M&Aとファクタリング:資金調達手段としての活用

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公開日:2024年7月8日 /最終更新日:2024年7月24日

M&Aに関心を持つ経営者にとって、資金調達の問題は大きな重要な論点です。
M&Aを行った後に資金繰りの問題など生じることもあると思いますが、その課題解決について考えてみましょう。

近年注目を集めている資金調達手段の一つがファクタリングです。
ファクタリングとは、企業が保有する未回収の売掛債権を、ファクタリング会社に売却し、その対価を早急に現金化するサービスです。

M&Aとファクタリングは、一見すると異なる領域の事柄のように思えますが、M&Aを行う際に検討する課題の一つになる可能性があります。
本記事では、M&Aに関心を持つ人向けに、ファクタリングの仕組み、メリット・デメリット、M&Aとの活用事例などを詳しく解説します。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングの具体的な仕組みは以下の通りです。

  1. 企業がファクタリング会社に売掛債権を売却する
  2. ファクタリング会社は、売掛債権の額面金額から手数料を差し引いた金額を企業に支払う
  3. ファクタリング会社は、買掛先に売掛債権の支払い依頼を行う
  4. 買掛先がファクタリング会社に支払いを行う
  5. ファクタリング会社は、企業に支払った金額から手数料を差し引いた残額を支払う

ファクタリングのメリット

ファクタリングには、以下のようなメリットがあります。

  • 短期間で資金調達が可能: 審査が承認されれば、数日~1週間程度で現金化することが可能です。
  • 担保不要: 土地や建物などの担保が不要で、比較的容易に資金調達することができます。
  • 審査基準が比較的緩やか: 金融機関からの融資に比べて、審査基準が比較的緩やかです。
  • 売掛債権管理の負担軽減: 売掛債権の管理をファクタリング会社に委託することで、自社の業務に集中することができます。

ファクタリングのデメリット

一方、ファクタリングには以下のようなデメリットもあります。

  • 手数料が高い: ファクタリングを利用する際には、手数料を支払う必要があります。手数料は、売掛債権の額面金額の3~10%程度が一般的です。
  • 債権回収のリスクが移転する: ファクタリング会社に売却した債権が回収不能となった場合、その損失は企業が負担することになります。
  • 財務状況が悪化する: ファクタリングを利用したことが外部に知られると、財務状況が悪化しているという印象を与えてしまう可能性があります。

具体的事例

介護業界や医療業界など、保険制度によって翌月、翌々月の入金が見込まれる業界など多く活用されているケースが散見されています。
特に事業の立ち上げ時やM&Aで買収を行ったタイミングで資金繰りが難しいステージで多く利用されています。
上記で挙げたようにファクタリングはデメリットの印象が大きいですが、必要に応じて利用することで経営の助けになることも否定できません。

M&Aとファクタリングの注意点

M&Aとファクタリングを組み合わせる際には、以下の点に注意する必要があります。

  • ファクタリングのコストを事前にしっかりと把握する: ファクタリングの手数料は、収益性に大きく影響を与える可能性があります。事前にしっかりとコストを把握し、採算性を慎重に検討する必要があります。
  • ファクタリングの利用がM&Aの交渉に与える影響を考慮する: ファクタリングを利用していることが買収先や投資家に知られると、M&Aの交渉に悪影響を及ぼす可能性があります。事前に影響を考慮し、適切な情報開示を行うことが重要です。

ファクタリングの利用を検討している場合は、複数のファクタリング会社から見積もりを取り、手数料やサービス内容を比較検討することをおすすめします。また、ファクタリングを利用するにあたり税務や財務の専門家に相談し、具体的な影響について確認することも重要でしょう。
弊社ではファクタリングは扱っておりませんが、ご関心ある方は個人事業主へのファクタリング支援を行っているアカウントエージェント株式会社などの企業に相談してみることもおすすめします。

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