【この記事の結論】コロナ禍後、ゼロゼロ融資返済本格化や原材料・エネルギー価格高騰で資金繰り悪化に直面する中小企業が増加しています。事業再生M&Aは事業譲渡・会社分割・第三者割当増資など複数スキームを組み合わせる戦略で、特に4-5ヶ月の資金繰り目途が立つ段階での早期相談が、複数選択肢を確保し雇用維持・経営者保証解除を実現する鍵となります。個別判断は税理士・弁護士等の専門家にご相談のうえご検討ください。
コロナ禍後の中小企業を取り巻く資金繰り環境はどう変化しましたか?
緊急事態宣言が明け、街にも賑わいが戻り、地方都市の人流も回復しています。しかし東京商工リサーチの調査によると、コロナ関連倒産は依然として高水準で推移しており、予断を許さない状況が続いています。
特に注目すべきは、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化していることです。日本政策金融公庫による劣後性自己資本ローンも、劣後ローンが返済順位の低い融資のため金融機関側が慎重に審査を行い、ある程度の収益性が見込まれる企業でないと融資が受けにくい傾向にあります。
複合的に襲う資金繰り圧迫要因
人流回復の一方で、新型コロナウイルス変異株の再拡大リスク、世界的なサプライチェーン混乱、エネルギー価格・原材料価格の高騰、製品納入遅延といった複合要因が、中小企業の資金繰りに深刻な影響を与え続けています。売上回復が伸び悩んでいる企業は、特に資金需要が高まる年末12月に向けて、なおさら資金繰りがタイトになる局面です。
休廃業については、帝国データバンクや東京商工リサーチの月次統計を継続的にモニタリングする必要があります。
事業再生M&Aで取れる主な選択肢は何ですか?
資金繰りが厳しい状況下では取れる手段が限られるため、早期の相談が極めて重要です。特に4-5ヶ月程度の資金繰り目途が立つ段階であれば、以下の複数スキームを複合的に検討し、最適な解決策を提案することが可能です。
- 事業譲渡:事業の選択と集中を促し、不採算部門を切り離して優良事業部門を存続させる戦略。譲渡先企業とのシナジー効果も期待できます。
- 会社分割:事業を分割して優良部門と不採算部門を法人格として分離し、優良部門のみを譲渡または存続させる手法。
- 第三者割当増資:外部資本を導入し財務体質を改善する手法。経営権の希薄化と引き換えに資金調達と経営支援を獲得します。
日本財務戦略センター(JFSC)の実務知見では、製造業A社(従業員30名)の事例で、コロナ禍の受注減と原材料高騰により資金繰りが急激に悪化したケースがありました。当初は私的整理を検討されていましたが、事業の核となる技術力と顧客基盤に着目し、早期のM&Aによる事業譲渡を提案。不採算部門を切り離し優良事業部門を存続させる戦略により、譲渡先企業とのシナジー効果も生まれ、従業員の雇用維持と経営者保証解除を実現できました。
経営者保証解除に向けた戦略
事業再生M&Aの重要論点の一つが経営者保証の解除です。経営者保証ガイドラインの活用により、適切なM&Aスキームと併せて経営者個人の連帯保証を解除する道筋が開ける場合があります。経営者保証ガイドラインは法的拘束力こそ持ちませんが、金融機関の自主的ルールとして機能しており、M&A仲介・弁護士・税理士等の専門家と連携した申請が現実的です。
事業再生M&Aを成功させる早期相談のポイントは何ですか?
資金繰りが完全に行き詰まってからの相談では、取れる手段は私的整理や法的整理に限定されてしまいます。一方、4-5ヶ月の資金繰り目途が立つ段階であれば、事業譲渡・会社分割・第三者割当増資など、複数選択肢の中から最適なスキームを選べる余地があります。
事業再生・私的整理の詳細スキームについては、企業再生スキームとM&A、債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)もあわせてご参照ください。
金融支援機関の活用
事業再生では公的支援機関の活用も有効です。地域経済活性化支援機構(REVIC)、事業再生ADR、特定調停スキーム等、状況に応じた選択肢があります。経営者保証の見直しは経営者保証ガイドラインを軸に、金融機関との交渉を専門家がサポートします。
JFSCではこれまで数多くの企業の事業再生を支援してまいりました。資金繰り悪化の兆候が見えた段階で、手遅れになる前にぜひお気軽にご相談ください。事業の核となる技術力・顧客基盤・人材といった「残すべき価値」を見極め、複数スキームから最適解を組み立てます。
※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。JFSC ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております。
よくあるご質問
事業再生M&Aを検討すべきタイミングはいつですか?
理想的には4-5ヶ月程度の資金繰り目途が立つ段階での早期相談です。この段階であれば、事業譲渡・会社分割・第三者割当増資など複数のスキームから最適な選択肢を組み合わせる余地があります。資金繰りが完全に行き詰まってからでは私的整理・法的整理に選択肢が限定されてしまうため、早期判断が極めて重要です。
事業再生M&Aで主に使われるスキームには何がありますか?
主に3つです。(1)事業譲渡:不採算部門を切り離し優良事業部門を存続させる手法。(2)会社分割:事業を法人格として分離し優良部門を譲渡・存続させる手法。(3)第三者割当増資:外部資本導入で財務体質を改善する手法。状況に応じて複数を組み合わせ、雇用維持と経営者保証解除を同時に図ります。
事業再生M&Aで経営者保証は解除できますか?
経営者保証ガイドラインの活用により、適切なM&Aスキームと併せて経営者個人の連帯保証を解除する道筋が開ける場合があります。ガイドラインは法的拘束力を持たない金融機関の自主的ルールですが、M&A仲介・弁護士・税理士等の専門家と連携した申請が現実的で、JFSC支援事例でも雇用維持と経営者保証解除を同時に実現したケースがあります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2021年12月3日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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