2021年5月現在のコロナの影響について

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公開日:2021年5月12日 /最終更新日:2022年7月14日

2021年5月現在のコロナの影響について

昨年度の今頃は、新型コロナウィルスの影響が拡大を受け、初めての緊急事態宣言が出され、空港や繁華街もさることながら、日常の隅々まで先行きの見えない状況でした。当時も産業界に大きな影響を及ぼした新型コロナウィルスですが、それから一年たった現在はどうでしょうか。
昨今の報道の報道の内容について触れながら、クライアントと相対して受けている印象を含め、記載してみます。

新型コロナウィルスによる倒産状況

NHKの報道によると、新型コロナの影響により倒産が1400社を超え、倒産ペースが速まっているとあります。

<以下抜粋>

新型コロナ影響で倒産1400社に 2週間余で100社増 ペース速まる

月100件ペースでコロナによる倒産が起きており、ペースが速まっているとのことです。
今後もその傾向が続くのであれば、連鎖倒産などのショックに備えることも必要ですし、景気の冷え込みは続くと考えられるでしょう。
では上記の倒産件数について別の角度から見て見ましょう。

保証協会融資の状況

経営実績が悪い企業は、金融機関のプロパー融資ではなく、保証協会付きの融資を申し込むことが多いと仮定し、保証協会の承諾件数の推移を見て見ます。
まず保証協会が公開しているデータについて抜粋します。

<以下抜粋>
http://www.zenshinhoren.or.jp/document/hosho_jisseki.pdf

昨年度(コロナ1年目)はどの業種もかなり大変だったのか、前年比500%、800%(!)という規模で推移しています。
今年度(コロナ2年目)は対昨年度比で増加していることから、債務規模は引き続き増加していますが、そのペースは低下して来ていると思われます。
もちろん中には保証協会をつけても融資を受けられない企業や、経営の継続を諦めてしまい廃業や倒産を選ぶ企業もあるのでしょうが、業態転換し、現在の環境に適応して行くことで売り上げを順調に伸ばしている企業も多くなって来ているのではないでしょうか。

全ての企業が悪くなっているのか

実は帝国データバンクが3月に出しているプレスリリースでは上場企業の75%が上方修正していると記載しています。
もちろん保守的に次年度計画を出していた企業はその後の上方修正も容易であるため、その点は考慮しないといけないと思いますし、上場企業と非公開企業の事情が違うことはありますが、経営環境がプラスになってきている企業が多いという事は事実と考えていいと思います。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000261.000043465.html#:~:text=2021%E5%B9%B42%E6%9C%88%E6%9C%AB%E6%99%82%E7%82%B9,%E9%AB%98%E3%81%AE%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%89%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

<調査結果(要旨)>

業績修正企業動向業績修正企業動向

2021年3月期決算(通期)の業績修正を発表した上場企業は2021年2月28日までに802社。そのうち上方修正(年売上高増加)が604社、下方修正(年売上高減少)が198社802社が業績修正を発表したのは計978回となり、月別では2021年2月(394回)が最多。市場別では「東証1部」(525社)、業種別では「製造業」(389社)が最多

上場企業と非公開企業を単純には比べることはできないのでしょうが、私の肌感覚でもコロナ消費に適応できている企業は、部門単位で昨年度比で17倍の売り上げが上がっていたり(これは極端な例ですが)、トータルでポートフォリオのバランスが取れていて、一部事業は大幅な赤字であるものの他が黒字で結果増益になっている、というようなお話をいただいている企業もあったりします。

色々とお話を伺っていると、印象として、

①売り上げが上がっている企業
②トントンまで持ち直した企業
③適応できず自己資本が毀損されている企業

 

の3パターンに分かれて来ている印象です。
前回の記事でも自己資本が毀損している企業はコロナが終了した後の「ヨーイドン」で現在先行している企業に追いつくことは難しいのではないか(だからその対策を取らなければならないのではないか)ということを記載いたしましたが、コロナの収束はまだ先の中で同じ業種の中でも優勝劣敗が確定しつつある印象です。

①や②の企業についてはさらに改善を進めていけばいいと思いますが、問題は③の企業についてです。
①や②の企業の多くはビジネスモデルで百貨店や外食など現在大きなダメージを受けている販路に依存していなかったり、いち早くECに転換したりしている企業が多い印象です。
そのため今からECに転換するというのは一つの考え方でありますが、転換するにあたりコストが発生したり、ECのチャネルによっては薄利多売や多額の広告宣伝費が初期的に発生する(売れたら売れたで増産のための運転資金が必要になる)ことから、いずれにせよ資金投下が必要になってくるでしょう。

ウィズコロナに適応していない企業の傾向と対策

例えばですが高品質のものを作っていた企業が特に上記のような罠(百貨店などの卸への売り上げが下がり、かといって薄利多売もできない)に陥っている傾向がある印象です。
他にも顧客が特定の業界にやエリアに偏っており、その顧客群に対してサービスを提供できる機会が減っているため、売り上げが低迷している、などです。

ただ現在、弊社には流通網をお持ちのクライアント様より「(自社で小売などの販路はあるため)資本業務提携を行なった上で自社商品を製造してもらい、売っていきたい」というご相談も多くいただいているため、そのようなところと一緒に資本業務提携を行なって行くことで、今の売り上げに対して新しい販路先の売り上げを費用をかけず加えることで売り上げを回復し、損益分岐点を超え、会社を大きくして行くことは可能と考えています。

逆に③の企業が現状のまま営業を継続して行くことは以前も指摘した通り自己資本の毀損を増大させるだけで、選択肢が狭まってしまう(負債が小さい状況であれば資本業務提携を検討されることがあっても、大きくなり過ぎてしまうと提携を断られてしまう可能性が増える)ため、検討ベースでもいいと思うので、早めの対応が必要と考えます。

自社だけではなく、他の企業と協業することで得られる選択肢もあるでしょう。
実際に一緒にリスクを取っていきたいという経営者の方もいらっしゃいます(債務超過や赤字は気にされないようです)ので、ぜひそのような先の探索や提携について弊社がお手伝いさせていただければ幸甚です。

また仮に負債が大きくなりすぎても私的整理などの対策を取り、個人と法人双方の再生を図りつつ、再度挑戦して行くこともできるでしょう。

なお私的整理などに関する事業再生(企業再生)については以下のコラムも参考にしてください。

企業再生スキームとM&A
債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)
【事業再生】特定調停スキームとは
【事業再生】事業再生ADR制度について
地域経済活性化支援機構(REVICとは)
事業承継時の「経営者保証に関するガイドライン」の特則
「経営者保証に関するガイドライン」とは

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