中小企業向け「ゼロゼロ融資」終了と今後の中小企業に対する政府方針

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公開日:2022年9月9日 /最終更新日:2024年7月24日

日経新聞の記事で、政府が、新型コロナウイルス禍で業績が悪化した中小企業の資金繰りを支えた「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を9月末で終了すると発表したとの記事が配信されていますので、今回はこれについて取り上げてみたいと思います。

中小企業向け「ゼロゼロ融資」月内終了 資金需要が一巡

政府は8日、新型コロナウイルス禍で業績が悪化した中小企業の資金繰りを支えた「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を9月末で終了すると発表した。足元で資金需要が一巡しているのが理由で、危機対応も出口に向かう。

ゼロゼロ融資は2020年3月に始まった。当初は日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関が手掛け、同年5月からは民間金融機関も融資できるようになった。民間金融機関の受け付けは21年3月末に終了しており、現在は日本公庫や商工中金が実質無利子の融資を担っていた。

コロナ禍3年目の22年から返済が本格化し始めるため、返済負担の軽減に軸足を移す。今後は複数の借入金を1本にまとめて長期で返済する借り換え保証などの仕組みを検討する。

これまで日本公庫が6月末までに93.5万件、15.6兆円の融資を実行してきた。商工中金は3.6万件で2.6兆円だ。企業の倒産を歴史的な低水準に抑えた一方、慢性的な経営不振企業を無理に延命させている、との懸念もあった。

「足元で資金需要が一巡」とありますが、帝国データバンクの3月の意識調査では

4 現在の返済状況について、企業の54.2%が条件通りに返済しており、さらに32.1%は今後返済が始まる予定。今後の返済見通しでは、企業の81.3%は「融資条件通り、全額返済できる」としている。一方で、「返済が遅れる恐れがある」(3.1%)、「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」(3.5%)、「返済のめどが立たないが、事業は継続できる」(1.7%)、「返済のめどが立たず、事業を継続できなくなる恐れがある」(0.7%)など、今後の返済に不安を抱いている企業が9.0%にのぼった

とあるように、コロナの第7波前の調査ではありますが融資を受けている20%弱の企業が不安を感じております。
コロナ融資を受けている企業は全体の50%なので、中小企業全体で見ると10%が返済に不安を感じていると推論できます。
日本の中小企業数は350万社と言われているので、3.5万社が厳しい状況と推察することができると思いますが、「正常化」に舵を取ることにしたのでしょう。
繰り返しになりますが、政府はコロナ禍の中から事業再生ガイドラインや私的整理ガイドラインなどの整備を進めており、「延命」だけではなく、「退出」の準備を着々と取ってきました。
元々コロナの影響を受けていた企業はコロナ前から経営に問題があった企業が多いと言われていたこともあります。
また別の帝国データの記事ですが、

「コロナ融資」倒産で損失総額は推計263億円、国民ひとり220円の負担増の計算に

コロナ融資後倒産は、2022年8月において34件(前年同月15件、126.7%増)発生した。2022年の累計件数は253件となり、前年(166件)を大幅に上回っている。実際の融資額が判明した約140社のコロナ融資借入額平均は約6000万円だった。  コロナ融資損失総額は推計263億2000万円にのぼり、国民一人当たり220円の負担が既に発生している計算になる。

と、国民負担まで言及されてきています。
コロナ対応の当初、特定の事業者に助成金などが給付され、不公正感が世論に影響を与えたことを鑑みると、政府としても(本コラムで繰り返し言及してきましたが)どこかで撤退戦を行わざるを得ず、それがコロナ待機期間を短縮に見直した今のタイミングになってきたと考えられます(専門家の意見はあまり聞いていないようなので、政府判断になりつつあるのでしょう)。
また第7波での医療インフラ圧迫でも緊急事態制限に代表されるような行動制限が出なかったことを考えるとそれほど誤った推論ではないと思います。

今後も今まで行われていた補助的な政策が打ち切られ、構造転換に進んでいくことが予見されます。

構造転換の手段の一つとしてM&Aという選択肢もありますので、ご検討されている方はお気軽にお問い合わせください。

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