本記事は宅地建物取引業(宅建業・不動産会社・不動産業者・賃貸管理業)のM&A・事業譲渡・廃業・後継者問題に関する実務情報です。免許承継・専任取引士の確保・敷金処理・賃貸管理契約・株主名簿の整備等、不動産会社特有の論点は、個別事案により判断が異なります。具体的なご相談は、必ず弁護士・税理士・公認会計士等の専門家へご確認ください。
📘 宅建業(不動産業) M&A の全体像(中核ピラー)
業者数 13.2 万社・後継者不在率 61.3%・法改正三重苦・2026 年問題で変わる宅建業(不動産業)承継の選択肢——本記事の前提となる業界全体動向は なぜ今、宅建業(不動産業)を M&A すべきか で網羅解説しています。
この記事の要点(3 行まとめ)
- お子様が別の道で立派に人生を築いている。これは、多くの宅建業オーナー経営者が直面する現実です。親族承継を打診し、断られることは失敗ではありません。ご家族の選択を尊重し、次の最適解を探し始める、円満な出発点です。本稿は、60 代後半のオーナー様が第三者承継で幸せな着地をされた実例をご紹介します。
- 株式譲渡の契約には、売主様の人生が「途切れない」ようにするための 4 つの知恵を盛り込みました。①簿価純資産を基準とする公正な価格、②数年間の役員留任、③愛車など会社資産の継続利用、そして④長年の目利きで仕入れた土地の将来利益を、役員留任下の業績連動型役員報酬として還元する仕組みです。
- 「人に教えるのが好き」という売主様のお人柄を尊重し、買主として学ぶ意欲のある若い二代目経営者を意図的にお探ししました。譲渡後、会社は DX 化でさらに成長。売主様は若手を育て、買主は事業を伸ばす。世代を超えた尊敬が、会社を未来へ繋ぐ好循環を生んでいます。
—
はじめに:「子は継がない」。それは失敗ではなく、新しい承継の始まりです
長年、汗水流して育ててこられたご自身の会社。いつかは我が子に…と、心のどこかで願うのは、オーナー経営者としてごく自然なお気持ちでしょう。宅建業は特に、地域との繋がりやお客様との信頼関係が財産ですから、その想いはひとしおのはずです。
しかし、時代は変わりました。お子様が立派に成長し、会社員や専門職など、ご自身の力で別の道を切り拓いているケースが、今や当たり前になっています。
弊社がご支援した、ある 60 代後半の宅建業オーナー様も、同じ状況にいらっしゃいました。
> 「息子にも娘にも、一度は『会社を継ぐ気はないか』と話しました。でも、二人とも今の仕事にやりがいを感じている。無理に継がせるつもりは元々なかったので、『自分の道で頑張りたい』という言葉を聞いて、むしろ肩の荷が下りたような気持ちでした」
親族承継を打診し、そして、お断りされる。 これは、事業承継の「失敗」ではありません。ご家族がそれぞれの人生を尊重し合っている証です。そして、会社を未来へ繋ぐための「次の最適解」を探し始める、新しい出発点に立たれた、ということです。
—
ご相談の背景:地域に根ざし、堅実に利益を積み重ねてこられた会社
ご相談いただいたオーナー様の会社は、地域に深く根ざした、まさに「町の不動産屋さん」の鑑(かがみ)のような事業者様でした。
- 事業内容:宅地建物取引業(売買仲介・賃貸管理を併営)
- 歴史:宅建業免許 (5) 前後。創業から四半世紀以上、地域からの信頼を築いてこられました。
- 財務状況:年商は景気に応じて数千万円規模。特筆すべきは、簿価純資産が約 3,000 万円まで着実に積み上がっていた点です。長年の堅実経営の証と言えます。
- ご家族:ご子息、ご息女ともに独立され、会社勤めをされています。
長年のご経験で蓄積された内部留保、いわゆる「入れができている」状態。これが、会社の価値の揺るぎない土台となっていました。
—
「継がない」は、家族の新しい選択。尊重から始まる承継準備
オーナー様は、ご子息・ご息女の選択を心から尊重されていました。
> 「子どもたちが自分の選んだ道で一生懸命やっている。親として、それ以上に嬉しいことはありません。家業を継ぐことだけが親孝行じゃないですからね」
この、ご家族それぞれの人生を認め合う温かい眼差しが、後の第三者承継を驚くほど円滑に進める原動力となりました。
親族承継が選択肢から外れることは、ご家族の不和を意味しません。むしろ、「別の道で頑張る家族がいる」という事実は、誇るべきことです。家業を継ぐも、継がぬも、どちらも等しく尊い、家族の選択なのです。
—
次の一歩へ。第三者承継という選択肢
親族承継という選択肢がなくなった後、オーナー様ご自身の年齢を考え、「そろそろ具体的に動かなければ」と、弊社のウェブサイトを通じてご相談くださいました。
初回のご面談で、私たちはオーナー様の「想い」を丁寧にお伺いしました。
1. 価値の継承:長年積み上げた簿価純資産(約 3,000 万円)は、対価として正当に評価してほしい。 2. ゆるやかな引退:いきなり引退ではなく、数年間は役員として会社に残り、後継者のサポートをしたい。 3. 人の継承:自分は人に教えるのが好きだ。意欲のある若い後継者に、自分の経験を伝えたい。 4. 生活の継続:長年使ってきた社有車など、一部の資産は譲渡後もそのまま使わせてほしい。
これらは、単なる売却条件ではありません。オーナー様の人生の連続性を守るための、大切なご要望でした。
—
会社の価値を、誠実に評価する。簿価純資産という考え方
中規模の宅建業 M&A では、簿価純資産方式(会社の貸借対照表に記載された純資産額を基準に価格を決める方法)が、現実的で公平な選択肢としてよく用いられます。
- メリット:
- 計算の根拠が明確で、売主様・買主様双方にとって分かりやすい。
- 複雑な将来収益の予測で揉めることを避けられる。
- 「入れができている」堅実な会社の価値を、そのまま価格に反映できる。
- 留意点:
- 将来の収益性が価格に反映されにくい。→ 今回は役員留任下の業績連動型役員報酬インセンティブで補いました。
- 土地など、時価と簿価が大きく異なる資産の扱いは、別途協議が必要です。
本件では、この簿価純資産を基本としつつ、後述する特別な設計で、オーナー様の功績に報いる形を整えました。
※個別の価格算定や税務については、必ず顧問税理士・公認会計士にご相談ください。
—
引退後も、あなたの人生は続く。それを守るための「生活条項」
M&A は、会社の終わりではありません。オーナー様の新しい人生の始まりです。その移行を円滑にするため、契約書に「生活条項」と呼ばれる、お気持ちに寄り添う設計を盛り込みました。
設計 ①:役員留任(ゆるやかな引退期間)
譲渡後、売主様は数年間、役員として会社に留まることを契約で定めました。
- 役割:後継者への指導、長年のお客様への引き継ぎなど、顧問的な役割を担う。
- 報酬:業務の実態に見合った、合理的な役員報酬を設定。
- 将来:期間満了後は、ご希望に応じて顧問契約に切り替えることも可能。
これにより、オーナー様は急に会社から切り離されるのではなく、段階的に引退(ソフトランディング)できます。これは、ご本人だけでなく、従業員や取引先の安心にも繋がります。
設計 ②:慣れ親しんだ生活を守る(資産の継続利用)
長年、仕事でもプライベートでも使ってこられた社有車などについて、譲渡後もこれまで通り使用を継続できることを契約書に明記しました。
中小企業の経営では、会社と個人の生活が密接に結びついているのが実情です。その現実を無視せず、契約書の上で丁寧に整理することで、譲渡後の「こんなはずではなかった」というトラブルを防ぎます。
- 対象資産、費用負担、期間などを明確化。
- 譲渡後の無用な心配事をなくし、安心して新しい生活に移行していただくための配慮です。
※これらの条項に関する税務上の扱いは、個別の事情により異なります。必ず顧問税理士・弁護士にご確認ください。
—
長年の目利きで仕入れた土地。その価値を、役員留任下の業績連動型役員報酬として還元する
本件の契約設計で、最も工夫を凝らしたのが、役員留任下で売主様の貢献に連動させた、業績連動型役員報酬インセンティブという仕組みです。
なお、この設計は、一般に「アーンアウト条項」と呼ばれる仕組み(退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取るための、株式譲渡契約の条項)とは、法的枠組み・税務処理ともに異なります。本件は、売主様が役員として留任することを前提に、役員委任契約の中で業績連動の報酬体系を設計したものです。譲渡契約の条項としての「狭義のアーンアウト」ではなく、役員報酬体系の一類型として位置づけるのが正確です。
背景:宅建業ならではの「土地の含み益」
オーナー様は、長年の経験と目利きで、将来値上がりが期待できる土地を安価で仕入れておられました。これらは会社の「在庫」として貸借対照表に載っていますが、その価値は簿価(仕入れた時の価格)のままです。
通常の簿価純資産方式で会社を譲渡すると、この「将来の大きな利益(含み益)」は、すべて買主のものになってしまいます。これは、長年かけて宝の山を築いてこられた売主様にとって、あまりに寂しい話です。
解決策:未来の利益を分かち合う契約
そこで、私たちは特別な条項を提案しました。 「譲渡後に、対象の土地が高く売れた場合、その利益の一部を、売主様の資産管理会社にインセンティブとしてお支払いする」 という約束です。
- 対象:譲渡時点で保有していた土地をリスト化して特定。
- 条件:一定期間内に、一定以上の利益が出た場合に発動。
- 効果:売主様の過去の功績(目利き)に、未来の形で報いることができる。
この設計は、買主様が売主様への深い敬意を持っていたからこそ実現しました。双方の想いのギャップを、未来への期待で埋める。これこそが、血の通った M&A 仲介の仕事だと考えています。
※業績連動型役員報酬の設計は、会社法(役員委任契約の体系)・法人税法(定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与の損金性)・所得税法(給与所得としての扱い)などの高度な専門知識を要します。必ず顧問弁護士・税理士・公認会計士と連携して進める必要があります。
—
マッチング設計:売主様の「教える喜び」と、若い二代目の「学びたさ」
価格や契約条件と同じくらい、私たちが大切にしたのは「誰に会社を託すか」という点でした。
売主様の想い:「若い人に、自分の経験を伝えたい」
オーナー様は、ご自身の知識や経験を次の世代に伝えることに、大きな喜びを感じる方でした。
> 「お金も大事だけど、どうせなら、自分の話を面白がって聞いてくれるような、若い人に継いでもらいたい。その方が、こっちも張り合いがあるからね」
この一言が、私たちのマッチング方針を明確にしました。
買主候補の選定:意欲ある「若い二代目」を探す
私たちは、買主候補のリストアップ段階から、30〜40 代の、学ぶ意欲に溢れた二代目経営者に的を絞りました。
- 宅建業への本格参入を目指している。
- 先代から事業を継いだ経験があり、学ぶ姿勢が身についている。
- オーナー様の経験と知見を「宝」として吸収したいと心から願っている。
結果として、土地開発を本業とする会社の、意欲的な二代目経営者とのご縁が生まれました。金銭条件だけでなく、人と人との相性、「教えたい」と「学びたい」という想いがぴったりと重なる、理想的なマッチングでした。
M&A の対価は、お金だけではありません
事業承継で得られるものは、譲渡代金だけではありません。
- ご自身の新しい役割(若手の育成、顧問)
- 会社の未来(従業員の雇用維持、事業の発展)
- 知見の伝承(経営哲学、地域との繋がり)
- ご家族の安心(円満な承継、その後の良好な関係)
これらすべてが、広義の「対価」です。金額だけで相手を選ぶと、後で必ず後悔が生まれます。私たちは、オーナー様の人生全体にとって、何が最良の対価となるかを常に考えています。
—
譲渡後の未来:DX で成長し、利益を生み出し続ける会社へ
譲渡から数年。会社は、新しいリーダーのもとで力強く成長を続けています。
買主様は、本業である土地開発のノウハウを活かしつつ、
- DX(デジタル化)を推進し、業務効率を大幅に改善。
- 若手営業担当者を採用し、売主様が OJT で直接指導。
- 長年親しまれてきた社名や場所はそのままに、地域の信頼を継承。
といった施策を実行。会社は毎年順調に利益を伸ばす優良企業へと進化を遂げました。
売主様ご自身も、役員として若手の成長を見守り、業績連動型役員報酬による利益還元も受けながら、思い描いていた通りの「穏やかで、やりがいのある引退生活」を実現されています。
売主、買主、従業員、そしてご家族。関係者全員が幸せになる承継が、ここにはありました。
—
事業承継を考え始めたら。まず取り組むべき 3 つの準備
この事例が円滑に進んだのは、オーナー様が事前に3 つの準備を整えておられたからでもあります。これは、これから承継を考えるすべての経営者様にとって重要なポイントです。
準備 ①:会社の「健康診断書」を整える
- 過去 3 期分の決算書はすぐに取り出せますか?
- 賃貸管理の契約書や、敷金の台帳は整理されていますか?
- 在庫土地の仕入れ価格や現況は、明確になっていますか?
会社の状況を客観的に示せる資料を揃えておくことが、交渉をスムーズに進める第一歩です。 → 関連記事:「売れる準備」ができていなかった宅建業オーナーの話
準備 ②:人の「引き継ぎ地図」を描く
- 従業員の雇用は、どう守りますか?
- 専任宅地建物取引士の体制は、譲渡後も維持できますか?
- ご自身が役員として残るなら、どんな役割を担いますか?
お金だけでなく、人の承継プランを考えておくことが大切です。 → 関連記事:宅建業の免許は譲渡できない
準備 ③:家族の「心の合意」を得る
- 配偶者様、お子様には、第三者承継の可能性を話していますか?
- ご自身の資産と会社の資産の線引きはできていますか?
- ご家族は、承継のプロセスを理解し、応援してくれていますか?
ご家族の理解と応援ほど、力強いものはありません。この事例でも、親族承継の断念から第三者承継への移行まで、ご家族全員で想いを共有されてきたことが、最後までブレない軸となりました。
※相続対策や家族間の法的な整理については、必ず税理士・弁護士・司法書士にご相談ください。
—
よくあるご質問
Q1. 子どもが継がないと決まったら、M&A にはどれくらい時間がかかりますか?
A. ご相談から成約まで、1 年から 2 年が一つの目安です。会社の資料準備、買主探し、条件交渉、詳細な調査、契約締結と、多くのステップがあります。ご自身の気力・体力が充実している 60 代のうちに、早めに準備を始められることをお勧めします。
Q2. 会社の値段は、どうやって決めるのが一番良いのでしょうか?
A. 中規模の宅建業では、簿価純資産方式が公平で分かりやすく、よく使われます。他にも将来の利益を予測する 割引キャッシュフロー(DCF) 法など様々な方法がありますが、会社の状況や買主の考え方によって最適な方法は異なります。顧問公認会計士・税理士とよくご相談のうえ、納得できる方法を選びましょう。
Q3. 譲渡後、役員として残る期間は、どのくらいが普通ですか?
A. 1 年から 3 年程度が一般的ですが、決まりはありません。引き継ぎの内容や、ご自身の希望、買主の意向をすり合わせて決めます。期間が終わった後に顧問契約に切り替える、という柔軟な設計も可能です。役員報酬の決め方など、税務上の注意点もありますので、顧問税理士へのご相談は必須です。
Q4. 長年使ってきた会社の車を、譲渡後も使い続けるのは法的に問題ないですか?
A. 契約書で条件をきちんと定めておけば、問題ありません。中小企業の M&A では、実務上よく見られるご要望です。ただし、税務上、役員報酬の一部と見なされる可能性など、専門的な検討が必要です。必ず顧問税理士・公認会計士に相談し、適切な形で契約に盛り込むことが重要です。
Q5. 本件で採用した「業績連動型役員報酬インセンティブ」と、いわゆる「アーンアウト」は同じものですか?
A. 明確に別物です。 いわゆるアーンアウト(条件付追加対価)は、退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取るための仕組みで、法的には株式譲渡契約の条項、税務上は譲渡所得または雑所得として扱われます。一方、本件で採用した仕組みは、売主様が役員として留任することを前提に、役員委任契約の中で業績連動の報酬体系を設計したものです。法的枠組み(譲渡契約 vs 役員委任契約)、税務上の所得区分(譲渡所得 vs 給与所得)、会社法上の位置づけ(株主間の契約 vs 役員との関係)、すべてが異なるカテゴリに属します。仲介者として、この 2 つの類型を峻別すべき理由と、弊社が「狭義のアーンアウト」を初期設計で積極的に持ち出さない方針については、別稿「アーンアウトと仲介者の姿勢」で詳しく論じています。契約条項の具体設計・税務処理については、必ず顧問弁護士・税理士・公認会計士とご相談ください。
Q6. 家族には、どのタイミングで、どう話せば良いでしょうか?
A. まずは、お子様に親族承継の意思があるかを確認することから始めましょう。もし継ぐ意思がないと分かったら、その選択を尊重する姿勢を伝えることが大切です。その上で、「会社を未来に残すために、第三者への承継を考えている」と、ご自身の想いを率直に話してみてはいかがでしょうか。配偶者様を含め、ご家族が一番の味方です。時間をかけて、丁寧に想いを共有していくことが、円満な承継への近道です。
Q7. 買主の希望(年齢や人柄など)を伝えることはできますか?
A. もちろんです。むしろ、ぜひお聞かせください。M&A は単なる取引ではなく、大切な会社を託す相手を探す「お見合い」のようなものです。金銭条件だけでなく、人柄や相性、経営理念への共感といった要素が、譲渡後の満足度を大きく左右します。仲介者には、遠慮なくご希望をお伝えください。
—
よくあるご質問(FAQ)
関連ツールと参考資料
ご自身の状況を客観的に把握するための無料ツールをご用意しています(匿名・登録不要)。
- M&A 売却ロールプレイングシミュレーター — 12 フェーズで M&A の疑似体験
- 10 分事業承継診断 — M&A を検討すべき状況かをタイプ診断
- 企業価値セルフ試算シミュレーター — 匿名で売却価額の目安を試算
- M&A 仲介手数料比較シミュレーター — 仲介会社選びの前に手数料水準を比較
- 宅建業 M&A・事業承継 特化ページ — 宅建業特化の承継・売却の実務論点
公的資料:
- 中小 M&A ガイドライン第 3 版(経済産業省、2024 年 8 月公表)
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)
- 宅地建物取引業(国土交通省)
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 中小企業の事業再生等に関するガイドライン(2022 年 3 月策定 / 2024 年 1 月改定)
- 一般社団法人 M&A 支援機関協会
—
守秘義務と免責(必ずお読みください)
本稿に登場する事業者・関係者・地域・時期・金融機関・法律事務所については、守秘義務の関係上、いずれも具体名・具体情報をご紹介することはできません。年齢・家族構成・免許歴・事業規模・当事者属性・契約条件・金額はいずれも、個別案件が識別されないよう、意図的に最大限の抽象化・加工を施しています。本稿は特定の事業者・機関に対して不利益な印象を与えることを意図するものではなく、宅建業 M&A の実務構造と仲介者が果たす役割について、読者の皆様にご理解いただくことを目的としています。
本稿は、宅建業・不動産業 M&A における第三者承継の一般的な実務プロセスと、そこから得られる学びについての情報提供を目的としており、特定案件についての法的・税務的・会計的アドバイスを提供するものではありません。株式譲渡契約書の条項設計、簿価純資産方式による価格算定の税務処理、役員留任と役員報酬(業績連動部分を含む)の法人税・所得税上の扱い、オーナー資産の私的利用継続の税務整理、相続税対策などの個別判断については、必ず弁護士・税理士・公認会計士・司法書士などの専門家にご相談ください。本稿の情報に基づく判断・行動から生じた結果について、弊社は一切の責任を負いかねます。
本稿の法令・ガイドライン・税制等への言及は、公開日(2026 年 4 月 23 日)時点の情報に基づきます。法令改正・通達変更等により、記載内容が古くなる可能性があります。重要な判断は最新の一次情報(e-Gov 法令検索・国土交通省・中小企業庁の公式発表等)をご確認ください。
弊社は一般社団法人 M&A 支援機関協会の会員(中小企業庁 M&A 支援機関登録制度にも登録)として、中小 M&A ガイドライン第 3 版を遵守した仲介業務を行っています。宅建業・不動産業 M&A・事業承継のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
—
【2026 年 4 月 23 日 改訂】
本稿で当初「在庫資産型アーンアウト」と呼称していた契約設計について、用語の定義で誤解を招く可能性があったため、記事内の該当箇所を修正しました。本件の設計は、厳密には「役員留任を前提とした業績連動型役員報酬インセンティブ」であり、狭義のアーンアウト(退任する売主が、譲渡対価の残りを条件付で受け取る仕組み)とは、前提となる売主の地位・法的枠組み・税務処理のいずれも異なる別カテゴリです。詳しい類型論は別稿「アーンアウトと仲介者の姿勢」でお示ししています。
—
株式会社日本財務戦略センター(JFSC) 代表取締役 五十嵐 悠一 https://jfsc.jp/
代表 五十嵐悠一の論難集 — 他の論考
韓非子『論難篇』に倣い、業界の通説に対する独自論考を発信しています。
- 2026.04.24ホルムズ海峡が閉鎖された日 — 資源集中依存とサプライチェーン断絶が、日本経済と企業経営にもたらすこと
- 2026.04.24加重平均資本コスト(WACC) を知らないプレーヤー、しかし織り込む市場 — インフレ局面の WACC 構造再編と、見えざる価格調整メカニズム
- 2026.04.23統計先行・現場遅行の非対称性 — 日銀政策金利 +0.75% が示す、日本経済の構造的ラグと経営者への示唆
- 2026.04.23日本財務戦略センター(JFSC)はなぜ「アーンアウト」に逃げないのか — 対価設計のスペクトラム論
- 2026.04.23東京地裁 デューデリジェンス(DD) 費用判決とその射程 — M&A 仲介業の「公的役割」を、5 つの論点から問い直す
- 2026.04.23「売れる準備」ができていなかった宅建業オーナーの話 — 事業承継前夜にやっておくべき 3 つの整備
- 2026.04.23「宅建業の免許は譲渡できない」 — 事業譲渡で宅建業 M&A を成立させる実務構造の全体像
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2026年4月23日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
関連の最新情報:中小企業庁 / 国税庁 / 金融庁 / e-Gov 法令検索


