M&A仲介から「御社を買いたい人がいるから売ってくれ」という問い合わせが来た
【この記事の結論】「買いたい人がいる」という打診の多くは数打ち営業です。秘密保持契約締結後の社名開示・接触経緯の具体性・口コミ件数を確認し、曖昧さがあれば早期にお引取りいただくのが安全です。
*2022年4月5日追記:「会社名 迷惑」などの検索でこちらのコラムへの流入がかなり多いので、新しいコラム(「また来たM&A仲介会社からのしつこい迷惑電話」)を追加しました。
電話対応がだるい方はこちらも併せてご覧ください。
2024年1月19日「M&A仲介会社の迷惑営業について」も追加しましたのでこちらも併せてごらんください。
いきなり「社長を出してほしい」みたいな電話が来たり、ホームページの問い合わせフォームから「会社を売ってほしがっている人がいる」という連絡が来たことがある経験がある方も多いかと思います。
思わせぶりな連絡であったりすることもおおく、自社の経営に自信がある社長であるほど他社から評価されていると思ってしまうかもしれません。
でもその電話は果たして本当なのでしょうか?
これは率直に言うと・・・、まず間違いなく適当、というより何千と連絡を行い、反応があった先に営業トークを行っているケースが多いです。
というのも仲介も案件がなければ始まらないため、どうしても数打ってあてる、という仲介会社が出てくるのはやむを得ないと思います。
(ひどいところになると、せっかく問い合わせをしたにもかかわらず、想定していた規模や利益額が出ていないと、そのまま無視をするという仲介会社もあるに仄聞しておりますし、たまに愚痴もこぼされますが)
M&A仲介会社の営業担当も出身会社が証券会社や生命保険会社の営業出身多いです。
このことからも彼らが前職でやっていたテレアポを取って面談して説明する、という営業手法とM&A仲介会社の営業手法の親和性が高いということの証左ですし、その営業手法でアポを取りに来ているのでしょう。
なお当社は他社と比べ、「数を打ってあてる」という戦略をとるほどの余裕もありませんし、嘘をついてまで案件化するというのも設立方針と異なるため、実際にお相手がいる企業様にしかアプローチいたしません。
とはいえ現実に、M&A仲介会社から問い合わせがあった場合どうしたらいいのか。
本当に相手がいるのかどうか、仲介会社から問い合わせが来たタイミングで判断するにはどうしたらいいのか、をお伝えします。
電話での問い合わせが来たら
最初のやり取りは電話でやることが多いと思いますが、その際に「相手の具体的な名前を出してほしい」って聞いてみましょう。具体的な先のない仲介会社は「秘密保持契約を結んでから」というようなあいまいな言い方でかわすと思います。
とはいえ秘密保持契約を結ばないで具体的な企業名を出す仲介会社も何ともです。
そういったところは情報漏洩を行う可能性があるので、早めにお断りするのも一つかもしれません。
一般的に秘密保持契約を締結すること自体は費用の発生もないでしょうし、情報収集を行うためのツールとして割り切っていいと思います(秘密保持契約書の雛形については経済産業省の案内もご参照ください)。
基本的に秘密を守りましょうという拘束しか発生しないはずですが、念の為、条文には注意しましょう。
また問い合わせ中、もしくは問い合わせ後に「〇〇(問い合わせしてきた会社名) 迷惑電話」で検索してみてもいいでしょう。
「株式会社○○M&A仲介 迷惑電話」と検索してみてヒットするようであれば、同様の営業手法を用いていると思われます。
もちろん営業電話自体は営業手法の一つなので否定はできないのですが、やはりやりすぎ、というか、程度が低く悪質なところですと口コミが書かれている件数が多い傾向があります。
あまりにも口コミが多い会社は気を付けたほうが良いのではないでしょうか。
なお口コミもサイトによっては依頼すると削除できるようです。
ただしそれまでの口コミ件数は記録されていますので、今までの口コミ件数が多いにもかかわらず何もコメントが書かれていない口コミサイトは、企業から依頼を受けて削除されていると考えられます。
そのような会社は自社の評判の悪さを自覚しているけれどもやり方を変えていないという点で故意性が高いと思われるので特段気を付けたほうがいいかもしれません。
また開示のタイミングで着手金として費用発生する仲介会社もあると聞いております。
「他から依頼を受けて」という打診の流れで、相手に費用負担をさせる意味が分かりませんので、そういうところは最初の段階でお引取りでいいと思います。
弊社と連携して頂いているクレジオ・パートナーズ社が仲介会社の手数料をまとめられていますが(許可をいただいて転載しています)、売り手から着手金を取る会社も複数社あるようですね。
秘密保持契約を締結したら
秘密保持契約を締結したタイミングで「社名開示をして下さい」と聞いてみましょう(初回時の面談でもいいと思います)。
そこで口ごもったらまず間違いなくアウトですよね。
お引き取り願ったらいいと思います。
社名開示をしても、それが本当かどうかっていう話があると思います。
本当かどうかを確認するために、「なぜうちか」「M&Aを行うとどうなると考えているのか」「窓口はだれか」「どうやって接触したのか」を細かく聞いてみましょう。
経緯について具体的に説明できれば確かさはあると思いますし、あいまいさやごまかしがあれば、そこに嘘があると思っていいと思います。
嘘をつく担当者は、M&Aの案件が進む中で、どこかで嘘をつく可能性があり、嘘によってトラブルを招く可能性があるため、その時点でお断りしたほうがいいと思います。
当社は先ほど述べた理由でお相手がいない企業へアプローチすることはありませんし、嘘をついてまで会社を売ってほしいということはございません(もしそのような担当者がいれば代表の当方までお申し出ください)。
それらがクリアされたら、具体的な話が待っていると思っていいと思います。そう思われたら、次のステップとして、「いくらで譲渡するのか」「その際の条件はどうしたらいいのか」ということを担当と詰めて行ったらよろしいと思います。
なお弊社のM&A仲介サービスでは、着手金・中間手数料など無料の完全成功報酬制で対応しておりますので、M&Aにご興味ありましたらお気軽にご相談ください。
<2024年4月8日追記>
本文中でマンパワー主体のコールが案件発掘の要素の一つと書いていますが、先ほどM&A支援機関登録事務局から迷惑営業の注意喚起が各社に入りました。
迷惑コールをものともしない会社は当局から排除される可能性がある(信用の低下や買い手・売り手は補助金の対象ではなくなるなど)ことから、人を抱えて固定費が高い会社はつらいことになりそうです。
逆に税理士などとリレーションを持っているコールだけに頼らなくていい日本M&Aセンターなどにとってはプラスでしょう。
参考までにご確認ください(赤字太字筆者)。
営業電話を迷惑に感じている方は本文を読まずとも、以下の画像先をクリックすると情報提供フォームに飛びますので、そちらでご相談されてもいいかもしれません。
お世話になっております。M&A支援機関登録事務局です。
平素より中小M&Aに係る支援に御尽力いただき、誠にありがとうございます。
事務局においては、登録M&A支援機関に係る支援の実態についての情報提供窓口を設置しておりますが、情報提供の内容としては、営業先が契約締結を断ったのにも関わらず、営業行為を継続する行為等の営業行為に係るものが多く寄せられております。
「中小M&Aガイドライン」においては、M&Aに必ずしも詳しくない中小企業の意思決定を適切にサポートし、依頼者の利益のために善意管理注意義務や職業倫理に基づいた支援を実施することをM&A支援機関に対して求めているところです。
こうした趣旨を踏まえると、契約締結に向けた営業行為についても依頼者となりうる中小企業の意向に沿って行う必要があると考えており、このため、今年度以降、営業に係る情報提供が寄せられた場合には、当該情報提供に係る登録M&A支援機関に対して通知し、注意喚起することといたします。
とりわけ、複数回の情報提供が寄せられる等、潜在的な依頼者である中小企業の意向に沿わない営業行為が組織的に許容されていると疑われる場合については、ガイドラインにおいて求めている「職業倫理」の醸成等が不十分との疑念が生じることとなりかねず、こうした場合には、M&A支援機関登録事務局としても追加的な対応を検討していくこととなります。
以上、引き続きよろしくお願いいたします。
M&A仲介については以下のブログも参考にしてください。
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「御社を買いたい人がいるから売ってくれと言われているが本当か」問題
※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。日本財務戦略センター(JFSC) ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2020年8月27日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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