M&A市場が活況を呈する一方で、M&A仲介会社に対する不信感の声も少なくありません。特に、初めてM&Aを検討する経営者にとって、どの仲介会社を選び、どのようにプロセスを進めるべきかという不安は大きいでしょう。本記事では、M&Aの「成功」ではなく「成約」を優先する仲介会社が引き起こす問題点に焦点を当て、専門家である五十嵐悠一がその背景と対策を解説します。
STRコンサルティング様の動画でも指摘されているように、M&A仲介への不信感は主に以下の4つのパターンに集約されます。
<M&A仲介への不信感4選>
①レベルが極端に低い
②至らない部分が目につく
③勝手にプロセスを省略
④ゴリゴリ話を進める
これらの不信感は、M&A仲介業界に参入する業者の増加と、それに伴う質の低下が背景にあると五十嵐も考えています。次に、それぞれの不信感について、M&A仲介の専門家としての視点から深掘りしていきます。
M&A仲介担当者の「レベルの低さ」はどのように見極められますか?
M&A仲介業界には、「儲かる」という安易な動機で参入し、十分な知識や経験を持たない業者が少なくありません。特に、会社法や各業界を所管する法律に関する基礎知識が不足しているケースも散見されます。M&Aは「総合格闘技」とも称されるほど多岐にわたる専門知識を要するため、座学のみで対応できるものではありません。
依頼を検討する際には、担当者個人の実務経験件数を具体的に確認することが極めて重要です。会社全体の実績だけでなく、担当者が実際に手掛けたM&Aの件数や、どのような案件に関与したかを聞くことで、その力量を測る一助となります。弁護士が司法修習後に実務経験を積むように、M&A仲介においても経験に裏打ちされた専門性が不可欠です。
売り手オーナーが仲介担当者に「至らない部分」を感じる原因は何ですか?
長年会社を育て上げてきた経験豊富な売り手オーナー様にとって、M&A仲介担当者の対応が「至らない」と感じられることがあります。これは、オーナー様の高い期待値と、仲介担当者がサラリーマンとして業界の平均的な水準で業務を行うこととの間にギャップが生じるためです。
このような場合、担当者も人間であるため、頭ごなしに決めつけるのではなく、なぜそのような対応をしているのか、その意図や背景を尋ねてみることが有効です。相互理解を深めることで、より円滑なコミュニケーションとM&Aプロセスの進行が期待できます。必要に応じて、STRコンサルティング様のような買収監査や助言を専門とする第三者のサポートを組み合わせることも、M&A成功への道筋となり得ます。
M&Aプロセスが「勝手に省略」されるのはなぜですか?
M&Aプロセスにおいて、企業概要書(インフォメーションメモランダム)の作成や基本合意契約の締結が、売り手への説明なく省略されるケースがあります。企業概要書は、会社の魅力を買い手に最大限に伝えるための重要な資料であり、その省略は売却価格を高める機会を逸する可能性があります。また、基本合意契約は、買収監査費用や交渉決裂時の条件など、売り手を保護する重要な取り決めを事前に明確にするものです。
これらのプロセスが省略される背景には、仲介担当者が「成約」を急ぐあまり、売り手にとってのメリットやリスクを十分に説明しないまま進めてしまうことがあります。私自身の経験でも、事業譲渡でスピードを優先した結果、企業概要書作成を割愛したケースや、上場企業が買い手で基本合意の取締役会決済を避けるために代替手段を模索したケースがありました。しかし、いずれの場合も、売り手様への十分な説明と合意形成を最優先すべきであり、安易なプロセス省略は避けるべきです。
仲介担当者が「ゴリゴリ話を進める」背景と対策は何ですか?
M&A仲介担当者が「ゴリゴリと話を進める」と感じられる背景には、会社全体の売上目標達成へのプレッシャーや、担当者自身の経験・知識不足から説明を避け、定型的な作業を急ぐ傾向があります。また、買い手の熱量が冷めないうちにプロセスを進めたいという意図が働くこともあります。
私自身も過去に、売り手様から「進むスピードが速すぎて怖い」というご意見をいただいた経験があります。その案件は結果的に「成功」に近い形となりましたが、プロセスにおける売り手様の不安を解消できなかったことは大きな反省点です。この経験から、その後のM&Aでは、起こり得る事象や今後のプロセスについて、より丁寧かつ詳細な説明を行う工数を増やし、売り手様が安心してM&Aを進められるよう努めています。
もしM&Aプロセスが強引に進められていると感じたら、担当者に立ち止まって詳細な説明を求めることが重要です。納得できない点があれば、その場で質問し、不安を解消するまでプロセスを進めない姿勢が、ご自身の会社を守る上で不可欠です。
M&A仲介への不信感を解消し、成功に導くための専門家活用
M&A仲介への不信感を解消し、M&Aを成功に導くためには、信頼できる専門家との連携が不可欠です。M&A実務の判断には、法務、税務、会計など多岐にわたる専門知識が求められ、特定の独占業務は各士業の専門家が担うべき領域です。仲介会社はあくまでM&Aの橋渡し役であり、専門的なアドバイスは各分野の専門家と連携して行うべきです。
現在進行中のM&Aプロセスに不安を感じる場合は、「M&Aセカンドオピニオンサービス」の活用も有効な手段です。第三者の専門家による客観的な視点から、現状のプロセスや提示されている条件が適切であるかを確認できます。また、STRコンサルティング様のような買収監査や助言を専門とする会社との連携も、M&Aの成功確率を高める上で非常に有効です。ご不安な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
M&Aは人生を左右する重要な決断です。適切な知識と信頼できるパートナー選びが、後悔のないM&Aを実現するための鍵となります。
※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。日本財務戦略センター(JFSC) ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております。
よくあるご質問
M&A仲介会社を選ぶ際に、担当者の経験はどのように確認すれば良いですか?
担当者のM&A実務経験は、期間よりも「成約件数」で確認することが重要です。特に、自身が関与した具体的な案件数や、どのような業界・規模のM&Aを手掛けたかを聞きましょう。会社全体の実績だけでなく、担当者個人の実績を重視することで、より信頼性の高いパートナーを見つけられます。
M&Aプロセスが強引に進められていると感じた場合、どう対処すべきですか?
プロセスが速すぎると感じたら、まずは担当者にその理由と今後の具体的なステップについて詳細な説明を求めましょう。不明点や不安な点はその場で解消し、納得できない場合は、契約の見直しやセカンドオピニオンの活用を検討してください。自身のペースと理解を優先することが重要です。
企業概要書や基本合意契約の省略は、売り手にとってどのようなリスクがありますか?
企業概要書が省略されると、会社の魅力が十分に伝わらず、適切な価格での売却機会を失う可能性があります。また、基本合意契約の省略は、買収監査費用負担や交渉決裂時の条件など、売り手を保護する重要な取り決めが欠落するリスクがあります。これらのプロセスは安易に省略せず、その必要性を十分に確認すべきです。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。
よくあるご質問(FAQ)
📅 本記事の情報基準日
本記事は 2020年11月7日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。
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