MBOとLBO! MとLとの違いとは

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公開日:2023年5月14日 /最終更新日:2023年5月14日

MBOとLBO

AとB、BとC、みたいな話が昭和の歌謡曲で流行りましたがMBOとLBOのMとLの違いは何なのかって考えたことはありませんか?
MとLというとサイズが思い浮かびますが、少し違います。
主体となる側から言うとプロレタリアートとブルジョアくらい違うのかなと思います。

MBOとLBOの比較

MBOとLBOはどちらも企業買収の手法ですが、買収する側や買収資金の調達方法に違いがあります。以下にその概要をまとめます。

  • MBOとはManagement Buyoutの略で買収対象となっている企業の経営陣らが自ら既存の株主から株式を買い取り、経営権を握る手法です。
    MBOはファンドなどから敵対的に買収を仕掛けられるリスクを回避したり、株主からの増配などの要求をかわしたりするために用いられます。
  • LBOとはLeveraged Buyoutの略で譲渡企業の資産や今後期待されるキャッシュフローを担保にして、金融機関から買収資金の融資を受けることで買収する手法です。
    LBOは少ない自己資金で買収に必要な資金を確保する目的で行われます。
    借入金の返済は譲渡企業が行うため、少ない自己資金でも買収ができるわけです。

事例

MBOとLBOは中小企業(非上場企業)でも実施されることがあります。以下にその事例を紹介します。

  • 2019年12月、株式会社ユニゾホールディングスは、自社株を保有する従業員らが設立したSPCによるMBOを実施しました。これは日本の上場企業では初めてのEBO(Employee Buyout)と呼ばれる手法で、従業員が自社の株式を買い取ることで経営権を得るものです。ユニゾホールディングスは、複数の投資ファンドから敵対的な買収提案を受けていましたが、従業員らは自社の経営方針や文化を守るためにMBOを決断しました。
  • 2018年10月、株式会社アイ・ティ・エックスは、自社株を保有する経営陣らが設立したSPCによるMBOを実施しました。アイ・ティ・エックスは、ITコンサルティングやシステム開発などを手がける企業で、MBOの目的は、中長期的な成長戦略の実行と経営体制の強化でした。MBOによって非上場化されたアイ・ティ・エックスは、市場や株主からの短期的な評価や圧力から解放され、自由度の高い経営判断が可能になりました。
  • 2019年11月、株式会社ユニバーサルエンターテインメントは、自社株を保有するオカダ・マニラリゾート&カジノを運営するフィリピン子会社をLBOで買収しました。ユニバーサルエンターテインメントは、フィリピン子会社のキャッシュフローを活用して借入金を返済するとともに、フィリピン子会社の経営効率化や事業拡大を図ることで、自社の価値向上を目指しました。
  • 2018年7月、株式会社アドバンテストは、自社株を保有する米国子会社であるアドバンテスト・アメリカ・インコーポレイテッドをLBOで買収しました。アドバンテストは、半導体製造装置や電子計測器などを製造する企業で、LBOの目的は、米国子会社の経営体制や事業戦略を見直すことで、自社のグローバル競争力を強化することでした。

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