【この記事の結論】個人M&Aにおいて、譲渡価格の安さは魅力的に映るかもしれませんが、真に重要なのは「買収後の事業を経営し、成長させる力」です。初期の価格は、その後の経営努力によって十分にキャッチアップ可能であり、安さに飛びつく前に自身の経営覚悟と体制を整えることが成功への第一歩となります。
なぜ「低価格M&A」が注目されるのでしょうか?
「300万円で会社を買おう!」といった書籍が話題となる背景には、深刻化する中小企業の事業承継問題があります。中小企業庁の調査でも、後継者不在を理由とした廃業が増加傾向にあり、M&Aがその解決策の一つとして期待されています。M&A仲介の現場では「300万円では手数料にもならない」という意見も聞かれますが、M&Aは相対取引であり、売り手と買い手の合意があれば、それが価格となります。
しかし、仮に「300万円」で譲り受けができたとしても、次に問われるのは「その会社を経営できるか」という根本的な問題です。もし経営に自信がなければ、売り手も安心して会社を託すことは難しいでしょう。価格の安さだけに目を奪われると、その後の事業継続性や成長性という本質を見失うリスクがあります。
M&A成功の鍵は「譲渡価格」より「経営力」にあるのはなぜですか?
M&Aにおけるバリュエーション(譲渡価格)は、譲渡後の経営努力によって収益や利益を増やし、十分にキャッチアップできるものだと私は考えています。中小M&Aガイドライン第3版でも、M&Aの成功には譲渡後の統合プロセス(PMI)が極めて重要であると指摘されています。つまり、M&Aの真の価値は、初期の譲渡価格だけでなく、その後の経営努力によって創出されるものなのです。
これは、譲受企業様が「経営ができる(ハンドリングができる)」ことが大前提となります。事業承継・引継ぎ支援センターなども、M&A後の円滑な事業運営に向けた支援の重要性を強調しています。私自身、過去には価格面での合意を優先し、譲渡後のPMIが計画通りに進まず、譲受企業様が苦戦されるケースを目の当たりにしました。この経験から、価格以上に「譲受企業様がその事業を本当に運営できるのか」という、経営の継続性と成長性を見極めることの重要性を痛感しています。
当社のM&A支援では、たとえ双方が合意していても、譲受企業様が長期的に事業を成長させられると判断できる場合に限り、案件を進めます。大手企業やPEファンドがM&A案件を評価する際も、単なる価格だけでなく、事業の持続可能性、シナジー効果、そして何よりも譲受側がその事業を「経営できるか」という視点を重視していることを確認しています。
適切なM&Aを実現するために買い手は何を重視すべきですか?
「300万円」かどうかという話ではなく、自分自身で「経営できる」と思う案件でなければ、安易に手を出さない方が賢明です。弊社では、買い手様にも「安く買おう」という視点ではなく、きちんと成長性のある会社を探す、という趣旨でM&Aをご支援しております。
「M&A成約ありき」で動く担当者には、私もかなりシビアな眼で対応します。M&A支援機関協会が定める倫理規定にもあるように、M&A支援は公正かつ誠実に行われるべきです。私たちは「締結ありき」で話を進めることなく、幅広く双方が検討し、トラブルやハレーションがないM&Aが行われることが理想だと考えております。
買収監査(デューデリジェンス)はなぜ不可欠なのでしょうか?
ある公認会計士の先生やPEファンドのマネージャーとの会食で、「300万で買うのではなく、1円で買って買収監査費用として300万支払え」という話を聞いたことがあります。これは、価格の絶対値ではなく、その妥当性を判断するために、買収監査(デューデリジェンス、DD)が不可欠であるという趣旨だと私は理解しています。
M&Aにおけるデューデリジェンスは、取引の透明性と公正性を確保し、潜在的なリスクを特定するために不可欠なプロセスです。中小M&Aガイドライン第3版や金融庁も、適切な情報開示とリスク評価の重要性を強調しています。DDは単なるコストではなく、M&A後のリスクを低減し、事業価値を最大化するための重要な投資と捉えるべきです。専門家による詳細な監査は、その後の経営判断に不可欠な情報を提供します。
弊社も買収監査についてはM&Aの買収監査をメインに行なっている公認会計士の先生をご紹介できます。他の仲介会社では、価格より買収監査に費用をかけよという話はまずないと思いますが、弊社は成約ありきではなく、適切な仲介を行うことを目的に経営を行なっております。
M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。ご不明な点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。
よくあるご質問
個人M&Aで「300万円」といった低価格案件は本当に存在するのでしょうか?
はい、M&Aは相対取引であるため、売り手と買い手の合意があれば低価格での譲渡も理論上は可能です。しかし、重要なのは価格の安さだけでなく、その事業を継続・成長させるための経営力と、潜在的なリスクを適切に評価するプロセスです。
M&Aにおいて、譲渡価格よりも経営力が重要とされるのはなぜですか?
初期の譲渡価格は、買収後の経営努力によって生み出される収益や利益で十分に回収・上回ることが可能です。M&Aの真の価値は、買収後の事業統合(PMI)と経営手腕によって創出されるため、経営能力が成功の決定的な鍵となります。
買収監査(デューデリジェンス)は個人M&Aでも必要ですか?
はい、個人M&Aにおいてもデューデリジェンスは極めて重要です。事業の潜在的なリスクや隠れた負債、将来性を正確に把握するために不可欠なプロセスであり、専門家による監査は、安易な買収による失敗を防ぎ、長期的な事業成功のための投資と考えるべきです。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2020年8月27日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
関連の最新情報:中小企業庁 / 国税庁 / 金融庁 / e-Gov 法令検索

