業界には「特例措置で 相続税・贈与税ゼロ」と煽る記事が多くあります。国税庁 事業承継税制(特例措置) は確かに、経営承継円滑化法 に基づき非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予→免除のパスを提供します。しかし弊社の現場感覚は明快です。事業承継税制は 税理士の領分、弊社の主戦場ではありません。クライアントは もう第三者承継(M&A)を決めた方がほとんど だからです。ただし弊社からも一つだけ案内する論点があります——税制適用後に M&A を選ぶと、認定取消事由に該当して、猶予されていた相続税・贈与税が利子税付きで一気に発生 します。これは売り手の手取りを大きく毀損する重大リスクです。本記事では、事業承継税制の 3 つの誤解を簡潔に整理しつつ、日本財務戦略センター(JFSC) の哲学(税理士領分・税制適用後M&Aリスクのみ案内)をフラットにお伝えします。
1. 事業承継税制 特例措置とは — 経営承継円滑化法に基づく納税猶予制度
事業承継税制は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法) に基づき、後継者が非上場株式を相続・贈与により取得した場合の 相続税・贈与税の納税猶予→免除 制度です。一般措置(恒久制度)と特例措置(2018-2027 限定)の二本立てで運用されています。
主な相違は次のとおりです。
特例措置は条件が緩和されている分、活用するなら期限内です。国税庁 事業承継税制 の手続きは 都道府県知事の認定 → 税務署への申告 → 5 年内事業継続要件の維持 → その後の継続報告 という流れです。
親族内承継 vs 第三者承継 (M&A) の判断材料を整理
事業承継税制の活用判断は、親族内承継 vs 第三者承継 (M&A) の意思決定と一体です。弊社の 事業承継 10 分診断 でご活用ください。
2. 通説論難 — 事業承継税制 3 つの誤解(簡潔に)
誤解 1:「特例措置で相続税・贈与税ゼロ」
業界記事は「特例措置でゼロ」と簡潔に語る傾向があります。正確には 納税猶予 → 免除 です。猶予が継続するためには、5 年内事業継続要件 ・ 後継者の役員継続 ・ 議決権比率の維持 ・ M&A による第三者譲渡を行わないこと 等の条件が必要です。これらの認定取消事由に該当した瞬間、猶予されていた税額に利子税を付けて一気に納税義務が発生 します。
特に M&A による第三者譲渡は、後継者の意思で発生する事象です。親族内承継ありきで税制適用したものの、後継者の事業継続意欲が低下して数年後に M&A を検討する——このパターンは現実的にあり得ます。その時点で利子税付きの納税義務が顕在化します。
誤解 2:「特例措置はずっと使える」
特例措置には 明確な期限 があります。経営承継円滑化法 に基づく 特例承継計画の提出期限は 令和9年(2027年)9月30日まで(延長後)、適用期限は 2027 年 12 月 31 日まで です。これらの期限を過ぎてからの新規適用はできません。
「いつか親族内承継するかもしれない」と漠然と考えている経営者は、特例承継計画の提出期限を意識しておく必要があります。提出さえしておけば、その後の意思決定の選択肢として確保できます。
誤解 3:「税制適用後でも気軽に M&A できる」
これが本記事のクライマックスとなる論難です。事業承継税制の認定後に M&A で第三者譲渡すると、認定取消事由に該当します。その瞬間、猶予されていた相続税・贈与税が利子税付きで一気に発生 します。
金額のインパクトは個別案件次第ですが、株式評価額が数億円規模の中小企業であれば、相続税・贈与税の本税だけで数千万 〜 億単位、加えて長期間の利子税が積み上がります。M&A の譲渡対価から納税原資を捻出する必要があり、売り手の手取りを大きく毀損します。
税制適用前に M&A の選択肢が将来あるかどうかを慎重に検討する ——これが弊社が売り手に唯一案内する論点です。
譲渡対価設計を試算する
M&A 選択時の手取り試算は、税制適用後の認定取消リスクを織り込んで判断する必要があります。
3. 弊社のスタンス — 税理士領分、ただし「税制適用後 M&A」リスクは案内
(1) 弊社で事業承継税制を活用したケース:ない
弊社で事業承継税制を活用したケースは ありません。提案頻度もほぼゼロです。理由は次に説明します。
(2) 弊社のクライアント:もう第三者承継(M&A)を決めた方がほとんど
弊社にご相談いただくクライアントは、もう第三者承継(M&A)を決めた方がほとんど です。事業承継税制は親族内承継や役員等承継を前提とした制度なので、第三者承継を決めた方が仲介に聞く論点ではありません。
仮に「親族内承継 vs 第三者承継で迷っている」段階であれば、税理士・事業承継・引継ぎ支援センター(中小機構運営)等への先行相談をお勧めします。
(3) 税制適用後の M&A:税務リスクについて案内する
すでに事業承継税制を適用済みの方が M&A を検討する場合、弊社は 税務リスクについて案内します。具体的には、M&A による第三者譲渡が認定取消事由に該当して、猶予されていた相続税・贈与税が利子税付きで一気に発生する という構造を率直にお伝えします。
その上で、納税原資の確保 ・ 譲渡対価の交渉 ・ タイミング設計をどう組むか、顧問税理士と一緒に検討 してもらう流れになります。
(4) 業界他社で「特例措置で確実に節税」と煽る事例:弊社では見たことない
業界他社で「特例措置で確実に節税できる」と煽る事例を、弊社では見たことがありません。実務に携わる方は、認定取消事由のリスクを正しく開示する姿勢が一般的です。
(5) 個別具体的な税制論点:税理士の領分
個別具体的な税制適用論点(特例承継計画の作成 ・ 認定要件の判定 ・ 取消事由の評価 ・ 利子税の試算等)は、税理士の領分 です。弊社が立ち入る話ではありません。
弊社の役割は、M&A という第三者承継の選択肢を売り手とともに検討するフェーズで、税制との関係(適用後の M&A は認定取消リスク)だけを率直にお伝えすることに留まります。
(6) 親族外承継への適用拡大:弊社範疇ではあまり影響がない
事業承継税制は近年、親族外承継への適用も拡大されました(後継者要件として、相続・贈与の前に役員等として 3 年以上の経歴があれば適用可能)。これは中小企業の事業承継選択肢を広げる重要な制度改正です。
ただし弊社の現場では、すでに 役員継続予定の親族外承継 を選んでいるクライアントは、税制よりも 株式譲渡対価の交渉 ・ ロックアップ条項 ・ 経営者保証解除 等の M&A 実務論点が中心になります。弊社範疇ではあまり影響がない というのが現場感覚です。
4. JFSC の本質的見解 — 税理士領分への謙抑、ただし税制適用後 M&A リスクは率直に開示
本記事のクライマックスとして、JFSC の本質的見解をお伝えします。
事業承継税制 特例措置について、弊社は 活用したケースがありません。
理由は単純で、弊社のクライアントは もう第三者承継(M&A)を決めた方がほとんど だからです。事業承継税制は親族内承継や役員等承継を前提とした制度なので、第三者承継を決めた方が仲介に聞く論点ではありません。
個別具体的な税制適用論点は 税理士の領分 です。弊社が立ち入る話ではありません。
ただし弊社からも一つだけ案内することがあります。税制適用後に M&A を検討するケース です。事業承継税制の認定後に M&A で第三者譲渡すると、認定取消事由に該当して、猶予されていた相続税・贈与税が利子税付きで一気に発生 します。これは売り手の手取りを大きく毀損する税務リスクなので、税制適用前に M&A の選択肢が将来あるかどうかを慎重に検討するよう案内 します。
業界他社で「特例措置で確実に節税」と煽る記事は、弊社では見たことがありません。
大手 M&A 仲介や税理士法人のサイトでは、事業承継税制 特例措置を「相続税・贈与税ゼロ」「中小企業の事業承継の決め手」として推奨する記事が並びます。確かに親族内承継や役員等承継を前提にした場合、有用な制度です。しかし、第三者承継 (M&A) を選んだ瞬間に認定取消+利子税 という構造リスクを正面から伝える仲介は、業界では多くないと感じます。
弊社のアプローチは、税理士領分への謙抑(個別税制論点には立ち入らない)と、M&A 仲介としての税制適用後リスクの率直な開示(税制適用後の M&A は認定取消+利子税)の二点に徹することです。「税制で節税」を強調する記事は弊社では書きません。代わりに、売り手が出口戦略の選択肢を網羅的に検討するための情報整理 を提供します。
事業承継税制の活用を検討するなら、まず 顧問税理士 ・ 事業承継・引継ぎ支援センター へのご相談を推奨します。M&A の選択肢が将来含まれる可能性があるなら、その時点で弊社にもご相談ください。当たり前のことを当たり前にやる——これが大手 M&A 仲介の標準解説と一線を画す JFSC の現場感覚です。
M&A 検討中の売り手オーナー様へ
事業承継税制を適用済み or 適用検討中で、将来の M&A 選択肢も視野に入れたい場合、税制と M&A の関係(認定取消リスク)について、率直にお伝えします。
初回相談無料・秘密厳守・完全成功報酬制(最低報酬 700 万円)。中小企業庁 M&A 支援機関登録事業者・M&A 支援機関協会正会員(特定事業者リスト閲覧資格保有)。
5. 数年後に振り返って気づくこと
「親族内承継ありきで税制適用したら、数年後に後継者の事業継続意欲が低下して M&A を検討、認定取消+利子税で実質損になった」「顧問税理士に丸投げで、M&A との併用可否を確認していなかった」「特例承継計画の提出期限(2026 年 3 月)を過ぎてから親族内承継を検討して、特例措置が使えなかった」「『税制で節税できる』と思って親族内承継を急いだら、後継者意欲がなくて結局 M&A、税制取消になった」——これが事業承継税制と M&A 選択肢の関係を軽視して後悔した売り手の典型的な声です。
事業承継税制 特例措置は、親族内承継や役員等承継を前提とすれば有用な制度です。しかし、将来の M&A 選択肢を視野に入れる場合は、認定取消+利子税のリスク を正しく理解しておく必要があります。個別税制論点は税理士の領分、M&A 仲介としての税制適用後リスクは率直に開示——この役割分担で売り手の意思決定を支えるのが、弊社のスタンスです。国税庁 事業承継税制、経営承継円滑化法、事業承継・引継ぎ支援センター 等の公的情報を活用しながら、ご自身の事業承継の最適解を検討してください。当たり前のことを当たり前にやる——これが大手 M&A 仲介の標準解説と一線を画す JFSC の現場感覚です。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2026年4月26日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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