TSR「『後継者難』倒産 件数35件、7月では最多件数を記録」について

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公開日:2023年8月28日 /最終更新日:2023年8月28日

東京商工リサーチから7月の後継者難倒産についてのリサーチ結果が発表されました

~ 2023年7月の「後継者難」倒産 ~

2023年7月の後継者不在に起因する「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は35件(前年同月比40.0%増)だった。7月としては2年連続で前年同月を上回り、2018年同月の32件を超え、調査開始した2013年以降で最多になった。

要因別は、最多が代表者の「体調不良」で19件(前年同月比280.0%増)だった。以下、「死亡」8件(同55.5%減)、「高齢」7件(同250.0%増)の順。
「体調不良」と「高齢」は、7月としては2013年以降の最多で、代表者の高齢化が進むなか、後継者の育成や事業承継は経営課題として重要な位置付けとなっている。
産業別では、最多がサービス業他の13件(同62.5%増)。次いで、建設業8件(同300.0%増)、小売業7件(同133.3%増)の順。
資本金別では1千万円未満が21件(前年同月比40.0%増、構成比60.0%)、負債額では1億円未満が30件(同130.7%増、同85.7%)と、小・零細企業が半数以上を占めた。

小規模事業者ほど人的・資金的な制約が大きく、独自に事業承継や後継者育成に取り組むことが難しい。また、代表者の年齢が高くなるほど、業績低迷から事業意欲を喪失するケースも少なくない。小・零細企業での事業承継や後継者の育成は、これまで以上に自治体や金融機関の支援が重要になっている。

詳細なデータについては元記事を参照してほしいのですが、印象については以下の通りです。

・「後継者難」倒産は徐々に増えており、コロナ以降は毎月30件前後で推移
・倒産している業種については顕著な傾向はない
・負債は5000万円以上が多く、破産による消滅型の清算がなされている

経営者の高齢化が進む中、ある程度の負債がある企業の経営者は体調が許す限り働き、力尽きてしまったら後継者を引き受ける人間がいないので引き受け手もいない中、残された遺族や関係者が破産という選択肢を取らざるを得なくなっている、と考えられます。
7月の「後継者難」倒産の要因としては75%が「体調不良」や「高齢」が原因であることを考えると、倒産前に譲渡を考えたとしても、小規模法人は経営者の存在感が大きいことから、譲り受ける側もあまりメリットを感じず、事業承継が上手くいかなかったことも考えられるでしょう。

そう考えると社内や家族に後継者が見つからない場合、惰性で経営を継続することは問題の先送りであり、体調や健康に何かあった際に破産という選択肢しか選べなくなってしまうのではないでしょうか。
もちろん清算した場合、連帯保証があれば経営者個人でも債務の清算も求められるでしょうし、従業員は次の職場を、取引先は次の仕入れ先などを探す必要が突然に出てきます。
それよりは元気なうちに経営を行いながら、事業承継を進めるということは経営者個人のみならず、家族や従業員、取引先のためにもなると言えるでしょう。
政府が事業承継を積極的に進めている背景は中小企業の生産性向上というマクロ経済の視点もありますが、中小企業というミクロ経済の主体としてもプラスに働くメリットはあるでしょう。

元気なうちに経営の区切りとしての事業承継を考えるのも経営者の責務なのかもしれません。
弊社では事業承継の取り組みについてお悩みの経営者へ助言業務を提供しております
お困りの経営者様はお気軽に弊社までお問い合わせください。

 

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