事業承継とM&A

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一般的に、あらゆる予測の中で数少なく将来を推測できるのは、社会が安定している前提で、出生率と死亡率から予測する人口動態であるといわれています。
大きく人口動態が変わらず、移民政策なども行われないことを所与とした場合(行ったとして、移民政策論が言われていたころと今の日本では相対的に移民が来たいという魅力も低下しているようですが)、高齢化に伴う休廃業はさらに進むでしょう

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190121_01.html

東京商工リサーチが発表した「2018年『休廃業・解散企業』動向調査」から引用すると、2018年に全国で休廃業・解散した企業は4万6724件です。
前年比で14.2%も増加しており、倒産社数(8235件)と比較しても休業・廃業している企業が大幅に増加している傾向であることが読み取ることができると考えられます。
この傾向はさらに顕著になると考えられており、政府も10年間で中小事業者のうち127万社が後継者不在による廃業が起きる可能性があると指摘しています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/chusho/dai1/siryou1.pdf

さて上記を踏まえた場合、経営者にとってどういう選択肢があり、どのような選択肢を選んだほうがいいのか、ということが関心事になってくると思います。
企業は存続・成長をすることを前提にした法人である、という前提からすれば、一番いいのは法人内で後継者を育てておくことでしょう。

ただ後継者にふさわしい人物がいなかったり、将来的な経営環境の悪化が予測できていて、個人保証などを引き継いでもらって経営をしてもらうには忍びないというケースもあるかと存じます。
また株式を譲渡するにも、買い取るための現金が必要だったりするため、血縁関係がない従業員の場合、しり込みをされてしまう可能性も多いと聞いております。

そう考えた場合、廃業を行うという選択肢は現実として存在してしまいます。
ただし廃業を行った場合、現在ある債務の返済、従業員の解雇やそれに伴う退職金の支払い、取引先への説明や契約によっては違約金などが発生する可能性がありますし、在庫なども見切りで処分する必要が出てくるでしょう。
在庫の見切り処分や取引の打ち切りにより今までの会社のブランドの価値を毀損し、残った資産から給与や退職金を支払ったり、債務を返済して残った現預金や資産がオーナーが受け取る利益となります(厳密にはここから資本金を引いた分になります)。
そう考えると、よほど内部留保が厚くないと、今まで苦労して経営して育てた会社を解散して得る価値というものは、思った以上に多くない可能性が高いですし、何よりせっかく苦労して経営してきた会社をなくしてしまうのは非常にもったいないです。

そこで廃業以外の選択肢として、M&Aによる事業承継が現在、盛んにおこなわれてきています。
今まで作ってこられた企業を譲り受ける側(買い手企業)からすると、ノウハウや資産、従業員や販路などを引き継ぐことができ、自社の経営資源を有効活用させながら受け継いだ会社をより大きくしていきたいしと考えておりますし、それができると思うからこそ、M&Aを行ってグループインをさせる、という動機が発生します。

逆に譲渡する側は廃業と比較すると、

①自社ブランドを毀損しなくていい(むしろM&Aができたという事は他社から評価されたと言える)
②従業員や取引先(チェンジオブコントロール条項がなければ)はそのまま関係が継続できる
③今、経営されている法人を対象に価値が評価され、なおかつ解散したときに得られない営業権(のれん)に対しても金銭的な価値が評価される可能性がある
④そのため、解散時よりも受け取る金額は大きくなり、また一部を退職金として受け取り、税制メリットを享受することができる

というメリットがあります。

もちろんM&Aを行った場合にはデメリットが発生する可能性がありますが、想定されるデメリットは

①候補が出てこない可能性がある
②従業員や取引先にM&Aを行っていることが伝わり退職されたり取引を縮小されてしまう可能性がある

などです。

ただし①については、ある程度(1年程度)余裕を見て対応すれば十分に可能ですし、②については経験を積んだ担当者が対応すれば問題ございません。

余談になりますが、①については先日、廃業に伴う在庫処分を行う老舗企業のニュースをたまたまインターネット上で見かけましたが、実は弊社が3か月前にお話をしたところでした。
その時は顧問先の紹介で、他社との面談を行うことが決まっているとのお話でした。
しかしその数か月後に廃業したという事は、面談がうまくいかずに廃業という選択肢を取ったのかもしれません。
もう少し早くアプローチできていたら複数の面談候補を紹介したりして、違った結果になったのかもしれないなと、ニュースを見ていて感慨深いものが浮かんできました。

上記のようなこともあるので、どのように進めるのかは十分な余裕をあるうちからご検討したらよろしいかと思います。
このあたりにつきましても、弊社では相談無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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