公開日:2023年5月15日 /最終更新日:2024年7月24日
中小企業が抱える問題として労働力の確保、維持という問題があると思います。
今回は、労働力不足の解消方法としてのテレワークについてお話ししたいと思います。
労働力不足は、中小企業にとって深刻な経営課題です。
人口減少や高齢化により、労働者の供給が減少しています。
例えば中小企業庁の「2021年版小規模企業白書」によると、2020年に入ると、従業員規模が「1~29人」、「30~99人」の企業において、雇用者数が前年より大きく減少している状況が見て取れます。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)」によると、企業の47.8%で正社員が人手不足であり、2020年2月と同水準まで上昇しています。
また、非正社員は企業の28.0%で不足しており、「飲食店」は唯一の7割台と厳しい状況が続いています。
そこで注目されるのが、テレワークです。
テレワークとは、自宅やカフェなどの場所でインターネットや電話などを使って仕事をすることです。
テレワークには、従業員にとって以下のようなメリットがあります。
- 通勤時間や費用を削減できる
- 自分の好きな時間や場所で仕事ができる
- 家庭や介護などの両立がしやすい
事実、就職先や勤務先を探す際にも労働者は以下の通り、テレワークを行っている企業を好んでいるデータがあります。
- 厚生労働省の「令和2年度テレワークの労務管理に関する総合的実態調査研究事業」によると、テレワークを実施している従業員のうち、テレワークを継続したいと回答した従業員は**86.4%**でした。
- 総務省の「個人向けアンケートで見るテレワークの実情」によると、テレワークをしたことがある回答者のうち、テレワークを好むと回答した回答者は**67.8%**でした。
また新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークは急速に普及しています。
総務省の情報通信白書によると、2020年4月には正社員の約28%がテレワークを実施しており、その後も約25%程度で推移しています。
特に情報通信業や学術研究・専門・技術サービス業などでは、テレワークの実施率が高くなっています。
コロナの5類化に伴いテレワークを縮小している企業もありますが、労働者のテレワークに対する選好が高い以上、同じような条件や知名度である企業であれば、テレワークを行っている企業が採用しやすくなるのではないでしょうか。
しかし、テレワークには課題もあります。例えば、以下のようなものです。
- コミュニケーションや管理が難しい
- 機密情報やセキュリティの管理が必要
- テレワーク用の機器や環境の整備が必要
- モチベーションや生産性の低下が懸念される
これらの課題を解決するためには、テレワークを導入する前に計画を立てることが重要です。
具体的には、以下のようなことを行う必要があります。
- テレワークの目的や対象者、期間、範囲などを明確にする
- テレワークに関する就業規則や労働協約を整備する
- テレワーク用の機器やサービスを導入し、運用方法や費用負担を決める
- テレワーク実施者と非実施者の公平性や評価方法を考える
- テレワーク実施者に対して研修やフォローアップを行うテレワークの効果や課題を定期的に検証し、改善する
テレワークを導入する際には、中小企業庁や厚生労働省などが実施している助成金や支援制度を活用することもできます。
例えば、中小企業庁の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」では、テレワークに関する制度整備や機器導入などにかかる費用の一部を助成しています。
2023年度からは、テレワーク用端末のレンタル・リース費用も助成対象となりました。
テレワークは、労働力不足に対応するだけでなく、新たなビジネスチャンスやイノベーションを生み出す可能性もあります。
飲食など現場に人を置かざるを得ない業種は別として、採用にお困りの中小企業の経営者の皆さんは、テレワークを積極的に検討してみてはいかがでしょうか?
また人の確保という点で、M&Aを活用することで規模を拡大していくことも手段のひとつです。
地域で規模を拡大することで知名度を高め、採用を進めていくことも考えられるでしょう。
人材の確保にお悩みについて、お気軽にご相談ください。
参考:
- <金融機関の視点から見る>ポストコロナを見据えた救済型M&Aについて1:
金融機関がどのようにコロナ禍の企業を見て、今後についてどう考えているのかについて触れています。救済型M&Aという概念や、金融機関の出口戦略についても言及しています。
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