事業承継の希望を繋ぐ:大阪の食品製造業オーナーのケース

日本財務戦略センターは、政府も力を入れている中小企業の事業承継を支え、経営者が新たな未来を描けるよう全力を尽くします。
本ブログでは弊社の過去事例について、特定を防ぐため一部修正を行ったうえで、売り手の皆様に対してM&Aのイメージがしやすくなるよう事例をご紹介していきたいと思います。
今回は、大阪で食品製造業を営む60代の経営者(以下、売り手)のM&Aによる事業承継の事例をご紹介します。
後継者不在の危機、幾多の拒絶を乗り越え、どのように希望を見出し、成功を掴んだのか。
ブログを読むことで、M&Aの当事者としての追体験をすることでイメージがわきやすくなると思います!

事業承継の流れを追体験してみよう! 大阪府食品製造者の場合

1. 崖っぷちの決断:事業承継の模索

売り手は、大阪の地で40年以上、食品製造業を営んできました。
従業員15名と共に地域のスーパーや大手飲食チェーン、地元住民に自社の加工食品を供給し、信頼を築いてきた自負がありました。
しかし60代後半に差し掛かり、後継者不在の現実が重くのしかかります。
息子は別業界で活躍し、事業を継ぐ意思はありません。また機械設備の更新など経営についても一抹の不安があり積極的に後継者として考えていませんでした。
とはいえ肉体的な衰えがある中、取引先や従業員のことも考えると会社をたたむという判断もできません。
「この会社を、従業員を、取引先をどう守ればいいのか…」
夜も眠れない日々が続きました。
藁にもすがる思いでインターネットでいろいろ調べたり、周りの社長から話を聞き、M&Aという言葉にたどり着きます。「会社を売るなんて、今までの人生を裏切るような気持ちになることもあった」と振り返る売り手。それでも従業員の雇用と事業の存続を守るため、日本財務戦略センターのへ問い合わせの連絡を入れたことからM&Aの展開が大きく変わります。

2. 幾多の拒絶:信頼を求めた苦闘

日本財務戦略センターに連絡を入れる以前、M&Aを決意した売り手は、複数の仲介会社に相談を持ちかけていました。
しかし道のりは険しかったようです。
会社の財務状況では債務が重く、近年は競争激化で売り上げも低迷。
ある仲介会社からは「この状態では買い手は見つからない」と冷たく突き放され、別の会社には「もっと業績が安定してから」と門前払いされたとのこと。
「これだとこの金額でしか売れませんが、手数料はお支払いできますか?」とあしらわれたこともあったようです。
弊社に連絡をいただいた時も当初は「難しい案件」と判断されるのではと考えていたようです。

しかし当センターの担当者が売り手の熱意と事業への愛着に心を動かされ、財務面以外での特長を上げ、定性的な点から相手先を探すことができないか、売り手と話し合いました。
結果として「あなたの想いを形にするために、全力で挑みます」と伝え、売り手は「初めて光を見出した」との気持ちになったようです。

 

3. 信頼の構築:パートナーとの再出発


幾多の拒絶を経験した売り手が、日本財務戦略センターに信頼を寄せた理由は明確でした:

  • 共感と理解:債務や売り上げ低迷の課題を直視しつつ、地域ブランドや取引口座の価値を見逃さない姿勢。
  • 食品業界の専門性:食品製造業の特性を熟知し、日本財務戦略センターに寄せられているニーズから適切な買い手を提案する力。
  • 透明なプロセス:手数料や進め方を明確に説明し、売り手の不安を一つずつ解消。

こうして弊社はは売り手の希望、従業員の雇用継続とブランドの維持、を胸に買い手探しに奔走しました。
ただ紹介したいくつかの買い手と何社かトップ面談を行いましたが、他社が断ったような状況であったこともあり、弊社でも数か月の間、面談後に断られていたという事実はございました。

 

4. 劇的な出会いと試練:地元中堅卸との交渉

弊社のネットワークを通じて、最終的に売り手の会社に興味を示したのは、大阪を拠点とする中堅食品製造卸のB社でした。
B社は、売り手の会社が持つ大手卸との取引口座に大きな魅力を感じでいました。
現在、その大手卸との取引を行うには売り上げや資本金などの条件が極めて高くなっており、新規で参入するにはなかなか難しい、ということが理由だったようです。
売り手が大手卸と取引を持った時は大分昔だったため、それほど条件が厳しくなく、無形資産として買い手側はとらえ、売り手を経由して、全国に食品を降ろしていきたいと考えていたようです。
特に、売り手の人柄も判断材料の一つで、誠実に取り組んできた姿勢に心を動かされたB社の社長は、「この会社となら共に未来を築ける」と感じたようです。
しかし気持ちだけでゴールまでたどり着く要因にはなりませんでした。
B社がデューデリジェンス(買収監査)を進める中、他の買い手と同様、売り手の債務や収支の不安定さが浮き彫りになってきます。
B社の財務担当者から「リスクが大きすぎる」との声が上がり、一時は交渉の撤退も脳裏をよぎったようです。
「あの瞬間、心臓が止まる思いだった」と売り手は振り返ります。
弊社ではB社に対し、売り手の取引口座の価値や地域でのブランド力を改めて強調しました。
再度、懇親会を兼ね売り手とB社の面談をアレンジし、売り手は事業への情熱と従業員への想いを訴えました。
その熱意がB社の心を動かし、交渉は再び動き出します。
約6ヶ月にわたる紆余曲折の末、双方が納得する条件で基本合意に至りました。

 

5. クロージング:シナジー効果とビジネスの発展

最終契約に向け、B社による詳細なデューデリジェンスが実施されました後、最終条件が提示されました。
債務や契約内容の確認は厳しかったものの、当初の売り手の希望と大きな変更はありませんでした。
売り手の了解を確認し、クロージング日を決め、契約書類の双方確認を行うと同時に売り手に重要物品、買い手には株式購入資金の依頼を行いました。
2021年、ついにクロージングが完了しました。
売り手は後の電話でこう語りました。
「何度も諦めそうになったが、引き継ぐことができてホッとしました。いい取引ができたと思っています」

B社は売り手のインターネットサイトのリニューアルはじめ、売り手の取引口座を活用し販路を拡大。
地元を中心の販売から全国を視野に入れたようです。
まさに双方にとっての勝利だったといえるのではないでしょうか。
事業承継に悩む方、過去に断られた経験のある方も、諦めないでください。
日本財務戦略センターは、あなたの想いを形にするパートナーです。貴社の未来を共に描きます。どんな困難も共に乗り越えましょう。
お気軽にご連絡ください。

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