M&A支援機関登録制度とは? 日本財務戦略センターが解説

M&A支援機関登録制度とは

こんにちは、日本財務戦略センターです。私たちは中小企業の皆様が安心してM&Aに取り組めるよう、専門的な支援を提供しています。

今回は、中小企業庁が創設した「M&A支援機関登録制度」について混同しがちな「M&A支援機関登録事務局」との役割や違い、制度のメリットなどについてわかりやすくご紹介したいと思います。


M&A支援機関登録制度と登録事務局とは?

M&A支援機関登録制度は、2021年8月に中小企業庁が開始した制度で、中小企業のM&Aを安全かつ円滑に進めることを目的としています。

この制度は「中小M&Aガイドライン」の遵守を宣言したファイナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者を登録し、質の高いM&A支援を保証しようとするものです。
2025年2月時点で約3,000件の支援機関が登録されています。
そしてM&A支援機関登録事務局は、中小企業庁から委託を受けて、制度の運用を具体的に管理する組織です。
主に登録申請の受付・審査、登録機関の情報管理、ガイドライン遵守状況のモニタリング、トラブル時の相談窓口の運営を担当します。

制度が「ルールや枠組み」を定めるのに対し、事務局は「そのルールを実際に運用・監視する実務機関」と考えるとわかりやすいでしょう。
事務局の存在により、登録機関の透明性や信頼性が維持され、M&Aを検討する企業にとって安心できる環境が整っています。

近年、後継者不在問題や成長戦略の一環として、M&Aのニーズが高まっています。
しかし支援機関の品質にバラつきがあることや、トラブルが発生するケースも見られました。
この制度と事務局の連携により、信頼できる支援機関を選びやすくし、透明性と安全性を高めることが目指されています。

制度の主な特徴とメリット

  1. 厳格な基準の適用
    登録支援機関(M&A支援機関登録制度に登録しているM&A仲介やFA)は、「中小M&Aガイドライン」に基づく厳格な基準が求められ、透明な料金体系や適切な業務遂行を求められます。
    これにより、企業は安心してM&Aを進められることが期待されます。
  2. 事業承継・引継ぎ補助金の活用
    登録支援機関を利用することで、M&Aに関わる仲介手数料やFA費用の一部が「事業承継・引継ぎ補助金」の対象となり、コスト負担を軽減できます。
    これにより登録支援機関は中小M&AガイドラインやM&A支援登録事務局の支持に従うことが期待されます。
  3. トラブル時の相談窓口
    事務局が運営する「情報提供受付窓口」を通じて、支援機関との問題を相談できます。秘密保持義務に関わらず相談可能で、安心感が向上します。
    また後述しますが、事務局からペナルティを課される可能性が高まることで、支援機関への統制が期待されます。
  4. 手数料の透明性
    2024年度より、登録支援機関は手数料体系を公開することが義務付けられました。事務局がこれを監視し、予期せぬ高額請求のリスクを軽減します。

登録機関の信頼性を担保する「登録取り消し制度」

M&A支援機関登録制度では、登録された機関が適切な業務を行わない場合、登録の取り消しを行い、企業名を公表する仕組みがあります。

事務局がガイドライン遵守状況を監視し、違反が確認された場合に取り消し手続きを進めます。

登録取り消しの主な理由は以下の通りです。

 

  • 虚偽の申請: 登録申請時に虚偽の情報や書類を提出した場合。
  • ガイドライン違反: 「中小M&Aガイドライン」に定められた透明性や公正性を損なう行為(例:不適切な手数料請求、利益相反の未開示)を行った場合。
  • 法令違反: 法令や公序良俗に反する行為が認められた場合(例:詐欺的行為、違法な仲介活動)。
  • 業務停止命令: 金融庁やその他の監督機関から業務停止命令を受けた場合。
  • 報告義務の不履行: 中小企業庁や事務局への定期報告や情報提供を怠った場合。

登録取り消しされた機関は中小企業庁のウェブサイトで公表され、事業承継・引継ぎ補助金の対象外となります。
この厳格な仕組みにより、登録機関は高い倫理基準を維持する責任を負います。


登録取り消しの事例

実際に、登録取り消しに至った事例として、2025年1月24日に中小企業庁が公表した「M&A DX」(東京都港区)のケースがあります。

この事業者は、買い手の資金力に疑義があることを認識しながら、繰り返し不適切な買い手を中小企業に紹介し、仲介手数料を受け取った一方で、買い手から売却代金が支払われない事態を引き起こしたと発表されています。

これが「中小M&Aガイドライン」の善管注意義務違反に該当すると認定され、中小企業庁(経済産業省)より登録を取り消しの公表がありました(欠格期間8か月)。

さらに47都道府県の「事業承継・引継ぎ支援センター」との連携も停止されました。

これは制度発足以来初の登録取り消し事例であり、事務局の監視体制の厳格さと共に、不適切な支援に対する対応力を示しています。


売り手・買い手が登録支援機関を選ぶ理由

売り手や買い手がM&A支援機関登録制度に登録された支援機関を選ぶべき理由は、以下の具体的なメリットがあるためです。

 

  • 売り手にとってのメリット
    • 無理な仲介のリスク低減: 登録支援機関は、前述のような登録取り消しやそれに伴う公表を避けるため、ガイドライン違反につながる無理な仲介や不適切な買い手の紹介を控える傾向にあります。
      事務局のチェックアンドバランスにより、信頼性の高い買い手との取引が期待できます。
    • 補助金の活用: 事業承継・引継ぎ補助金の条件の一つに登録支援機関による仲介(FA)であることが多いため、登録支援機関を使うことでM&A関連費用の負担が軽減され、事業承継や売却のハードルが下がる可能性があります(申請内容による)。
    • トラブル時の保護: 事務局が運営する相談窓口を通じて、問題が発生した場合に迅速に対応してもらえます。 
  • 買い手にとってのメリット
    • 信頼性の高い買い手としての紹介: 登録支援機関は買い手の資金力や事業計画を厳格に確認するため、買い手は信頼性の高いパートナーとして売り手に紹介され、成約率が向上します。
    • 透明なプロセス: 手数料や契約条件が事前に明確に提示され、事務局の監視により予期せぬコストや条件変更のリスクが低減されます。

登録支援機関を選ぶことで、売り手は事業価値を最大化しつつ安心して承継を進め、買い手は信頼されるパートナーとして効率的にM&Aを進められます。

先ほどの事例のようなトラブルを避けるためにも、事務局の監視下にある登録支援機関の選択は重要です。

日本財務戦略センターは、2021年10月に中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されるとともに業界の自主規制団体であるM&A推進支援協会に加盟し、信頼性の高いM&A支援を提供しています。

買い手の資金力や事業計画を厳格に評価し、契約プロセスにおいて高い基準を適用するべきという中小企業庁の基準を満たすだけでなく、顧客のニーズに応じた柔軟な対応で、M&Aを成功に導きます。
後継者問題や事業成長でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

おわりに

M&A支援機関登録制度では、登録取り消し制度や実際の事例を通じて、中小企業のM&Aを安全かつ円滑に進めるための制度を提供します。

日本財務戦略センターは、この制度に準拠し、皆様の事業承継や成長戦略を全力でサポートします。

M&Aに関するご質問やご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

一緒に、事業の未来を切り開きましょう!

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