2026.04.23 業種別解説

息子・娘は継がない、という家族の選択から — 60 代宅建業オーナーが選んだ、役員留任型の第三者承継

息子・娘は継がない、という家族の選択から — 60 代宅建業オーナーが選んだ、役員留任型の第三者承継

本記事は宅地建物取引業宅建業不動産会社・不動産業者・賃貸管理業)のM&A・事業譲渡・廃業後継者問題に関する実務情報です。免許承継・専任取引士の確保・敷金処理・賃貸管理契約・株主名簿の整備等、不動産会社特有の論点は、個別事案により判断が異なります。具体的なご相談は、必ず弁護士税理士公認会計士等の専門家へご確認ください。

Table of Contents

📘 宅建業(不動産業) M&A の全体像(中核ピラー)

業者数 13.2 万社・後継者不在率 61.3%・法改正三重苦・2026 年問題で変わる宅建業(不動産業)承継の選択肢——本記事の前提となる業界全体動向は なぜ今、宅建業(不動産業)を M&A すべきか で網羅解説しています。

この記事の要点(3 行まとめ)

はじめに:「子は継がない」。それは失敗ではなく、新しい承継の始まりです

長年、汗水流して育ててこられたご自身の会社。いつかは我が子に…と、心のどこかで願うのは、オーナー経営者としてごく自然なお気持ちでしょう。宅建業は特に、地域との繋がりやお客様との信頼関係が財産ですから、その想いはひとしおのはずです。

しかし、時代は変わりました。お子様が立派に成長し、会社員や専門職など、ご自身の力で別の道を切り拓いているケースが、今や当たり前になっています。

弊社がご支援した、ある 60 代後半の宅建業オーナー様も、同じ状況にいらっしゃいました。

> 「息子にも娘にも、一度は『会社を継ぐ気はないか』と話しました。でも、二人とも今の仕事にやりがいを感じている。無理に継がせるつもりは元々なかったので、『自分の道で頑張りたい』という言葉を聞いて、むしろ肩の荷が下りたような気持ちでした」

親族承継を打診し、そして、お断りされる。 これは、事業承継の「失敗」ではありません。ご家族がそれぞれの人生を尊重し合っている証です。そして、会社を未来へ繋ぐための「次の最適解」を探し始める、新しい出発点に立たれた、ということです。

ご相談の背景:地域に根ざし、堅実に利益を積み重ねてこられた会社

ご相談いただいたオーナー様の会社は、地域に深く根ざした、まさに「町の不動産屋さん」の鑑(かがみ)のような事業者様でした。

長年のご経験で蓄積された内部留保、いわゆる「入れができている」状態。これが、会社の価値の揺るぎない土台となっていました。

「継がない」は、家族の新しい選択。尊重から始まる承継準備

オーナー様は、ご子息・ご息女の選択を心から尊重されていました。

> 「子どもたちが自分の選んだ道で一生懸命やっている。親として、それ以上に嬉しいことはありません。家業を継ぐことだけが親孝行じゃないですからね」

この、ご家族それぞれの人生を認め合う温かい眼差しが、後の第三者承継を驚くほど円滑に進める原動力となりました。

親族承継が選択肢から外れることは、ご家族の不和を意味しません。むしろ、「別の道で頑張る家族がいる」という事実は、誇るべきことです。家業を継ぐも、継がぬも、どちらも等しく尊い、家族の選択なのです。

次の一歩へ。第三者承継という選択肢

親族承継という選択肢がなくなった後、オーナー様ご自身の年齢を考え、「そろそろ具体的に動かなければ」と、弊社のウェブサイトを通じてご相談くださいました。

初回のご面談で、私たちはオーナー様の「想い」を丁寧にお伺いしました。

1. 価値の継承:長年積み上げた簿価純資産(約 3,000 万円)は、対価として正当に評価してほしい。 2. ゆるやかな引退:いきなり引退ではなく、数年間は役員として会社に残り後継者のサポートをしたい。 3. 人の継承:自分は人に教えるのが好きだ。意欲のある若い後継者に、自分の経験を伝えたい。 4. 生活の継続:長年使ってきた社有車など、一部の資産は譲渡後もそのまま使わせてほしい

これらは、単なる売却条件ではありません。オーナー様の人生の連続性を守るための、大切なご要望でした。

会社の価値を、誠実に評価する。簿価純資産という考え方

中規模の宅建業 M&A では、簿価純資産方式(会社の貸借対照表に記載された純資産額を基準に価格を決める方法)が、現実的で公平な選択肢としてよく用いられます。

本件では、この簿価純資産を基本としつつ、後述する特別な設計で、オーナー様の功績に報いる形を整えました。

※個別の価格算定や税務については、必ず顧問税理士・公認会計士にご相談ください。

引退後も、あなたの人生は続く。それを守るための「生活条項」

M&A は、会社の終わりではありません。オーナー様の新しい人生の始まりです。その移行を円滑にするため、契約書に「生活条項」と呼ばれる、お気持ちに寄り添う設計を盛り込みました。

設計 ①:役員留任(ゆるやかな引退期間)

譲渡後、売主様は数年間、役員として会社に留まることを契約で定めました。

これにより、オーナー様は急に会社から切り離されるのではなく、段階的に引退(ソフトランディング)できます。これは、ご本人だけでなく、従業員や取引先の安心にも繋がります。

設計 ②:慣れ親しんだ生活を守る(資産の継続利用)

長年、仕事でもプライベートでも使ってこられた社有車などについて、譲渡後もこれまで通り使用を継続できることを契約書に明記しました。

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中小企業の経営では、会社と個人の生活が密接に結びついているのが実情です。その現実を無視せず、契約書の上で丁寧に整理することで、譲渡後の「こんなはずではなかった」というトラブルを防ぎます。

※これらの条項に関する税務上の扱いは、個別の事情により異なります。必ず顧問税理士・弁護士にご確認ください。

長年の目利きで仕入れた土地。その価値を、役員留任下の業績連動型役員報酬として還元する

本件の契約設計で、最も工夫を凝らしたのが、役員留任下で売主様の貢献に連動させた、業績連動型役員報酬インセンティブという仕組みです。

なお、この設計は、一般に「アーンアウト条項」と呼ばれる仕組み(退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取るための、株式譲渡契約の条項)とは、法的枠組み・税務処理ともに異なります。本件は、売主様が役員として留任することを前提に、役員委任契約の中で業績連動の報酬体系を設計したものです。譲渡契約の条項としての「狭義のアーンアウト」ではなく、役員報酬体系の一類型として位置づけるのが正確です。

背景:宅建業ならではの「土地の含み益」

オーナー様は、長年の経験と目利きで、将来値上がりが期待できる土地を安価で仕入れておられました。これらは会社の「在庫」として貸借対照表に載っていますが、その価値は簿価(仕入れた時の価格)のままです。

通常の簿価純資産方式で会社を譲渡すると、この「将来の大きな利益(含み益)」は、すべて買主のものになってしまいます。これは、長年かけて宝の山を築いてこられた売主様にとって、あまりに寂しい話です。

解決策:未来の利益を分かち合う契約

そこで、私たちは特別な条項を提案しました。 「譲渡後に、対象の土地が高く売れた場合、その利益の一部を、売主様の資産管理会社にインセンティブとしてお支払いする」 という約束です。

この設計は、買主様が売主様への深い敬意を持っていたからこそ実現しました。双方の想いのギャップを、未来への期待で埋める。これこそが、血の通った M&A 仲介の仕事だと考えています。

※業績連動型役員報酬の設計は、会社法(役員委任契約の体系)・法人税法(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の損金性)・所得税法(給与所得としての扱い)などの高度な専門知識を要します。必ず顧問弁護士・税理士・公認会計士と連携して進める必要があります。

第三者承継のご相談

親族承継を経て第三者承継へ移行するケースは、設計の柔軟性が鍵になります。個別のご事情は、弊社までお気軽にご相談ください(秘密厳守)。

お問い合わせ(秘密厳守)→

マッチング設計:売主様の「教える喜び」と、若い二代目の「学びたさ」

価格や契約条件と同じくらい、私たちが大切にしたのは「誰に会社を託すか」という点でした。

売主様の想い:「若い人に、自分の経験を伝えたい」

オーナー様は、ご自身の知識や経験を次の世代に伝えることに、大きな喜びを感じる方でした。

> 「お金も大事だけど、どうせなら、自分の話を面白がって聞いてくれるような、若い人に継いでもらいたい。その方が、こっちも張り合いがあるからね」

この一言が、私たちのマッチング方針を明確にしました。

買主候補の選定:意欲ある「若い二代目」を探す

私たちは、買主候補のリストアップ段階から、30〜40 代の、学ぶ意欲に溢れた二代目経営者に的を絞りました。

結果として、土地開発を本業とする会社の、意欲的な二代目経営者とのご縁が生まれました。金銭条件だけでなく、人と人との相性、「教えたい」と「学びたい」という想いがぴったりと重なる、理想的なマッチングでした。

M&A の対価は、お金だけではありません

事業承継で得られるものは、譲渡代金だけではありません。

これらすべてが、広義の「対価」です。金額だけで相手を選ぶと、後で必ず後悔が生まれます。私たちは、オーナー様の人生全体にとって、何が最良の対価となるかを常に考えています。

譲渡後の未来:DX で成長し、利益を生み出し続ける会社へ

譲渡から数年。会社は、新しいリーダーのもとで力強く成長を続けています。

買主様は、本業である土地開発のノウハウを活かしつつ、

といった施策を実行。会社は毎年順調に利益を伸ばす優良企業へと進化を遂げました。

売主様ご自身も、役員として若手の成長を見守り、業績連動型役員報酬による利益還元も受けながら、思い描いていた通りの「穏やかで、やりがいのある引退生活」を実現されています。

売主、買主、従業員、そしてご家族。関係者全員が幸せになる承継が、ここにはありました。

事業承継を考え始めたら。まず取り組むべき 3 つの準備

この事例が円滑に進んだのは、オーナー様が事前に3 つの準備を整えておられたからでもあります。これは、これから承継を考えるすべての経営者様にとって重要なポイントです。

準備 ①:会社の「健康診断書」を整える

会社の状況を客観的に示せる資料を揃えておくことが、交渉をスムーズに進める第一歩です。 → 関連記事:「売れる準備」ができていなかった宅建業オーナーの話

準備 ②:人の「引き継ぎ地図」を描く

お金だけでなく、人の承継プランを考えておくことが大切です。 → 関連記事:宅建業の免許は譲渡できない

準備 ③:家族の「心の合意」を得る

ご家族の理解と応援ほど、力強いものはありません。この事例でも、親族承継の断念から第三者承継への移行まで、ご家族全員で想いを共有されてきたことが、最後までブレない軸となりました。

※相続対策や家族間の法的な整理については、必ず税理士・弁護士・司法書士にご相談ください。

よくあるご質問

Q1. 子どもが継がないと決まったら、M&A にはどれくらい時間がかかりますか?

A. ご相談から成約まで、1 年から 2 年が一つの目安です。会社の資料準備、買主探し、条件交渉、詳細な調査、契約締結と、多くのステップがあります。ご自身の気力・体力が充実している 60 代のうちに、早めに準備を始められることをお勧めします。

Q2. 会社の値段は、どうやって決めるのが一番良いのでしょうか?

A. 中規模の宅建業では、簿価純資産方式が公平で分かりやすく、よく使われます。他にも将来の利益を予測する 割引キャッシュフロー(DCF) 法など様々な方法がありますが、会社の状況や買主の考え方によって最適な方法は異なります。顧問公認会計士・税理士とよくご相談のうえ、納得できる方法を選びましょう。

Q3. 譲渡後、役員として残る期間は、どのくらいが普通ですか?

A. 1 年から 3 年程度が一般的ですが、決まりはありません。引き継ぎの内容や、ご自身の希望、買主の意向をすり合わせて決めます。期間が終わった後に顧問契約に切り替える、という柔軟な設計も可能です。役員報酬の決め方など、税務上の注意点もありますので、顧問税理士へのご相談は必須です。

Q4. 長年使ってきた会社の車を、譲渡後も使い続けるのは法的に問題ないですか?

A. 契約書で条件をきちんと定めておけば、問題ありません。中小企業の M&A では、実務上よく見られるご要望です。ただし、税務上、役員報酬の一部と見なされる可能性など、専門的な検討が必要です。必ず顧問税理士・公認会計士に相談し、適切な形で契約に盛り込むことが重要です。

Q5. 本件で採用した「業績連動型役員報酬インセンティブ」と、いわゆる「アーンアウト」は同じものですか?

A. 明確に別物です。 いわゆるアーンアウト(条件付追加対価)は、退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取るための仕組みで、法的には株式譲渡契約の条項、税務上は譲渡所得または雑所得として扱われます。一方、本件で採用した仕組みは、売主様が役員として留任することを前提に、役員委任契約の中で業績連動の報酬体系を設計したものです。法的枠組み(譲渡契約 vs 役員委任契約)、税務上の所得区分(譲渡所得 vs 給与所得)、会社法上の位置づけ(株主間の契約 vs 役員との関係)、すべてが異なるカテゴリに属します。仲介者として、この 2 つの類型を峻別すべき理由と、弊社が「狭義のアーンアウト」を初期設計で積極的に持ち出さない方針については、別稿「アーンアウトと仲介者の姿勢」で詳しく論じています。契約条項の具体設計・税務処理については、必ず顧問弁護士・税理士・公認会計士とご相談ください。

Q6. 家族には、どのタイミングで、どう話せば良いでしょうか?

A. まずは、お子様に親族承継の意思があるかを確認することから始めましょう。もし継ぐ意思がないと分かったら、その選択を尊重する姿勢を伝えることが大切です。その上で、「会社を未来に残すために、第三者への承継を考えている」と、ご自身の想いを率直に話してみてはいかがでしょうか。配偶者様を含め、ご家族が一番の味方です。時間をかけて、丁寧に想いを共有していくことが、円満な承継への近道です。

Q7. 買主の希望(年齢や人柄など)を伝えることはできますか?

A. もちろんです。むしろ、ぜひお聞かせください。M&A は単なる取引ではなく、大切な会社を託す相手を探す「お見合い」のようなものです。金銭条件だけでなく、人柄や相性、経営理念への共感といった要素が、譲渡後の満足度を大きく左右します。仲介者には、遠慮なくご希望をお伝えください。

よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する5問の計15問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. 記事では愛車の継続利用が触れられていますが、自宅兼事務所として使っている会社所有の不動産も、譲渡後も使い続けることは可能でしょうか?
A. はい、会社所有の不動産を譲渡後も継続して利用する「生活条項(Life Clause)」を契約に盛り込むことは可能です。賃貸借契約の締結など、具体的な利用条件を売主様と買主様の間で合意形成し、契約書に明記することで実現できます。
本記事Q12. 簿価純資産を基準とした会社の評価は、実際の市場価値と乖離しませんか?特に宅建業の場合、土地の含み益はどのように評価に反映されるのでしょうか?
A. 簿価純資産(Book Value Net Assets)を基準とすることは、客観的で透明性の高い評価手法の一つです。記事の事例のように、含み益のある土地については、譲渡対価の一部としてではなく、役員留任期間中の業績連動型役員報酬(Performance-linked Executive Compensation)として還元する設計も可能です。これにより、売主様は将来の利益を享受しつつ、買主様は初期投資を抑えることができます。
本記事Q13. 譲渡後も会社に残り、若い後継者に長年の経験やノウハウを伝えたいと考えていますが、M&Aのプロセスでそのような希望は考慮されますか?
A. はい、売主様の「教える喜び」や「経験を伝えたい」というお気持ちは、M&Aのマッチングにおいて重要な要素として考慮されます。弊社では、売主様と買主候補の双方の意向を丁寧にヒアリングし、事業承継後の円滑な移行と事業成長に資する最適なパートナーシップを設計します。
本記事Q14. 譲渡後に会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)で成長するとありますが、ITに詳しくない私でも、その変化に対応できるでしょうか?
A. 役員留任型の第三者承継(Third-Party Succession)では、買主側がDX推進のノウハウを持つ場合が多く、売主様は必ずしもITの専門知識を持つ必要はありません。売主様は長年の経験に基づく事業ノウハウを伝承し、買主がそれをDXで効率化・拡大していくという役割分担が可能です。
本記事Q15. 記事で触れられている「生活条項」や「業績連動型役員報酬」のような、M&A契約における特殊な条項を導入する際、どのような点に注意すべきでしょうか?
A. 「生活条項(Life Clause)」や「業績連動型役員報酬(Performance-linked Executive Compensation)」といった契約は、税務上および法務上の影響が大きいため、慎重な検討が必要です。特に、報酬の算定基準や期間、税務処理については、必ず税理士や弁護士といった専門家にご確認ください。JFSCはM&Aの戦略立案と実行を支援しますが、個別の税務・法務判断は専門家の領域となります。

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本稿は、宅建業・不動産業 M&A における第三者承継の一般的な実務プロセスと、そこから得られる学びについての情報提供を目的としており、特定案件についての法的・税務的・会計的アドバイスを提供するものではありません株式譲渡契約書の条項設計、簿価純資産方式による価格算定の税務処理、役員留任と役員報酬(業績連動部分を含む)の法人税・所得税上の扱い、オーナー資産の私的利用継続の税務整理、相続税対策などの個別判断については、必ず弁護士・税理士・公認会計士・司法書士などの専門家にご相談ください。本稿の情報に基づく判断・行動から生じた結果について、弊社は一切の責任を負いかねます。

本稿の法令・ガイドライン・税制等への言及は、公開日(2026 年 4 月 23 日)時点の情報に基づきます。法令改正・通達変更等により、記載内容が古くなる可能性があります。重要な判断は最新の一次情報(e-Gov 法令検索・国土交通省中小企業庁の公式発表等)をご確認ください。

弊社は一般社団法人 M&A 支援機関協会の会員(中小企業庁 M&A 支援機関登録制度にも登録)として、中小 M&A ガイドライン第 3 版を遵守した仲介業務を行っています。宅建業・不動産業 M&A・事業承継のご相談は、お気軽にお問い合わせください。

【2026 年 4 月 23 日 改訂】
本稿で当初「在庫資産型アーンアウト」と呼称していた契約設計について、用語の定義で誤解を招く可能性があったため、記事内の該当箇所を修正しました。本件の設計は、厳密には「役員留任を前提とした業績連動型役員報酬インセンティブ」であり、狭義のアーンアウト(退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取る仕組み)とは、前提となる売主の地位・法的枠組み・税務処理のいずれも異なる別カテゴリです。詳しい類型論は別稿「アーンアウトと仲介者の姿勢」でお示ししています。

株式会社日本財務戦略センター(JFSC) 代表取締役 五十嵐 悠一 https://jfsc.jp/

代表 五十嵐悠一の論難集 — 他の論考

韓非子『論難篇』に倣い、業界の通説に対する独自論考を発信しています。

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公開日: 2026年4月23日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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📅 本記事の情報基準日

本記事は 2026年4月23日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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