2021.05.29 M&A実務

事業承継のベストタイミングはいつか:データで読み解く譲渡67-70歳・譲受40代の現実とJFSC実務知見

事業承継のタイミングとは、現経営者が後継者へ経営権・株式・事業資産を移転する適切な時期を指します。中小企業の調査では譲渡67-70歳・譲受40代前半が満足度ピークとされ、40歳未満で承継した企業の過半数が業績改善を達成しています。タイミングを逸すると後継者の意欲低下や業績悪化を招くため、親族内承継第三者承継いずれも早期準備が成功の鍵です。

【この記事の結論】中小企業白書2023年版では経営者平均年齢が63.0歳と過去最高、後継者不在率57.2%。中小企業庁の事業承継アンケートでは譲渡67-70歳・譲受40代前半が満足度ピークで、40歳未満で承継した企業の過半数が業績改善と回答。将来を悲観して承継を遅らせるより、親族内・第三者を問わず早期判断が事業の持続可能性を高める鍵です。

事業承継のベストタイミングは何歳ごろですか?

「どのタイミングで事業承継を検討したらよいのか」というご相談を最近よくいただきます。企業の状況によりケースバイケースで唯一の正解はありませんが、中小企業庁のアンケートと中小企業白書のデータから、望ましいタイミングの傾向を読み解くことが可能です。

経営者の高齢化と後継者不在の現状

中小企業白書2023年版によると、中小企業の経営者平均年齢は2022年に63.0歳と過去最高を更新。後継者不在率も57.2%と高水準で推移しており、多くの企業が事業承継課題に直面しています。

譲渡側の年齢:67-70歳での譲渡と業績悪化リスク

2013年の中小企業庁アンケートでは、譲渡は67-70歳で行われる傾向が示されています。注目すべきは、年齢が高いタイミングで譲渡した企業ほど減収・減益傾向が継続していたという結果です。小規模事業者ほど後継者を見つけるタイミングが難しく、事業が下降線にあったために譲渡が遅れた可能性があります。

譲受側の年齢:40代前半が満足度ピーク

後継者の譲受年齢に関するアンケートでは、「ちょうどいい時期だった」と回答した年齢層は40-49歳が70%を占めています。一方、50代以降に譲り受けた後継者では「もっと早く譲り受けたかった」との回答比率が世代が上がるごとに増加。世の中の事業承継の約3割は、本人が思っているより遅いタイミングで実施されていると推定されます。

早期判断が事業承継を成功に導く理由は何ですか?

40歳未満で事業承継を行った企業の過半数が「業績が良くなった」と回答しており、年齢が上がるほど業績改善できない傾向が高まります。将来を悲観して承継のタイミングが遅れるくらいなら、むしろ早めに判断する方が合理的です。第三者へのM&A承継であれば、外部資本を活用した事業拡大という選択肢も生まれます。

日本財務戦略センター(JFSC)の実務知見:親族内承継の難しさとM&A活用

実際のご相談で、親族(子息)に承継させる前提で入社させたものの、ご子息が社員のマネジメントに苦戦して離職者が増え、経費増大と売上減少で債務超過に陥った製造業の事例がありました。最終的には第三者へのM&Aを選択され、ご子息は新たなグループ企業内で専門性を活かす道を見つけ、会社も大手資本の傘下で事業再建に成功されています。

無理な親族内承継は会社にも後継者にも不幸な結果を招きます。大手資本との統合で近代化を図り、ご子息はグループ内で専門性を活かす方が安定する、という考え方も十分にあり得ます。

事業承継成功のためのJFSC独自視点

事業承継検討者が次に取るべき具体的アクション

  1. 現状把握と将来展望の明確化:自社の強み・弱み・市場環境・経営者自身の希望を整理。
  2. 選択肢の検討:親族内承継・従業員承継・M&Aそれぞれの可能性を比較検討。
  3. 専門家への相談事業承継・引継ぎ支援センターM&A支援機関協会登録の専門家、JFSCのようなM&A仲介会社に早期相談し、客観的な意見と具体的なアドバイスを得ます。

※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。JFSC ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております

よくあるご質問

事業承継のベストタイミングは何歳ごろですか?

中小企業庁の調査では譲渡67-70歳・譲受40代前半が満足度ピークです。譲り受け側は40-49歳が「ちょうどいい時期だった」と70%が回答。世代交代を意識した経営をされているなら、平均的な譲渡・譲受年齢から大きく逸脱しないことが望ましいでしょう。

事業承継を遅らせるとどのようなリスクがありますか?

中小企業庁データでは、年齢が高いタイミングで譲渡した企業ほど減収・減益傾向が継続。逆に40歳未満で承継した企業の過半数は業績改善と回答しています。承継遅延は後継者の意欲低下と事業価値毀損の二重リスクをもたらすため、早期判断が合理的です。

親族内承継が難しい場合はどうすればよいですか?

第三者へのM&A承継が有効な選択肢です。大手資本との統合で経営近代化と事業再建が可能になり、ご子息も新グループ内で専門性を活かす道が開けるケースもあります。弁護士・税理士等の専門家にご相談のうえ、最適な選択肢をご検討ください。

公開日: 2021年5月29日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する0問の計10問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2021年5月29日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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