2024.01.18 事業承継

後継者不在率が過去最低に 事業承継の選択肢が増加

この記事の結論:2023年の後継者不在率は53.9%と過去最低、6年連続で改善。事業承継は親族外(内部昇格・M&A・外部招聘)にシフト。M&A件数も過去最高3,928件。一方、後継者難倒産も年間最多更新で、早期準備と専門家サポートが不可欠です。

中小企業後継者不在問題は、日本経済の大きな課題の一つです。しかし近年、この状況に変化の兆しが見え始めています。後継者不在率が低下傾向にある背景には、事業承継に対する意識の変化と、M&Aをはじめとする多様な支援体制の整備・普及があります。

特にM&Aは、単なる企業の売買に留まらず、事業の継続と発展、そして経営者の新たな人生設計を可能にする有効な手段として、多くの企業経営者から注目を集めています。

後継者不在率の低下とM&Aの台頭

帝国データバンクが2023年11月に発表した「全国『後継者不在率』動向調査」によると、後継者がいないまたは未定とした企業は14.6万社にのぼるものの、全国の後継者不在率は53.9%と、調査を開始した2011年以降で過去最低を更新しました。これは6年連続で前年の水準を下回る結果であり、事業承継の重要性が社会全体に浸透し、具体的な対策が講じられてきたことの表れと言えるでしょう。

後継者不在率の低下には、複数の要因が複合的に作用していると考えられます。主な要因は以下の通りです。

後継者不在率の低下とともに、事業承継の方法も多様化しています。特にM&Aは、事業承継の選択肢としてその存在感を増しています。

M&Aとは、企業の事業や株式を第三者に売却し、その対価を受け取るプロセスを指します。売り手企業にとっては、後継者不在による廃業リスクを回避し、長年築き上げてきた事業と従業員の雇用を守るだけでなく、売却益によって経営者の引退後の生活資金を確保できるという大きなメリットがあります。

【事例】地域に根差した製造業A社のM&A成功ストーリー

長年地域に根差した製造業を営んでいたA社の田中社長(仮名)は、70歳を迎え、体力的な限界を感じていました。従業員は15名、皆長年の付き合いで家族同然。しかし、息子は別の道に進み、社内に後継者となる人材も育っていませんでした。このままでは廃業しかなく、長年培ってきた技術と従業員の雇用が失われることに、田中社長は深い責任と無念さを感じ、夜も眠れない日々が続いていました。

ある日、事業承継セミナーでM&Aの可能性を知ります。当初は「会社を売る」ことに抵抗がありましたが、「事業を未来へ繋ぐ」という視点に変わり、従業員の雇用を守るための最善策だと考えるようになりました。日本財務戦略センター(JFSC)に相談し、親身なアドバイスに背中を押され、M&Aを決断しました。

買い手候補が見つかった際、企業文化の違いや、従業員の処遇に関する懸念が浮上しました。特に、長年培ってきた独自の技術やノウハウが正しく評価されるか、従業員が新しい環境に馴染めるかという不安が大きかったのです。JFSCの担当者は、両社の橋渡し役となり、何度も話し合いの場を設け、田中社長の思いを買い手企業に伝え、従業員の雇用条件や待遇について具体的な保証を引き出すことに尽力しました。また、企業価値評価においても、無形資産である技術や顧客基盤の価値を適切に反映させるための交渉を粘り強く行いました。

M&Aが成立し、買い手企業である同業の大手企業(仮名)の傘下に入ったA社は、買い手企業の持つ広範な販売ネットワークと最新の設備投資を受け、製品の生産能力と市場シェアを大幅に拡大。従業員は新たな技術研修を受け、モチベーションも向上しました。田中社長は、顧問として数年間残り、スムーズな引き継ぎをサポートした後、念願だった趣味の旅行を満喫する日々を送っています。従業員からは「社長、本当にありがとうございました」と感謝の言葉が寄せられ、田中社長は「M&Aは、私だけでなく、従業員、そして地域にとっても最良の選択だった」と語っています。

これは、M&Aが単なる売却ではなく、事業と雇用の未来を拓く戦略的な選択肢となり得る好例です。JFSCの専門的なサポート、買い手企業との丁寧なコミュニケーション、そして何よりも田中社長の「事業と従業員を守りたい」という強い思いが、M&Aを成功に導いたと言えるでしょう。

一方、買い手の視点では、M&Aによって事業の拡大や多角化、新たな技術やノウハウの獲得、競争力の強化などの効果が期待できます。

事業承継の種類と「脱ファミリー」の加速

帝国データバンクの調査では、過去5年で行われた事業承継のうち、経営者の就任経緯別でみると、2023年(速報値)の事業承継は、血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」が35.3%と、これまで最も多かった「同族承継(33.1%)」を上回りました。また、買収や出向を中心にした「M&Aほか(20.3%)」、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘(7.2%)」など、親族外承継の占める割合がコロナ禍以降上昇傾向が続いています。

このように、事業承継は親族間承継の急激な低下を背景に「脱ファミリー」の動きが加速しており、M&Aがその中心的な役割を担っていると言えます。

M&Aは事業承継の有効な手段として、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっていますが、それだけにM&Aの市場も活発化しています。日本M&Aセンターが発表した「2023年M&A市場動向調査」によると、2023年のM&A件数は前年比9.4%増の3,928件となり、過去最高を更新しました。

M&Aの売り手となる企業は、後継者不在や業界再編などの理由で事業承継を検討するケースが多く、M&Aの買い手となる企業は、事業の拡大や多角化、新規参入などの目的でM&Aを実施するケースが多いとされています。

M&Aを成功に導くためのプロセスとJFSCの専門性

M&Aは事業承継の選択肢の一つですが、その成功には、事前の準備からM&A後の統合(統合プロセス(PMI))に至るまで、各プロセスを慎重に進める必要があります。JFSCのようなM&A専門家は、豊富な経験と実績に基づき、貴社のM&Aを成功に導くための戦略立案から実行、そしてPMIまで一貫してサポートします。

M&Aプロセスにおける主要なステップと、JFSCが提供する専門的な視点をご紹介します。

1. 準備段階:戦略策定と企業価値評価

2. 仲介業者の選定と交渉

3. デューデリジェンス(DD)と契約交渉

4. M&A後の統合(PMI)

M&Aを検討する経営者の具体的な疑問とJFSCからのアドバイス

M&Aを検討する経営者の皆様は、様々な疑問や不安を抱えていることでしょう。JFSCは、そうした皆様の具体的な懸念に対し、専門家の視点からアドバイスを提供します。

M&Aのリスクと失敗を避けるための落とし穴

M&Aは多くのメリットをもたらす一方で、潜在的なリスクや失敗に繋がる落とし穴も存在します。これらのリスクを事前に理解し、対策を講じることがM&A成功の鍵となります。

事業承継中のアクシデントやトラブル、あるいはM&A後の経営戦略やビジョンの策定など、様々な課題にJFSCのような専門家と共に取り組むことで、リスクを最小限に抑え、成功へと導くことができます。

事業承継は中小企業の存続や発展にとって重要なテーマです。後継者不在率が過去最低になったことは、事業承継の意識や支援体制が改善されてきたことの表れですが、まだまだ解決すべき課題やリスクも多く存在します。

M&Aは事業承継の有効な手段として、多くのメリットをもたらすことができますが、それだけにM&Aのプロセスやポイントについても十分に理解し、慎重に進めることが必要です。

事業承継は、単なる経営者交代ではなく、事業の継続性や成長性、社会的責任などを考慮した戦略的な経営判断です。事業承継を成功させるためには、M&Aを含めたさまざまな選択肢を検討し、御社に最適な方法を選択することが重要です。

ご不明な点があればお気軽にお問い合わせください。JFSCは、貴社の未来を共に考え、最適なM&A戦略を提案します。

※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。JFSC ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております

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公開日: 2024年1月18日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する5問の計15問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. 後継者不在率が過去最低になったとのことですが、それでもM&Aを検討する必要があるのでしょうか?
A. 後継者不在率が低下傾向にある一方で、後継者難倒産は年間最多を更新しており、事業承継は依然として多くの中小企業にとって重要な課題です。M&Aは、親族内承継が難しい場合でも、事業と従業員の雇用を継続し、経営者の引退後の生活資金を確保するための有効な選択肢となり得ます。
本記事Q12. 記事中で「脱ファミリー」の動きが加速しているとありますが、これは具体的にどのような状況を指すのでしょうか?
A. 帝国データバンクの調査によると、2023年の事業承継では、血縁関係によらない「内部昇格」が35.3%と「同族承継」の33.1%を上回り、さらに「M&Aほか」や「外部招聘」といった親族外承継の割合が増加しています。これは、親族に後継者がいない、あるいは親族外への承継を積極的に選択する企業が増えていることを示しています。
本記事Q13. M&Aを検討する際、記事のA社田中社長のように、従業員の雇用や企業文化の違いについて不安があります。どのように対応すれば良いでしょうか?
A. A社の事例では、JFSCが両社の橋渡し役となり、従業員の雇用条件や待遇に関する具体的な保証を引き出すことに尽力しました。M&Aにおいては、買い手企業との丁寧なコミュニケーションを通じて、売り手企業の思いや懸念を伝え、従業員の処遇や企業文化の統合について事前にすり合わせを行うことが重要です。
本記事Q14. M&Aを成功させるためには、どのような準備が必要ですか?
A. 記事では早期準備と専門家サポートの不可欠性が強調されています。具体的には、自社の強みや課題の整理、企業価値の評価、M&Aの目的の明確化などが挙げられます。これらの準備は専門的な知識を要するため、M&A仲介会社などの専門家と早期に連携し、計画的に進めることが成功への鍵となります。
本記事Q15. 事業承継の相談環境が整備されたとありますが、具体的にどのような機関に相談できるのでしょうか?
A. 事業承継・引継ぎ支援センターをはじめ、各自治体や地域金融機関が事業承継の相談窓口を全国に設けています。また、株式会社日本財務戦略センター(JFSC)のようなM&A支援機関も、多様な支援体制の一つとして、M&Aを通じた事業承継に関する専門的なアドバイスを提供しています。ご自身の状況に合った最適な相談先を見つけるためにも、まずは複数の機関にご相談いただくことをお勧めします。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2024年1月18日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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