中部・北陸エリア(9 県+浜松・名古屋) の旅館・ホテル市場は、都市圏集積・地方部過疎化・産業集積による需要偏在が混在。立地特性を踏まえた M&A 戦略設計が核心です。
全国大手・地域中核の旅館・ホテルプレイヤーが中部・北陸エリアへ進出・買収を拡大。地場中小の統合ターゲット化が進行中。
中部・北陸エリア(9 県+浜松・名古屋) では再開発・インフラ更新・制度改正が業種需要に直結する地域がある。時系列シナリオを織り込んだ評価が必要。
三代かけて守ってきた旅館やのに、
消防署からスプリンクラー未設置で是正指導が来た。
費用試算したら数千万円。あと何年やれるんか。
うちの仲居さん、平均年齢が65歳を超えた。
地元では若い子が集まらん。
サービス水準を維持するだけで精一杯になってきた。
うちの温泉は組合との利用権契約があって、
代替わりすると組合の承諾が要る。
「株の譲渡だけで済む」と思うとったが、違うた。
訪日客は増えたが、英語も中国語も対応できんスタッフばかり。
口コミに「コミュニケーションに問題あり」と書かれた日から、
レビューの星が落ちていった。
一人で抱え込む必要はありません。
旅館の暖簾を守り、温泉と仲居を守り、
地域の歴史と、ご自身の次の人生を設計する。
旅館業許可・消防設備適合・温泉利用権・
仲居や料理人の雇用継続まで。
保健所・消防署・温泉組合への調整と
買い手との事前すり合わせを一体で設計し、
承継後の運営の混乱を未然に防ぎます。
DATA & CONTEXT
SCHEME COMPARISON
旅館・ホテルの法人形態によって、選択できる承継スキームが大きく異なります。法人運営の旅館では「株式譲渡」、個人事業の旅館では「事業譲渡」が原則となり、旅館業許可・温泉利用権の扱いが最大の論点です。2023年12月13日施行の改正旅館業法により、事業譲渡型でも都道府県知事の承認による「地位承継」が可能となりました。
| 旅館の形態 | M&Aスキーム | 特徴 |
|---|---|---|
| 法人運営の旅館・ホテル (株式会社・有限会社) |
株式譲渡 (最も多い形態) |
法人格が継続するため 旅館業許可はそのまま有効。登記事項変更届のみで足りる。温泉組合の利用権契約も法人名義のまま継続可能なケースが多い。 |
| 個人経営の旅館 または事業単位での譲渡 |
事業譲渡 (地位承継型) |
2023年12月13日施行の改正旅館業法(旅館業法3条の2)により、都道府県知事承認で旅館業許可の地位承継が可能に。許可取り直しに比べ手続きが大幅に緩和された。 |
REGULATORY PRACTICE
旅館・ホテルM&Aの最大の論点は、旅館業許可(保健所)と消防法令適合(消防署)、温泉利用権(温泉組合・都道府県)の取扱いです。これらは管轄が分かれており、行政・組合との事前調整を綿密に行うことが、承継成否を分けます。
CLOSURE vs SUCCESSION
廃業を検討し始めた経営者から最初によく頂くご質問は「そもそもうちの旅館に値段がつくのか」というものです。比較すべきは、第三者承継の対価ではなく、廃業した場合のコストです。旅館の廃業は、解体費・温泉設備撤去・退職金・原状回復で 1億円超の支出になることも珍しくありません。
※上記は典型的な傾向の整理であり、個別事例の数値は立地・規模・温泉条件・稼働率・テナント条件・スタッフ構成等により大きく変動します。観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」では、廃屋撤去費の 最大1億円補助が用意されていますが、活用には要件審査と申請期限があります。当社では、初期相談時に 廃業シナリオと承継シナリオの収支比較を整理し、判断材料をご提供します。最終的な税務処理の確定は、顧問税理士・公認会計士にご確認ください。
MESSAGE
CASE STUDIES
温泉旅館/和風旅館/観光ホテル/
シティホテル/ビジネスホテル/
リゾートホテル/ペンション・民宿/
簡易宿所/旅館付帯の飲食店・売店/
日帰り温泉・スーパー銭湯
※各事例の譲渡対価は概算値です。弊社の成約実績および
業界の平均的な成約条件、公開されている類似案件を参考にしており、
実際の対価はBS/PL(貸借対照表・損益計算書)、
立地・温泉条件・客室数・稼働率・
建物の状態など、個別要因により変動します。
FOUR PILLARS
壱
改正旅館業法(2023年12月施行)の地位承継、消防法令適合通知書、温泉法に基づく利用許可、温泉組合との利用権契約――。旅館業固有の許認可と温泉権の取扱いを、買い手の意向と一体で設計します。
弐
仲居・料理人・温泉管理スタッフの原則全員引継ぎを最優先で交渉。屋号・暖簾・館の歴史を継承し、地域の常連客にとっての連続性を保ったまま運営者を交代できる枠組みを設計します。
参
星野リゾート・共立メンテナンス・大江戸温泉物語等の大手チェーン、ヘルスケア・ホテル投資ファンド、外資系運営会社まで。インバウンド向けリブランドを目的とする買い手候補を、ご相談時の旅館特性に合わせて絞り込みます。
厚生労働省の統計では、令和6年度に2,817件の旅館業施設が営業を廃止しています。自治体の営業許可簿と突き合わせると、消えた宿のうち15〜23%は廃業ではなく「承継」でした(全国では年およそ500〜1,400件と推定)。宿は、年に何軒売られているのかで、数え方と推定の幅を公開しています。
破産した宿43施設の口コミ(☆1の比率)は中央値4.9%で、同じ町で営業している同業態の134施設は3.4%でした。平均点は3.68と4.07です。差はありますが、破産した宿の23%は平均4.0以上で、口コミの点数だけで破産を見分けることはできません。破産した宿43施設と、同じ町で営業している134施設の口コミを比べた調査では、負債と最盛期の売上の比(中央値1.25倍)や、旅館38.2%・ビジネスホテル75.3%という客室稼働率の差も並べています。
会社ごと消えた宿泊業は2016年以降で275社あり、引き継いだ相手はグループ内の再編117社、同業の宿泊会社45社、不動産・開発・建設系15社、それ以外の事業会社95社でした。全体では64.3%が同じ都道府県ですが、同業の45社に限ると県内19社に対し県外26社で逆になります。旅館・ホテルが誰に引き継がれているのかを実数で追った調査では、営業者だけが替わった113件と、破産した45施設のうち12施設が別の運営で営業を続けていたことも数えています。
RECENT TRENDS

監修・執筆
五十嵐 悠一(株式会社日本財務戦略センター 代表取締役)
損害保険ジャパン本店営業部を経て、東証上場 M&A 仲介会社で多数の成約に従事。2020 年 5 月に株式会社日本財務戦略センターを創業。日本 CFO 協会認定プロフェッショナル CFO。
→ 代表挨拶・経歴詳細
登録・所属
中小企業庁 M&A 支援機関登録事業者/一般社団法人 M&A 支援機関協会 正会員/中小 M&A ガイドライン第 3 版 遵守
公開・更新
公開日:2026 年 4 月 24 日 / 最終更新:2026 年 4 月 24 日
旅館・ホテル業のM&A・事業承継には、許認可承継・専門資格者の確保・運営基準充足・契約上の地位移転など、業種固有の注意点があります。実務上もっとも問題になりやすいポイントを整理しました。
旅館業営業には都道府県知事への営業許可申請が必須で、旅館・ホテル・簡易宿泊所等のカテゴリー別に構造設備基準が異なります。M&A では新規許可申請が必要なケースと承継届で足りるケースが分かれるため、事前に自治体に相談が重要。施設が既存の構造基準に不適合の場合、改修投資を事前見積もりが必須です。
旅館業は消防法で『指定火災予防対象物』に分類され、自動火災報知設備・避難器具・消火栓・緊急放送等が施設規模別に法定です。既存設備の老朽化度・定期検査履歴・不適合箇所を詳査が必須で、改修に要する投資額が買収価額に反映される必要があります。買い手側で消防指導体制が十分でない場合、改修遅延のリスクが高まります。
旅館・ホテル等の宿泊施設は建築基準法で『用途変更の制限』『改築時の耐震化義務』等が課せられています。既存建物の竣工年度・耐震診断結果・改修履歴を詳査し、今後の耐震化投資義務を事前評価が重要。特に旧耐震基準(1981 年以前)の建物は耐震改修が事実上必須で、投資額が経営成立性を大きく左右します。
旅館業は宿泊者名簿を法定保有義務(警察への報告対応等)があり、個人情報保護方針・記録保管体制・情報セキュリティが重要です。既存の個人情報管理体制が個人情報保護方針に準拠しているか、買い手側での刷新が必要かを事前確認が重要。不適切な管理があった場合、買い手側のレピュテーション影響と法的責任を想定が必須です。
旅館・ホテル運営は従業員の接客品質・衛生管理・安全管理に大きく依存します。既存従業員の年齢構成・離職率・技能レベル・給与水準を詳査し、M&A 後の継続雇用契約を買収契約に含める必要があります。特に支配人・料理長等の重要ポストのスキル移転・継続性確保が経営継続に直結します。
宿泊施設が食事を提供する場合、飲食店営業許可が別途必須で、厨房設備・衛生管理・栄養管理が食品衛生法に準拠が法定要件です。既存厨房の衛生状況・HACCP 実装度・調理従業員の衛生知識を詳査が重要。改正食品衛生法での基準強化への対応状況を確認し、買い手側での改修コストを想定が必須です。
※上記は旅館・ホテル業M&Aで実務上問題になりやすい論点を整理したものです。個別案件では他にも検討すべき事項がございます。一次相談は無料でお受けしておりますのでお気軽にご相談ください。