「中小M&Aガイドライン」改訂の概要

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公開日:2024年1月15日 /最終更新日:2024年1月15日

「中小M&Aガイドライン」改訂の概要

中小企業庁が公表した「中小M&Aガイドライン改訂(第2版)」は、中小企業の事業承継や事業拡大のためのM&Aに関する手引きとして3年ぶりに見直されたました。
このガイドラインでは、弊社のようなM&Aの支援を専門に行うM&A専門業者(仲介者やフィナンシャル・アドバイザー)に向けて、基本事項や留意点が拡充されています。
また中小企業向けにも、M&A専門業者の選定や契約、手数料などについて、より詳しく説明されています。

このコラムでは、改訂版の主なポイントを紹介します。

改訂版のポイント

M&A専門業者の手数料については、中小企業オーナーにとって算定方法の複雑さや最低手数料の適用などにより、自己が負担する手数料を適切に把握することが容易ではないという課題が指摘されています。
そのためガイドラインでは、実務上多く用いられるレーマン方式について、基準となる価額の考え方や報酬額の目安を確認することの重要性を明記しており、インターネット上などで掲示することを求めています。
また最低手数料を設定するM&A専門業者が多いことから、手数料に関してレーマン方式と最低手数料を併記し、最低手数料の分布や適用事例を紹介しています。
M&A専門業者は中小企業と契約する前に、手数料に関する重要事項を書面で受け取り、明確な説明を受けることが必要です。

次に、M&A専門業者の質の確保・向上に向けた取組については、M&A専門業者には、依頼者との間の契約上の義務(善管注意義務や忠実義務)を履行し、職業倫理の遵守が求められることが明記されています。
そのために知識・能力の向上や適正な業務遂行を図ることが重要であり、個々のM&A専門業者や業界に求められる取組が紹介されています。
例えば人材育成方針の策定や実施、社内研修や社外研修の受講支援、人事評価の項目化や報酬・給与への反映、業務規程やマニュアルの整備、社内相談窓口や依頼者からの苦情受付・対応などが挙げられています。
またM&A専門業者は、他の支援機関(特に士業等専門家)と積極的に連携することが望ましいとされています。

重要事項説明書

さらに、M&A専門業者との契約に関しては、仲介契約やFA契約において、契約に係る重要な事項を記載した書面を交付して、明確な説明をすることが必要であることが明記されています。
説明すべき重要な事項としては、契約の内容や期間、手数料の算定方法や金額、直接交渉の制限に関する条項、契約解除の条件や費用などがあります。
また、説明を受ける相手方、説明者、説明後の十分な検討時間の確保などについても留意点が示されています。特に、直接交渉の制限に関する条項については、制限される候補先、交渉目的及び期間に関する注意喚起がなされています。
中小企業庁に問い合わせたところ、具体的なフォーマットは決まっていないものの、上記を網羅的に説明すればよいとのことでしたので、弊社では会社案内を説明する際に同時にお伝えすることにしています。

最後に、ガイドラインでは、行政や民間におけるM&Aに関する取組の推進についても触れられています。
例えば、M&A支援機関登録制度や情報提供受付窓口の開始、自主規制団体であるM&A仲介協会による苦情相談窓口の開始、事業承継・引継ぎ支援センターへの発展的改組、表明保証保険等の紹介があります。
これらの取組は、中小企業のM&Aを円滑に進めるための環境整備に寄与するものと期待されます。

以上が、「中小M&Aガイドライン改訂(第2版)」の要点についてです。
中小企業のM&Aは、事業承継や事業拡大のための有効な手段の一つですが、その実施には様々な課題やリスクが伴います。
このガイドラインは、中小企業やM&A専門業者にとって、M&Aに関する基本的な知識や注意点を理解するための参考資料となるでしょう。
M&Aに関心のある中小企業やぜひこのガイドラインもご一読ください。

また事前に説明がないM&A専門業者はガイドラインに抵触している可能性があり、将来的にトラブルが発生することが考えられますので、そのような業者と契約を結ぶことはあまりお勧めできません。

ご不明な点があればお気軽にお問い合わせください。

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