2026.01.22 事業承継

【2025年倒産1万件】黒字なのに廃業する会社が半数以上|後継者不在から会社と従業員を守る5つの実務

この記事の要点
  • 1.倒産件数が2年連続で1万件を突破。人手不足や後継者難が深刻な原因です。
  • 2.実は、廃業する会社の半数以上が黒字経営。後継者が見つからないためです。
  • 3.会社と従業員を守るため、元気なうちに事業承継やM&Aを考える方法を解説。

倒産件数、2年連続1万件超え。2025年以降を生き抜く、中小企業オーナーの決断とは

2025年の企業倒産件数が、2年連続で1万件の大台を超えました。これは単なる数字ではなく、多くの中小企業が直面する厳しい現実を映し出しています。深刻な「人手不足」、止まらない「物価高」、そして経営者の高齢化に伴う「後継者難」。これらの問題は、もはや避けて通れない構造的な課題です。多くの経営者が「うちはまだ大丈夫」と考えているうちに、選択肢は少しずつ失われていきます。この記事では、最新のデータを基に倒産の真実に迫り、長年会社を支えてこられたオーナー経営者の皆様が、会社と従業員、そしてご自身の未来を守るために「今」取るべき具体的な生存戦略、特に「事業承継」や「M&A」という選択肢について解説します。

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「うちの会社は大丈夫か?」多くの経営者が抱える静かな不安

長年、身を粉にして会社を切り盛りしてこられた社長の皆様、本当にお疲れ様です。

景気の先行きが不透明なニュースが飛び交う中、「自分の会社は、この先どうなるのだろうか」と、ふと不安を感じることはありませんでしょうか。

最近、私たちがご相談を受ける複数のオーナー様から、こんな切実な声をお聞きします。 「あと数年は頑張れると思うが、その先が正直見えない」 「従業員たちの生活を考えると、簡単に会社を畳むわけにはいかない。でも、自分の体力がいつまで持つか…」

こうした不安は、決してあなた一人のものではありません。今、日本の多くの中小企業経営者が同じ悩みを抱えています。そして、その不安を裏付けるように、倒産件数は厳しい現実を示しているのです。

データが示す「倒産のリアル」:2年連続の1万件超え

まずは、客観的なデータを見てみましょう。感情論ではなく、事実を正確に把握することが、正しい経営判断の第一歩です。

2025年(1月~12月)の全国企業倒産件数は、大手信用調査会社の調査によると、

となり、2024年に続き、2年連続で1万件を超えるという極めて憂慮すべき事態となりました。これは、コロナ禍での手厚い資金繰り支援(ゼロゼロ融資など)が終了し、日本経済が「実力」を試される局面に入ったことを意味します。

過去の数字と比較すると、その深刻さがより鮮明になります。

コロナ前の8,000件台から、一気に1万件台へとステージが変わってしまったのです。

特に厳しい状況に置かれているのが、以下の業種です。

長引く人手不足やコスト高が、これらの業界を直撃している構図が浮かび上がります。

なぜ倒産は増え続けるのか?避けて通れない「3つの壁」

では、なぜこれほどまでに倒産が増えているのでしょうか。その背景には、中小企業が直面する根深い「3つの壁」が存在します。

1. 人手不足の壁:「仕事はあるのに人がいない」という悪夢

最も深刻なのが「人手不足」です。2025年の「人手不足」を理由とした倒産は、帝国データバンクの調査で過去最多を大幅に更新する427件に達しました。これは、受注があっても、それをこなす従業員がいないために事業継続を断念する、いわば「黒字倒産」予備軍が増えていることを示しています。特に、若手人材の確保が難しい建設業運送業介護サービスなどでこの傾向は顕著です。

2. 物価高の壁:価格転嫁できずに利益が消える

原材料費、エネルギー価格、物流費など、あらゆるコストが上昇を続けています。大企業は価格交渉力がありますが、多くの中小企業は取引先との力関係から、上昇したコストを販売価格へ十分に転嫁(てんか)できていません。結果として利益が圧迫され、じわじわと体力を奪われていきます。2025年の「物価高」倒産は949件にのぼり、2年連続で過去最多を記録しました。

3. 後継者難の壁:社長の引退が会社の終わりになる

そして、60代のオーナー経営者の皆様にとって最も身近な問題が「後継者難」です。東京商工リサーチの調査では、2025年の「後継者難」による倒産は454件と高水準で推移しています。

「息子は継ぐ気がないし、かといって従業員に任せるのも難しい」。これは、私たちが事業承継のご相談で本当によく耳にする言葉です。素晴らしい技術や地域に根差した事業があっても、引き継ぐ人がいなければ会社を清算せざるを得ない。これは、経営者個人だけでなく、日本経済全体にとっても大きな損失です。

今こそ「会社の終わり方」ではなく「会社の未来の創り方」を考える時

厳しい現実を前に、ただ手をこまねいているわけにはいきません。重要なのは、会社の体力が残っている「今」、先手を打って行動することです。選択肢は「事業を続ける」か「廃業する」かの二択だけではありません。

衝撃の事実:廃業した会社の半数以上は「黒字」だった

ここで、一つ衝撃的なデータをご紹介します。2024年に休業・廃業・解散した企業のうち、実に51.1%が「黒字」だったことが、東京商工リサーチの調査で分かっています。これは、後継者が見つからないなどの理由で、利益が出ていて事業を続けられるにもかかわらず、やむなく会社を畳んだ経営者が半数以上もいるという事実です。

裏を返せば、この51.1%の企業は、M&A(第三者への会社売却)などの手法を使えば、事業も、従業員の雇用も、取引先との関係も守れた可能性があったのです。

生存戦略としての「事業承継」と「M&A」

会社の未来を創るための選択肢として、今、真剣に検討すべきなのが「事業承継」と「M&A」です。

M&Aは「会社を身売りする」といったネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、実態は全く異なります。むしろ、

など、関係者全員にとってメリットの大きい、極めてポジティブな経営戦略なのです。

国も後押しする事業承継。今すぐ始めるべき3つのステップ

「M&Aなんて、うちのような小さな会社には関係ない」と思われるかもしれません。しかし、国も中小企業の事業承継を重要な政策課題と位置づけ、様々な支援策を用意しています。

こうした制度も活用しながら、まずは以下の3つのステップから始めてみてはいかがでしょうか。

ステップ1:自社の「健康診断」を行う まずは、会社の現状を客観的に把握しましょう。決算書だけでなく、自社の強み(技術、顧客基盤など)や弱み、将来性を紙に書き出してみることをお勧めします。

ステップ2:専門家への「相談」という第一歩を踏み出す 事業承継やM&Aは、秘密保持が極めて重要です。まずは信頼できる税理士や金融機関、あるいは事業承継を専門とする仲介会社に「あくまで情報収集として」相談してみましょう。相談したからといって、すぐに何かを決めなければならないわけではありません。

ステップ3:複数の選択肢を「検討」する 専門家と話す中で、自社がどのくらいの価値で評価されるのか、どのような買い手候補がいるのか、といった具体的な情報が見えてきます。親族への承継、従業員への承継、そしてM&A。それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、ご自身と会社にとって最良の道を探ります。

【重要】 事業承継やM&Aのプロセスには、法務や税務に関する高度な専門知識が不可欠です。手続きを誤ると、後で大きなトラブルになりかねません。必ず、経験豊富な弁護士や税理士、信頼できる専門の仲介会社といった専門家のサポートを受けながら進めてください。

結論:経営判断は、体力と気力がある「今」しかできない

倒産件数が2年連続で1万件を超えたという事実は、もはや他人事ではありません。これは、多くの中小企業にとって事業環境が根本的に変化したことを示す警報です。

会社の未来を左右するような重要な経営判断は、心身ともに健康で、冷静に物事を考えられる時にしかできません。業績が悪化し、資金繰りに追われるようになってからでは、取れる選択肢は限られてしまいます。

長年守り育ててきた大切な会社、苦楽を共にしてきた従業員、そしてご自身の引退後の人生のために。会社の未来を考える「はじめの一歩」を、ぜひ今日から踏み出してください。

公開日: 2026年1月22日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する5問の計15問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。
本記事Q11. 黒字でも廃業する企業があるのはなぜですか?
A. 記事にもある通り、後継者が見つからないことが主な原因です。事業は順調でも、経営者の高齢化や体調不良により、やむなく廃業を選択するケースが多く見られます。元気なうちに事業承継やM&Aを検討することが重要です。
本記事Q12. 黒字廃業と後継者不在の関係は?
A. 記事ではサービス業他、建設業、飲食業が特に厳しい状況にあると指摘されています。これらの業種に属している場合や、人手不足、物価高によるコスト増を価格転嫁できていない状況であれば、早期の対策検討が望ましいでしょう。
本記事Q13. 廃業前にM&A検討するメリットは?
A. 後継者不在の場合でも、外部への事業承継やM&Aが有効な選択肢となります。これにより、会社の事業継続と従業員の雇用を守りながら、オーナー様は安心して引退を迎えられる可能性があります。
本記事Q14. 廃業と承継の経営判断での違いは?
A. 事業承継やM&Aの準備には一定の期間を要するため、経営者様の引退希望時期から逆算して、少なくとも数年前からの検討開始が理想的です。体力と気力があるうちに、複数の選択肢を比較検討し、最善の道を選ぶことが重要です。
本記事Q15. 後継者不在の企業が3つの対策から選ぶポイントは?
A. 短期的な対策としては、業務効率化による人手不足の緩和、仕入れ交渉や価格改定による物価高への対応などが考えられます。しかし、これらの課題は構造的なものが多いため、M&Aや事業承継を含む中長期的な視点での経営戦略が不可欠です。具体的な財務状況や事業計画に基づいた対策については、税理士や中小企業診断士などの専門家にご確認ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2026年1月22日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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