公開日:2024年2月27日 /最終更新日:2024年7月24日
先日読んだ本がかなり面白かったので、紹介させてください。
本書は日経ビジネス副編集長を務めている上阪 欣史により24年1月20日に刊行されました。
Amazonの本の紹介から以下引用します。
日本製鉄とは
日本製鉄というよりも「新日鉄」や「八幡製鉄所」といった方がなじみが深いかもしれません。
教科書にも出てくる官営八幡製鉄所を祖とし、戦後の傾斜生産などでも大きな役割を果たし日本経済をけん引してきました。
私もけん引しているイメージのママだったのですが、自動車などの工場の海外進出による空洞化、パリ宣言などの法規制による環境投資の必要性、シェアを求めた鈍重な非効率性、当時は商社を顎で使っていたが、資源確保などで力関係が逆転(自動車会社などとも)など気が付いていたら「あと2年でキャッシュアウトしてしまう」という状況になっていたようです。
それまでは装置産業として規模を拡大してバーゲニングパワーをつけていたイメージでしたが、それどころかかなりの危機であり、何より問題なのは社員にその危機意識がなく、ゆでガエル状態になっていたようです。
本書について
本書は日本製鉄の改革について橋本英二社長の就任前後から現在に至るまで、どのように取り組んでいたのかということが描かれています。
ミスミの三枝匡さんの社内改革について影響を受けているようですので、「V字改革の経営」を読まれた方はなるほどと思われることも多いと思います。
リーダーが危機意識を持ち、社員に働きかけ当事者意識や責任意識を持たせることで離脱や反発を受けながらも、短期間で(ミスミの場合は初期に成功体験も持ちながら)改革を行っていくプロセスが描かれており、本書はドキュメンタリーでもあるので、どの高炉をどういう理由で閉鎖した、であったり、自治体からのハレーションもあったなど、利害関係者が克明に記載されているので、自分のビジネスに落とし込んでイメージしやすいのではないでしょうか。
現在、日本製鉄はアメリカの名門企業でモルガン財閥に端を発するUSスチール(日本で言ったらそれこそ八幡製鉄所みたいなものですね)をM&Aしようとしていますが、日本製鉄自体がM&Aや資本業務提携で日本全国の製鉄会社が集まり成立してきましたし、海外にも展開していいるので、DNAのようなものがあるのかもしれません。
とはいえ規模の拡大で組織が惰性で動くようになり、組織改革(マネジメントに2~3の部署を見させることで全社的な視点を持たせる、等)を行い、社長も頻繁に現地訪問を行い管理者以下とも会うことで直接メッセージを伝えるなど、マクロな経営資源配分だけではなく、ミクロで現場と向き合うことの重要性も理解できると思います。
余談ですがニデック(旧日本電産)の永森会長も「M&Aを行う際は汚い工場を買う(改善余地があるから)」と言っており、現場に伸びしろや改善の余地を見つけることの重要性は共通認識として皆様持たれているのではないでしょうか。
今回、M&Aとは直接関係ないかもしれませんが、買収候補先を探す視点や、社内改善は特にPMIと共通するところがあるので、現在M&Aを考えられている方や行っている方はヒントが詰まっていると思います。
ぜひ、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。
文体も読みやすいので当職も2~3時間で読めるほどですので、就職活動で企業の力関係が固定されていた私のような人には知識のブラッシュアップにもいいと思います。
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