中小企業のM&Aを専門に手掛ける日本財務戦略センター(JFSC)代表の五十嵐悠一です。これまで100件以上のM&A成約をご支援してきた経験から、ビジネスパーソン向け雑誌DIMEで発表された経営者500名を対象とした「経営課題・M&Aに関する意識調査」の結果を、M&Aアドバイザーとしての実務経験と独自の視点から深く考察します。M&Aは事業の継続・発展のための戦略的選択肢であり、従業員の雇用維持や取引先との関係性強化、さらには地域経済への貢献といった多面的なメリットを持つことを、本稿を通じてご理解いただければ幸いです。
この記事の結論:本稿では、当該テーマの実務上の論点と判断材料を整理し、中小企業の経営者・後継者の方が次の一手を検討するための観点をまとめています。個別判断は、税理士・弁護士等の専門家にご相談のうえご検討ください。
M&Aに対する「マイナスイメージ」の実態
なぜ約3割の経営者はM&Aに抵抗を感じるのか?
DIMEの調査によると、M&Aに対して26.5%の経営者がマイナスイメージを抱いていると回答しています。この数字は、M&Aが単なる「会社売却」や「身売り」といったネガティブなイメージで捉えられている可能性を示唆しています。多くの経営者は、M&Aが事業の継続・発展のための戦略的選択肢であり、従業員の雇用維持や取引先との関係性強化、さらには地域経済への貢献といった多面的なメリットを持つことを十分に認識していないのかもしれません。
特に、長年築き上げてきた会社を手放すことへの心理的抵抗や、M&A後の変化に対する漠然とした不安が、このマイナスイメージの背景にあると私自身の経験からも強く感じます。これは、M&Aプロセスにおける情報不足や、信頼できるアドバイザーとの出会いの機会が限られている現状も影響していると考えられます。M&Aは、適切なパートナーと戦略的な視点を持つことで、むしろ事業を次世代へ繋ぎ、さらなる成長を促すポジティブな選択肢となり得るのです。信頼できるM&Aアドバイザーや事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関の活用も、こうした誤解を解消し、M&Aを前向きに検討する上で非常に有効です。
中小企業庁がレコフに依頼して調査したデータが、2021年の中小企業白書に記載されています。また、M&Aの信頼性向上に向けた取り組みとしては、中小M&Aガイドラインも策定されており、M&Aを検討する際の重要な指針となります。
世代間で異なるM&Aへの意識変化
若手経営者ほどM&Aに前向きなのはなぜか?
中小企業白書 第2-3-54図は、経営者の年齢別に10年前と比較したM&Aに対するイメージの変化を示しています。これを見ると、買収・売却(譲渡)のいずれにおいても、経営者年齢が若い企業ほど「プラスのイメージになった」とする割合が高いことが分かります。特に買収については、全ての年代で「マイナスのイメージになった」とする割合は5%以下と低く、M&Aが成長戦略として広く認識されていることが伺えます。
売却(譲渡)に関しても全世代でイメージは良化していますが、経営者年齢が高まるほど「プラスのイメージになった」と「マイナスのイメージになった」の差が縮まる傾向にあります。これは、若年層が新しい環境への適応に比較的柔軟であるのに対し、中高年層では変化への適応に対する懸念が強まる傾向と相似形だと感じています。
ベテラン経営者が抱くM&A後の不安とは?
M&Aアドバイザーとして多くの経営者様とお話しする中で、特に事業承継を検討されるベテラン経営者の方々からは、「M&Aで会社を譲った後、従業員はどうなるのか」「自分の築き上げた文化が失われるのではないか」といった、M&A後の変化に対する漠然とした不安の声をよく耳にします。また、個人の連帯保証がM&Aによってどうなるのかといった、経営者保証ガイドラインに関する懸念も少なくありません。
こうした不安は、長年培ってきた事業への愛着や責任感の表れであり、M&Aが単なる金銭的な取引ではなく、人と事業、そして地域社会の未来を繋ぐものであることを示唆しています。
売り手経営者の不安を解消し、M&Aを成功させるには
買い手との事前議論で何を確認すべきか?
ベテラン経営者の不安を解消するためには、M&Aのプロセスだけでなく、譲渡後の事業運営や従業員の処遇について、買い手候補と事前に深く議論し、具体的なイメージを共有することが極めて重要です。例えば、先日ご支援した製造業B社のケースでは、譲渡契約書に従業員の3年間の雇用維持を明記し、さらに譲渡後も社長が1年間顧問として残ることで、現場の混乱を最小限に抑え、事業承継を円滑に進めることができました。また、買い手企業との間で、既存の事業所を維持し、地域経済への貢献を継続する旨の合意も得られ、売り手経営者様の長年の想いを形にすることができました。
信頼できるM&Aアドバイザーの役割とは?
M&Aを成功に導くためには、信頼できるM&Aアドバイザーの選定が不可欠です。私自身も、M&A後の統合プロセス(PMI)まで見据えたアドバイスを通じて、売り手経営者様の不安を軽減し、前向きな決断をサポートすることに注力してきました。JFSCは、M&A支援機関協会の会員として、中小M&Aガイドラインに則った公正かつ透明性の高いM&A支援をお約束します。M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。JFSCではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っておりますので、ご遠慮なくお問い合わせください。
よくあるご質問
M&Aにマイナスイメージを持つ経営者はどれくらいいますか?
DIMEの調査によると、経営者の約26.5%がM&Aに対してマイナスイメージを抱いています。これは「会社売却」や「身売り」といったネガティブな捉え方や、M&A後の変化への不安が背景にあると考えられます。
世代によってM&Aへの考え方はどう違いますか?
中小企業白書によると、若手経営者ほどM&Aに対して「プラスのイメージになった」と回答する割合が高い傾向にあります。一方、ベテラン経営者は従業員の処遇や企業文化の維持など、M&A後の変化に対する不安を抱きやすい傾向が見られます。
M&A後の従業員や事業の継続が不安な場合、どうすれば良いですか?
M&A後の従業員の雇用維持や事業継続については、買い手候補と事前に深く議論し、具体的な合意を形成することが重要です。信頼できるM&Aアドバイザーと共に、譲渡契約書への明記やPMI(M&A後の統合プロセス)を見据えた計画を立てることをお勧めします。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2022年9月6日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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