2020.11.07 M&A業界事情

M&A仲介への不信感を解消する専門家の視点:失敗しないための4つの見極め方

M&A仲介への不信感とは、M&Aプロセスにおいて仲介会社や担当者の専門性不足、説明不足、強引な進行などにより、売り手・買い手側が抱く不安や疑念を指します。特にM&A市場の拡大に伴い、経験の浅い仲介業者の参入が増え、質の低下が指摘される中で、依頼者が適切な情報やサポートを受けられないと感じるケースが散見されます。本記事では、その具体的な原因と対策を専門家の視点から解説します。

M&A市場が活況を呈する一方で、M&A仲介会社に対する不信感の声も少なくありません。特に、初めてM&Aを検討する経営者にとって、どの仲介会社を選び、どのようにプロセスを進めるべきかという不安は大きいでしょう。本記事では、M&Aの「成功」ではなく「成約」を優先する仲介会社が引き起こす問題点に焦点を当て、専門家である五十嵐悠一がその背景と対策を解説します。

STRコンサルティング様の動画でも指摘されているように、M&A仲介への不信感は主に以下の4つのパターンに集約されます。

<M&A仲介への不信感4選>

①レベルが極端に低い

②至らない部分が目につく

③勝手にプロセスを省略

④ゴリゴリ話を進める

これらの不信感は、M&A仲介業界に参入する業者の増加と、それに伴う質の低下が背景にあると五十嵐も考えています。次に、それぞれの不信感について、M&A仲介の専門家としての視点から深掘りしていきます。

M&A仲介担当者の「レベルの低さ」はどのように見極められますか?

M&A仲介業界には、「儲かる」という安易な動機で参入し、十分な知識や経験を持たない業者が少なくありません。特に、会社法や各業界を所管する法律に関する基礎知識が不足しているケースも散見されます。M&Aは「総合格闘技」とも称されるほど多岐にわたる専門知識を要するため、座学のみで対応できるものではありません。

依頼を検討する際には、担当者個人の実務経験件数を具体的に確認することが極めて重要です。会社全体の実績だけでなく、担当者が実際に手掛けたM&Aの件数や、どのような案件に関与したかを聞くことで、その力量を測る一助となります。弁護士が司法修習後に実務経験を積むように、M&A仲介においても経験に裏打ちされた専門性が不可欠です。

売り手オーナーが仲介担当者に「至らない部分」を感じる原因は何ですか?

長年会社を育て上げてきた経験豊富な売り手オーナー様にとって、M&A仲介担当者の対応が「至らない」と感じられることがあります。これは、オーナー様の高い期待値と、仲介担当者がサラリーマンとして業界の平均的な水準で業務を行うこととの間にギャップが生じるためです。

このような場合、担当者も人間であるため、頭ごなしに決めつけるのではなく、なぜそのような対応をしているのか、その意図や背景を尋ねてみることが有効です。相互理解を深めることで、より円滑なコミュニケーションとM&Aプロセスの進行が期待できます。必要に応じて、STRコンサルティング様のような買収監査や助言を専門とする第三者のサポートを組み合わせることも、M&A成功への道筋となり得ます。

M&Aプロセスが「勝手に省略」されるのはなぜですか?

M&Aプロセスにおいて、企業概要書(インフォメーションメモランダム)の作成や基本合意契約の締結が、売り手への説明なく省略されるケースがあります。企業概要書は、会社の魅力を買い手に最大限に伝えるための重要な資料であり、その省略は売却価格を高める機会を逸する可能性があります。また、基本合意契約は、買収監査費用や交渉決裂時の条件など、売り手を保護する重要な取り決めを事前に明確にするものです。

これらのプロセスが省略される背景には、仲介担当者が「成約」を急ぐあまり、売り手にとってのメリットやリスクを十分に説明しないまま進めてしまうことがあります。私自身の経験でも、事業譲渡でスピードを優先した結果、企業概要書作成を割愛したケースや、上場企業が買い手で基本合意の取締役会決済を避けるために代替手段を模索したケースがありました。しかし、いずれの場合も、売り手様への十分な説明と合意形成を最優先すべきであり、安易なプロセス省略は避けるべきです。

仲介担当者が「ゴリゴリ話を進める」背景と対策は何ですか?

M&A仲介担当者が「ゴリゴリと話を進める」と感じられる背景には、会社全体の売上目標達成へのプレッシャーや、担当者自身の経験・知識不足から説明を避け、定型的な作業を急ぐ傾向があります。また、買い手の熱量が冷めないうちにプロセスを進めたいという意図が働くこともあります。

私自身も過去に、売り手様から「進むスピードが速すぎて怖い」というご意見をいただいた経験があります。その案件は結果的に「成功」に近い形となりましたが、プロセスにおける売り手様の不安を解消できなかったことは大きな反省点です。この経験から、その後のM&Aでは、起こり得る事象や今後のプロセスについて、より丁寧かつ詳細な説明を行う工数を増やし、売り手様が安心してM&Aを進められるよう努めています。

もしM&Aプロセスが強引に進められていると感じたら、担当者に立ち止まって詳細な説明を求めることが重要です。納得できない点があれば、その場で質問し、不安を解消するまでプロセスを進めない姿勢が、ご自身の会社を守る上で不可欠です。

M&A仲介への不信感を解消し、成功に導くための専門家活用

M&A仲介への不信感を解消し、M&Aを成功に導くためには、信頼できる専門家との連携が不可欠です。M&A実務の判断には、法務、税務、会計など多岐にわたる専門知識が求められ、特定の独占業務は各士業の専門家が担うべき領域です。仲介会社はあくまでM&Aの橋渡し役であり、専門的なアドバイスは各分野の専門家と連携して行うべきです。

現在進行中のM&Aプロセスに不安を感じる場合は、「M&Aセカンドオピニオンサービス」の活用も有効な手段です。第三者の専門家による客観的な視点から、現状のプロセスや提示されている条件が適切であるかを確認できます。また、STRコンサルティング様のような買収監査や助言を専門とする会社との連携も、M&Aの成功確率を高める上で非常に有効です。ご不安な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

M&Aは人生を左右する重要な決断です。適切な知識と信頼できるパートナー選びが、後悔のないM&Aを実現するための鍵となります。

※M&A実務の判断には専門家との相談が不可欠です。日本財務戦略センター(JFSC) ではM&Aセカンドオピニオン無料相談を承っております

よくあるご質問

M&A仲介会社を選ぶ際に、担当者の経験はどのように確認すれば良いですか?

担当者のM&A実務経験は、期間よりも「成約件数」で確認することが重要です。特に、自身が関与した具体的な案件数や、どのような業界・規模のM&Aを手掛けたかを聞きましょう。会社全体の実績だけでなく、担当者個人の実績を重視することで、より信頼性の高いパートナーを見つけられます。

M&Aプロセスが強引に進められていると感じた場合、どう対処すべきですか?

プロセスが速すぎると感じたら、まずは担当者にその理由と今後の具体的なステップについて詳細な説明を求めましょう。不明点や不安な点はその場で解消し、納得できない場合は、契約の見直しやセカンドオピニオンの活用を検討してください。自身のペースと理解を優先することが重要です。

企業概要書や基本合意契約の省略は、売り手にとってどのようなリスクがありますか?

企業概要書が省略されると、会社の魅力が十分に伝わらず、適切な価格での売却機会を失う可能性があります。また、基本合意契約の省略は、買収監査費用負担や交渉決裂時の条件など、売り手を保護する重要な取り決めが欠落するリスクがあります。これらのプロセスは安易に省略せず、その必要性を十分に確認すべきです。

公開日: 2020年11月7日 / 最終更新日: 2026年5月22日
五十嵐 悠一

執筆者

五十嵐 悠一(いがらし ゆういち)

株式会社日本財務戦略センター 代表取締役

京都大学経済学部経営学科卒業。株式会社損害保険ジャパン本店営業部、東証上場M&A仲介会社を経て、2020年5月に日本財務戦略センターを設立。中小企業のM&A仲介・事業承継支援を専門とし、医療・介護・食品製造・流通卸・機械製造分野の成約実績を持つ。

資格:プロフェッショナルCFO(日本CFO協会)/M&Aエキスパート(金融業務2級 事業承継・M&Aコース)

公的登録:中小企業庁 M&A支援機関 登録事業者/一般社団法人 M&A支援機関協会 正会員

メディア登壇:株式会社サイゾー Business Journal ウェブセミナー講師「【売り手向け】M&Aを成功させるための具体的な行動・プロセス・知識」(2022年6月)[公式告知]

専門家コラム寄稿:BATONZ(国内最大級M&A プラットフォーム)に M&A・事業承継 74本(2021年〜継続)[コラム一覧]

|LinkedIn|X (@jfsc2020)|BATONZ

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の案件における法務・税務・会計判断を提供するものではありません。法務・税務・会計の個別判断は、弁護士・税理士・公認会計士等の専門家にご相談ください。M&Aのスキーム設計・タイミング・買い手探し等のアドバイザリーは、株式会社日本財務戦略センターにご相談ください。記載内容は公開時点の情報に基づき、法令改正や市場変動により最新の状況と異なる場合があります。

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よくあるご質問(FAQ)

この章のポイント
日本財務戦略センターへのご相談に関する共通の10問と、本記事に関する0問の計10問。
共通Q1. 日本財務戦略センターはどのような会社ですか?
A. 株式会社日本財務戦略センター(JFSC)は、中小企業オーナーの M&A・事業承継を「自分事として最後まで完結する」ためのご相談先です。仲介の独断ではなく、売り手の判断材料を整える立場を貫いています。会社概要もご覧ください。
共通Q2. 相談したら、必ず M&A しなければいけませんか?
A. いいえ、ご相談のみで結構です。相談後に「今回は見送ります」と判断いただいても問題ありません。M&A 以外の選択肢(廃業・親族承継・事業再生)も含めてご一緒に整理します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
共通Q3. 相談料・着手金は発生しますか?
A. 初回相談・簡易査定・進行中の段階まで、すべて無料です。日本財務戦略センターは完全成功報酬制を採用しており、M&A 成約時のみご報酬が発生します。着手金・中間金・月額顧問料は一切いただきません。なお、案件特性により外部専門家への依頼や登記等の実費(例:司法書士の登記費用、外部監査法人による資産査定、譲受企業側からの弁護士・公認会計士による DD 費用 等)が発生する場合は、必ず事前にご相談・ご同意のうえ進めますので、不意の費用負担は生じません。詳細は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q4. 一般的な M&A 仲介会社と、どこが違いますか?利益相反はどう開示されますか?
A. M&A 仲介は売主・買主の双方から報酬を得る「両手仲介」が業界慣行で、構造的な利益相反のリスクがあります。そのうえで、業界には「誘い込む仲介」と「公開する仲介」の二類型があると当社は考えています。日本財務戦略センターは後者の立場で、契約締結時に重要事項説明書を交付し、両手仲介の構造を含めて文書でご説明したうえで、売り手の判断材料となる情報を整え、買い手の都合で交渉を急がせない姿勢を貫きます。これは経済産業省・中小企業庁中小 M&A ガイドライン第 3 版・2024 年 8 月改訂、手数料算定基準の開示・買い手信用調査等を留意事項として明示)に則った対応です。二類型化の根拠は弊社独自の業界 20 社研究レポート、構造論の詳細は仲介契約 vs FA 契約の構造分析もご参照ください。
共通Q5. どれくらいの規模から相談できますか?
A. 年商数千万円規模の小規模事業から、数億円規模まで対応します。業界の多くの仲介会社では最低手数料を 2,000 万円以上に設定している傾向で、各社の最低手数料は中小企業庁M&A 支援機関登録制度・登録情報で確認いただけます。日本財務戦略センターの最低手数料は 700 万円で、小規模案件もお引き受けしています。具体的な報酬構造は弊社の報酬体系をご確認ください。
共通Q6. 税金・法律のことを詳しく教えてもらえますか?
A. 税務・法務は税理士法・弁護士法により、具体的な提案は弁護士・税理士等の専門家のみが行えます。当社は業界慣行の一般論をご説明した上で、顧問の先生方にご確認いただく形でご案内します。必要に応じて専門家ネットワークのご紹介も無料で行っています。
共通Q7. 家族や従業員に知られたくないのですが、可能ですか?
A. ご相談段階から NDA(秘密保持契約)を締結し、徹底管理します。社名を公開せずに買い手候補へ打診する「ノンネーム打診」の進め方も可能です。守秘義務体制については情報管理ポリシーでご確認いただけます。
共通Q8. 成約までどれくらいの期間がかかりますか?
A. 標準的には 3〜6 ヶ月程度を目安としてお考えください。買い手候補と事前に綿密な調整を行い、売主オーナー様のペースで進行します。スピード優先で売主の利益を損なう進め方は致しませんが、売主オーナー様のご事情・ご要望に応じて、最短 60 日での成約実績もございます。
共通Q9. デューデリジェンス(DD)では、どのような立場をとりますか?
A. 日本財務戦略センターは、売主オーナー様の利益を最優先に検討する立場を貫きます。仲介業の構造的な利益相反論点については仲介契約 vs FA 契約の構造分析で詳述しており、DD 費用負担の判例実務は東京地裁 DD 費用判決の射程でご確認いただけます。必要に応じて第三者の公認会計士・弁護士・税理士等の専門家をご紹介し、買い手寄りに偏らない査定体制を整えます。中小企業庁中小 M&A ガイドラインの遵守事項に則り、適切な情報開示を行います。
共通Q10. 対応エリアは限られますか?
A. 全国対応可能です。首都圏はもちろん、各地方都市でもご相談実績があります。オンライン面談と現地訪問を組み合わせ、所在地を問わず売主様のペースで進行します。まずは所在地を問わない無料相談をご利用ください。

📅 本記事の情報基準日

本記事は 2020年11月7日 公開時点の情報に基づきます。税制・法令等は改正される場合があるため、最新の制度・税制は公的機関の公式情報をご確認ください。

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