不動産仲介会社のM&A

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公開日:2021年12月14日 /最終更新日:2021年12月14日

不動産仲介業界のM&A

いわゆる「街の不動産屋さん」といわれる不動産仲介会社に対するM&Aニーズが高まってきています。
全国に12万社あるとも言われている不動産仲介業についてなぜM&Aのニーズが高まっているのでしょうか。
今回はそのニーズについて触れてみたいと思います。

不動産仲介会社の特徴とは

不動産仲介会社はご存知の通りマンションなどの不動産の仲介や売買の媒介等を行っており、全国に5.5万店舗あると言われているコンビニエンスストアの2倍以上の社数があります。
「宅地建物取引業法(宅建業法)」という法律により、宅地建物取引業(宅建業)という免許を国土交通大臣または都道府県知事を受けた者でなければ営むことができません。
国土交通大臣免許か都道府県知事免許かは事務所(本支店等)の設置状況によって決まり、宅建業の免許の有効期間は5年です。
有効期間を超えるごとに免許番号が更新され、免許番号の数字が大きいほど信用が高いと判断される傾向があります。

宅建業者は専門家である宅地建物取引士(宅建士)を一定数以上確保しないといけないとされております。
宅建業法では不動産の取引のなかでも特に重要な業務である、物件や契約内容等の説明(重要事項説明)とその説明書および契約内容を記載した書面への記名押印については、宅地建物取引士しか取り扱えないと定められているからです。

また社員も数名程度でやられている会社が多く、大規模化する前に独立したり離退職するが多いことも中小規模の法人が多い理由となります。

不動産仲介業の特徴

不動産仲介会社は宅建業法上の規制を強く受けていることから、差別化が難しい業態と言われています。
差別化が難しい理由として、仲介手数料の上限決まっていること、また各社ともレインズという共通のDBをみて物件を利用者に紹介していることがその理由です。
また中小規模の法人が多いという事も差別化を難しくしている要因でしょう。
しかしそのような中でもM&Aを行いたいというニーズは強く存在しています。

理由としては、地場のネットワークを獲得、という理由が大きいです。
長い間同じエリアで営業していることから地場でネットワークを築き、地主から物件の取り扱いや管理などを任せてもらっている会社をM&Aすることでエリアへの参入がしやすくなりますし、水平統合が可能になります。
また人、特にM&Aを行うことで資格者の確保しマンパワーを確保したり、免許番号が大きい会社をM&Aすることで信用の大きい会社と一緒になりたいという理由があります。

そのためM&Aを希望される法人は同業他社はもちろん、不動産を所有もしくは管理している管理会社や土地の売買を行う会社あるいは個人などから問い合わせが多いです。

M&Aを行うにあたり

M&Aを行うにあたり、買い手企業がどのような点をチェックするかを見てみましょう。
逆にいうと、以下にあげる項目について買い手から魅力があると思われるのであれば成約する確率や金額交渉においてプラスに働くのではないでしょうか。

1.セグメントにおける不動産仲介や管理の内訳
仲介が得意なのか、管理戸数が多く収益が安定しているのか、というところにより買い手側の戦略も変わってきます。管理戸数が多い会社ですと安定した収益が見込まれる傾向があります。

2.取引をするにあたり、売り手側に立つことが多いのか買い手側に立つことが多いのか
売り手側=地主に強いのか、買い手側=パワーバイヤーとの関係が強いのか、若しくは見込み客を捕まえてくるのが得意なのか、という点です。ネットワークが強いのか、見込み客を仕組化して探す力が強いのか、と言い換えられるのかもしれません。

3.ネットワーク引き継げるのか
M&Aを行ってしまっても買い手が地主や既存顧客との関係が構築できないと最大の資産であるネットワークを引き継ぐことができません。譲渡後トラブルになる可能性もあるので、引き継げるのか、引き継ぐにはどうしたらいいのかを入念に打ち合わせを行う必要があります。

4.人の問題
宅建士が何人いるのか、M&A後やめてしまう可能性はないのか、という点です。労働集約産業であることから、社員が資産と考えられるからです。

5.バランスシート
基本的に借入れは運転資金程度で、貸借対照表もそれほど大きくならない業種です。しかし販売用不動産を仕入れて売却している場合、仕入れた不動産が滞留していると、不動産の購入に伴う借り入れが運転資金を圧迫してしまう可能性があります。

6.その他
不動産仲介業に限らないのですが、未払い残業や事故などの損害賠償など、簿外債務について注意を行う必要があります。また不動産取引による事故は損失も大きくなるので、収益用不動産の売買や仲介などを行っているようでしたらそれらの点についても留意する必要があるでしょう。

まとめ

不動産仲介会社のM&Aについていかがでしたでしょうか。
日本には多くの不動産仲介会社がありますが、様々な理由でM&Aを行いたいというニーズが存在しています。
中小企業で後継者がいない場合、廃業を選ぶ企業も多いと思いますが、せっかく築いてきた地場のネットワークを今後も活かし、かつ創業者利益を獲得ができるM&Aによる事業承継を選択するのも一つの選択肢ではないでしょうか。
お悩みになられている方は是非お気軽にご相談ください!

M&Aについては以下のブログも参考にしてください。

政府が中小企業M&A支援を行う背景
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「M&A仲介への不信感4選」
仲介かFASか
「M&A仲介会社の手数料」上場・非上場会社との比較!
M&Aで会社を譲渡する際に失敗しないための21のポイント!
売り手がM&Aを始める前に確認すべき5つのこと
【年倍法】M&Aの「価格」と「価値」の違いとは
「御社を買いたい人がいるから売ってくれと言われているが本当か」問題
M&A仲介会社の「業界最安値」手数料問題とは
仲介会社が入る意味とは
「M&A仲介と契約を結ぶ前に。テール条項には気をつけろ!」
「中小企業庁から学ぶ! M&A仲介業者の見極め方」
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