M&A成約事例

今までに実際に行ったM&Aの事例について記載します。守秘義務の関係があるため、一部数字や所在地など異なる点がございますが、ご了承ください。

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1. 譲渡側従業員が笑顔でピースをして写真を撮った事例

代表の五十嵐個人だけで11社22件のM&Aを現在に至るまで行っています。

「M&A」というと「買う」「売る」「金」「リストラ」など生々しい単語が連想されることが多いと聞いています。

しかし、実際、目先の金銭のためだけにM&Aが行われているか、というとそれは違うと思っています。
というのも、M&Aを行う目的として、今ある状況を引継いだ上でさらにプラスアルファをしようとしている譲受会社が多いという印象を受けているからです。
逆に、譲受後に強引なリストラを行って利益を出そうとしても、従業員の離職や取引先との関係がなくなるなどすると、当初の予定収益計画が変わってしまう可能性があり、そのような強引なことをあえて行う譲受会社は少ないと認識しております。
(特に当社の場合は、どのような趣旨でM&Aを行いたいのか事前にお伝えさせていただきますし、当社の説明と譲受側の意図が異なり、それによって破談になっても、当社に対して費用が発生することはございませんのでご安心ください)

一例として北陸地方で私が行った案件を挙げます。

譲渡会社の代表は一度事業を整理し、新しく事業を起こしていきたいと考えておられていました。
譲受会社の代表は、同じ県内で少し離れたところにあったのですが、事業エリア拡大をM&Aによって行いたいという期待がありました。

そのような中で「トップ面談」と「現地見学」を行ったところ、譲受希望会社の代表から意外な言葉が飛び出してきました。

「ここは本当にいい事業所ですね。(売り手の)社長がいるからこそですよね。僕はこの社長が残らなければ買いません」

そこから先は大変です。
そもそも事業に疲れて辞めたいということからご相談されていた売り手様です。その人に会社に残ってもらわなければ成立しません。

その話の後、役員として残ってもらうとか報酬の調整を行い(なんと譲受前より報酬が上がりました)、お互いに人柄に関心を持つ機会を設け(当時私が在籍していた事業所からは距離がありましたが、そんなこと言ってられませんよね)、最後の最後まで調整を行い、事業譲渡の調印を行いました。

一般的にはここで終わりだと思うのですが、譲受会社の代表はまた違いました。
その後の従業員説明会も、通常、従業員は「売られる」と身構えて不安になることが多いと思います。そこを1時間以上の時間をかけて、一人一人に何をどうしていきたいのか、ということを語りかけて行きました。

最初は不安がっていた従業員たちも徐々にリラックスし、質問で「今後資格取得をしたいが、補助のようなものはあるか」というような前向きな発言も出てきました。
そして最後に、みんなで集合写真を撮ろうという話になり、従業員はピースをして収まりました。

これはその場限りの口から出まかせや雰囲気でしょ…という向きもあるかもしれません。

その後、私は忘年会に参加させていただきました。
譲受企業と譲渡企業の従業員が初めて同じ場に会したのですが、最初は双方、距離感が合ったものの、イベントを通じ、最後は和気あいあいと親睦を深めていきました。
送迎バスが出たのですが、お互いの社員が「楽しかったー」と言いながら手を振る姿を見て、本当にこのM&Aに携われてよかったと思いましたし、私はこういうマッチングを今後も行いたいと考えています。
これは私の力ではなく譲受企業の代表の度量ですが、そういうところを探したいです。

余談ですが「今後、資格の取得をしていきたいが」と言っていた従業員(若い女性社員です)がその後の忘年会で、冗談で「社長~、給料上げてくださいよ~」と言っていたのには苦笑しましたが、あとで譲受企業の代表に聞いたところ、「やり方を変えてみんなに働いてもらったので今年は利益がかなり上がりました。まだ言っていないんですが、(譲渡企業の従業員に)賞与を出せます」と言っていただいたのにはしびれました。

これは私が初期に行ったM&Aでその後の方向性を決定づけたものでしたが、初心を忘れず、今後もそのようなM&Aに携わっていきたいと思った案件です。

2. 案件化から最短2か月!で事業譲渡を行った事例

「M&A実行まで●カ月! 業界最短!」

このような煽り文句を見たことはないでしょうか。
個人的に思うのは、売り手様にとって「価格」と「速さ」と「相手」はトリレンマの法則があり、「高い価格で」「早く」「いい相手」とM&Aを行うということはなかなか難しいと思っています。

不動産を探す時も、「安くて」「すぐに」「自分が欲しい場所」の物件を見つけることが難しいことを考えると腑に落ちていただけると思います。

「早く決まる」というのは「価格」「相手」のいずれか、あるいは双方を犠牲にして成立していると思われますし、「早さ」がすべてというのは結局譲渡企業が損をしてるんじゃないかなあと思っています(速さを謳っている仲介からしたら、売り上げが立ってキャッシュが入ってくるサイトが短縮されるので、願ったりかなったりですよね…)。

そんな私ですが、2カ月で決まった、いや、決めないといけないと思った忘れられない案件があります。

それはある冬の暮れの時期でした。

理想をもって事業を立ち上げられたのに、従業員が動かず、代表が朝から晩まで働いていても人件費で大赤字…。
数か月後には資金ショート。よくある話と言えばよくある話です。朝から晩まで働いても月に100万の赤字とか、心が折れますよね。とはいえ初期費用かけすぎだし、従業員グリップできてないし…。

正直私も、お会いした当初は「これは自己責任…」と思った案件でした。

ただ話を聞くと、お子さんが6人!もおり、家もローン。自己破産したら家もなくなり、この大家族が住める家自体も少ないでしょうから、一家が路頭に迷ってしまうかもしれない…。

譲渡対価は経営難で極めて低い状況だったため、他の仲介会社・・・というより当方以外だったら対応しない案件だったと思います。

でも、「お金にならない」からと言って、大家族が離散するのを見過ごせないですよね。

まず、現状がどれくらい厳しいのか売り手様に理解してもらうことから始めました。
売り手様は倒産させて債務整理したらそれで終わりと考えていらっしゃいましたが、個人で債務保証に入っている以上、個人資産にも影響が出ること。そうなったら家を手ばなさなければいけないこと。家を手放したら家族に影響が出るかもしれないこと・・・。

銀行に対して、どういって債務減免を申し入れるのか、ということも何度もロープレを行いました(日本財務戦略センターの設立動機の一つです)。

これ以外にも色々とドラマがありましたが(いろいろありすぎてここでは書けません…)、この案件は「価格」よりも「時期」であると判断し、買い手を探しました。

何社か候補が出てきましたが、一つは厳しいけれども報酬で報いるところ、もう一つはやることはやるんでしょうが、態のいい労働力の確保としてしか考えていないと判断したので、後者はお断りをし、厳しいけれども報酬で報いるところと譲渡実行を進めました。

報酬が足りないとローンが返済できませんからね。。

買い手様からすると、サラリーマンの感覚しかない中で苦労をした元経営者が入ってくるということは従業員にとって刺激があるということ、また売り上げの確保ができるということ(働かない従業員は「いらない」って言われました。。)。

売り手様からするとローンが返済できる賃金で雇用を受けられること。

この二つが見事にマッチし、早期のM&Aが成立しました。その意味では冒頭にあげた「価格」「時期」「相手」のうち、「時期」と「相手」が見事にマッチしたと思います。

また「価格」ですが債務減免をこれから銀行に行う売り手様からすると、数百万変わることは実はそれほど重要ではなく(あるに越したことはないですが…)、それよりも生活の維持を優先できたということでは、M&Aコンサルタントとしてはわれながらよくできたと考えています(営業マンとしては手数料を頂けない案件を優先したということでダメダメです)。

これもM&A仲介を始めかけたばかりの私にとっては思い入れのある案件でした。ここにドラマも多々ありましたが、詳細の記載についてはご容赦ください。

 

創業者から上場企業の管理職に
オーナー企業が株式を一部上場企業に譲渡し、そこのマネージャーになった事例です。

もともとゼロからイチを作ることが得意だ、とおっしゃっていた売り手様でした。
創業してから数年間運営をしており、オーナー企業によくある使途不明な交際費や交通費などもなく、営業利益も10数パーセント出しているという立派な企業でした。

譲受会社は利益率もさることながら、決算書の不明瞭な支出がないこと、数年間にわたって、増収増益で拡大してきていることを大変関心を持たれていました。

数カ月にわたるM&Aの交渉プロセスの中で色々ありましたが(本当に色々ありました・・・)、最終的に譲受先企業が悩んだことがあります。

「この会社を買って大丈夫なのだろうか」

基本的に人しかいない業種なので、社長以下がやめたら、何も残らなくなってしまい、のれんの償却(減損処理)を行うしかないのではないか、ということをオーナー会長の元に呼ばれて聞かれました。。

いや、もう執行するメンバーはやるって方向で話まとまってますし、なぜ今その話を、対面でやるんかいな・・・と思いました。
(そこでやらないって話だったら今までの話はどうなるの?って思いますし、この意思決定ってどのようなラインで決まるの?って思います)

その時は「はい、社長は御社のグループ会社に譲渡後残り、譲渡企業を含めて監督を行うという契約を取り交わしますし(これは本当で、事前に捌いていました)、そこは説明済みです!」と同席していたM&A担当者にぶん投げことなきを得ました(ちなみに、その方、翌年お会いしたら取締役になられてました・・・)。

これは買い手のロジックではありますが、反面、売り手からしたら、あえて買い手企業に残る、そしてそれなりの条件であれば、譲渡対価が入った上で、一定のポジションが獲得できる、という意味で双方にとって折り合いがつく解決方法になるかと思います。

アーンアウト条項のようにその会社に残って結果を出して言ってもらう、というやり方もありますが、より高次の次元の解決方法として、より上位の会社にマネージャーとして入ってもらい、他の会社を含め監督する、というやり方があるかと思います。

まあ、その後も色々ありましたが、円満に譲渡契約が成立し、また今でもちゃんと働いているという話を受けております。

当社はそのような双方にメリットのあるM&Aを行うことに留意しておりますので、ぜひ買収売却合わせてご相談いただければと思います。

よろしくお願いします。

3.ベンチャーと大手企業リタイアの個人を結びつけたM&A

人生100年を求められる個人と企業を結びつけるM&A

長寿化に伴い社会保障費が財政を圧迫していることから、政府も不定期雇用の定年を延長し、「人生100年」の計画を立てるようにしています。
フジテレビで放映されている「サザエさん」の波平さんが54歳という設定というのはよく知られている話ですが、当時の定年は55歳、当時の平均寿命は63.6歳。実は平均寿命はなんとあと9年もありません(平均余命は20年弱ありますが)。

ところ変わって現在は平均寿命も伸びており、日本人は65歳定年後の平均寿命84.10歳(2017年世界銀行)までどのように生きていくのか、ということが社会問題となっています。
また波平さんの時代は介護の問題も今より少なかったと思いますが、長寿化に伴い心身の老いが当時よりも顕在化してしまうことはやむを得ないと思います。特に会社に依存していて、やることがなくなってしまう人はなおさら「老い」を感じてしまうのかもしれません。さらに老け込んでしまい、老化(特に気持ちの部分)も進んでしまうかもしれません。

今回、弊社で行なった事例はベンチャー企業の設立に伴い、必要な技術や人材をマッチングさせるという案件でした。

ベンチャーからすると経験やコネクションのある人材の確保ができない(乏しい)。リタイアした個人からすると、まだ経験やコネクションがあるのに機械的に「カイシャ」から切られてしまう。そしてそれを活かす環境がない。

今回、弊社が行なった案件はこれらの組織と個人をマッチングさせるという業務でした。
ノウハウがありコネクションがある人材の獲得は費用をかけても行いたいという会社はいくらでもあると思いますし、その証左として人材紹介系のマッチングビジネスは多々あると思います。

ただ顧問契約として月額が生じたり、そもそも業者のイニシアティブで決まってしまうことも往往にしてあるでしょう。

弊社は今回、上記の問題を解消し、「本当に退職した後に働きたい方」に対してリスクを取ってもらう(出資および当面は報酬なし)という立て付けで私募募集のマッチング成約をサポートいたしました。

ベンチャー企業はノウハウや人材の確保ができ、リスクをとる個人は定年後に新しいフィールドでポジションを確保することができた事例となります。

トライアルで行なった事例ですので、イレギュラーではありますが、来たる日本の未来を見据えた成功事例として弊社内で経験を蓄積した事例となりました。

 

4.老舗企業を受け継いだ20代

老舗が新しい考えを入れ更に発展する

古都で数十年、地元を始め周辺エリアで味とブランド力には定評のある豆菓子を販売している企業です。
伝統的かつ保守的に販路を開拓して、地元や取引先から好評を得ており、味も確かに美味しい。
しかしコロナの影響で既存の取引先がダメージを受け、売り上げも半分以下に減ってしまっていました。

経営者は高齢ではあるものの会社を大きくしていきたいという意思は強いものがありました。

債務超過、かつ赤字ということでかなり買い手を見つけることには苦戦しましたが、様々当たる中で「債務超過の会社の連帯保証に入ることには抵抗感がない」「赤字ではあるが、追加でB2Cで更に高単価で売り上げを伸ばすことができると思う」20代の買い手を探索することができました。

いい商品を作っていてもデジタル化、インターネット化の流れに乗り切れず、卸や大手取引先のなどアナログな開拓しかできない中で、追加で販路を拡大することで更に売り上げを上げ、利益を得られると判断した結果です。
逆に売り手様からしてもM&Aを行うことで、今の立場を保ったまま、会社を再興することができ、受け継ぐことができるというメリットがありました。

一般的なM&A仲介からは非常に厳しいと思われる案件でしたが、完遂できたことについては非常に誇りに思っています。

5. 面談からちょうど20日で法人の譲渡実行まで行った事例

一刻も早い不安の解消、経営の立て直し

私個人は、必ずしも早くM&Aを行うことが正しいとは思っていません。
なぜならスピードを優先することで、お相手の探索が限られてしまうため、譲渡条件(価格や処遇など)が考えていたことと違った、ということは往往にしてあるからです。
逆に、スピードを優先しないといけないケースもあります。
それは待てば待つほど条件が悪くなってしまう(企業存続が危うくなってしまう)状況です。

今回の案件(不動産賃貸管理仲介)はまさにそのような案件でした。

債務超過の案件だったのですが、コロナの影響で赤字が拡大し、このまま経営や体制を見直さない場合、半年後に資金ショートしてしまう可能性がある案件です。

逆に言えば、買い手は初期的に財務状況や体制を確認し、「今ならまだ間に合う」と判断し、早期にトップ面談を行いたいとの要望をいただきました。

そこから先は早いのものがありました。
土日に面談希望の連絡が入り、翌週の火曜日にトップ面談、その後、DDのヒアリングなどを翌週行い、その翌々週にクロージングと社員説明会です。

売り手様、買い手様ともに現状を打破しなければいけないという強い考えが共有されていたこと、この相手なら一緒にやっていけると判断したこと、たまたま買い手側も拡大を考えていた分野だったこと(「後1日提案が早くても、後3ヶ月提案が遅くてもやらなかった」と最後に仰っていました)など様々な要素が合わさってのスピード譲渡実行でした。

なお売り手様からご相談いただいてから実行に至るまでは77日間と、株式譲渡ではやはり最速で完了しました。

現状について悩まれている経営者は多いと思いますが、案ずるより産むが易しですし、早く動けば動くほど今回の件のようにパートナーを見つけることで打開策を図ることができます。

今回、売り手様も「本当に悩んで相談した」と悩んだ上で弊社に電話でお問い合わせされたからこそたどり着いた結果でもあると思います。

お悩みの方は勇気を出して一本電話されるだけで新しい結果が出ることもあると思います。

ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。

 

(2021年6月28日に書きました)