NHK「首相『新しい資本主義』推進 企業の不採算事業の撤退支援検討」について

Pocket

公開日:2023年3月30日 /最終更新日:2024年7月24日

撤退支援検討

NHKで「新しい資本主義」企業の不採算事業の撤退支援検討についてのニュースが出ました。
以下引用したうえで内容について触れてみたいと思います。

「新しい資本主義」の推進をめぐり、岸田総理大臣は、グリーンやデジタルといった成長分野への産業構造の転換が必要だとして、企業が不採算事業から撤退する際の支援策を検討する意向を明らかにしました。岸田総理大臣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けて、政府は政策の充実に向け、去年策定した実行計画を、ことし6月に改訂する方針で検討を続けています。
これについて岸田総理大臣は、29日の政府の会合で、持続的な経済成長には、グリーンやデジタルといった成長分野への産業構造の転換を促す必要があると指摘しました。
そして、「企業経営者が経営不振の事業から退出を決断した場合の支援について、多面的な検討を行う」と述べ、企業が不採算事業から撤退する際の支援策を検討する意向を明らかにしました。
また、
▽構造的な賃上げを実現するための労働市場改革や、
▽科学技術・イノベーションの推進などにも、
あわせて重点を置く考えも示しました。

以前、自民党の部会でゼロゼロ融資による追加救済を行う方向に行くのでは?というコラムを書きましたが、どうも政府と与党で風向きが違うようです。

3月28日の参院予算委員会では片山さつき委員が政府に対して熱心に救済政策を行うよう質問を行いました。

この質問だと救済の方に重心を置くよう求めているように聞こえます。
ただ自民党内部の人の話によると、どうも風向きは違うようです。
曰く、政府はNHKで述べられているように、企業に対して不採算事業から撤退することを促すことを重視しており、ゼロゼロ融資などで追加融資を行い、延命措置を行うことについては懐疑的な模様とのこと。
確かに今話題になっている「異次元の少子化対策」などを行う上で大規模な財源が必要になってきます。
その中でゼロゼロ融資が焦げ付いてしまうと税金での負担が発生してしまうことから、補填に回す財源が無いということが理由にあるでしょう。
またコロナ禍の環境での融資は失業対策という側面がありましたが、総務省が発表した2022年12月の最新版「完全失業率」は2.5%(翌月は2.4%)とほぼ完全雇用が達成されている状況です。
賃上げと103万の壁などによる人手不足が言われている現状であればなおさら失業対策を行うより、ゾンビ企業の体質とそれによる雇用の流動性に予算を使おうと考えるほうが合理的です。

そう考えると当職が得た自民党関係者からの情報(政府は不採算事業者の退出を促す)は妥当性が高いといえます。
今年は地方統一選挙が予定されていますが、その前後から退出(倒産・休業)の動きが増えてきてもおかしくないと思います。

帝国データバンクのデータを見ても前年同月比でトレンドとして倒産件数が増加しているので、さらに倒産などにより淘汰される企業件数は加速していくのではないでしょうか。
弊社へご相談いただく企業でも運転資金が2~3か月という企業も増えてきている印象を受けています。
ただそのような中でも相手先企業探索できているので、最後まであきらめずご相談いただければお役に立てることもあるのかなと思います。

また現状についてご不安な点がありましたら是非お気軽にご相談ください。
他のガイドラインなどについては以下も参考にしてください。

ゼロゼロ融資の終焉とその後
最新「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」についての解説
企業再生スキームとM&A
債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)
【事業再生】特定調停スキームとは
【事業再生】事業再生ADR制度について
地域経済活性化支援機構(REVICとは)
事業承継時の「経営者保証に関するガイドライン」の特則
「経営者保証に関するガイドライン」とは
<金融機関の視点から見る>ポストコロナを見据えた救済型M&Aについて

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

過去ブログ抜粋

  1. コロナ危機後を見据えた「中小企業の私的整理ガイドライン」改定について(推測)

  2. 円安倒産と今後のトレンド

  3. 持ち株会社についての一考察

  4. 事業再生のための「第二会社方式」とは

  5. 規模拡大に伴う中小企業の組織や人事の課題とは?~30人・50人・100人の壁とその対策~

  6. TDB「「不動産仲介」倒産が急増、過去最多。企業の「転勤」見直しも影響~前年比7割の大幅増」について