公開日:2020年8月27日 /最終更新日:2024年7月24日
「ファンド」あるいは「PEファンド」についてよく耳にするのではないでしょうか。
昔、「ハゲタカ」とか「村上ファンド」というレッテル張りをされた「アクティビスト」と言われるファンドがあった(今もある)ので、印象としてそもそもよくないところがあるかもしれません。
ファンドにもいろいろやり方はあるのですが、基本的には、いろいろなところからお金を集めて(銀行や生命保険会社などの金融機関が多いと思います)、出資してSPCと呼ばれる目的会社を作り、場合によってはSPCでさらに金融機関から融資を受け、そのお金で投資対象となる会社を買って、さらに魅力的な価値が出るようにし、価値が上がって売却し、その利益を出資者に還元する、という点です。
不動産で言うと、さえないアパートやマンションを買ってリノベして価値を高くして売ったりするようなイメージでしょうか。そして基本的にお金は他から出してもらう。
まあ、これだけで見たら別に普通の商取引・・・というか経済活動なので別に問題がないんですが、M&Aの当事者、特に売り手からすると2点お気づきになった点があったと思います。
それは
(1)最後(数年後)に必ず売る
(2)出資を集めてきて株を買い取る(ので、彼らはその筋の専門家ではない)
の2点です。
前者について、オーナーとしては「これを誰かに引き継いでもらいたい! 従業員の生活も心配だ」という方もかなり多数の割合でいらっしゃいます。その際、ファンドは数年後に必ず売ることを前提としていますので、数年後に従業員がまた別のオーナーの下で働く前提になることを理解しないといけないでしょう。
また後者についてですが、あくまでもよそからお金を集めてきて投資の対象としてみるため、経営ノウハウが乏しい可能性があることです。そこは彼らのリスクですし、事前に投資委員会や買収監査でも検討するはずなのですが、やはり築いてきた事業が事業に知見のない人たちにオーナーシップを握られてしまうことは事前に承知すべきだと思います。
とはいえ当職もファンドに上記の事実を説明の上、ご紹介することはもちろんあります。
M&Aを行うことで売り手様が何を求めてるのかにもよって変わって来ますので、ご不安な点についてはご相談ください。
ここで1点だけ。
当職は事前に同業他社、異業種他社を含めてファンドを紹介することがほとんどです。ただM&A仲介の中には「あ、このファンドだったら買ってくれます」しか案内しない営業もいるように仄聞しております。
それは顧客機会の逸失でもありますが、上記2点を説明せずに案内している可能性が高く、かつその業界に詳しくないためにファンドしか紹介できない(ので今後トラブルが発生する可能性が予想される)と推察されます。
「ファンド行きましょう!」しか言わない担当者が出たらご用心。
なぜそこのファンド(だけ)なのか、という事を質問して本当に信頼できる営業担当者なのかを見極めたほうが良いかと思います。
【20201017追記】
弊社とお付き合いいただいているSTRコンサルティングの公認会計士である古旗先生の動画がわかりやすいかもしれません。
買収費用ですら買う会社のキャッシュフローを担保にするとか、もうなんでもありな感じですし、これを中小企業がやろうとすると銀行から難色を示されるんでしょうが(だから銀行資本のファンドなども多い。親会社の銀行からすると貸出先も増え、キャピタルゲインも狙える)、この低金利下で活発化しているのも事実だと思います。
また弊社も事業会社のみならず、ファンドともお付き合いがあり、完全に否定しているわけではありませんので(担当者は買ってからのことにコミットしなければいけないため、性格も能力も良い方が多いです)、イグジットの目的に応じて個別にご相談させてください。
また色々と書きましたが、「価値を上げる」ためにファンドの方も色々と大変なこともあるようですし、どうせであれば価値を上げるために一緒にやってくれるファンドも選択肢としてありえると思います。そのあたりの点についても、ご相談時にお話しさせていただきます。
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