【保存版!】2023年 事業承継に関する税制、助成金、補助金一覧

Pocket

公開日:2023年5月15日 /最終更新日:2023年5月15日

事業承継に関する税制、助成金、補助金のまとめと活用方法!

事業承継は中小企業の経営者にとって重要な課題です。
しかし事業承継には多くの困難や負担が伴います。
そこで政府は様々な税制、助成金、補助金を用意して、事業承継を支援しています。
このコラムでは2023年5月以降も続いている主な制度を紹介し、その活用法について解説します。

税制

税制には贈与税・相続税の負担を軽減するものと、事業再編・事業統合に伴う経費や投資を支援するものがあります。

贈与税・相続税の負担軽減

贈与税・相続税の負担軽減には、法人版事業承継税制(特例措置)、法人版事業承継税制(一般措置)、個人版事業承継税制があります。

  • 法人版事業承継税制(特例措置):非上場会社の株式等を先代経営者等から贈与・相続により取得した場合において、都道府県知事の認定を受けたときは、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除されます。
    この制度は、令和4年9月1日に一部改正されました。2024年3月までに特例事業承継計画を提出し、2027年までに事業承継を実施する必要があります。
  • 法人版事業承継税制(一般措置):非上場会社の株式等を先代経営者等から贈与・相続により取得した場合において、都道府県知事の認定を受けたときは、贈与税・相続税の納税額が軽減されます。
  • 個人版事業承継税制:個人事業主の特定事業用資産の承継に伴う贈与税・相続税の納税が免除されます。2024年3月までに個人事業承継計画を提出し、2028年までに事業承継を実施する必要があります。

これらの制度を活用するためには、以下のような条件や手順が必要です。

  • 親族内または従業員への株式等または特定事業用資産の贈与または相続
  • 申請書類や添付書類等の作成
  • 都道府県知事への認定申請
  • 認定後5年間(個人版では10年間)以内に後継者への株式等または特定事業用資産の承継の実施
  • 認定後5年間(個人版では10年間)以内に事業の継続
  • 認定後5年間(個人版では10年間)以内に事業承継計画の履行

これらの制度を活用することで事業承継に伴う税負担を大幅に軽減することができます。
ただし不正受給や計画未履行などの場合には、納税猶予や免除が取り消されることがありますので注意が必要です。
また申請書類や添付書類等の作成には専門家の支援を受けることをおすすめします。

事業再編・事業統合に伴う経費や投資の支援

事業再編・事業統合に伴う経費や投資の支援には、経営資源集約化税制、登録免許税・不動産取得税の特例があります。

  • 経営資源集約化税制:設備投資減税、雇用確保を促す税制、準備金の積立の3つの措置を活用できます。
    設備投資減税では事業再編・事業統合後に行う設備投資に対して、所得税または法人税の減税が受けられます。
    雇用確保を促す税制では事業再編・事業統合後に雇用を維持または増加させる場合に、所得税または法人税の減税が受けられます。
    準備金の積立では事業再編・事業統合に伴う費用や損失に備えて、所得税または法人税の課税所得から一定額を控除して準備金を積み立てることができます。
  • 登録免許税・不動産取得税の特例:M&A時の不動産の権利移転にかかる登録免許税・不動産取得税を軽減するものです。
    登録免許税ではM&A時に発生する株式等の譲渡や株式等の贈与に伴う登録免許税を1/2に減額することができます。
    不動産取得税ではM&A時に発生する不動産等の譲渡や不動産等の贈与に伴う不動産取得税を非課税とすることができます。

これらの制度を活用することで、事業再編・事業統合に伴う経費や投資を効率的に行うことができます。
ただしこれらの制度を活用するためには、以下のような条件や手順が必要です。

  • 事業再編・事業統合を含む事業承継を契機として行うこと
  • 申請書類や添付書類等の作成
  • 税務署への届出
  • 事業再編・事業統合後5年間以内に事業の継続

助成金・補助金

助成金・補助金にはM&A時の専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等を支援するものと、ファンドを活用してMBO(Management Buyout)を含む事業承継が可能なものがあります。

M&A時の専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等を支援するもの

M&A時の専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等を支援するものには、事業承継・引継ぎ補助金があります。

  • 事業承継・引継ぎ補助金:事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う中小企業・小規模事業者に対して、その取組に要する経費の一部を補助するとともに、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する制度です。令和4年度第2次補正予算で5次公募が実施されています。補助対象となる経費は以下の通りです。
    • 後継者継承支援型(Ⅰ型):親族内または従業員への株式等または特定事業用資産の贈与または相続に伴う専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓等
    • 事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型):M&Aに伴う専門家活用費用や仲介手数料、フィナンシャルアドバイザー費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓等
    • 経営資源引継ぎ補助金:M&Aに伴う設備廃棄費用や人員整理費用等

これらの制度を活用することで、M&A時の専門家活用費用や事業承継・引継ぎ後の設備投資や販路開拓、設備廃棄費用等を効率的に行うことができます。
ただしこれらの制度を活用するためには、以下のような条件や手順が必要です。

  • 事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として行うこと
  • 申請書類や添付書類等の作成
  • 交付申請受付期間内にjGrants(電子申請システム)で交付申請
  • 交付決定後5年間以内に補助対象経費の支出
  • 補助対象経費支出後2ヵ月以内に実施報告書及び請求

ファンドを活用してMBO(Management Buyout)を含む事業承継が可能なもの

ファンドを活用してMBO(Management Buyout)を含む事業承継が可能なものには、中小企業基盤整備機構ファンド事業があります。

  • 中小企業基盤整備機構ファンド事業:中小企業基盤整備機構が運営するファンドにより、MBOや事業再編・事業統合等の事業承継を支援する制度です。
    ファンドは株式等の取得や融資等の形で資金提供を行います。ファンドは、以下の3つのタイプがあります。
    • MBO支援ファンド:従業員や経営陣が先代経営者から株式等を取得するMBOを支援します。
    • 事業再編・事業統合支援ファンド:他社との事業再編・事業統合による事業承継を支援します。
    • 地域活性化支援ファンド:地域に密着した中小企業の事業承継や新規参入を支援します。

これらの制度を活用することで、MBOや事業再編・事業統合等の事業承継に必要な資金調達をスムーズに行うことができます。ただし、これらの制度を活用するためには、以下のような条件や手順が必要です。

  • 中小企業基盤整備機構の対象となる中小企業であること
  • 申請書類や添付書類等の作成
  • 中小企業基盤整備機構への相談・申込
  • ファンドとの契約
  • ファンドからの資金提供

まとめ

事業承継には様々な税制、助成金、補助金が用意されています。
これらの制度を活用することで、事業承継に伴う負担を軽減し、事業の成長や地域の活性化につなげることができます。
しかしこれらの制度を活用するためには、それぞれの条件や手順を満たす必要があります。
また不正受給や計画未履行などの場合には、制度の恩恵を受けられなくなることもあります。
そのため事業承継に関する税制、助成金、補助金を活用する際には、専門家や支援機関等のアドバイスを受けることが重要です。

このコラムでは2023年5月以降も続いている主な制度を紹介しましたが、他にも様々な制度があります。
事業承継に関する最新の情報は、中小企業庁のホームページや事業承継・引継ぎ支援センター等で確認することができます。
事業承継は早め早めの準備が必要です。
事業承継に関する税制、助成金、補助金を有効に活用して、円滑な事業承継を実現しましょう。

出典:

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

過去ブログ抜粋

  1. 東京プロマーケットに上場する意義とは

  2. 【日経新聞】コロナ長期化で「息切れ倒産」 ゼロゼロ融資で過剰債務

  3. 最近のM&A業界動向(食品製造)

  4. M&Aを行うと従業員はリストラされる!? 実態と買い手の考えているコト

  5. M&A後、譲受企業への繰越欠損金の引継ぎについて

  6. 「ゼロゼロ融資」借り換え政府創設原案について