サーチファンドへの事業承継とは

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公開日:2022年9月22日 /最終更新日:2022年9月22日

サーチファンドって?

サーチファンドによる事業承継が先日、NHKで取り上げられました
聞きなれない言葉だと思いますが、事業承継にも大きく関わってくるので理解しておくことで選択肢が増えると思います。
弊社にもサーチファンドの「サーチャー(後ほど説明します)」から問い合わせも増えてきています。
では早速解説していきましょう。

【「サーチファンド」 “顔”が見える事業承継】
それは「サーチファンド」と呼ばれる仕組みで、もともとはアメリカで始まった事業承継のモデルです。

ビジネススクールなどで経営について学び、会社の経営を希望する若者がいます。この若者の将来を見込んで資金面で支援する投資家のことをサーチファンドといいます。若者はサーチャーと呼ばれ、1年間など一定の決められた期間内に、後継者がいない企業を何社も訪問して、経営したい会社を探す「サーチ活動」を行います。活動中の生活費などはファンドが提供します。そして、候補となる会社を絞ったあと実際にインターンなどとしてその会社で働き、従業員からの信頼も得て交渉が成立すると、投資家から再び資金を得て会社を買収し、自ら経営するというものです。

サーチャーは資金面で支援を受けられるメリットがあり、投資家は出資した会社が成長したあと、出資分を買い取ってもらうことなどで将来的にリターンが期待できます。

「事業承継」というと、会社が会社を買うということが一般的なイメージだと思います。
サーチファンドによる事業承継とは簡単に言うと、経営したい個人に対し、金融機関などが買収資金を出し、個人(サーチャー)が探してきた会社の経営を任せるというように理解していいでしょう。

NHKの解説では金融機関の取引先にサーチャーを送り込むようにも読めますが、実際はそのようなことはなく、サーチャーは金融機関の取引先の他、弊社のようなM&A仲介を含め幅広く接触して事業承継先を探しています。
また出資者も金融機関に限らず、持ち株会社がサーチャーを募集し、企業に対して出資することもありますので、上記の例以外にも様々なバリュエーションがあると言えるでしょう。

サーチャーの背景も様々で、上記のように「ビジネススクールで学ぶ若者」もいますし、弊社に問い合わせがあった範囲では大企業で働いたのちにMBAに行った人や、M&A仲介やコンサルタントを行ってからサーチャーに応募した、というようなバックグラウンドを持つ人たちもいます。
総じて優秀な人たちで、ゼロから起業しようとは思わないが、金融機関等と連携して能力を活かしていきたいと、リスクと野心をバランスよく持っている人たちが応募している印象です。

サーチファンドのメリットデメリット

本文中では引継ぎたい側からの視点がメインであったため、ここでは事業承継される側からのサーチファンドのメリットデメリットを書いてみたいと思います。

メリットは通常の事業承継のメリットである、創業者利益の獲得や従業員や事業の引継ぎなどが挙げられます。
その他、固有のメリットしては個人が入ってくるため、企業間よりも力関係が発生しないこと、引継ぎ対象者が明確になっているため譲渡後のイメージを企業組織相手にするよりイメージしやすいところではないでしょうか。
他、資金提供を行う金融機関等とのコネクションができることが考えられます。

デメリットとしては企業同士であれば発生する販路の共有などのシナジー効果がイメージしづらいこと、従業員との人間関係が構築できるかという問題(従業員からするとより大きい資本と資本業務提携を行う方が受け入れやすいでしょう)、後継者としての適性が事後合わないことが判明した場合に個人レベルだと企業が引き継いだ時よりもリカバリーが難しい等があげられるでしょう。

メリットとデメリットを上げてみましたが、サーチファンドを事業承継の手段として検討すべきでしょうか?

結論

結論から言えばケースバイケースによると思います。
現在、単体で回っているような企業で、従業員との関係も良好であるなら、上手くいっているケースも多いことから頭から排除すべきではないと思います。
また個人としても長く付き合えるのなら、対企業よりも長くやっていきやすいのではないでしょうか。
他方、事業構造に問題があり、個人での是正が難しい場合(もちろん譲受を希望しているサーチャーが業界に専門的な知見やコネクションがある場合は別です)はシナジー効果を産める可能性が大きい企業を譲渡先に考えたほうがより事業承継が成功する可能性が高まるでしょう。

上記のように考えると偏見を持たず面談してみて、可能性を考えてみたらいいのではないでしょうか。

MBAで身に着けた理論や大企業在籍経験、その他他業界で得た知識や経験など、一見直接活用できないようなものも既存の経営方針に対してプラスの影響を与える可能性がありますし、実際に成功している例も多数あります。
新しい考え方を取り入れるために前向きに検討してみることも一つなのではないでしょうか。

M&Aについては以下のブログも参考にしてください。

粉飾決算の見分け方~粉飾決算をしてみよう!~
日本M&Aセンター 契約書偽造・不正計上問題とそこから学ぶべきこと

<売り手向け>やばい買い手には気をつけろ! マッチングだけが全てではない。
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「M&A仲介への不信感4選」
仲介かFASか
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