「M&A経営論: ビジネスモデル革新の成功法則」

Pocket

公開日:2023年6月13日 /最終更新日:2023年6月13日

「M&A経営論」!

M&A経営論: ビジネスモデル革新の成功法則」というタイトルで、宮原博昭氏が著者の本が2023年3月10日に東洋経済新報社から出版されました。

本書は学研ホールディングスの代表取締役社長である宮原さんが、M&Aを活用して事業を再生・成長させた実体験をもとに書いたものです。M&Aの成功に必要な戦略やコミュニケーション、シナジーなどを17の原則としてまとめています。

元々防衛大学校を卒業された方なので軍事よりの話から発展させていて、まるで司馬遼太郎を読んでいるような錯覚を覚えることもありましたが、経営戦略も軍事戦略から派生した要素は多々あるので、なるほどと思い読める面白い本でした。

本書の内容の要約

この本は株式会社学研ホールディングスの代表取締役社長である宮原博昭さんが、M&A(企業の合併や買収)を活用して事業を再生・成長させた経験とノウハウを紹介したものです。
宮原さんは、2009年に学研の社長に就任したとき、同社は「学習」「科学」という看板雑誌を失い、売上高が半減し、赤字に陥っていました。
そこで宮原さんは、M&Aを経営戦略の柱として掲げ、教育事業や医療福祉事業などに積極的に参入しました。

その結果、13期連続増収、8期連続増益を達成し、V字回復を果たしました。
本書では、宮原さんが考える「日本型M&A」の特徴や成功法則を、具体的な事例やエピソードを交えて解説しています。
「日本型M&A」とは、対等に融合しシナジーを高め合うM&Aであり、財務や法務だけでなく、現場の声や人対人の信頼関係も重視しています。

かいつまんで言うと老舗上場企業である学研が身動きが取れなくなりpivotしていく際にM&Aを有効に活用して行ったという内容なのですが、代表自らM&Aの陣頭指揮を担当者時代から行っていただけあってなるほど思わせる本です。

M&Aを成功させる17の原則

防衛大学校で学ばれていただけあって、戦略論に則り原則をまとめています。
17の原則について抜粋したうえで、興味深い原則について取り上げてみたいと思います。
ご関心をいただかれた方はぜひAmazonや書店でお手に取ってみてください。

17の原則とは

第1則 FAに任せきってはいけない
第2則 担当者は最後まで責任を持て
第3則 会社のトップこそ最前線に立て
第4則 候補の案件は自らリストアップせよ
第5則 シナジーから考えよう
第6則 先方との面談は「30回」を前提に考えよ
第7則 「上から目線」は厳禁
第8則 まずは相手の話を聞くことから
第9則 デューデリジェンス① 数字の裏を読め
第10則 デューデリジェンス② 先方の社員の声を聞け
第11則 デューデリジェンス③ 質問は「いい点」と「悪い点」をワンセットで
第12則 のれん代の償却期間は慎重に
第13則 グループ・インした社員への説明を丁寧に
第14則 社内改革のタイミングを逃すな
第15則 経営陣を無理に送り込む必要はない
第16則 撤退戦も礼節を重んじて
第17則 個人知から組織知へ

トップ面談の重要性

選定先のチョイスからPMIにつながる経営者の選定まで多岐にわたって記載されていますが、割合としてはトップ面談に対し紙数を割いているのではないかと思いました。
面談回数が30回が前提というのは競合他社がある場合に現実的かという問題がありますが、
「上から目線」の厳禁や「相手の話を聞く」などがあげられいます。
これはいくつかの意味があり、一つは当たり前ですが相手に好かれないとそもそも売ってもらえないので、テーブルに乗ることの重要性を述べています。
もう一つは先ほどの「30回」につながるのですが、複数回面談を行い条件交渉を行うにあたって先方の背景が分かる必要性がありますし、論点のすり合わせがしやすくなります。
また現地確認を行うことで伸びしろであったり、社員の状況などの確認ができることで、進めるかどうかの判断も含め深掘りができると考えておられるようです。
加えてそれらをトップが行うことでノウハウが蓄積し、嗅覚が高まると述べています。

本書について

本書は学研の停滞、凋落から飛躍までをM&Aや経営資源の選択と集中を行うことで新陳代謝を行いながらやってきたという当事者のノンフィクションとして読めるほか、実際に主体的にM&Aをやっていきたいという買い手に対しても参考になると思います。

当職も仲介として経験した案件で、ここまでやりこんではいませんでしたが、似たような「日本型M&A」を行った企業は翌年から増収増益を行うことができたとので、大変参考になると思います。
M&Aについては相手企業もありますが、他に買い手候補もいるため、本書が100%妥当かどうかというとすべてが厳密に当てはまるケースはないと思いますが、基本的にはかなり参考になると思いますので、これからM&Aを行う方だけではなく、「なぜかなかなかM&Aができない」という経験をお持ちの方はご一読されて損はないと思いました。

M&Aについてご検討されている方は是非お気軽にご相談ください。

 

政府が中小企業M&A支援を行う背景
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「M&A仲介への不信感4選」
仲介かFASか
「M&A仲介会社の手数料」上場・非上場会社との比較!
M&Aで会社を譲渡する際に失敗しないための21のポイント!
売り手がM&Aを始める前に確認すべき5つのこと
【年倍法】M&Aの「価格」と「価値」の違いとは
「御社を買いたい人がいるから売ってくれと言われているが本当か」問題
M&A仲介会社の「業界最安値」手数料問題とは
仲介会社が入る意味とは
「M&A仲介と契約を結ぶ前に。テール条項には気をつけろ!」
「中小企業庁から学ぶ! M&A仲介業者の見極め方」
「中小企業庁から学ぶ! M&A仲介業者の見極め方2」
日本政策金融公庫を使ったスモールM&Aのための資金調達!・・・と疑似PEファンドの組成?
コロナと資金調達と資本性劣後ローンの活用と
M&Aで自分の会社を少しでも高く売るために!

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

過去ブログ抜粋

  1. 「M&A仲介会社の手数料」上場・非上場4社との比較!

  2. M&A・業務提携ニーズ一覧【20201117】

  3. M&A・業務提携ニーズ一覧【20201111】

  4. 令和3年度当初予算「事業承継・引継ぎ補助金」について

  5. 持ち株会社についての一考察

  6. <売り手向け>M&Aで、やばい買い手には気をつけろ! マッチングだけが全てではない。