帝国データバンク5月新型コロナウィルス関連倒産の動向

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公開日:2021年5月18日 /最終更新日:2021年5月18日

帝国データバンクから5月17日時点での新型コロナウィルス関連の倒産動向データがリリースされました。
内容について確認していきたいと思います。

https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/pdf/tosan.pdf

調査結果
□ 2021年5月17日16時現在、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産〈法的整理または事業停止(銀行取引停
止は対象外)、負債1000 万円未満および個人事業者を含む〉は全国に 1458 件(法的整理1332 件、事業停止 126
件)確認されている。1 億円未満の小規模倒産が817 件(構成比56.0%)を占める一方、負債100 億円
以上の大型倒産は5件(同0.3%)にとどまっている
□ 発生月別では「2021 年3 月」が189 件で突出。昨年11 月以降の感染第3 波や年明けの緊急事態宣言の
再発出の影響によって2020 年12 月以降の増加が顕著となるなか、今年3 月に倒産処理される事業者が
急増。5月の倒産は現時点で11件判明しているが、今後大幅に増加する見通し
□ 業種別では「飲食店」(239件)が最も多く、「建設・工事業」(135件)、「ホテル・旅館」(88件)、「アパ
レル小売」(74件)が続く。飲食店のほか、アパレル業や食品業への影響が目立っている
□ 都道府県別では「東京都」(350件)が最多。以下、「大阪府」(144件)、「神奈川県」(85件)が続く

官公庁が休止している大型連休後の発表であるため、裁判所の対応が必要な法的整理などについての件数はまだそれほど多くない状況です。
トレンドとしては政府の資金繰り支援策によって現状維持をしている企業も多いため、小康状態にあると言えるのかもしれません。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021051301105&g=eco

東京商工リサーチが13日発表した4月の全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同月比35.8%減の477件だった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の資金繰り支援策により抑制され、4月としては1972年以降の50年間で最少となった。一方、コロナ禍に起因した倒産は、飲食業を中心に高止まりしており、一部の業態に影響が集中している。
倒産件数は昨年7月から10カ月連続で前年同月を下回った。4月の負債総額は42.0%減の840億9800万円だった。

うがった見方をすれば政府もオリンピックと総選挙まではバランスシートが毀損しても企業の維持を進めることも考えているかもしれません。
その場合、9月や10月くらいまでは引き続きコロナに影響を受けやすい業種(外食や宿泊、工務店など。また付随する宝飾品卸、食品卸、衣料品卸など)はPLとBSを毀損し、一部倒産する企業が出ながらも現在の状況が継続していくと思われます。

下降傾向にある企業の場合、抜本的な業態転換などを行い、自己資本を回復させていかないと、将来的に手詰まりになる可能性が高くなってきます。
K字回復という言葉が出てきているように、回復している業種と、その回復基調に乗ることができている企業は外食や宿泊などの新型コロナウィルスの影響が大きいと言われている業種であっても存在します。

ワクチンが普及するペースですが、本日現在で一日50万回、これが100万回を超えるペースになってきても、年内はかかってしまうことが予想されます。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

そう考えると、数か月後に資金繰りの見直しをする必要が出る(今までと同様の融資は厳しくなる)可能性があり、また市場が「コロナ前」に戻るのも難しいでしょう。
(実際には行動様式まで元に戻る必要があるため)
逆にいうと、この数カ月で業態転換を図らないと会社の持続という点で難しいことになる可能性もあると思います。

以前のコラムでも記載しましたが、M&Aを行い資本業務提携をすることで販路の拡大をね羅うことは可能ですし、エクイティを入れることで会社の成長を行いやすくなると思います。
弊社にお問い合わせいただく企業様もPLやBSが時間を追うごとに悪化しつつあるため、結果としてM&Aの条件が悪化したり、成立しないケースも考えられます。
動けるうちに早めの対応を行うことが、会社や従業員、取引様等にとってメリットが大きいと思います。
案ずるより産むがやすし、という事もありますので是非お気軽にご相談ください。

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