2021.05.13 M&A実務

PEファンドとの資本業務提携が中小企業にもたらすもの:優秀な「ヒト」と「カネ」を同時獲得しEXITで利益確定する成長戦略

PEファンドとの資本業務提携とは、未上場企業への投資を通じて企業価値向上を目指すPE(Private Equity)ファンドが、株式の一部または全部を取得し、経営人材の派遣やネットワークを通じて成長を支援する取引です。中小企業にとっては優秀な経営人材と成長資金を同時に獲得できる成長戦略であり、最終的にIPOや売却によるEXITを前提とする点が事業会社M&Aと異なる特徴です。

【この記事の結論】PEファンドとの資本業務提携は、優秀な「ヒト」(経営人材)と「カネ」(成長資金)を同時に獲得できる成長手段です。ただし黒字・資産超過の企業が好まれ、最終的にEXITで売却される前提が組み込まれています。連帯保証解除と一部株式継続保有によるアップサイド共有が、オーナー経営者にとっての主要な魅力となります。

中小企業が「ヒト・モノ・カネ(・情報)」を揃えて成長するうえで、特に「ヒト」—経営者の右腕となり、深い理解と建設的な対案を提示できる人材—の確保は多くの経営者の共通課題です。中小企業庁のデータでも、中小企業の人材確保の困難が示唆されています。都市部は給与競合が激しく、地方は人材プールそのものが限定的という二重の壁があります。

PEファンドとは何ですか?

PE(Private Equity)ファンドとは、複数の機関投資家・個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資し、経営支援を通じて企業価値を高め、IPOやM&Aによる売却(EXIT)でリターンを得るファンドです。LBO(Leveraged Buy Out)—対象企業の資産・将来キャッシュフローを担保とした借入で買収を行う手法—を用いることが多く、「企業を安く買って高く育てる」というコンセプトに基づいています。

PEファンドは投資規模順にラージキャップ・ミドルキャップ・スモールキャップ(・マイクロキャップ)に大別され、扱う案件規模はファンド規模により決まります。「ファンドは大金を集めているから高く買ってくれる」といった誤った提案をするアドバイザーには注意が必要です。実際にはPEファンドは厳格な投資基準に基づき、合致しない企業へ投資することはありません。

近年は、DX支援・海外展開・サプライチェーン最適化などの特定領域に強みを持つファンドや、ESG投資の観点を投資判断に組み込むファンドも増えています。

PEファンドに参画する人材の質

当社が複数のPEファンドと打ち合わせを行うなかでの肌感覚として、(1)大手金融機関から運用資金を預かれる信頼に足る経歴、(2)地頭・会計・法務・業界知識・経験に基づく投資判断能力、(3)既存経営陣と協業できる人間力—これらを兼ね備えた、大手商社出身者やMBA取得者などのレベルの高い人材が参画している印象です。同等の人材を一般的な人材紹介経由で自社採用しようとすると、機会的にも費用的にも極めて困難です。

PEファンドとの資本業務提携で何が得られるのですか?

PEファンドの投資先となれば、上記のような優秀な人材が役員として入ってきます。彼らは投資先企業の価値向上とEXITによる利益確保という明確な使命を負っており、投資期間中は経営参画とファンドネットワークの活用を通じて事業拡大を支援します。「ヒト」と「カネ」が同時に投下される点が、事業会社M&AにはないPEファンド提携の特徴です。これは中小企業庁が推進する事業承継・成長戦略の文脈でも有力な選択肢となり得ます。

PEファンドとの提携による成長事例

これらの事例は、PEファンドが単なる資金提供者ではなく、経営パートナーとして企業の課題解決と成長を後押しする存在であることを示しています。

資本業務提携のメリットとデメリットは何ですか?

メリット

デメリット

会社の将来をどう考えますか?

個人には寿命がありますが、法人は法律的概念として寿命がありません。それでも企業が永続的に成長するためには、変化への対応と新たな活力の取り入れが不可欠です。中小M&Aガイドライン第3版でも示される通り、事業承継は喫緊の課題であり、従業員・取引先への責任を踏まえれば「今後どうしていくのか」を考えざるを得ません。厚生労働省のデータからも、企業の成長が従業員の定着・モチベーションに大きく影響することが伺えます。

独自路線に固執して結果として存続できなくなるより、リスクを抑えつつヒトとカネを受け入れて業容を拡大していく方が、代表者・株主・従業員という利害関係者に報いる合理的な選択になり得ます。その資源提供パートナーの選択肢の一つとしてPEファンドがあり、当社にも「ふわっとしたタイミングでも構わない」と初期ディスカッションに応じてくれるファンド担当者が複数います。

日本財務戦略センター(JFSC)の支援体制

PEファンド提携の検討にあたっては、自社の現状と将来ビジョンの明確化、複数ファンドとの対話を通じた文化・目標適合性の見極めが不可欠です。財務・税務面は税理士法に則り提携税理士公認会計士と、法務面は弁護士法に則り提携弁護士と連携し、M&A支援機関協会の倫理規定と事業承継・引継ぎ支援センターの活用も視野に、最適なパートナー選定を支援します。M&A実務の判断には顧問税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。お困りの際はJFSC のM&Aセカンドオピニオン無料相談をご活用ください。

よくあるご質問

PEファンドとの資本業務提携は事業会社へのM&Aと何が違いますか?

事業会社M&Aがシナジーや事業統合を目的とするのに対し、PEファンドは投資期間内の企業価値向上とEXIT(売却・IPO)を前提とします。優秀な経営人材の派遣と成長資金提供を同時に受けられる点が特徴で、株式一部継続保有によりアップサイドを共有できる構造もオーナー経営者にとっての魅力です。

PEファンドはどのような企業を投資先として好みますか?

基本的には黒字で資産超過の企業が好まれます。ただし例外として、ニッチ市場で圧倒的なシェア・革新的技術や特許・業界再編の核となる戦略的価値の高い企業は、一時的な赤字や債務超過でも投資対象となることがあります。中長期での企業価値向上の蓋然性が判断軸です。

PEファンドが最終的にEXITするのはデメリットになりますか?

EXITは構造的前提ですが、必ずしもネガティブな結末ではありません。ファンド支援で成長した企業がより大きな上場企業に買収されることで、従業員のキャリア機会や事業拡大に繋がるケースもあります。買収後の従業員処遇や企業文化の維持はM&A契約交渉で具体化するため、提携検討時から専門家と連携して論点を整理することが重要です。

公開日: 2021年5月13日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する0問の計10問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2021年5月13日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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