公開日:2021年7月26日 /最終更新日:2024年7月24日
中小企業の経営を行っていると、代表者による連帯保証を求められるケースはままあると思います。
金融当局の考え方としては、不必要な保証債務については外す方向で金融機関に対してガイドラインを出していることは以前、本ブログでも取り上げた通りですが、直近で「経営者保証のガイドライン」について金融庁から活用実績が発表されましたので、ご紹介したいと思います。
<引用先:金融庁>
https://www.fsa.go.jp/news/r2/ginkou/20210630gl.html
このグラフはM&Aや事業承継に関してのみ取り上げたものではありませんが、トレンドの把握はしやすいと思います。
金融機関の考え方や、保証債務の対象会社の経営状況によっても判断は変わってくると思われますが、新規融資は連帯保証を求められる件数は少なくなってきているようです。
新規の場合、新しく創業したなど、特に債務超過に陥っておらず、融資の判断も比較的前向きに行われるというところがあるのかもしれません。
新規無保証融資件数も4年で2倍程度になってきており、連帯保証を求めない形での融資が浸透しつつあるのではないでしょうか。
反面、代表者が交代した際の保証徴求については以下のグラフが分かりやすいかもしれません。
毎年一割程度、連帯保証を外すことができている経営者はいるようですが、経営状況にも左右されるため、完全に外すというのは難しいようです。
他方、後継者が保証債務を外すという割合は4年間で増えてきており、M&Aや第三者への事業承継が活発している証左ではないでしょうか?
譲渡側からすると連帯保証が外れないとM&Aを行うメリットがないことから、連帯保証を外す目的でM&Aや事業承継を行っていると推察されます。
逆に「前経営者保証あり 後継者保証なし」というのは自社内で後継者を探し、承継したケースが想定されます。
年齢や病気などで代表を交代しなければならないにもかかわらず、個人保証の引継ぎについては従業員に断られるようなケースです。
この場合、経営について人に任せてしまっているものの、何かあった場合に個人保証が求められてしまうので、リスクだけが残ってしまっている状況と言えるでしょう。
このケースも4年で割合が倍増していることから、後継者を見つけることはできたものの、必ずしも円滑な事業承継ができていない可能性があります。
というのもガイドラインがあるにもかかわらず経営者が変わって個人保証が外せないという事は、債務超過か売上・利益について難がある可能性があるからです。
そのような会社を自分自身の連帯保証を残したまま引き継いでもらう、というのはリスクオフができていないため個人的には推奨できませんし、第三者に引き継いでもらい、併せて連帯保証を外す方がキレイな対応ができるのではないでしょうか。
誰に、どのように承継していくか、というのは頭を悩ませる問題でしょうが、各種の事例を参考にしながら、ベストな承継方法をお考えいただければと思います。
<ご参考>
【解説!】事業承継時に焦点を当てた 「経営者保証に関するガイドライン」の特則について
「経営者保証に関するガイドライン」とは
M&Aについては以下のブログも参考にしてください
「M&A仲介への不信感4選」
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