デューデリジェンス(DD/買収監査)について

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公開日:2023年4月3日 /最終更新日:2024年7月24日

デューデリジェンス(DD)とは

意向表明が出され、基本合意が締結された後、デューデリジェンスと言われる工程があります。
私は発音しづらいので「買収監査」という言い方をしていますが、一般的にはDDと呼称されることが多いと思います。
最近よく質問されるので、改めて記載したいと思います。
デューデリジェンスは、M&A(合併・買収)のプロセスにおいて欠かせない作業の一つであり、企業の財務、法務、労務、知的財産などの側面について、慎重に調査を行い、リスクや問題点を把握することが目的となります。
問題が発覚した際は、譲渡契約書に問題点を盛り込んだり、譲渡価格で調整を行うがなされることが多いです。

法務リスク

まず、法務リスクについて触れてみましょう。
デューデリジェンスにおいては、過去の法律問題や訴訟、特許侵害などの問題を把握することが必要です。
特に法的紛争や訴訟が絡む場合は、予期せぬ支出が発生する可能性があります。また、会社が保有する知的財産の権利や登録状況、使用許諾条件なども把握する必要があります。
これらの情報を調査することで、M&A後に法的な問題が発生するリスクを最小限に抑えることができます。
具体的な例としては食中毒や種瀬悦管理責任などで賠償請求が行われる可能性がある状況です。

労務リスク

次に、労務リスクについてです。デューデリジェンスにおいては、会社の従業員に関する情報も収集する必要があります。
従業員数や離職率、福利厚生、人事制度、労働組合との関係などが調査の対象となります。
これらの情報を収集することで、M&A後に従業員に不利益が発生するリスクを最小限に抑えることができます。
また、従業員からの訴訟やクレームのリスクもありますので、これらの情報を収集し、問題があれば早期に対処する必要があります。
具体的にはサービス残業などの賃金未払いなどが考えられます。

また、M&A後の人員配置や組織改編の際には、従業員の再配置やリストラが必要となる場合があります。
この際には、人員配置の手続きや再就職支援、退職金制度などに関する法令遵守が求められます。
従業員の不安や不満が生じることにより、M&A後の企業経営に大きな影響を与えることもありますので、注意が必要です。
事業譲渡の場合、再度雇用契約を締結する必要がありますので、丁寧に対応することが必要となります。

財務リスク

最後に財務リスクについて考えてみましょう。
財務リスクは、企業の財務状況が将来的に悪化する可能性があることを指します。
これは、売り手が負債を抱えている場合や、業績が低迷している場合などが該当します。
M&Aを検討する場合には、このようなリスクがあるかどうかを事前に把握することが非常に重要です。
具体的には、売り手の財務諸表や業績の推移を調査し、負債や資産の評価、財務比率の算出などを行うことで、財務リスクを評価することができます。
さらに、M&Aが成立した後にも財務リスクは存在します。
たとえば、買収後に業績が低迷して負債が増加した場合、財務リスクが発生する可能性があります。
そのため、M&A後の財務状況も十分に調査し、必要に応じて改善策を打つことが重要です。

買い手が今後の収益が想定より低くなる可能性があると判断した場合、株価が調整される可能性もあります。
算定方法にはDCF法やEBITDA倍率評価など様々な方法があり、買い手サイドで検証されます。

以上、デューデリジェンスにおける法務リスク、労務リスク、財務リスクについて簡単に説明しましたが、これらはM&Aにおいて避けて通れないリスクと言えます。
M&Aを成功させるためには、これらのリスクを事前に把握し、十分な調査と分析を行うことが欠かせません。
さらに、リスクを軽減するためには、M&A実施前には契約書の細部を十分に検討し、適切なリスク分担を行うことも必要です。
M&Aは大きなビジネスチャンスである一方、リスクも伴います。
適切な対応策を講じながら、成功に向けて取り組んでいくことが求められます。

デューデリジェンスで失敗した事例は?

過去、大規模介護事業者でM&Aを行った後、法務リスクなどが発覚して、売買価格ではなくかなりディスカウントした金額(!)で買戻しを行ったケースがあります。
孫引きになりますがよくまとまったサイトがありましたのでリンクで引用します。
具体的な話は生々しくなりますが、上場企業が買い手になったケースでもこのようなことがあるので慎重に検討されるといいと思います。

デューデリジェンスでお困りの方は弊社から懇意にしている専門家を紹介することも可能ですので、遠慮なくご相談ください。
また場合によっては保険で回避することもできます(コラム「小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説」を参照ください)。
ディールの規模感によっては専門家に費用を払うよりも保険対応の方が合理的な可能性があるので、併せてご相談ください。

政府が中小企業M&A支援を行う背景
小規模M&A向け表明保証保険「M&A Batonz」についての解説
「M&A仲介への不信感4選」
仲介かFASか
「M&A仲介会社の手数料」上場・非上場会社との比較!
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