公開日:2021年2月17日 /最終更新日:2024年7月24日
M&A業界が活発化してきていることはいいことだと思いますが、「M&Aアドバイザー」だれでM&Aアドバイザーを名乗れること、また営業マンが高い手数料と高いインセンティブで働いていることから、売ることありきの玉石混交の業者も参入してきてしまっており、結果としてトラブルが発生してるとの相談をよく受けます(一般的に起きているトラブルについては、「中小M&Aガイドライン」をご参照ください)。
今回は「M&Aの検討をし始めた」という売り手様向けに、最初にこれだけは確認してほしい、というという5点をお伝えします。
1.何を目的としたM&Aなのか
実際に動いている会社を経営しながら、あれもこれもを全部自分の考え通り、というのは難しいと思います。そもそも問題ないのであれば、そのまま所有・経営を継続していてもいいわけなのですから。
何のためにM&Aによる譲渡を行う必要があると考えているのか、そこを抑えないと目的がぶれてしまい、進めていく中で破談になってしまう可能性も高くなってきます。
M&Aの場合、流動性が低いため、たとえ同じ条件であったとしても、また同様の相手が出てくる保証はありません。
目的が決まっていないと、相手に対して求めるものが多くなりすぎてしまいます。
上場株式であれば、「思った金額で売れなかった」というだけで済むこともありますが、M&Aの場合、自社を譲渡するわけなので、相手を探したりする時間が長くなれば長くなるほど売りに出されている、という事が広まる可能性があります。また話が進んで決裂した場合、相手が同業他社であればどこかで顔を合わせる機会もあるので、その後もやりづらくなるでしょう。
適切な期間で、納得のいくM&Aを行い、成功したと思うためには目的をあらかじめ決め、全てでなくともいくつかが満たされたらよし、と考えたほうがトータルとしていい結果につながると思います。
以下、目的と思われる要素を記載しています。どの要素が当てはまるのか照らし合わせてみてもいいかもしれません。
A.金銭の獲得
B.リタイアしたい
C.本業に専念したい(そちらの方が全体で見たら収益が上がる)
D.事業を切り離したい(同上。損失が拡大してしまうため損切りをする)
E.シナジーのある先と資本業務提携を行い、販路の拡大や人材の共有を行いたい
F.経営者を変えることで企業を存続させたい
G.連帯保証から外れたい 等
2.時期を想定しているか
これも重要な論点になって来ます。会社と違って人間には寿命があるため、上記の目的のB、C、D、F、Gなどの場合、Aの金銭の獲得より優先的に考える必要があるかもしれません。Aの金銭獲得にこだわるあまり、得られるはずだった収益を揚げられなかったり、損失が拡大し続けることもあると思います。また先ほどは例として上げませんでしたが、Eのシナジーの共有も相手やタイミングがある話なので、時期を見過ごしてしまったら本末転倒になってしまうでしょう。
特にリタイアの場合は逆算して対応しないと、交渉において焦っている方が足元を見られてしまうので、自分が思っているより早く動き始めた方がいいでしょう。M&A後の関わり合い方によっては現在のポジションを獲得したまま数年そのまま残るということも交渉によってはできるからです。これがあまりにも経営状況が悪くなってしまっては残る残らない以前に、残りたくないという気持ちが先に来て、結果として譲り受け先も無い、などということが起こり得るでしょう。
金銭も重要ですが、時間も重要なファクターであることを念頭において行動しなかったが故に、かえって損をしたのでは無いか、という相談者の方も多くいらっしゃいました。ぜひ、日頃から余裕のある経営を行うことをご念頭においていただければと思います。
3.価格についてどう考えているか
主要な要素のうち、一番大きいのはここでしょう。なんのための目的か、というところに立って「高く売れればいい(売れなければ仕方がない)」ということであれば、ある意味ご自身の考える価格で考えてもいいのかもしれません(譲渡先を探す過程で売りに出していることが第三者に知られてしまうリスクは期間に比例しますが)。
ただし価格と価値は違うところがあり、譲り受け先が考える「価値」を超える「価格」では現実的に成約することは難しいでしょう。ただし赤字・債務超過で値がつかない案件を除き、最後に調整できる部分は「価格」の部分であるため、最初から値を下げて進めるというのはお勧めしません。その点につきまして、弊社ではどのように進めるのか、事前にご相談させていただくことができます。
4.情報の出し方について打ち合わせをしているか
これも良し悪しですが、仲介会社の中には「あてる」といって、譲り受け候補先に対し、数を追って情報を出す担当者もいます。「あてる」数が増えれば確かに価格が上がる可能性はありますが、反面情報流出の可能性が上がることと、仮に重複して同じ候補先に情報がいった際、「売り急いでいる」「出回り案件」と思われて本来の「価値」よりも低い「価格」と思われてしまうこともあるでしょう。
この問題についても弊社では事前にご相談させていただくことができます。
5.アドバイザリー契約書の内容を確認しているか
1〜4についても重要なのですが、5が一番重要かもしれません。というのも1〜4については案件をどうするかだけの問題で、最悪、仕切り直して対応すればいいだけですが、5についてはM&A会社との契約を行うことから、契約内容に拘束されてしまうからです。
例えば契約前は「レーマン方式」という話しかしていなかったのに、契約時に「最低手数料2,000万円です」という話が出て来て、内容も検証しないまま契約を締結したとします。例えば1億円で譲渡できた場合(ここでは簡略化のため債務や税金は無しとします)、弊社では500万円の手数料ですが、上記のようなM&A会社では2,000万円の手数料となり、1,500万円(譲渡額に対して15%!)も残る金額が変わって来ます。
モデルとなる譲渡価格ではレーマン方式が適用されるのかもしれませんが、実際の譲渡価格でみたら割高になってしまうという事は往々にしてあると思いますので、事前に譲渡価格について打診をしたうえで、その場合の手数料額を聞くことをお勧めします。
ではのちにそのような契約内容であることに気がついて、解除を申し入れた場合はどうでしょうか。その場合、解除ができない内容になっていたり、2年間は他社で成約した場合も当該M&A会社に手数料を支払うような内容になっている契約もあると聞きます。
また上記については秘密保持契約も兼ねていて相談もできない・・・などという悪質な場合、非常に身動きが取りづらくなってくるでしょう。会社の経営者も自社株式の譲渡については素人であることから、上記のような騙しのような絡め取られ方をされてしまいます(「手数料が高すぎる」と反論したら「その分高く売ります!」と言われることもあったと言いますが、そういう問題では無いと思います)。
以上、売り手様が最初に気をつけるべき5点について記載いたしました。
なお弊社は売り手様が「安心」して「成功する」M&Aを行えるよう、セカンドオピニオンサービスを開始しました。
もう上記のような注意すべき点を今依頼しているM&Aの営業マンが説明せず、アドバイザリー契約を締結してしまったという場合でも上記のサービスをご利用していただくことで、より望んでいたM&Aに近づけることは可能です。
ぜひご検討・ご相談ください。
またご参考までですが、弊社が業務提携を行なっているSTR社も一部同じことをおっしゃっています。
https://youtu.be/ejnoh0ea2a0
STRの古旗公認会計士はM&Aに特化した公認会計士であり、弊社と業務提携を行なっておりますので、ご紹介可能ですので遠慮なくおっしゃってください。
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