【TSR】2022年5月度全国企業倒産件数について

Pocket

公開日:2022年6月8日 /最終更新日:2024年7月24日

東京商工リサーチの2022年5月度全国企業倒産件数が公表されたのでご紹介します。

東京商工リサーチが8日発表した5月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同月比11.0%増の524件となり、2カ月連続で前年を上回った。新型コロナウイルス関連の倒産は54.0%増の191件で、2020年2月の調査開始以降、2番目の高水準。政府の資金繰り支援策などで抑制されていた倒産が増加傾向にある。

2か月連続で前年同月比の倒産件数が増加しており、「新型コロナウィルス」関連倒産件数が前年同月比54%増と大きな伸びを示しています。
弊社コラムで以前注意喚起をしていましたが、ゼロゼロ融資が減少、利払いの開始なども始まり、公庫もコロナ救済型融資は今月中旬までだったと記憶しておりますが、徐々に企業を整理する方向へ進んできているという印象を受けております。

見方は少し変わりますが、インボイス制度導入についても、インボイスに対応できない企業については廃業・解散させ統合させていくような流れにしていこうと考えてるのはうがちすぎでしょうか。

倒産企業の内訳をみると、これも前回のコラムで記載したようにサプライチェーンの影響が大きい企業が高いインパクトを受けているのかなと思います。
またヒアリングベースですが、飲食も人手が不足しているが、売上はコロナ前には戻らない(深夜需要が消失している)ことなどから、人手不足によるコストの上昇と売り上げの確保が難しいことによる二重の制約が起きてきている業種もあるような印象を受けております。

中央政府や日銀も物価上昇は織り込んで政策を行うでしょうが、競争力が得られない企業にとっては厳しい状況になると思います。
特に参院選挙が終わると3年間、国政選挙が行われない可能性があるため、救済よりも整理・統合の方へ注力していく可能性が高いと思われます。

マクロ経済レベルで見た場合、資源を集約させるために必要な流れではありますが、経営者の方にとってはその後の人生がかかってきますので、自ら資本業務提携などを通じることで大きいグループに加わり、ポジションを確保していくことも必要かもしれません。

実際、周囲で見聞きするのM&A案件も「1年前であれば譲渡もいい金額で容易にできたと思うが、円安と値上げでコストが上がり、利益が出ず、譲渡価格に載せることができない」というような話もあったりします。

将来的な自社状況を考え、動いていってもいいのではないでしょうか。
多少の増減はあると思いますが、個人的にはこの倒産(及び廃業)動向のトレンドは増加傾向に移る時期に来たのではないかと考えています。

お悩みの経営者様に置かれましては経営の選択肢として、一度、ご相談の機会を賜われましたら幸甚です。

なお私的整理など事業再生(企業再生)については以下のコラムも参考にしてください。
弊社では大手法律事務所と救済型M&Aをベースにした企業再生にも取り組んでおりますので、ご関心ある方はお気軽にご相談ください。

ゼロゼロ融資の終焉とその後
最新「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」についての解説
企業再生スキームとM&A
債務超過企業と企業再生(準則型私的整理編)
【事業再生】特定調停スキームとは
【事業再生】事業再生ADR制度について
地域経済活性化支援機構(REVICとは)
事業承継時の「経営者保証に関するガイドライン」の特則
「経営者保証に関するガイドライン」とは
<金融機関の視点から見る>ポストコロナを見据えた救済型M&Aについて

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

過去ブログ抜粋

  1. 倒産しても経営者の住宅を守れる? 連帯保証と民事再生手続きの「住宅資金特別条項」

  2. 債務超過企業の取る経営戦略について(私案)

  3. 「提携仲介契約から14日間での成約」のプレスリリースに思う、早ければいいの? M&Aの相談から実行までの期間について

  4. NHK「首相『新しい資本主義』推進 企業の不採算事業の撤退支援検討」について

  5. 9/4週刊ダイヤモンド「廃業急増のウラ 倒産危険度ランキング」

  6. 銀行融資姿勢の変化と中小企業