水産業(養殖・卸など)に関する業界M&A動向

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公開日:2021年1月19日 /最終更新日:2021年1月19日

2020年の下期から食品関係の中でも水産業界との関係が深まってきているせいか、水産卸や養殖業との面談を多く行なっている印象があります。

水産業界でのポジティブなニュースとしては、元旦の日経新聞で一面広告が打たれたようにスタートアップトゥデイの前澤さん(ZOZOの前澤さん、と言った方が通りはいいかもしれません)の投資先の一つが鯖の養殖業だったように、大手インフラ事業者や大手キャリア事業者など、既存の伝統的なインフラ産業も業務提携ないしは業務資本提携という形で参入してきています。
https://nk.yusakumaezawa.com/detail04.html

その他の企業様からも弊社に対し養殖についての問い合わせがあることから、異業種参入として、単価の高い魚種を育てていこうという装置産業的な発想で検討されている企業も増えてきているのだと思います。
確かに日本の養殖率は20%代と欧州などの40%と比べて劣位にあります
これは豊富な漁業資源が近海にあったことから、育てることよりも獲りに行くことを重視した方が経済合理性があったのかもしれませんし、また戦後の漁業組合に始まる歴史的経緯があったのかもしれません。
ただし漁業についても高齢化や、既存の船などの設備の更新費用などの問題、また温暖化や乱獲、あるいは魚種交代などの問題により今までと同様の漁獲、収入をあげることが日本全体として難しくなっていることも事実です。

持続的な成長が課題となっている中、養殖業に参入しようという発想は正しいと思います。
ただしどうしても異業種からの参入を行う側からするとノウハウの獲得や獲得にあたる際の費用の妥当性の問題があり、そこが参入障壁となっているようです。反面、新たに養殖業を立ち上げている側からすると、販路の確保やそれに伴う資金繰りの確保などの問題があります。
M&Aでは一定、これらのコンフリクトを解消できると考えられますので、上記のどちらについてもお悩みの企業様に対して弊社はお手伝いをできると考えておりますのでお気軽にご相談ください。

サプライチェーンの川上部分の養殖業について、上記で見て見ました。
次に間の部分の水産卸について見て見ます。
これも印象論なのですが、水産卸市場単位でハード面の違いや、市場の文化の違いなどで「水産卸」という一言ではくくれないほどのばらつきがあるという印象です。

また卸先によってコロナの影響を受けているかどうかという問題もあるようです。
とある大手水産卸市場へ訪問してまいりましたが、スーパーなどの卸先が確保されているところは利益についてはむしろ増加しているようですが、外食がメインの卸は7割減などの多大な影響を受けており、社数にして30%以上は深刻な状況のようです。

政府はコロナ対応融資を進めていますが、どの程度、この状況が継続するかによって獲得る選択肢は変わってくると思います。
早期にコロナ問題が収束した場合、人々の消費行動にも大きな影響は与えないと思うので、追加融資で乗り切れるでしょう。
ただ長期化した場合、あるいは長期化せずとも消費者の消費行動が外食を避けるようになった場合、売り上げが戻ってくるのは難しいのではないでしょうか。
その場合、今から業態・販路を変えて行くことは必要でしょう。

例えば海外へ販路を求める。
あるいはスーパーや百貨店などへ販路を求める。
前者についてはクロスボーダーM&Aを行うことで対応が可能になりますし、後者については同業他社の下に入るかあるいは買収するかという選択肢があります(場合によっては口座を持っている会社とM&Aを行うという方法もあるかもしれません)。

クロスボーダーM&Aについても、同業他社・異業種他社とのM&Aについても弊社は対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
特に現状維持がマイナスになる可能性がある状況であれば、M&Aをやるやらないは別にして、早めに動いた方が選択肢が増えると考えられます。

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