<売り手向け>M&Aで、やばい買い手には気をつけろ! マッチングだけが全てではない。

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公開日:2022年2月1日 /最終更新日:2022年2月17日

M&Aを行うにあたって一番大切なこと

M&Aを行う際にM&A仲介を選定することが多いと思います。
今回は当職の経験と本音ベースで、M&Aではトラブルはつきものですが、代表的なところについて触れた上で、一番肝心なところについて触れてみたいと思います。
今後M&Aを行われる方についてご参考になれば幸甚です。

M&Aは善意で進む?

今回はM&Aに関する知識でも理論でもなく、当職の経験や周りの実体験に基づいた話を記載しますので、M&Aや事業承継を検討されている売り手様については、こう言うことが起こり得ると思って読んでいただけると幸いです。
また現在、潜在的なリスクを意識しないまま進めている方については、仲介ないしFAから今回のブログのようなリスクの説明があればともかく、そうでなければ以下のリスクについて他人事としないようにしていただければと思います。

M&Aは「経営判断」であり当事者については「会社を買う・売る」という重い話です。
その過程で心ある仲介業者や当事者は買い手や売り手が「成功」するよう誠心誠意対応を行います。
ただ例外的ではありますが、一般的な商慣習を超えた悪意がある人間が当事者に入ると、故意に騙そうとか自分だけが得をしようとする人間も出てきます。
売り手がそのような場合は表明補償などの契約で一定歯止めをかけられますが、今回は反対に買い手が悪意がある場合の話をしたいとおもいます。

M&Aで揉める要素

M&Aを行っていく中で当事者で揉める要素はいくらでもあります。
買い手からすると、情報が不確実性や一部欠けている、出てくるのが遅くレスポンスが悪い。出てきた情報が誤っていて虚偽ではないか、などがあります。

逆に売り手からすると、相手が横柄、どんな買い手かわからない、「上から目線」、本当に譲渡対価が支払えるのか、価格が決まった後に値段を下げるのか、あるいはM&A後約束を履行するのかと言うようなことが挙げられます(本来はもっと多岐に渡りますが、別に記載します)。
これらは普通にM&Aをやっていく中で揉める要素として普通にあります。

我々のようにM&A実務を行なっている中ではこのような話が出てくるのはある程度織り込んでいますが、織り込みづらいのは「悪意がある」買い手。
これが一番厄介です。

売り手からすると最初から仲介とぐるになって、あるいは仲介にも嘘をついて買収の話をしてくるわけです。

もちろん仲介も色々と整備されてきているので、最初からグルになろうと思ってやっているわけではないでしょうし、ある程度勘づいていても「善意」でうまくいけばいいと思ってやっている仲介もいます。
そういった隙間を利用して「悪意」を持ってM&Aを行おうとしてくる買い手が世の中にはいるのです。

「悪意」とは

「悪意」について法律用語ではなく、日常用語としての悪意について述べます。
「悪意」とは相手にとって害のあることを理解した上で行動すること、他人や物事に対していだく悪い感情、または見方のこと。また、相手のよくない結果を望む、心の中に生じる意思を意味します。
対義語の「善意」は、相手に良い結果を導こうとして行為を行う気持ちを指すとウィキペディアでは定義されてます。

今回、当職が念頭に置いているのは遵法精神がない、言い換えれば「契約を最初から守る気がない」人も含んだ人たちです。

弊社はもちろん契約を守る人を念頭に置いてM&Aを行なっているのですが、周りの話を聞いたり経験上も、どうしても人を騙そうという人が入ってくる。

そう言う事例があるのは否定できないところですし、我々としても注意すべきところです。

悪意のある事例

私の仄聞している事例は以下の通りです。

(1)M&Aの契約を結んだが、その譲渡対価を支払わなかった(株だけ譲り受けて譲渡対価の支払いをしなかった)
(2)別の相手(大手)とM&Aの契約を結んでいたが、割り込んで過分とも言えるいい話をしてきた。その上、当初の話を破棄させ(大手とまとめた話で、当職から見ても「いい話」)、少数議決権だけ取りその後何もしなかったため、売り手は先細りしてしまいトラブルになった
(3)仲介業者を挟んで交渉していたが、仲介業者経由で無茶な要求を出して決裂させ、その後仲介業者を飛び越えて交渉して架空の儲け話を伝えた上で譲渡をするよう誘い、支払いの裏付けがないのに会社を売らせようとした
(4)仲介業者を通じて話していたが、別の仲介業者に「譲渡希望がある」旨を伝え(秘密保持契約違反)個別にアプローチしようとした

上記は極端な事例かもしれませんが、実際に存在します。
(1)については中小M&Aガイドラインでも記載されているので、実際に私が仄聞している範囲外でも同様のトラブルが発生しているのでしょう。

そしてこのような悪意のある買い手が存在している中で、「素人」である売り手が売却を進めるにはどうしたらいいのでしょうか。

買い手の見分け方

M&Aは多くの売り手様にとって、一生に一度の経験です。
そして売る側としては(中には悪意のある人もいますが、これはまた改めて書きます)「事業(企業)を受け継いでくれる人」を探索している方が多数でしょう。
そんな中で上記のような下劣な(表現上、もっと汚い言葉を使いたいのですが、今日はここまでに留めておきます)買い手に出会った場合どうしたらいいのでしょうか。

まずは株式譲渡契約でトリガー条項をきちんと定めておくことがまずは重要です。
どういう条件であれば株式を引き渡すのか。そうでなければ引き渡さない、もしくは解除など。
この辺は仲介ももちろん協議すべきですが、売り手の顧問弁護士などにも確認しておくと良いでしょう。

また契約を事前に定めた上で、譲渡対価が支払われてから初めて株式を譲渡するなどの契約も必要でしょう。
不動産と同じですが引き渡しと現金の送金が同時決済されるならともかく、そうでない場合、誰がリスクを取るのか、と言うことがポイントになります。
その点については事前に丁寧すぎるすぎるほど丁寧にプロセスを打ち合わせしたほうがいいと思います。
譲渡の実績を急いでその辺りを飛び越してしまう仲介はトラブルの可能性が高くなります。
いまさら仲介は変えられないと思いますが、顧問弁護士に相談するなりの対応を行ったほうがいいでしょう。

もちろん上記についてはほとんどの売り手様については初めてのことなのでそこまで思い至ることは難しいと思います。
ただそのようなリスクは会社を譲渡する以上は常に想定しておいたほうがいいでしょう。
後を進める中で、たとえばトップ面談前に信用情報機関に打診することも一つではないでしょう。
ある程度のレベルのある仲介担当者であれば事前に説明をする話であるとも思いますが。

一番大切なこと

一番大切なことは、仲介業者がアフターフォローをするのかどうか、と言うことです。
多くの仲介業者は「譲渡契約まで」対応することを契約書に明記しています。
つまり譲渡契約をした以降については対応を行いません。

確かに契約書上はその通りなのですが、実際、譲渡後にトラブルになる例は多々あります。

弊社はトラブルがあれば譲渡後も解決に向けて相談を行います。
弊社に限らずですが、「トラブルが起こっても最後まで当事者の相談に乗る」業者を仲介とすることで、事前に想定できなかったことを事後で収集できる可能性が高くなる、と言うことです。
喧嘩別れをするよりも事前にトラブルを収集したほうがM&Aのメリットがでるに決まってるからです。

またこれは一般論ですがM&Aはほとんど必ずといっていいほどどこかでトラブルが発生します。
(経験上、山は3回あります)

多くの売り手や買い手はM&A仲介業者を「マッチング」のために選定していることが多いと思いますが、マッチングはできて当たり前で、「いかにして予防的に、あるいは顕在化したトラブルを防ぐのか」と言う視点で担当者を選んだほうがいいと思います。

事前に「予防」して防ぐのはもちろん当たり前ですが、どうしてもトラブルが発生してしまう可能性があるので、事後で「解決」できる仲介を挟むことでトラブルは減るでしょう。
「解決」というのは法的な解決だけではなく、心情的に寄り添い、お互いの折り合いをつけることでもあります。

ただこの「解決」を行うためには経験が必要になりますので、担当者の経験を見た上でどこに依頼するのかを判断することをお勧めします。
私の知っている範囲では6兆円企業でM&Aを担当していた方も「今まで何十件もM&Aしたけど、なにかしら新しいことが出るねん」と仰っていました(当日売り手の社長が「売る気なくなった!」っていって逃げたとも!)。
イレギュラーなことは色々と起こりますが、それらにどう対応できるのかが担当者の腕の見せ所になると思います。

なお弊社では上記のような事後のトラブルについても、買い手様売り手様問わず、ご相談いただければと考えておりますし、業法の関係上可能な範囲内で、必要に応じて大手法律事務所と相談して対応いたします。

売り手様に取って一生に一度のM&Aをその場限りの話にするつもりはございませんので、ご安心いただきご相談いただければと思います。

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