トップ面談とは

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公開日:2023年4月3日 /最終更新日:2024年7月24日

M&Aのトップ面談とは?

M&A(合併・買収)のトップ面談とは、M&Aの買い手企業のトップと売り手企業のトップが直接会って話し合うことです。
この面談は、M&Aの成立に向けて、企業経営戦略や経営者のビジョンなどについて話し合うことが目的となり、M&Aを行う際のプロセスの初期段階に当たります。
複数の買い手からトップ面談のオファーがされた場合、売り手が順次面談を行い、条件や相性で先に話を進めたい買い手に独占交渉権を与えることが一般的です。

買い手と売り手が気を付けるべきこと

 

1.目的を明確にする

M&Aのトップ面談は、M&Aの成立に向けて話し合うためのものです。
買い手と売り手は、面談前に目的を明確にしておき、話し合いの中でそれを実現するための具体的な手段を模索しましょう。
「とりあえず会って話をしてみよう」ということですと売り手は買い手の本気度を測りかねますし、そういうことが続くと売り手も譲渡の意欲をなくしてしまいかねません。
通常の業務がある中、両社のトップが顔を合わせる機会は限られているため、面談前には事前に情報共有をしておき、話し合いの進め方を検討しましょう。
コロナ禍ではオンライン面談もありましたが、直接面談が一般的です。
売り手の事務所を訪問し、工場や施設などを見学するということも同日に行われることが多いです。
目的を明確にすることで訪問すべきところや確認すべきところを明確にして売り手に負荷をかけないようにスムースに対応しましょう。

また手土産も効果的だったりします。
会食を行う場合、だれが負担するのかという話が出ることもあるようですが、「選ばれる」ことを目的とするのであれば買い手が負担する方がスムースでしょう。

2.企業価値を把握する

M&Aにおいて、相手企業の企業価値を正確に把握することは非常に重要です。
買い手は売り手の企業について財務諸表などの資料を読み込んでおり、改善点や収益の根拠、従業員の状況などについて質問してくることが多いです。
その際に売り手が適切にこたえられないと信頼性が低下してしまう可能性があります。
当社のような仲介が間に入っている場合には事前に質問の交通整理を行い、当日聞く質問、事前に教えてほしいと依頼する質問、面談後に聞く質問など調整し、コミュニケーションを円滑に行うように努めますが、直接行う場合は質問のタイミングなどについても留意し、企業価値を確認していくといいでしょう。

3.コミュニケーションを大切にする

M&Aのトップ面談では、相手企業の方針や価値観を理解する機会でもあります。
買い手と売り手は、相手の意見を尊重し、コミュニケーションを大切にすることがM&Aの成立に向けて大きな役割を果たします。
特に売り手の経営者が残って引き続き役員などに就任する場合、相手と長い間やっていけるかという印象は譲渡先を決めるうえで重要なファクターとなります。
買い手側も「買ってやる」という気持ちで臨むと反感を買ってしまうかもしれません。
逆に売り手側も「売ってやる」だけだと後で何か発覚した時にハレーションが大きくなる可能性があります。
双方とも謙虚な姿勢で相手方の理解に努めるようにしましょう。

4.経営戦略について話し合う

M&Aのトップ面談では、両社の経営戦略についても話し合うことが必要です。
買い手と売り手は、相手企業がどのような戦略を持っているのか、自社の方針に合致するのかを検討することが必要です。
また、M&Aによって得られるシナジー効果についても話し合い、相手企業との合併・買収が自社にとって有益なのかを検討することが重要です。
経営戦略が合致するようであれば、M&Aを行うための意志は固くなるでしょうし、PMIと呼ばれるM&A実行後の統合作業も容易になると考えられます。

5.情報管理について慎重に対応する

M&Aのトップ面談では、相手企業が持つ機密情報を開示することが必要です。
買い手と売り手は、情報開示について慎重に対応することが求められます。
相手企業の情報を不正に使用したり、第三者に漏らしたりすることは厳禁です。
特に同業他社や取引先候補にとって相手方の経営情報は「宝の山」であることもあります。
「M&Aは行うのはやめるが単価〇〇円で納品してくれるなら取引を考える」というような本末転倒な話もありましたので、面談先への情報開示については慎重にしてください。
また同業他社や取引先候補が何度も自社訪問したり、会話内容を従業員や取引先などに聞かれてしまうと関係者に動揺が走り退職や取引中止などにつながる可能性があります。
情報の秘匿については慎重な取り扱いをお願いします。

6.面談者はどこまでいれるか

M&Aのトップ面談で交渉に臨むのは代表取締役がいいでしょう。
あまり参加者が多いと事務的な話になり、コミュニケーションがとりづらく経営戦略に関して突っ込んだ話がしづらいからです。
事務的な話は独占交渉権を得た後に、デューデリジェンスの場でじっくりできるので、トップとあと1名程度(経営戦略もしくは公認候補)がよろしいのではないでしょうか。
単独が不安であれば弊社のような仲介会社を間に入れ、面談をスムースに行うことも検討の一つになると思います。
たまに「税理士を連れて行っていいか」という相談を受けますが、税理士は税務申告のプロではあるでしょうが、M&Aのプロではなく、いても細かい話しかしない(できない)ので自分でM&Aを行ったことがある経験者でなければまったくメリットがないと思います。
専門家の出番は先ほど申し上げだデューデリジェンスの場がありますので、誰かに頼らずトップの人間性で勝負してください。

まとめ

トップ面談においては、相手企業との信頼関係を築くことが重要です。
M&Aによっては、企業文化や経営方針が大きく変化する場合もあります。
そのため買い手と売り手が共通する価値観や目的を共有し、協力してM&Aを進めることが必要です。
またトップ面談は、M&A成立に向けた大きな前進となる場合がありますが、話の進み方次第では成立しない場合もあります。
円滑に進めたい場合はM&A仲介を入れることで話が進みやすくなると思います。
そして繰り返しになりますが、買い手と売り手は、お互いの利害関係を理解し、相手企業の立場にも配慮しながら、M&A成立に向けて最大限の努力を尽くすことが必要です。
「売ってやる」「買ってやる」という態度をやめ、相手を尊重する姿勢をもって対話を行うことが肝要です。

以上が、M&Aのトップ面談で気を付けるべきポイントです。
トップ面談での話し合いの結果がM&A成立に向けて大きな影響を与えるので、十分な準備をして臨むことが重要です。

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