2020.10.13 M&A実務

後継者不在時代の事業承継:M&Aが拓く企業の未来と経営者の選択肢

事業承継とM&Aとは、後継者不在や経営課題を抱える中小企業が、第三者への株式や事業の譲渡を通じて、事業の継続と発展を図る戦略的な手法です。廃業による損失を避け、従業員の雇用維持、取引先の保護、そして経営者自身の利益最大化を目指す、現代の事業承継における重要な選択肢として注目されています。

【この記事の結論】後継者不在による休廃業が急増する中、廃業選択は内部留保が薄ければ受取額が乏しくブランド毀損も伴います。M&Aによる事業承継は廃業より受取額が大きく、従業員・取引先関係の継続も可能な有力な選択肢です。

日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業の事業承継・M&Aを専門とするプロフェッショナル集団です。公認会計士税理士弁護士といった各分野の専門家と連携し、複雑なM&Aプロセスを総合的にサポートします。私たちは、中小M&Aガイドラインを遵守し、M&A支援機関登録制度に則った透明性の高い支援を通じて、お客様の事業の未来を共に築きます。

深刻化する中小企業の事業承継問題とM&Aの必要性

なぜ後継者不在が事業継続の危機を招くのでしょうか?

人口動態の予測が示す通り、高齢化に伴う休廃業は今後さらに進むと予測されています。東京商工リサーチの調査(2018年)では、全国で4万6724件の企業が休廃業・解散しており、これは前年比14.2%増、倒産社数(8235件)を大幅に上回ります。政府も、今後10年間で中小企業の127万社が後継者不在により廃業する可能性があると指摘しています。(出典:政府資料)

このような状況下で、法人内で後継者を育成することが理想的ですが、適任者が見つからなかったり、個人保証の引き継ぎが困難であったり、株式買取資金の問題など、多くの課題が存在します。

廃業を選択した場合、どのような現実が待っているのでしょうか?

後継者不在に直面した際、廃業は現実的な選択肢として浮上します。しかし、廃業には多くの隠れたコストが伴います。債務の返済、従業員の解雇に伴う退職金支払い、取引先への説明や違約金、在庫の見切り処分などが発生し、会社のブランド価値も毀損されます。残った資産からこれらを清算すると、経営者が受け取る利益は、これまでの苦労に比べて非常に少ない可能性が高いです。長年育ててきた会社をなくしてしまうことは、非常にもったいない選択と言えるでしょう。

M&Aによる事業承継がもたらす具体的なメリット

そこで、廃業以外の有力な選択肢として、M&Aによる事業承継が注目されています。

譲渡企業(売り手)はM&Aからどのような恩恵を得られるのでしょうか?

M&Aによる事業承継は、譲渡企業にとって廃業と比較して以下の大きなメリットがあります。

譲受企業(買い手)にとってのM&Aの魅力とは何でしょうか?

企業を譲り受ける買い手側は、売り手企業が培ってきたノウハウ、資産、従業員、販路などを引き継ぐことで、自社の経営資源を有効活用し、事業の拡大や新たな価値創造を目指します。M&Aは、買い手にとっても成長戦略の重要な手段となります。

M&Aを成功に導くためのステップと専門家の役割

M&Aは複雑なプロセスを伴いますが、適切なステップと専門家の支援があれば成功に導くことができます。

M&Aプロセスは具体的にどのように進むのでしょうか?

  1. M&Aの相談と戦略立案: 信頼できる専門家への相談が第一歩です。JFSCでは、お客様の事業状況や将来展望を詳細にヒアリングし、最適なM&A戦略を立案します。事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関の活用も検討できます。
  2. 企業評価(バリュエーション): 企業の客観的な価値を算定します。割引キャッシュフロー(DCF)法、類似会社比較法純資産法など複数の手法を用い、収益性、資産、将来性などを多角的に分析し、価格交渉の基礎とします。
  3. M&A候補先の探索とマッチング: 企業評価に基づき、M&Aの目的や条件に合致する買い手候補を探索します。秘密保持契約(NDA)締結後、ノンネームシートで打診し、最適なパートナーを見つけ出します。
  4. 交渉と基本合意: 候補先との面談を経て、譲渡価格、従業員の処遇、経営陣の継続の有無など、具体的な条件交渉を行います。合意に至った場合、基本合意書(LOI)を締結し、今後の交渉の方向性を明確にします。
  5. デューデリジェンス(DD)と最終契約: 基本合意後、買い手は譲渡企業の詳細な調査(デューデリジェンス)を実施します。財務、法務(弁護士法)、税務(税理士法)、事業、人事などあらゆる側面からリスクを洗い出します。このプロセスには、各分野の専門家が不可欠です。DDの結果を踏まえ、最終的な条件調整を行い、会社法に則った手続きを経て、株式譲渡契約書などの最終契約を締結します。経営者保証の解除については、経営者保証に関するガイドラインに沿った対応も重要です。

M&Aにはどのような潜在的デメリットがあり、どう対策すべきでしょうか?

M&Aには、候補企業が見つからない可能性や、従業員・取引先にM&Aの検討が伝わり、退職や取引縮小につながるリスクがあります。しかし、これらのデメリットは、1年程度の余裕を持って対応し、経験豊富な専門家が秘密保持を徹底しながら進めることで、影響を最小限に抑えることが十分に可能です。

M&A検討はなぜ早期の専門家相談が重要なのでしょうか?

先日、廃業に伴う在庫処分を行う老舗企業のニュースを目にしました。実は弊社が数ヶ月前にお話をした企業で、その時は他社との面談が決まっているとのことでした。しかし、その後廃業に至ったということは、面談がうまくいかなかったのかもしれません。もう少し早くアプローチできていれば、複数の面談候補を紹介し、異なる結果になった可能性も考えられます。

このような事例からも、M&Aの検討は十分な余裕があるうちから進めることが極めて重要です。早期に専門家へ相談することで、選択肢を広げ、より良い未来を築くための準備を始めることができます。JFSCでは無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。

よくあるご質問

事業承継において、M&Aと廃業ではどちらが有利な選択肢ですか?

一般的に、M&Aは廃業よりも多くのメリットをもたらします。廃業はブランド毀損や従業員の解雇、限定的な受取額に繋がる一方、M&Aは企業価値の最大化、従業員・取引先の継続、そして経営者の利益確保が期待できます。

M&Aのプロセスで特に注意すべき点は何ですか?

M&Aは複雑なプロセスであり、企業評価、秘密保持、デューデリジェンス、最終契約など、各段階で専門的な知識と経験が必要です。特に、財務・法務・税務のデューデリジェンスは専門家による詳細な調査が不可欠です。

M&Aを検討する際、いつ専門家に相談すべきですか?

M&Aの検討は、事業に十分な余裕がある早期の段階で専門家に相談することが重要です。時間的な余裕を持つことで、より多くの候補先を検討でき、最適なM&A戦略を立案し、成功確率を高めることができます。

公開日: 2020年10月13日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する0問の計10問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2020年10月13日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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