2社のその後に学ぶ「M&Aを決断する」ということ

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公開日:2022年12月20日 /最終更新日:2022年12月20日

危機にあたってM&Aを決断をした企業しなかった企業

弊社では多数、様々な経営者からお問い合わせをいただいておりますが、今回、M&Aの決断について対照的な事例があったので、コラムで記載してみます。
どちらも近畿圏の食品製造業の企業で2年ほど前にご相談いただきました。
条件が同じような企業ですので比較しやすいという意味で面白いと思います。

対照的な2社の共通する点

仮に、A社とB社といたします。
A社、B社とも創業から数十年以上の年数が経っており、設備が経年劣化する中で新たな資金投資が必要な状況でした。
加えて新型コロナウィルスの影響で売り上げが急減しており、自己資金でも借り入れでも設備投資を行うことは難しい状況でした。
後継者も家族内には見当たらず、かといって閉鎖するには設備や従業員数など規模が大きいという状況です。
取引先との関係が強いのですが、マーケットが縮小していることもあり、取引先の新規開拓も必要でした。

相違点は?

異なる点としては、A社はすでに債務超過に陥っている状況で、B社は簿価ベースでは資産超過であるものの、数年で債務超過に転落する可能性が高いと思わせる状況でした。
そして当職が面談を行いましたが、面談にあたっての反応もA社とB社は対照的でした。

A社は伝統的な場所で代々続く昔からの地元の名士ということもあったのでしょうか、
面談時に仲介会社を複数競争させるような話をされました。
財務的に厳しい場合情報の管理に失敗すると、噂が流れる可能性が高まるため必ずしも依頼する仲介会社が多いからいいということはありません。
また債務超過により単なる仲介だけで相手を探すことは厳しい可能性もあります。
そのため当社では他の仲介会社とは異なり私的整理のスキームを含めて説明いたしました。
ただ「5年から10年はこのまま経営できる」という根拠が不明な返答をされています。
併せて弊社から大手の法律事務所と打ち合わせをして行った提案も「銀行に見せていいか」というコメントで終わるなど、危機感が感じられず、信頼関係も作れないかなと思い、最終的に弊社からお断りいたしました。

他方、B社も老舗の企業でしたが、弊社をご信用いただき専任契約でご一任頂きました。
珍しい業態であったことから実行までお時間をいただきましたが、最後まで仲介をさせていただきました。

決断が分かれた両社のその後

たまたまその後の両社がどうなったかを見る機会があったのですが、A社は「10年は大丈夫」と当職に宣言した話とは裏腹に今年、倒産していました。
当時、他の取引先から工場転用のニーズなどもあったのですが、本気度が低い状況では買い手に対しても信用を毀損してしまいます。
そのためいくつかニーズを頂いているところに紹介することもできませんでした。

ただ弊社が面談してから倒産するまでに2年弱ほどの期間がありました。
それであればその間に私的整理等を行い、倒産や個人の破産を回避するということもできたと思います。
しかし他人事のように仲介や銀行に任せるという姿勢が、結果として一番経営者にとってデメリットが大きい「倒産」という結果につながってしまったのは大変残念でした。

A社に限らず、弊社にお任せいただければ倒産を回避できた可能性のある企業はほかにもあります。
ただいずれも私的整理の検討や譲渡を決断しきれなかったことで倒産に至ってしまったケースも散見されます。
他方、B社ですが、B社の取引基盤を活用したいという買い手が現れました。

B社はどうなった?

M&A結果、売り上げが前年よりも15.2%(期中で譲渡したため、上昇率はもっと高いと思います)上昇しました。
利益も数年間の赤字から脱却し対売上ベースで20%近く利益が上振れしました。
A社、B社とも結果論であるというご指摘はその通りだと思います。
ただ当職は会社の将来を自分事としてとらえ、ご信用いただいたB社のお力になれたことを大変うれしく思います。
ウェブも見ましたが、リニューアルされ笑顔で売り手様と従業員が工場の前で写真を撮っているのが印象的です。
譲渡決済時はB社の売り手様からも思われていた以上に譲渡対価をお支払いできたので譲渡後に「いい取引が出来ました」と声をかけていただきました。
当職としては単に売って終わりではなくその後の会社の発展につながったことをうれしく思います。

弊社の成約事例については一部を成約事例に掲載しておりますので、ぜひご確認ください。
中小企業庁のサイトでもM&A事例が掲載されています。
併せてご参考にしてください。

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