中小企業が持ち株会社化を考える時

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公開日:2021年11月8日 /最終更新日:2021年12月12日

M&Aと持ち株会社化

積極的な買収を進めていく買い手企業は、M&Aを行うことで複数社買収し、子会社が5つも6つも、などという状況にあるケースはよくあります。
多くの企業が事業会社からスタートし、そこで得た収益を原資としてM&Aを行っていくので、一般的な進め方だと思います。
ただM&Aによる買収を進めていくと、事業会社の下に様々な会社がぶら下がることにより、既存役員と買収先役員との関係の問題や、意思決定の方法、親会社の事業に影響が出た際に子会社へも影響がでる可能性があるなど、グループ会社の管理やバランスなどの問題が出てしまうことが考えられます。
また親会社本体で管理を連結して全体の管理を行うため親会社の財務担当役員に権限が集中してしまうという事ももしかしたらネックと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
また買収だけではなく譲渡による売却も考えるのであれば、事業会社とは明確に分けたほうが経理の問題も取得についての問題もトラブルが起きづらいのではないでしょうか。

持ち株会社化スキーム

個人100%で所有しているX会社がM&Aを繰り返し行い、会社A、B、C、D、Eを子会社としてぶら下げていると仮定します。これらの企業群を個人100%で所有しているYホールディングスの下に子会社A、B、C、D、E、Xをぶら下げ、Yホールディングスによって管理する形態についてどのような方法があるでしょうか。

①株式移転による親会社Yの設立

まずX会社の株式100%を保有する新設法人Yホールディングスを会社法2条32号の株式移転により設立します。
この時、株主から見るとYホールディングスの株式を100%所有しており、YホールディングスがX会社の株式を100%、そしてX会社がA~E会社の株式を100%所有している状態で、株主からするとさらに会社が一つ追加された状態でしかありません。

②現物配当による孫会社の子会社化

次にX会社が所有している子会社A~Eの株式をYホールディングスに移転させます。
Xからみて親会社にあたるYホールディングスに対し、Xが保有するA~E社の株式をYホールディングに対して会社法454条4号等に則り現物配当を行います。
これにより今までX会社が保有していた株式がYホールディングスに移転することから、Yホールディングスの下にA~E及びX会社がぶら下がります。

以上のステップにより複数の子会社を抱えていた事業持株会社の組織再編を行い、ホールディングス会社を設立しその下に旧孫会社を子会社としてぶら下げたことで、グループを管理しやすくすることができるようになります。

以上簡単ですが、組織再編のお話でした。
組織再編についてお困りの方は、ご遠慮なく弊社までお問い合わせください。

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