別表記載要領については、顧問税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。最新の申告様式や記載例は、国税庁ウェブサイトでも確認できます。
6-5. ステップ5:据置期間中・取崩し期間の継続管理
準備金の積立後は、据置期間(通常枠5年・拡充枠10年)の経過後、5年間の均等取崩しを行います。この期間中、対象株式の譲渡・対象会社の解散・帳簿価額の減額などが生じた場合は、取崩し強制事由として全額益金算入が必要となります。
長期にわたる管理が必要なため、社内の経理担当者・顧問税理士・M&Aアドバイザーが情報を共有し、取崩しイベントを見落とさない体制を整備することが重要です。
結び——制度の正確な理解と専門家連携が活用の鍵
中小企業事業再編投資損失準備金制度は、令和3年度の創設以来、令和6年度改正で2本立て構造へと抜本拡充され、令和8年度改正に向けて恒久化議論が進む、政府の中小企業・中堅企業政策の中核に位置づけられた税制優遇措置です。
通常枠と拡充枠では、対象企業・要件・積立率・据置期間が大きく異なるため、自社の状況と中長期M&A戦略に応じた適切な選択が必要です。また、本制度の活用には、中小M&Aガイドラインに沿ったデューデリジェンス、経営力向上計画または特別事業再編計画の認定、損金経理、申告書別表添付など、継続的な実務対応が伴います。
株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁 M&A支援機関 登録、一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員)では、中小・中堅企業のオーナー経営者の皆様の事業承継・M&A・事業譲渡について、売り手・買い手いずれの立場でも、利益最大化とリスク回避を両立するセカンドオピニオン的な立場でご相談を承っています。本制度の活用可否や最適なプラン選択は、顧問税理士・公認会計士・弁護士・行政書士等の各専門家と連携しながら、最適な進め方をご一緒に検討いたします。
判断が固まっていない段階でも、いつでもお気軽にご相談ください(初回相談無料・秘密厳守)。
よくあるご質問(FAQ)
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主な一次ソース・参考資料
- 中小企業庁「中小企業事業再編投資損失準備金(中堅・中小グループ化税制)」公式ページ
- 中小企業庁「経営力向上計画に基づく中小企業事業再編投資損失準備金 概要・手引き(令和6年9月版)」
- 国税庁「第56条《中小企業事業再編投資損失準備金》関係」措置法通達
- 国税庁「令和6年度税制改正の概要(法人税等)F:中小企業事業再編投資損失準備金制度の見直し」
- 経済産業省「令和8年度経済産業関係税制改正について(令和7年12月)」
- 経済産業省「令和6年度経済産業関係税制改正について」
- 経済産業省「産業競争力強化法における特別事業再編計画について(令和6年9月)」
- 経済産業省プレスリリース「産業競争力強化法等改正法案 閣議決定(2026年3月6日)」
- 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」
- 中小企業庁「経営力向上計画 認定状況ページ」
- 国税庁「中小企業事業再編投資損失準備金の損金算入に関する明細書」(別表様式)
- 国税庁「令和6年度改正法人税等 情報・通達(措置法56条関係)」
守秘義務と免責事項
本記事は、公表されている一次ソース(中小企業庁・経済産業省・国税庁の各公式資料、関連法令、政府プレスリリース)に基づき、株式会社 日本財務戦略センター(中小企業庁 M&A支援機関 登録、一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員)が独自の視点で構成・整理した解説記事です。記載内容は記事公開時点(2026年4月)のものであり、令和8年度税制改正および産業競争力強化法等改正法案については2026年4月現在国会審議中であるため、最終的な制度内容は国会成立後の政令等で確定する見込みです。最新情報は中小企業庁・経済産業省・国税庁の公式ページで継続的にご確認ください。
本記事に記載した税効果試算(法人税率23.2%等を用いた概算)は、あくまで標準税率を用いた概算であり、所得割・地方税等を含めた実効税率は企業規模・所在地・各事業年度の課税所得状況により大きく異なります。個別の法務・税務・財務的判断、特に経営力向上計画・特別事業再編計画の認定要件該当性、デューデリジェンスの範囲・深度、申告書別表記載要領、取崩し強制事由の該当性判断、他制度との併用可否などについては、必ず顧問税理士・公認会計士・弁護士・司法書士・行政書士等の各専門家にご相談ください。本稿はあくまで、公開情報に基づく一般的な解説を目的としています。
Q1. 制度の恒久化が検討されているとのことですが、適用期限の令和9年3月31日を過ぎても本制度を利用できるようになるのでしょうか。
経済産業省は令和8年度税制改正に向けて本制度の恒久化を要望しており、関連法案が国会に提出され審議中です。これが成立すれば、適用期限を意識せず中長期的なM&A計画を立てられる環境が整う可能性があります。ただし、最終的な制度内容は国会成立後の政令等で確定します。
Q2. 令和6年度税制改正で「通常枠」と「拡充枠」の2本立てになったとのことですが、自社がどちらの枠を適用できるか、どのように判断すればよいでしょうか。
通常枠は取得価額10億円以下の株式取得型M&Aで積立率70%が基本となり、拡充枠(中堅・中小グループ化税制)は取得価額1億〜100億円で積立率最大100%が適用されます。対象となるM&Aの規模や、特別事業再編計画の認定可否などが選択のポイントとなります。
Q3. 通常枠の適用要件にある「経営力向上計画の認定」とは具体的にどのようなもので、M&A実行前に準備が必要なのでしょうか。
通常枠の適用には、経済産業大臣(または主務大臣)から「事業承継等事前調査に関する事項」を記載した経営力向上計画の認定を受ける必要があります。これはM&A実行前に申請・認定を受ける必要があるため、計画的な準備が求められます。
Q4. 通常枠で株式取得価額の70%を損金算入できるとのことですが、積み立てた準備金はいつ、どのように取り崩すことになるのでしょうか。
積み立てた準備金は、5年間の据置期間を経過した後、その後の5年間にわたって均等額を益金算入する形で取り崩し処理を行います。これにより、税負担を10年スパンで平準化する設計となっています。
Q5. 本制度は「株式取得型M&A」が対象とありますが、事業譲渡や合併といった他のM&A手法では利用できないのでしょうか。また、個別の税務判断について相談したい場合はどうすればよいですか。
本制度は、認定された経営力向上計画に基づき、他の中小企業の株式を「購入により」取得する株式取得型M&Aのみが対象となります。事業譲渡や合併といった他のM&A手法は対象外です。個別のM&Aスキームにおける本制度の適用可否や税務判断については、必ず顧問税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。
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免責事項
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本記事は 2024年1月15日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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